~古の剣~
使い手としての力を示せ
使い手としての力を示せ
「剣を買ってあげるわ」
虚無の曜日。学院は休日とのことで、ルイズは使い魔を連れて市街へと買い物に行っていた。
先日、決闘でギーシュを軽々と打ちのめし、キュルケの誘いにも乗らなかった使い魔の実力と忠誠の見返りとして、
褒美の一つでも与えようと考えていたルイズであったが、当の使い魔は今一つ不満気であった。
先日、決闘でギーシュを軽々と打ちのめし、キュルケの誘いにも乗らなかった使い魔の実力と忠誠の見返りとして、
褒美の一つでも与えようと考えていたルイズであったが、当の使い魔は今一つ不満気であった。
「それよりもよ」
ダンテは一旦、自分の爪先から胸元まで目線を上下に動かし、それからもう一度、ルイズを見て一言告げた。
「服」
「いるの?」
「いるの?」
主人の返答に、使い魔は溜息をつく。
「最初にも言ったけど、俺は風呂上りの格好でコッチに連れてこられたんだぜ。いい加減寒いんだよ」
「ふーん。平気な顔してるからいっつもその格好なのかと思ってたわ。それより風呂で思い出したけど、
アンタ、学院のお風呂に勝手に入ってるんじゃないわよ」
「ふーん。平気な顔してるからいっつもその格好なのかと思ってたわ。それより風呂で思い出したけど、
アンタ、学院のお風呂に勝手に入ってるんじゃないわよ」
「使い魔は風呂に入るなってか?御主人様は汚いナリの使い魔がお好みで?」
「平民のサウナがあるでしょう?入りたいならそっちに入りなさいよ!」
「チッ サウナで俺が満足するかよ。・・・まあ、メイドと入れるんなら話は別だがね」
「ちょっ!?何考えてんのよ!あのメイドと一緒にお風呂なんて絶対許さないわよ!」
「平民のサウナがあるでしょう?入りたいならそっちに入りなさいよ!」
「チッ サウナで俺が満足するかよ。・・・まあ、メイドと入れるんなら話は別だがね」
「ちょっ!?何考えてんのよ!あのメイドと一緒にお風呂なんて絶対許さないわよ!」
話題がズレる度にルイズは声を上げ、その度に街を歩く人々からの注目を集めた。
特に、上半分何も着ていない格好でさらけ出しているガタイの良いダンテの半身は、何人もの女性の目に留まっていた。
特に、上半分何も着ていない格好でさらけ出しているガタイの良いダンテの半身は、何人もの女性の目に留まっていた。
「もう!折角私がアンタの忠誠をかってやろうってのに!」
「それなら玩具よりコートの一着でも買って欲しいね俺は」
「それなら玩具よりコートの一着でも買って欲しいね俺は」
ルイズは自分の予想が食い違っている事を段々と理解し、眉を歪めて使い魔に尋ねた。
「・・・剣、いらないの?」
「何でそんなに剣にこだわるんだ?」
「何でそんなに剣にこだわるんだ?」
顔をしかめる使い魔に、主人が答える。
「だって、昨日教室片付けてた時に、俺の剣がどうとかブツブツ言ってたじゃない」
ルイズの言動に合点がいったダンテ。しかし剣は欲しいが、特に優先するべきものでも無いため、
ここでルイズを適当にあしらって、先に述べた自分が第一に望む装備品をさっさと購入してもらうつもりだった。
ここでルイズを適当にあしらって、先に述べた自分が第一に望む装備品をさっさと購入してもらうつもりだった。
「俺が今欲しいのは一着の暖かいコートと、親父が持ってた剣だよ」
「父様の剣?」
「ああ。持ってるように兄貴に言われてたんだけどな。受け取ったその日にどっか落としちまった」
「呆れたわね・・・。そんな大事なものならちゃんと管理しておきなさいよ」
「父様の剣?」
「ああ。持ってるように兄貴に言われてたんだけどな。受け取ったその日にどっか落としちまった」
「呆れたわね・・・。そんな大事なものならちゃんと管理しておきなさいよ」
使い魔の内心も露知らず、何となく事情が呑み込めたとルイズは安堵し、次に家族についてダンテに色々と聞きたくなってみた。
「それにしても、アンタみたいなのでもちゃんと家族は居るのね。ねえ、母様は?」
「死んだよ」
「死んだよ」
その場の空気が一瞬で凍りつく。
「え・・・?」
