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悪魔も泣き出す使い魔-mission12 前編


~フリッグのライブ~
舞踏会に参加せよ


「・・・ですからオールド・オスマン、シュヴァリエの件ですが、まことに申し訳ないが・・・」
「うーむ、お主の事じゃから、そう言い出すんではないかと思っていたが・・・、勿体ないのう」

学院長室へダンテが入ると、なにやら揉めているコルベールとオスマンの姿があった。
ダンテが入室すると同時に二人の顔が入り口へ向いた。

「帰ってきたぜジイサン」
「おお、使い魔殿よ、よくぞ戻ってまいられた。それで、ワシの秘書はどうじゃったかね?」
「ピンピンしてるぜ?魔法は使えなさそうだけどな」
「随分な量の魔力を、アレ等に使われてしまったからな。・・・ハハッ、それは私も同じ様だが」

コルベール達は、フーケの正体がロングビルだったという事を、オスマンに知らせていない。
宮廷に連れて行ったのも、ネヴァンの姿を模したドッペルゲンガーであった。

「そうか・・・まあ話を聞くに、それも無理なかろう」
「そうそう。おたくらが言ってた破壊の杖ってヤツ。あれもその辺で拾ってきたってのか?」
「うむ、その通りじゃ。・・・あれはいつだったかのう」

オスマンが机から立ち上がり、沈む夕日を見つめながら話しはじめた。

「学院の外をブラブラしておったある日、落雷と共に、おぬしらが見たという魔女が、ワシの目の前に現れたのじゃ。
彼女は酷く疲れておった様子でのう。どこか暗くて休めるところは無いか?という事で、ワシは学院の宝物庫にかくまった。
そしてその夜、彼女にイイコト・・・オホン、介抱してやろうと思い、宝物庫へ行ったのだが、彼女はそこに居なかった。
代わりに杖の様なものが、宝物庫の壁に立て掛けられておってのう。それからその杖の様なものを"破壊の杖"とでっちあげて、
今まで保管しておったのじゃが・・・まさか本物だったとはのう」

その話を聞き終えた二人は、それぞれの感想をオスマンに述べた。

「ハッ、元気なジイサンだ。気に入ったぜ」
「このジジイ・・・」

コルベールの一言に、オスマンは大きく目を見開き、毛を逆立てながらコルベールに食って掛かった。

「カァーッ!使い魔殿がワシをかっておるというのに、何じゃお主は!?不満か?不満ならシュヴァリエ授与しちゃうよ?いいの?」
「すみません、今のは失言でした」

慌てて謝罪するコルベール。しかしオスマンの怒りは収まらなかった

「謝っても許さないよ?君が口から火を吹いたり、剣を振り回したりの暴れん坊だって、学院のみんなに言い触らしちゃうんだから!」
「子供みたいに泣き喚かないで下され。ていうか、私は火を吹いたり暴れたりなんかしませんから。できませんから」

自分を余所に口論するオスマン達に気づかせる為に、ダンテは足で床を大きくノックした。

「取り込み中悪いが、無視されるのは嫌いなんだよ。そろそろご褒美が欲しいところなんだがね」
「ほ、ほれっ、オールド・オスマン。使い魔殿が・・・」
「うむ・・・ゴホン。さて、伝説の件じゃったな」
「その、伝説のナントカってのは、コイツの事か?」

ダンテは自分の左手のグローブを外し、手の甲をオスマンに向けて見せた。

「オールド・オスマン・・・これは」
「うむ・・・、見紛う事なきガンダールヴのルーンじゃ。・・・と言っても、まあ本物を見るのは、ワシもこれが初めてじゃがのう」
「コイツが光ってる時はな、いつにも増して絶好調なんだ。ガンダールヴってのは一体何なんだ?」

自分の手の甲に刻まれたルーンを、食い入る様にみるオスマンに、ダンテは尋ねた。

「ほっほっ、伝説じゃよ。あらゆる武器を使いこなしたという、伝説の使い魔」
「ハン、そんなご大層な奴が、あのおチビちゃんの使い魔とはね・・・」

その疑問に関しては、コルベールが答えた。

「うむ、そもそもガンダールヴというのは、失われた虚無の属性を操るメイジの、唯一人の使い魔なのだが・・・」
「じゃあアイツが、その虚無ってヤツの魔法使いって訳か?」
「わからぬ・・・。彼女の成績を見れば・・・その、何というか・・・」
「ハン、使い方を知らないだけなんじゃないか?」

