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悪魔も泣き出す使い魔-mission04


~繋がる手~
主の信頼を得よ



ダンテは食堂裏の厨房までシエスタを運び込み、テーブルを適当に見繕って、そこへ寝かせた。
そこで目を覚ましたシエスタは急に飛び上がり、一番に目に映ったコック長のマルトーに助けを求めた。



「マルトーさん、助けてください!使い魔さんが貴族の方に・・・!」



そこまで言った所で、マルトーのすぐ横に立っているダンテの姿が目に映る
シエスタは、「ひいっ」っと悲鳴をあげるや、またすぐに気を失ってしまうのであった。
状況がよく呑み込めないマルトーはダンテに問い詰める。



「あんた、シエスタに何したんだ?」
「何もしてねえよ。この娘の代わりに、貴族の坊ちゃんと遊んでやっただけだ」



面倒だったので、決闘の事についてあまり詳しくは説明しなかったダンテだったが、
その一言でおおよその事情は理解できたマルトーは、豪快に笑った。



「貴族と喧嘩して勝ったってのか?やるじゃねえか!」
「気に入らないから、ちょっと小突いてやったんだよ。喧嘩って程でもねえ」



謙遜するダンテにマルトーは更に気分を良くした。



「いいねいいね!あんた気に入ったよ!」
「それよりオッサン、腹減ってんだが」
「おう!シエスタの恩人とあらばこのマルトー、何でも作ってやるぜ!」



夕刻を過ぎた時間帯で、厨房に居るのはコック長のマルトーだけだったが、
それでも一人では普通食べきれない量の賄い料理を、マルトーはダンテの為に作った。
しかし、ダンテはそれを残す素振りも見せずに平らげてしまう。



「いい食いっぷりだね!俺が作った甲斐があったってモンだよ!」
「一昨日からロクなもん食ってなかったからな。恩にきるぜ」
「何言ってやがる。俺もここから食堂の様子は見てたんだけどな。
あんたはシエスタを助けてくれたどころか、威張り散らしている貴族共の鼻っ柱を折ってやったんだ。」



景気を良くしたマルトーは、ダンテにワインを1本空けてやる。
ダンテはワインをそのまま瓶で受け取り、ラッパ飲みをした。
「あんたは俺達平民の勇者だ!・・・しかし見ない顔だね。シエスタは使い魔とか言ってたけど、一体何処の人間なんだ?」
左の拳で口元についたワインを拭う。



「ここのガキ共に急に呼び出されてね。気がついたらベビーシッター紛いの仕事を押し付けられてんのさ」



ダンテを見るマルトーの目から涙がこぼれる。



「あんたみたいなヤツが、貴族共に足で使われるなんて・・・ううっ、世も末だねえ・・」



そうこうしてる内にシエスタが目を覚ました。



「あの・・・マルトーさん。私・・・」



シエスタが話しかけたマルトーの横に、ワインの瓶を片手にくつろいでいるダンテの姿が目に映った。
今度は気を失う事無く、ダンテのそばに駆け寄る。



「ああっ ミスタ・ダンテ!お怪我はありませんか!?私のせいで取り返しのつかないことをっ!」



ダンテを前に動揺するシエスタをマルトーはなだめる。



「おいおいシエスタ。我らの勇者はこの通りピンピンしてるぞ。それにお前、助けてもらってちゃんとお礼は言ったのか?」
「あっ ええ!はい!失礼しました・・・。あの・・・ええと、この度は何とお礼を言っていいのやら・・・」



シエスタが礼を述べようとするその瞬間に、厨房の扉からルイズが怒鳴り込んできた。



「アンタ、こんな所で何やってるの!メイドを置いてきたんなら、さっさと部屋に帰りなさいよ!」



大声で怒鳴るルイズに、ダンテは相変わらず、くつろいだ姿勢で答える。



「別にいいだろ。午後のティータイムぐらい、ゆっくりさせろよ。全く人使いの荒い御主人様だぜ」
「ティータイムって時間じゃないわよ、何時だと思ってんのよ!何飲んでんのよその瓶は?」
「大人のティータイムさ。ガキはさっさと宿題終わらせて寝ろ」
「子供扱いすんなって・・・・んも~~~!!!」



その身に沸き起こる怒りをどうにか押し殺して、気を落ち着かせたルイズは、ダンテに怒涛の勢いで問い詰めた。



「・・・アンタ、本当に人間じゃないの?人間じゃなかったら何だって言うの?
それにアンタの持ってるその銃は何?あんな弾が一杯出るような銃なんて見たこと無いわよ」
「ただの使い魔さ。ちょっとばかり体が頑丈なだけのな。それとコイツはただの銃だ。それ以上も以下もねえよ」



ダンテは左手で腰に備えたエボニーを取り出し、ヒラヒラとルイズに振って見せながら、ワインを呷った。
するとルイズの後ろから一人の女生徒が、入り口から厨房へと乗り出し、ダンテに詰め寄ってきた。



「間近で見ると美しい造形ねえ・・・。ゲルマニアの細工師だってこんな精巧な装飾を施せるものは、そういないわ。」



腰まで伸ばした燃えるような赤い髪と、はだけた制服から見える褐色の胸元がダンテの興味をそそった。



「形見の品なんだ。そう言って褒めてもらえると嬉しいね」
「あら、そうでしたの。銃、とお聞きしましたけど、素敵ですこと。見ましたわ、ギーシュのゴーレムを打ち砕いたあの威力」