「もう、皆居なくなっちまった」
「もう、皆居なくなっちまった」
自分が尋ねた何気無い一言で、ルイズは後悔の念で押し潰されそうになった。
「・・・ごめん」
「ハハッ 急にシケた顔になるなよ。気にすんなって」
「ハハッ 急にシケた顔になるなよ。気にすんなって」
顔を伏せてダンテに謝るルイズ。
いつもの余裕の表情で振舞って見せるダンテ。ルイズにはそれが痛々しく思えた。
ルイズは何とか明るい話題に切り替えようと、それから必死に話しかけた。
いつもの余裕の表情で振舞って見せるダンテ。ルイズにはそれが痛々しく思えた。
ルイズは何とか明るい話題に切り替えようと、それから必死に話しかけた。
「ね、ねえ、上着」
「あん?」
「い、一着くらいなら、好きなの選んでいい・・・」
「あん?」
「い、一着くらいなら、好きなの選んでいい・・・」
それから気分を一新するつもりで、2人は貴族専用の服屋に入り、ルイズは使い魔が着る黒いシャツとパンツの上下。
そしてダンテは血の色の様な赤いコートを選んだ。お気に入りの一着が見つかった様子で、御満悦の使い魔。
そしてダンテは血の色の様な赤いコートを選んだ。お気に入りの一着が見つかった様子で、御満悦の使い魔。
「中々イカすぜ」
「ねえ、ちょっとそれ、派手過ぎない?」
「ねえ、ちょっとそれ、派手過ぎない?」
使い魔のチョイスに怪訝な顔をするルイズ。
「これじゃないと落ち着かないんだよ」
「目立つのよ!見なさいよ周りを」
「目立つのよ!見なさいよ周りを」
ルイズの言ったとおりに、真っ赤なコートを羽織ったダンテの姿は、
市街に足を踏み入れたその時以上に、周囲からの注目を集めていた。
そして正面からキュルケが走ってきた。
市街に足を踏み入れたその時以上に、周囲からの注目を集めていた。
そして正面からキュルケが走ってきた。
「ダーリーンっ!」
その姿を見て、ルイズは「げっ!」っと小さく叫ぶ。キュルケは二人に駆け寄るや否や、ダンテに接近した。
「今日はまた一段と素敵ね。真紅に包まれたその姿に、身も心も焼き尽されそうですわ」
その横からルイズが顔を真っ赤にして怒鳴り込む。
「ツェルプストー!こんな所までついて来ないでよ!」
「あらやだ、被害妄想の激しい娘ねえ。偶然よ、アンタ達に会ったのは。」
「あらやだ、被害妄想の激しい娘ねえ。偶然よ、アンタ達に会ったのは。」
出会うや否や食って掛かるルイズに、キュルケは半ば呆れながら答える。
「この子が新しい本を買いたいって言うから、付き添いに来ただけよ」
キュルケの後ろからヨタヨタとついて来たタバサ。キュルケはタバサの頭をポンポンと撫でながらそう言った。
そのタバサの左手に持った、パンパンに腫れ上がった鞄から、新書の一部がはみ出ていた。
そのタバサの左手に持った、パンパンに腫れ上がった鞄から、新書の一部がはみ出ていた。
「でも、こんな人込みの中で出会えるなんて、やっぱり私とダーリンは惹かれ合う運命なのね」
「ちょっと!さっきからダーリンダーリンって、人の使い魔に馴れ馴れしく呼ばないでよ」
「ちょっと!さっきからダーリンダーリンって、人の使い魔に馴れ馴れしく呼ばないでよ」
キュルケがハッとした顔になって、ダンテに尋ねる。
「あら、そう言えば、まだ御名前をお聞きしてませんでしたわね」
ルイズが代わって使い魔の名前を答えた。
「トニーよ。トニー・レッドクレイブ」
「まあ、素敵な名前ですこと」
「まあ、素敵な名前ですこと」
ルイズは、ダンテがここに来た初日に彼から聞いた名前を、誇らしげな顔で声高らかに言い放った。
しかしその後すぐに、ルイズにとって聞き慣れた声が、
ルイズにとって聞き慣れない名前で、自分の横に居る使い魔を呼びながらこちらに近づいてきた。
ルイズにとって聞き慣れない名前で、自分の横に居る使い魔を呼びながらこちらに近づいてきた。
「ミスタ・ダンテ!」
自らの名を呼ばれた使い魔が、声の主に話しかける。
「ようシエスタ。お前も今日はお出かけか?」
「はい、お暇を頂いたので。ミスタ・ダンテと皆様もご一緒で、今日はお買い物でいらっしゃいますか?」
