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悪魔も泣き出す使い魔-mission08


~破壊の杖~
土くれのフーケを捜せ



朝霧に包まれる学院。シエスタを抱えるダンテの前に、見覚えのある幸薄い頭髪の教師が、早朝の広場に佇んでいた。
それからダンテに気がついた教師が、向こう側から話しかけてきた。



「やあ、君はヴァリエールに召喚された使い魔・・・であったな? 確か名前は・・」
「ダンテだ。先生に聞くんだがね、このメイドがゆっくり休めるようなベッドが、どこかに無いかい」
「ああ、ダンテ。私はコルベールだ。ここの教師を務めておる。医務室でよければ案内するぞ」
「助かるぜ。ところで、先生はこんな朝からここで一体何を?」



コルベールが指差した方角にある大きな塔には、何かが爆発したような大きな穴が開いており、
周辺の壁も含めた瓦礫が散乱した地面は穴だらけになっていた。



「昨日の晩に賊が入ったらしくてね。君の主人がそれを目撃した・・・というか、それと戦っていた者の一人だった。
という事なんだが、使い魔の君は一緒ではなかったのかね?」
「ああ、ちょっとしたパーティーでね。今帰ったところさ」



怪訝な顔でダンテを見ながら、コルベールは人づてに聞いた昨日の状況を説明した。
はじめは、ギーシュとモンモランシーが、フーケが作り出した巨大なゴーレムと対峙していたのを、
シルフィードに乗ってモット伯の屋敷から帰ってきた、ルイズ、キュルケ、タバサの3人がそれに加わったという話だ。



「やれやれ・・・次から次へと面倒事が続くな」
「ん?何の事かね?」
「コッチの事さ。それで、俺の御主人様は無事なのかい?」
「彼女等も医務室で安静にしている所なんだ。起きていればついでに、詳しい事情を彼女達から聞いてみるとしよう」




一方、医務室にあるベッドのうちの3つに、ルイズ、キュルケ、ギーシュの3人がそれぞれ床に伏せており、
割かし軽傷であるタバサとモンモランシーがその傍らに付き添っていた。



「ねえ、生きてる?」
「うん」
「ダーリン。帰ってこないわね」
「・・・うん」



医務室のベッドで一晩を共にしたルイズとキュルケの2人は、お互いが無事であるか声を掛け合っていた。
ギーシュにいたっては、全身を包帯でグルグル巻きにされて、喋ることもままならなかった。
その横にはモンモランシーが、コックリコックリと首を傾けながら座っている。ルイズ達は会話を続けた。



「それにしても、・・・とんでもない相手だったわよね」
「あんなゴーレム、今まで見たことも聞いたことも無いわよ!」



魔法学院本塔の宝物庫を荒らしていたであろう盗賊、"土くれのフーケ"が作り出したゴーレムは、ルイズ達の想像を絶するモノであった。
噂に違わぬ巨体を誇るゴーレムの頭上には、おびただしい数の蝙蝠が飛び回り、その腕から繰り出される拳は雷を帯びていた。



「やっぱりアレって・・・」
キュルケの隣で本を読んでいたタバサが口を開く。
「破壊の杖の力」



フーケの二つ名は"土くれ"
土系統の錬金を得意とするフーケが風系統の、それもスクウェアクラスをも上回る程の雷を操っていたのである。
それは盗み出した破壊の杖を使用していたからに違いない。意見の一致した3人はそう結論付けた。



それから程なくして医務室のドアが開き、シエスタを抱きかかえたダンテとコルベールが入ってきた。



「ようチビ姫。ちゃんと生きてるか?」
「ダーリン!」
「チビって誰の事よ!!」



ダンテの声に反応する二人



「ハハッ、どっちも元気そうだな」



ルイズ達の様子に安堵したダンテは、ギーシュの眠るベッドに近づくや否や、ベッドごとギーシュを蹴り飛ばした。
床に蹴り落とされ、フゴー!フゴー!と叫び声を上げるギーシュ。突然の出来事で飛び起きたモンモランシーは、ダンテに抗議した。



「ちょっと!何すんのよいきなり!?」
「急患だ」



ダンテはモンモランシーにそう短く告げると、ギーシュが眠っていたベッドにシエスタを寝かせた。



「ベ、ベッドなら・・・まだ、反対側にいくらでもあるじゃないの!」
「あん?だったら最初からそう言えってんだ。どいつもこいつも」



すかさずルイズのツッコミが入る。



「それ以前にアンタは、人の話を聞こうともしないじゃない」



最初はダンテに対して激昂していたモンモランシーだが、
目の前の男がギーシュを打ち負かした、胸を貫かれても死なないルイズの使い魔だと記憶が鮮明になるにつれて、声を小さくしていった。
それを見かねたコルベールが、穏やかな口調でダンテを論する。