ダンテのその一言に、コルベールとオスマンの二人は、ハッとした顔になる。

「俺が今まで見てきた御主人様の感想を言うとだな。ありゃ、ママからドアの開け方も教えてもらってないようなガキんチョだ」

オスマンとコルベールは、ダンテが何を言いたいのかは、おおよそ把握できていた。しかし、二人はその話の続きを黙って聞いた。
ダンテはというと、自分でも気付かない内に、ルイズの事を自分なりに必死で弁明していた。

「聞いたところアンタ等も、その虚無ってヤツの知識は、先生のその髪の毛程も無さそうだしな。虚無の授業も教科書も無いんだろう?
それに、アイツは魔法が使えないわけじゃない、俺をここに呼んで見せたんだ。それで落ちこぼれだの何だのって、言ってやるなよ」
「いや、それはだな・・・」

コルベールは言葉を詰らせた。ルイズの系統が本当に虚無だとすれば、それは至極、正論であったからだった。
返す言葉も見つからず、顔を俯かせる二人を余所に、ダンテは学院長室を出ようとした。

「さて、ご褒美のありがたい話も聞けたしな。そろそろ帰るぜ」

やっとの事でオスマンが呼び止め、入り口の前でダンテが振り向いた。

「使い魔殿、いや、ミスタ・ダンテ」
「なんだい?」
「その・・・、ミス・ヴァリエールが虚無の担い手かどうかは、こちらでも調べてみよう。それから、彼女の事を改めて・・・」
「ああ、心配すんな。俺がアイツの使い魔をやってる間は、面倒見ておいてやるよ」

それからダンテが学院長室を出て行こうと、ぶっきらぼうにドアを開けると同時に、
「フギャッ」っという、小動物の様な鳴き声が聞こえた。
ドアを開けると、そこには鼻を抑えてしゃがみ込む、涙目のルイズの姿があった。

「ド・・・ドアの開け方も知らないのはドッチよ・・!」
「盗み聞きとは、品が無いぜ御主人様?」
「あ、あ、あんまり遅いから、迎えに来てやったんじゃないのよ!」

ダンテはルイズの様子が面白かったので、少しからかってみた。

「御主人様がわざわざ御迎えに来て下さるとは、そりゃ光栄だね。感激で涙が出そうだ。ほら、帰るなら、おててつないでやろうか?」
「だ、誰が繋ぐかっての!バカじゃないの?」

慌てふためくルイズは、怒りと羞恥心で顔を真っ赤にさせながら、堪らずその場から逃げ出してしまった。
それから、廊下の曲がり角に差し掛かる頃、ルイズが振り返って、ダンテに向かって叫んだ。

「今夜は、いつもの食堂で舞踏会よ!早く部屋に帰って待ってなさい!いいわねっ!?」

ルイズはそう言い残すと、ダンテを置いて走り去っていった。

「忙しいガキだな・・・」

ルイズの姿が見えなくなるまで、呆れた顔をしながら見ていたダンテ。その背後から気配がした。

「遅いから迎えにきちゃった、ダーリン」
「どいつもこいつもご苦労なこった。もう戻ってもいいぜ、破壊の杖のフーケさんよ」

フーケと呼ばれたネヴァンの魔女は、構わずダンテの背中に寄り添う。

「その事なんだけどね。アイツ、私から離れて、牢屋からそのままどっか行っちゃったわよ?」
「帰ってこないってのか?・・・ハッ、嫌われたもんだな」

ネヴァンはダンテの背中にくっ付いて、指で撫でながら囁いた。

「あら、私は逃げないわよ?いつまでも貴方の腕に抱かれるのが、・・・私の本望だわ」
「ハハッ!、いいね。今夜はパーティーだそうだぜ。空いてるかい?」
「フフフ・・・。勿論」