「はい、お暇を頂いたので。ミスタ・ダンテと皆様もご一緒で、今日はお買い物でいらっしゃいますか?」
いつものメイド服とは違う、私服姿のシエスタがルイズ達の目に飛び込んできた。怪訝な顔でルイズが使い魔に詰め寄る。
「メイドが、私が聞いたのと違う名前でアンタを呼んでるけど・・・どういう事?」
「ああ、そういやお前にはうっかり偽名を教えてたな。本名がダンテだ」
「ああ、そういやお前にはうっかり偽名を教えてたな。本名がダンテだ」
トニー・レッドクレイブは、母親と死に別れてから、その身を隠すために長年使っていた名前だそうだ。
それを聞いたルイズは、さっき話していたダンテの家族の事もあって、
怒るに怒れずダンテの顔を恨めしそうな顔で見ながら低く唸った。
それを聞いたルイズは、さっき話していたダンテの家族の事もあって、
怒るに怒れずダンテの顔を恨めしそうな顔で見ながら低く唸った。
「うぅ~・・・メイドには本名で、主人には偽名を教えるってどういうつもりよ」
「もう、面倒臭いからダーリンでいいわね」
「よくないわよ!」
「もう、面倒臭いからダーリンでいいわね」
「よくないわよ!」
キュルケがまとめた所で、話は本題に戻る。
「剣ねえ・・・。無駄遣いばっかしてるあなたに買える様な代物なの?大丈夫?」
「うるさいわね。金遣いの荒いツェルプストー家のアンタに心配される筋合いは無いわよ」
「うるさいわね。金遣いの荒いツェルプストー家のアンタに心配される筋合いは無いわよ」
二つの家名を賭けた口喧嘩が始まった。
「まあ、ヴァリエール家よりは持ってるものは持ってるし、足りない分は言いなさいな。他ならぬダーリンのためだしね」
「アンタから借りるなんて、例え家が潰れたって御免だわ!」
「アンタから借りるなんて、例え家が潰れたって御免だわ!」
そう言うや、ルイズは財布の中身を確認する事も無く、武器屋のある路地裏へと足を進める。
一行はそれを追いかける形で、ゾロゾロとついて行った。
一行はそれを追いかける形で、ゾロゾロとついて行った。
薄汚い路地に入りその奥へ進むと、そこには拙い店構えに不釣合いな赤と青の派手な双剣を看板に仕立てた武器屋があった。
「珍しい剣ね」キュルケにシエスタが相槌を打つ。
「面白い形ですよね。トリステインではあまり見かけないような・・・」
「面白い形ですよね。トリステインではあまり見かけないような・・・」
どこからともなく男の声が聞こえた。
「兄者よ。客人が参られたぞ」
「うむ、ルドラよ。客人なれば持て成さなければならない」
「ッ・・・・・」
「うむ、ルドラよ。客人なれば持て成さなければならない」
「ッ・・・・・」
突然の声に左手に持つ鞄から手を離しそうになるタバサ。声の主を探し辺りを見回す3人。
ルイズは気づかなかったのかズンズンと店へ入ってしまった。
ルイズは気づかなかったのかズンズンと店へ入ってしまった。
「あン?何やってんだお前ら?」
ダンテが看板の剣に向かって話しかけると答えが返ってくる。
「おお 我らが主よ」
「我らはこの店の店主に拾われたのだ」
「そしてその恩に酬いるため、ここでこうしておる」
「お主に再び使われる事を待ちわびながらな」
「我らはこの店の店主に拾われたのだ」
「そしてその恩に酬いるため、ここでこうしておる」
「お主に再び使われる事を待ちわびながらな」
この世界に俺がいなかったらどうするつもりだったんだこの阿呆どもは。
相変わらずお喋りの絶えないアグニ&ルドラの様子にため息をつくダンテ。
相変わらずお喋りの絶えないアグニ&ルドラの様子にため息をつくダンテ。
「あら この剣インテリジェンスソードだったの?」
「ミスタ・ダンテのお知り合いですか?」
「ミスタ・ダンテのお知り合いですか?」
主を求める双剣は、ダンテに請う。
「お主が現れるのを心待ちにしておったが、ようやく逢えたという事」
「さあ、今一度我らを手に取るがよい」
「さあ、今一度我らを手に取るがよい」
それを無視してスタスタと店に入るダンテ
それから少し間を置いてからキュルケとシエスタも後に続いた。