「これこれ、怪我人を無下に扱ってはいかんぞ」
「チッ、しょうがねえな」



ダンテはギーシュの首根っこを掴んでズルズルと引き摺り、向かいのベッドに向けてぶっきらぼうに投げた。
ベッドに叩き落とされたギーシュは、フギー!フギー!とまたもや絶叫を上げる。



「何すんのよもう!乱暴にしないでよ!この悪魔!!」



ギーシュに駆け寄ったモンモランシーが、涙声でダンテに訴えた。
その光景を目の当たりにしていたルイズが面倒臭そうに文句を言う。



「もう、怪我人がいるんだから静かにしなさいよ」
「ハッ、そりゃ悪かったな」



コルベールがおもむろに咳払いをする。



「さて、落ち着いたところで君たちに聞かねばならないのだが」
「ミスタ・コルベール?」
「うむ、昨日の出来事だ。できうる限り憶えている事を話してほしい」



事情聴取を始めるコルベールを他所に、ダンテは医務室の扉を開けた。それをルイズが呼び止める。



「ちょっと、主人を置いて今度はどこに行くつもりよ?」
「長話は嫌いなんだよ。それに腹減って、眠くって、疲れてんだ。ちったあ休憩くらいさせろって」



ルイズはダンテの赤いコートがボロボロになっているのに気がついた。



「・・・わかったわよ、今日だけよ。特別に許してあげるわ」
「心配すんなって。眠れなくなったら子守唄でも聞かせてやるよ」
「まあ、素敵ですこと。楽しみですわ」



ウットリするキュルケの眼差しを遮るように、ルイズは使い魔に向かって枕を投げつけた。
ダンテはそれを軽くキャッチし、「ネンネしてな」と一言添えてルイズに投げ返した。




医務室を出ていったダンテは厨房に立ち寄り、
涙を絶やさぬマルトーの抱擁を避けながら朝食を貪った後、事の発端となった現場の宝物庫へと向かった。
宝物庫に保管されている品々が目に付くや、ダンテは驚愕した。



「・・・どういうこった?」



宝物庫に散りばめられていたのは、自分の事務所にあったジュークボックス、ドラムセット、
リベリオンによって左右に寸断されたビリヤード台、他にも自分が使っていたのと同じような型の2連装式ショットガンや、
事務所の外に誰かが駐車していた大型のバイクが、所狭しと保管されていた。
ダンテは壁に掛けられたショットガンを手に取り、銃身の根元を開閉しながら給弾機構を確認する。



「使えそうだな。ババアの店に置いてあったヤツが懐かしいぜ」



もう、何年も保管されていた様な埃を被っている反面、錆一つ無い新品同様の銃身に、
塗られたばかりの様なガンオイルの匂いが印象的だった。



それから宝物庫の入り口付近に落ちている、ある物が目がついた。
ショットガンを肩に担ぎながら入り口の扉前にしゃがみ込み、それを拾い上げる。
一つは女性がかけるような上品な眼鏡、もう一つは何かメッセージが書き込まれた紙切れ、それから手紙が入った封筒の様な物。
それらをポケットに仕舞い込む所で、コルベールがやって来た。



「おお、君もここへ来ていたのだな。ここは本来、立ち入りは禁じられているのだが、まあ非常の事態という事でだ・・・」



コルベールの話を遮る様にダンテが話しかけた。



「丁度良かったぜ。先生に聞きたい事があるんだけどな」
「何かね?答えられる事は何でも聞こう」
「ここにある物の大概は俺の世界の、・・・っていうか俺の事務所にあった物なんだが、こいつらは何処で拾ったんだ?」
「ここらに保管されているものは、大体が学院付近に落ちていた物なのだが。俺の世界?・・・ふむ、一体どういう事かね?」
「俺はここの人間じゃない。アンタらみたいな魔法使いなんか居ない世界から呼び出されたんだ」
「何と、そのような・・・」



それからダンテはコルベールに、自分が生まれた世界の在り方や、物心ついた頃から相手にしてきた悪魔の存在等を簡潔に説明した。



「ふーむ、悪魔か・・・。吸血鬼や、そういう類を模したガーゴイルなぞは何度か見たが、実物というのはまだ見た事が無いな。
数多の幻獣や精霊達とは全く異なる、実在する負の象徴たる者か・・・うむ、興味深いぞ!」



