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悪魔も泣き出す使い魔-mission06


~赤い狩人~
悪魔の巣窟となった屋敷へ向かえ



学院から少し離れた領地に構えられた屋敷。
そこの領主である貴族のジュール・ド・モット伯と、その周辺に漂う不穏な空気に、周囲の人々は只ならぬ不安を感じていたのだった。
元々あまり善い噂を聞くことが無かったモット伯であったが、近年にも増して不振な行動が目立っていたからである。



そんなモット伯の屋敷へ、コック長のマルトーの頼みでダンテが訪れたのは、日が落ちる夕刻の頃。
マルトーは何度かモット伯の厨房を手伝いに屋敷へ呼ばれたそうだ。
その時の記憶は鮮明で、あんな場所に連れて行かれたシエスタが心配で堪らないらしい。
ダンテは、厨房でマルトーに聞かされた屋敷の話を思い出す。




「あんな気持ちの悪い連中は初めてだった・・・。
あの屋敷で俺が何の仕事をしたかと言えばモット伯一人分のディナーだけ。
ヤツが食事を始めると、テーブルのサイドでメイドも執事も死んだ様な目ぇしてジッと動かねえんだ」



いつもの豪気なオーラは陰に潜み、顔面蒼白で屋敷での出来事を話すマルトー。
いつもの調子で茶化す事も無く、ダンテはその話を食い入る様に聞いていた。



「メイドの連中がゴーレムっちゅうのは、頭じゃ解っちゃあいるんだが・・・、
あんまり気味が悪い光景だから、仕事を終えたらさっさと荷物まとめて逃げる様に帰ってったね俺は。」



専用の食事席に腰掛けるダンテに向かって、マルトーが頭を下げる。



「一度だけもいいんだ、シエスタの顔を見に行ってやってくれるだけでもいい。どうにも今日一日胸騒ぎがずっと止まないんだ。」




それからダンテは意識を目の前の屋敷に戻した。外から漂う久々に感じ取った得物の匂い。高ぶる感情にダンテは思わず笑みを溢した。



「いいぜ。こういうヤバそうなのは大歓迎だ」



そう呟いて、屋敷の入り口まで向かおうとしたその時、自分の主人であるルイズが息を切らしながら駆け寄ってきた。
ルイズは少々怒った口調でダンテに問い詰めた。



「ちょっと、何処へ行くつもり?」



それに対して、ダンテはいつもの調子で答える。



「パーティーのお誘いがあってね。今夜は戻らないぜ」



ゆっくりと論する様な、しかし怒りの込められた口調で、己の使い魔に説明するルイズ。



「アンタ、何も理解してなさそうだから言っておくけどね、平民が、ましてや人権も無い使い魔のアンタが貴族と揉め事を起こしたら、
本当にタダじゃ済まないのよ。この前の決闘なんかと一緒だと思わないで」



そんなルイズの話を聞く間もなく、ダンテが真顔になって口を開いた。



「相手が貴族じゃなかったら?」
「・・・え?」



急な問いかけに対して動揺を隠せないルイズ。



「前にも話したろ?ロクでもない連中が、貴族に代わってあそこの屋敷でのさばっているとしたら?」
「そんな事急に・・・、意味分かんないわよ!」



ルイズは使い魔が投げ掛けた疑問が理解できず、それがそのまま動揺となってルイズの面に表れた。



「臭うんだよ。奴等の臭いで大体判るのさ」



頬を膨らませ、ルイズが一言漏らす。



「・・・・・犬」
「わんっ!わんっ!」
「も、もう!遊んでる場合じゃないわよ!結局どういうことなのよ!?」



「ま、行って確かめりゃハッキリするさ」




それからルイズに「ここで待ってろ」と一言告げて、ダンテは門番に近づき話し掛けた。
門番の顔を見るや確かに噂通りの顔つき・・・でも無かった。気さくな表情で和気あいあいとダンテと話している。



「・・・ハハハ。申し訳ないがジュール・ド・モット様は今晩大事な用がありますので、
今日のところはお引取り願いたいのですが。」
「そうかい。だが今日はパーティーがあると聞いてここに招待されたんだがね?」
「はて?そのようなご予定は聞いておりませんが・・・」
「おかしいな、チケットはここに持ってるぜ」



ダンテは両手をコートの裏から腰に当てて何やらゴソゴソしている。ルイズはその様子を遠くで見ていた。



「ちょっと拝見してもよろしいですか?」
「ああ、今出すから待ってな」



「ちょっ!ちょっと勝手に・・・!!!」



そう言いながらルイズが駆け寄ろうとした瞬間、門番の額にゼロ距離で銃口を向けるダンテ
ダァン!と一発の銃声が鳴り響いた。
思いもよらぬ使い魔の行動に目を見開き両手を口に当てるルイズ。
恐る恐る撃たれた門番に目をやるとその姿はそこに無く、その上から血の様なものが滴り落ちている。
そこへと視線を上に向けると、壁に貼り付いている人の様な"それ"が自分の目に映った。