それから少し間を置いてからキュルケとシエスタも後に続いた。
「ルドラよ。主の反応が乏しかった気がするが?」
「久方ぶりの再会なのだ。照れておるのだろう」
「久方ぶりの再会なのだ。照れておるのだろう」
一方店内では
店に入るや否や開口一番に「大きくて太いの!」とルイズに怒鳴られた店主が希望の品を取り繕っていた。
店に入るや否や開口一番に「大きくて太いの!」とルイズに怒鳴られた店主が希望の品を取り繕っていた。
「へえ。これなんかがこの店じゃあ一番大きい部類に入りますが・・・」
「どうダンテ?」
「曰く憑きが有りそうなヤツとか、厄介払いしたいのがあれば引き取ってやってもいいぜ。」
「どうダンテ?」
「曰く憑きが有りそうなヤツとか、厄介払いしたいのがあれば引き取ってやってもいいぜ。」
ダンテは武器屋の店主が持ってきた、煌びやかな大剣には目もくれず、店内に飾られている品々を見回しながら店主にそう答えた。
ルイズ達は首を傾げた。
愛剣リベリオンを初め、世界に二つと無い伝説の武具や呪われた装備を玩具のように取っかえ引っかえ使用していた彼である。
ここにある武器は魅力が感じられないのも加えて、自分が扱うには脆すぎるものばかりだった。
それなら常人が持つには手に余るような、憑き物の様な付加価値がついた物なら少しはマシだろう。
経験に基づいた判断である。(アイツらはできれば持って帰りたくないし・・・)
ここにある武器は魅力が感じられないのも加えて、自分が扱うには脆すぎるものばかりだった。
それなら常人が持つには手に余るような、憑き物の様な付加価値がついた物なら少しはマシだろう。
経験に基づいた判断である。(アイツらはできれば持って帰りたくないし・・・)
怪訝な顔をしながら店主は「へえ。・・・それでしたら」と古びた長剣を差し出した。
カタナか?長剣と言っても、父親の残したリベリオンや闇魔刀に比べればやや小振りである。
鞘から抜き出した片刃の刀身は錆びてボロボロだが、使えない事はない。鍔元には飾りの様なものがカチャカチャ音を立てていた。
耐久性は申し分無さそうだが魔力は感じられない。まあこんなモンかと思っていた矢先、
カタナか?長剣と言っても、父親の残したリベリオンや闇魔刀に比べればやや小振りである。
鞘から抜き出した片刃の刀身は錆びてボロボロだが、使えない事はない。鍔元には飾りの様なものがカチャカチャ音を立てていた。
耐久性は申し分無さそうだが魔力は感じられない。まあこんなモンかと思っていた矢先、
「やい!おめえ凄え腕前してやがんな!握られた感じからビンビン伝わって来るぜ!!」
右の手元から声が発せられた。どうやら剣が喋ったようだ。
「おまけに"使い手"かよ!っかぁー、こりゃおでれーた!」
「おいおいデル公。今日は何時に無く興奮してるじゃねーか」
「へえ、インテリジェンスソードなの?それ」
「おいおいデル公。今日は何時に無く興奮してるじゃねーか」
「へえ、インテリジェンスソードなの?それ」
さっきから出てくる聞き慣れない単語だったが、
コイツらはそういう部類の剣で、この世界ではそう珍しい物でもないのだろうとダンテは納得した。
コイツらはそういう部類の剣で、この世界ではそう珍しい物でもないのだろうとダンテは納得した。
「ねえダーリン、ホントにそれでいいの?他に良いのがあれば私が・・・」
「アンタは黙ってなさい!」
「アンタは黙ってなさい!」
剣として扱うには十分だがコイツでは魔力が開放できない。まあできなくて困るモンでもないし、いいか別に。
「ああ。お前に決めてやるよ。ただし条件が一つある」
「おう!お前ェとなら最高の相棒になれるぜ!!何でも言ってくれ!」
「喋るな」
「・・・え? ま、またまた冗談キツいぜ相棒・・ハハ」
「おう!お前ェとなら最高の相棒になれるぜ!!何でも言ってくれ!」
「喋るな」
「・・・え? ま、またまた冗談キツいぜ相棒・・ハハ」
そうデルフリンガーが言った瞬間、ダンテは剣を振り上げ、店のカウンターに柄を思い切り ガンッ!と叩き付けた。
「No! Taking!」
「・・・・・・・はい」