「ここを荒らした泥棒に会うことができたら、拝めるかもしれないぜ」
「本当かね?」



それからコルベールが目を輝かせてダンテに尋ねた。




「ところで、私は悪魔のソレよりも君のいた世界というのに興味があるのだが・・・。
メイジのいない世界で空を飛んだり火を起こしたりというのは本当なのかね?」



「ああ、コイツなんか動けば、そこらの馬より速く走れるぜ?」



ダンテはそう言いながら、誇りまみれのバイクを足で軽くノックした。



「何と!やはりそれは乗り物だったのか!それに馬より速くとな!?いや!素晴らしい!!」



最初は面白かったが、ダンテは説明すればするほど興奮気味になるコルベールが、段々と面倒になってきた。
そこへ丁度良く、宝物庫の外から話しかける老人の声が、コルベールの名を呼んだ。



「精がでるのう、ミスタ・コルベール」
「オールド・オスマン!?いや、これは・・・」
「ほっほ、よいよい。賊の件で調査に来たのであろう。経過は順調かの?」



「ええ。ミス・タバサの飛竜が追跡してくれていたお陰で、大体の位置は把握できております」
「そうかそうか。・・・ところで、ミス・ロングビルの姿が今朝から見ないのじゃが、お主は知らぬかの?」
「ミス・ロングビルですか。・・・いや、私も今日は一度も彼女と会っておりませんな」
「そのミス・貴婦人は、こんな眼鏡でも掛けてんのか?」



ダンテはポケットから、先程拾い上げた眼鏡と一枚の紙切れを、コルベール達に差し出した。



「これは・・・お主、一体これを何処で?」
「そこの入り口に落ちてたぜ。それには何て書いてあるんだい?」



その紙切れには、
「破壊の杖、確かに徴収いたしました。土くれのフーケ」
と、フーケが残す特有のメッセージ書かれていた。



「何と、やはり"土くれ"の仕業であったか!それもミス・ロングビルを拉致して・・・」
「或いは、・・・その、ミス・ロングビルが・・・」



言葉を詰らせるコルベールに代わって、ダンテが続ける。



「壁にこんなデッカイ穴を開けて、派手に逃げ出すような大泥棒ってワケかい?」
「いや、それは有りえぬよ。・・・有りえぬのだ」



つい先日に見たロングビルの笑顔が、コルベールの目の前に浮かび、自分に言い聞かせる様にそれを否定した。
そんな様子のコルベールに、ダンテは肩をすくめた。



「ま、行って確かめない事には判らない。そうだろ?」
「うむ、それもそうじゃの・・・」



そして、オスマンは意を決意して話を切り出した。



「そこでじゃ、この場をもって、お主らにフーケとミス・ロングビルの捜索を頼みたいのだが。・・・どうかのう?」
「捜索ですか・・・。それは構わないのですが、何故我々のような者に?それに、彼はミス・ヴァリエールの使い魔ですぞ?」



困惑するコルベールの前に、オスマンは



「うむ。・・・こう言うのも何じゃが、ここの学院の連中はメイジの威厳やら、貴族の誇りなどと声を荒げておるが、
実際にはフーケの討伐にも杖を掲げんような腰抜けばかりじゃからのう・・・」



コルベールは今朝の集会で、昨日の当直だったシュヴルーズを糾弾する教師達の光景を思い出した。



「そこでじゃ、まがりなりにも"炎蛇"と呼ばれる君や、伝説の使い魔殿に、この一件を頼みたいのじゃが」
「オールド・オスマン。それはまだ、仮定の話であって・・・」
「伝説?おいおい、人に黙っておいて一体何の話だ?」



その場の雰囲気を誤魔化す様にオスマンが笑う。



「ほっほっほ。それもまあ、帰ってきてから詳しく話そうじゃないか。それがお主に対する報酬、という事でどうじゃろう?」
「チッ、食えないジイサンだ・・・。さて、そうと決まれば、宝探しは後回しだ先生。とっとと泥棒退治に行こうぜ」
「よいのか?生徒達に聞いた話だと、今のフーケは決して無傷で済むような相手ではないぞ」
「構わねえよ。それに、その"破壊の杖"ってのにも興味があるしな」



ダンテはコルベール達にニヤリとして見せながら、右手に持つショットガンを、穴の開いた壁に向かって構えてみせた。


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