ギャアアァァァ!!!と金切り声をあげながら"それ"はダンテに降りかかった。
ダンテはすかさず左手からもう一丁の銃を取り出し、2つの銃口を掲げ交互に乱射する。
銃弾を受けるものは、慣性を無視するかのように宙へ浮き続けた。



あまりの出来事にストンとその場にへたり込むルイズ。
混乱する頭を落ち着かせ、悲鳴と恐怖を必死に堪えながら周囲の状況を理解しようとした。
向かいに居た筈のもう一人の門番の姿が見えない。代わりに背後で何か気配を感じる。



気配のする方向に目をやると化け物がもう一匹、
名前を呼ぶのもおぞましいその醜い姿はルイズに襲い掛からんとばかりに右手を振り上げていた。
そいつと目を合わせてから身体が硬直して一切動けない。今まで感じた事のなかった恐怖がルイズを支配している。



化け物が右手を振り下ろそうとしたその瞬間、
ダンテの投げたデルフリンガーが衝撃を響かせ、ピアスのように化け物の胴体へ突き刺さった。



次の獲物にゆっくりと近づく狩人。
悲鳴を上げながらバタバタとその場で悶る姿を傍らで見ているルイズは今にも泣き叫びそうだった。
化け物の顔に靴底を押し付け、胴体に銃口を向けてガン!ガン!ガン!と無数の銃弾を打ち込み地面にスタンプさせる。
その時のダンテはいつにも増して楽しそうな顔をしていた。




惨劇も束の間。再び夜の静寂が周囲を包む。



「よう」



呆然とするルイズに声は届かない。



「やれやれ、漏らしちゃいないだろうな御主人様よ」
「・・・・・・・漏らさないわよバカ!!」



やっと落ち着いた所で改めて周囲を見回すルイズ。



「・・・何なのよコイツら」
「悪魔さ。魔法使いなんざやっといて、見たことも無いのかよ?」
「でもこんなのって・・・・こんなの今まで一度も・・・」
「こんなのが、この中に、ウジャウジャ居るのさ。シエスタと一緒にな」



左手に持つエボニーを屋敷に突きつけながらそう言うダンテ。その中を想像するだけでルイズは背筋を凍らせた。



始末した門番の悪魔が泡となって消える頃、遠くからこちらへ近づいてくる人影が見えた。



「キュルケか」



学院を出るルイズを追いかけて来たそうだ。上空でタバサの風竜が待機している。



「もっと早く来たかったんだけど、タバサがね、今日は部屋から絶対出たくないなんて言いだしちゃって、
それを説得するのに今まで時間が掛かっちゃったの。もう会いたかったわぁダーリンっ!!!



あらヴァリエールどうしたの?こんな所に座り込んで?漏れそうなの?」
「うううるさいわねどいつもこいつも!!!放っといてよ!!!!!」




マルトーに頼まれてからこれまでの事情をキュルケに説明した。



「・・・てな訳なんだ。悪いがウチの御主人を連れて帰ってもらえないか?」
「うーん、ダーリンの頼みだからいいんだけど、・・・タバサの奴絶対ここまで降りてこないわよ」
「アンタね・・・」



事の経由を察するにタバサに同情せざるをえないルイズ



「やれやれ・・・、オバケ嫌いなタバサが、安心して降りられる場所まで案内してくれ」
「え?ちょっと??・・・ひゃあっ!!」



動けないルイズをお姫様抱っこの状態で抱えるダンテ。



「優しいのねぇ。でもダーリンは早くあの屋敷へ行ってあげなきゃ。この子一人位なら私だけでも何とかなるわ」



そう言ってルイズに目をやりながら呪文を唱えると、ダンテの両手からルイズが宙に浮いた。



「おお落としたらただじゃ済まないわよ!」
「この後に及んでまだそんな口が聞けるとは・・・ちょっとは感謝してもらいたいわね」
「助かったぜ」
「あら、いいのよダーリンは。そのかわり、今ルイズにやったア・レ。私にもして欲しいなあ」
「ハッ いいぜ。・・・二人きりの時にな」
「・・ちょっと・・・急いでるんなら・・・さっさと行きなさいよ・・」



二人の世界に物理的に挟まれるルイズ。両方とも結構な胸囲なので尚更息苦しい。



「メイドさんをよろしくね」
「今夜中には絶対帰ってくるのよ!!」
「ああ、必ず二人で戻る」



ダンテは軽く手を振り、空に舞う2人を見送った。



「楽しいパーティーになりそうだな」



ダンテは夜空に浮かび上がった双月を、狩人の様な鋭い目つきで見ながら、そうつぶやいた。


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