「・・・・・・・はい」
もう一度叩くと何も言葉を発しなくなった。
「Good」
あの2本に比べればコイツ1本の方が躾け易い。経験に基づいた判断である。
一方、店の外ではお喋りを続ける看板に、眼鏡をかけた小柄な少女が話の輪に混ざっていた。
「我はアグニ」
「我はルドラ」
「我はルドラ」
「かつて封印されし塔」
「テメンニグルの門番を勤めていた」
「テメンニグルの門番を勤めていた」
「テメンニグル?」
「現世と魔界の狭間に存在し」
「幾多の悪魔達を封じ込めていた塔だ。」
「幾多の悪魔達を封じ込めていた塔だ。」
「この世のものでは無い?」
「如何にも」
「主は其処で我らを打ち破り」
「我らの使い手と認められたのだ。」
「主は其処で我らを打ち破り」
「我らの使い手と認められたのだ。」
「彼は何者?」
「魔界の長、魔帝ムンドゥスを打ち破り」
「我らと己の力を封じ込めた魔界の剣士」
「スパーダの末裔なり」
「我らと己の力を封じ込めた魔界の剣士」
「スパーダの末裔なり」
「人間ではない?」
その問いにアグニ&ルドラが答える前にルイズ達が店から出てきた。
「もう、アンタまだここに居たの?そろそろ帰るわよ」
キュルケにコクリと小さく頷くタバサ。聞こえないように「また来る」と小さく呟いた。
ダンテ達はアグニ&ルドラに「じゃあな」と手を振ってその場を後にした。
ダンテ達はアグニ&ルドラに「じゃあな」と手を振ってその場を後にした。
「ルドラよ。主が行ってしまったぞ」
「主を見よ兄者。剣を背負っているではないか」
「うむ、ここが武器屋なれば武器を買うのは道理だな」
「主を見よ兄者。剣を背負っているではないか」
「うむ、ここが武器屋なれば武器を買うのは道理だな」
二本の双剣は、自分達が置いて行かれた状況を、あまり理解している様子ではなかった。
それから時刻は二つの月が浮かび上がった頃、キュルケとタバサは飛竜に乗って、残りの3人は馬車を借りて、
其々学院へと帰路に着いた。
其々学院へと帰路に着いた。
道中、キュルケの裾をチョンチョンとタバサが引っ張る。
「なあに?」
「あの男は危険」
「・・・どういう事?」
「わからない。でも、人間じゃないかもしれないというのは確か。」
「ふーん・・・ ま、そうだったとしても、私はダーリンを信じるわ。」
「え」
「だって!あれだけのイイ男が悪人だなんて到底思えないじゃないっ!」
「・・・重症」
「あの男は危険」
「・・・どういう事?」
「わからない。でも、人間じゃないかもしれないというのは確か。」
「ふーん・・・ ま、そうだったとしても、私はダーリンを信じるわ。」
「え」
「だって!あれだけのイイ男が悪人だなんて到底思えないじゃないっ!」
「・・・重症」
一方、地上では馬車に揺られるルイズとシエスタが、お互いの肩を寄せ合って眠り、向かいに座るダンテはそれを静かに見守っていた。
「全く・・・、言った傍から無駄遣いしてるじゃねえか」
使い魔の剣が安価で手に入ったという事で、早速馬車を借りて帰ろうとする主人に、ダンテは頬杖をついてボヤいた。
スヤスヤと寝息を立てる2人は、それぞれ良いタイミングで寝言を漏らす。
スヤスヤと寝息を立てる2人は、それぞれ良いタイミングで寝言を漏らす。
「・・犬・・・メイドばっかり・・ズルいわよ・・・」
「・・・ミスタ・・・あと5分で・・焼き上がりますから・・・」
「・・・ミスタ・・・あと5分で・・焼き上がりますから・・・」
2人の寝言を聞いて苦笑するダンテ。
「何か放っておけないんだよな、コイツ等は」
便利屋として駆け出だった頃に、コンビを組んでいた相棒と、その3人娘の5人で囲んだ食卓の風景を思い出していた。
それからダンテは足を組み直して、傍らに立て掛けた剣に視線をやる。
それからダンテは足を組み直して、傍らに立て掛けた剣に視線をやる。
「今度の相棒が剣とはね」
デルフリンガーは喋らない。ダンテの傍らでカタカタと震えるだけだった。
使い魔は、どこか懐かしい思いに駆られながら馬車に揺られた。
使い魔は、どこか懐かしい思いに駆られながら馬車に揺られた。