ダンテはネヴァンを連れて、再び校長室の扉を開けた。


そして夜。アルヴィーズの食堂では、フリッグの舞踏会が開かれていた。

「はい、ジャン。あーんして」
「ミス・・・いやあ、はは・・・」

今夜の主役達でもあるキュルケは、コルベールに人目もはばからずベッタリくっ付いて、料理よ酒よと手厚く介抱している。
その隣の席ではタバサが、それに対抗する様に、黙々と目の前の料理と格闘していた。
その様子を珍しがって観賞するギャラリーも、少なくはなかった。

ルイズはというと、清楚で美しいドレスに身を包みながらも、舞踏会では姿を見せずに、未だに寮の自室で使い魔の帰りを待っていた。

「待ってろって言ったのに、・・・居ないってどういう事よ!」

ルイズが着飾ってから自室に戻ると、そこに使い魔の姿は無かった。
床にはデルフリンガーが無造作に転がっていたので、一度は帰って来ていた様子だったが、それから使い魔が戻ってくる気配は無かった。
人気の無い寮塔に、ルイズの叫びが虚しく響き渡る。

ルイズはダンテのエスコートで、舞踏会に入場したかったのだった。
自分の使い魔がフーケを捕まえて見せたのだと、誇示したかったのは勿論。
その流れで、感謝の意を込めて、二人で踊りたいという気持ちがあった。

自分勝手で、いつも人を小ばかにしているような性格。
危険な事には首を突っ込みたがり、得体の知れない化け物共と戦ってきたという、
別の世界からやって来た、殺しても死なない様な、正体不明の男。

ただ、ルイズにとってそれはもう、あまり気にするような事ではなかった。
自分が虚無の系統なのかも知れないという事も、今のルイズにとってはどうでもよかった。

使い魔となったその男が、親身になって自分を認めてくれるという事。家族だって、自分を認めてくれる者は多くない。
失敗ばかりする自分を励ましてくれ、そんな自分に頭を悩ませる教師達の前で、悠然と庇ってくれる。
この学院に入学して以来、初めて、他人が差し伸べてくれた優しさ。それが何よりも嬉しかった。
「失敗ではない」「魔法が使えないわけじゃない」そんなダンテの言葉が、ルイズの頭に何度も響いた。
すこし年の離れた男兄弟が居たら、きっとこんな感じなのだろうか。そんな風にさえ思えた。

「ふーん。俺の知らないところじゃあ、相棒は随分と優しいんだねえ。思わず泣けちゃうよ」

気がついたら、床に転がっていたデルフリンガーを引き抜き、寂しさを紛らわすために、心の内を喋ってしまっていた。
ハッと我に返ったルイズは、デルフリンガーを握り締め、その鍔元まで顔を近づけると、ドスの効いた声で囁いた。

「喋ったら、溶かすか、へし折るわよ」
「(畜生・・・何で俺ばっかり・・・畜生・・・)」

刀身に涙腺があれば、デルフリンガーは泣いているところだった。
それから暫くして、ルイズの部屋の外から、ドアをノックする音が響く。
ルイズは顔を輝かせ、デルフリンガーを床に投げ捨てて、使い魔の名を呼びながらドアを開けた。

「ダンテ!」
「きゃあっ」

扉を開けるとそこには、驚いた顔のシエスタが立っていた。
ルイズはヘナヘナと肩の力を抜き、溜息をついた。
(あいつがノックして入る事なんて無いもんな・・・)

「あの・・・ミスタ・ダンテから伝言ですよ。先に行ってるから早く来い・・・って」

シエスタが言ったその言葉に反応して、ルイズのこめかみが動き、気が付けばシエスタは胸ぐらを掴まれていた。

「ぁあ?今、何つった?」
「ひいっ。わ、わたしに怒らないでくださいっ。とっとにかく、準備はできてるから早く来てくれって・・・」

ルイズの心の内に眠る悪魔が、今まさに目覚めようとしていた。

「あのバカ犬・・・。いいわ。準備ができてるのなら、さっさと躾けに行ってやろうじゃないの!」

それからルイズは、抜き身のデルフリンガーを左手に、乗馬用の鞭を右手に持ち、
怯えるシエスタを押し退けて、颯爽と舞踏会へ向かった。


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