使い魔に寄り添う女子生徒に向かって、ルイズが怒鳴った。



「ツェルプストー!?何しに来たのよ!」
「ヴァリエールが召喚した使い魔を、間近で見たくなっちゃって。その子も一緒に見たいって言うしね」



ルイズは背後から微かな気配を感じ、振り返るとそこには、クラスメイトのタバサが厨房からドア一枚隔てた外の廊下に立っていた。
心なしか、ダンテを警戒している様にも見えた。



「もう!アンタ達には私の使い魔なんて関係ないじゃない!出て行ってよ!」
「じゃ、食えるだけ食ったし、そろそろ帰るわ。ありがとうなオッサン」
「お前は残ってろ!」



ルイズの気迫と、次々に押し寄せてくる貴族にオロオロするマルトーとシエスタ。



「おい、シエスタが怖がってるじゃねえか。貴族の御嬢様なら、もうちょっと優しい物言いができねえのか御主人様よ」
「ミス・ヴァリエールが野蛮で凶暴なのは今に始まったことではありませんわ。それより・・・」



女が使い魔に擦り寄る。使い魔はそれを抱きとめる。



「申し遅れましたわ。私、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・アンハルツ・フォン・ツェルプストー。
"微熱"のキュルケとお呼び下さいませ。今宵は私の部屋で一晩・・・如何かしら?」



うわフルネームだよ。言い切ったよ。本気だこの女。
ルイズは言い知れぬ危機感をキュルケに抱いた。



シエスタは顔を真っ赤にしながら、ダンテとそれに抱かれるキュルケを見ている。マルトーは隙を見て厨房から姿を消してしまった。
タバサも興が反れたのか、自分の部屋へサッサと帰っていった。
ダンテの胸に抱きとめられるキュルケは、その胸元を指で摩りながらダンテに問いかける。



「傷一つ無い、惚れ惚れする身体ですわ。決闘の時に剣で貫かれた様に見えたけど、・・・フフ、一体どんな魔法を使ったのかしら?」



甘い吐息が漏れるキュルケの唇に、顔を近づけて答えるダンテ。



「タネ明かしは、部屋に帰ってゆっくりとな」



体型に加えて精神年齢も、ルイズと同学年とは思えない程の女らしいキュルケに、満更でもなさそうな使い魔である。



「いいね。こういう展開を待ってたんだよ」
「駄目よ!絶対駄目!」



二人の世界に割って入ろうとするルイズ。
厨房の隅でシエスタが「ガンバレ・ミス・ヴァリエール」と小声で応援していた。



「コイツは私の使い魔なの!ツェルプストーなんかに絶対渡さないんだから!」
「あら、つれないわね。一晩借りるだけよ」
「駄目ったら駄目なんだから!」



ルイズの気迫に気圧されるキュルケ。
声と全身を震わせながら、ルイズは言葉を続ける。



「コイツは・・・この使い魔は、私の成功の証なの!ゼロと呼ばれるこの私が、魔法に成功した唯一の証なの!」



それを聞いたダンテは、昼の出来事を思い出す。
教室を片付ける最中に何気なく言った自分の言葉。
失敗ではない。ゼロではない。その言葉が、ルイズの心に根強く残っていたのだった。
そんなルイズが、今度は目に涙を浮かべながら、震えた声で喋りだした。



「だから、ヒックっ、私が呼んだ使い魔が平民だろうが、人間じゃなかろうが、そんなこと・・・ヒック・・うえ~~~ん」



使い魔や平民や、あろう事か憎きツェルプストーの目の前で、心の内をさらけ出してしまったルイズは、
感極まったのか、とうとう泣き出してしまった。



あー・・・この子結構な泣き虫なのよね。
やってしまった感が否めないキュルケの思惑とは他所に、今まで自分を抱いていた腕が離れていくのを感じた。



「悪いな、御主人様がネンネの時間だ。続きはまた今度にしようぜ」
「名残惜しいですが、いつでもお待ちしてますわ」



キュルケも自重の念も有ってか、素直にダンテから引き下がった。
ダンテはキュルケを手元から引き離して、ルイズに歩み寄った。



「ホラ、帰るぞ」
「グスッ、・・・ヒック、どこにも行かない?」
「行かねえよ。グズグズしてると置いて帰っちまうぞ」
「おいてっちゃやだ」



今日一日溜め込んでいたストレスが、ここにきて暴発してしまったルイズは、
今まで見せていた気性の激しい外面とはうって変わって、子供の様な泣き顔で使い魔に懇願した。



「やれやれ・・・、世話の焼ける主人だ」



泣きじゃくる主人に、文句を言いながら手を差し伸べるダンテ。
涙で目元がおぼつかないルイズの手を引っ張り、ダンテとルイズは厨房を出て行った。




「全く、ヴァリエールったら。使い魔の主人どころか、あれじゃまるで手間のかかる妹みたいじゃないの。ねえ?」



取り残されたキュルケは、そう言いながら苦笑いを浮かべて、同じく厨房の隅で丸くなっているメイドに同意を求めた。



「ええ!?その・・・私は、カワイイと思いますよ?」



急に話を振られて困惑するシエスタ。彼女の返事を聞いてか聞かずか、キュルケは最初から用意していたかの様に、言葉を続けた。



「そうよね。もうちょっと素直になってくれたら、だけどね」




夕焼けに照らされる学院の廊下を、使い魔とその主人が手を繋いで歩いていった。


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