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虚無を担う女、文珠を使う男-06


第6珠 ~使い魔、その能力を現す・前編~

(ほんっとにあのバカ犬は、なんでこうもトラブルばっかり起こすのよ?)

ルイズは、医務室へ向けて走っていた。
ロングビルが、横島とギーシュの決闘騒ぎの件と、横島が気付き次第、その件で学院長室へ行くように、という話を伝えてきたのだ。
医務室へ辿り付き、中の様子を伺う。すでに治療は済んでいたようで、そこには静かにベッドで眠っている横島がいるだけだった。

「こんのバカ犬、火傷はとっくに治してもらったんでしょ!? 起きなさい!!」
「えっ な、何だ何だっ? って、ルイズちゃんじゃないか。
そんな大きな声出さなくたって起きるって」

ルイズの怒声で気づいた横島は、ゆっくり身体を起こした。
貴族とひと悶着起こしたというのに、あんまりにものんびりしているその態度にこめかみをぴくつかせるルイズ。

「あ、あんたはねぇ。私を呼ぶときは『ご主人様』って…
はぁ。それどころじゃ無かったんだわ。
ギーシュと決闘騒ぎを起こしたって聞いたわよ。その件で学院長から呼び出しをもらったし。
これから一緒に行く事になるけど… その前に何があったか私に正直に話しなさい」

横島の、貴族に対する平民の口調とは思えない言動も、今のルイズにとっては気にする余裕は無かった。学院長に呼び出される事など、滅多にある事ではないし… 今回はどう考えたって叱られるに決まってる。
メイジの基礎中の基礎、使い魔の制御すら出来ないと言われたりすれば、落ちこぼれのレッテルとともに、留年か停学になってしまうかもしれない。

「よ、呼び出し!? 言っとくけど、そんな事されるほどの事はやってねーぞ! 決闘だって言い出したのはあっちだし、怪我だってさせてねーし」
「どっちが言い出したとか、その結果だとかはどうでもいいの。
平民のあんたが貴族と諍いを起こしたって事が問題なんだから。
それにね、学院内での決闘は禁じられてるの。
おまけに、あんたは私の使い魔なのに、全然言う事聞かないし…」
「ここで決闘が禁止なんて、言われなきゃ分からんわ。というか、あっちはその事知ってるはずだろ!? だったらなおさらあっちが悪いじゃねーか。
それに、聞いてると昨日からずっと平民・貴族とか言ってるけどさ、貴族ってそんな偉いんか?
俺が前居た所にも貴族って名乗ってる奴がいたんだけど…
警察官のくせに俺の事切り殺そうとするわ、会う度に違う女を連れてたって話はあるわ、あげくの果てに俺の女取ろうとするわで、気に食わない奴だったぞ?」

「自分は何も悪くない」と言うばかりか、あろうことか貴族なんて別に偉くない、と言い始めた横島。
その言葉を聞いて、ルイズは大きくため息をついた。

「あんた、本気でそんな事言ってるの?
それって半分はあんたが悪くて、もう半分はただの八つ当たりじゃない?
あんたが前にどこに住んでたかは知らないけど、トリステインじゃ、いつ打ち首にされたっておかしくはない事やってるわよ、あんたは。
会う度に違う女性をって言うのはちょっと私もどうかと思うけど、その人がそれだけ魅力的だって証拠だし…
最後なんか、取られるあんたが悪いだけじゃない。むしろ、あんたにそんな人がいたって事の方が不思議ね」
「そ、そこまで言わんかっていいやないか!!
そりゃあ確かに何度声かけても上手く行かないんだけどな、俺にだってご飯作ってくれたり部屋の掃除してくれたりする子がいるんだぞ」
「ふーん。そうなんだ。それは残念だったわね。当分その子とは会えないわよ。
将来私が無事卒業して、立派な貴族になれた時に…
もしあんたも立派な使い魔になってたら、その子も使用人か何かで雇ってあげても良いけどね」
「さすがにそれは無理じゃねーかな… こことあっちと、どうやって行き来したらいいのかさっぱり分からねーし。まぁそもそも、そんなに長くこっちにいる気もねーけど」
「何、まだ帰る気でいたの? しかも帰り道すら分からないのに?
言っておくけど、帰り道を探す暇なんかあげないわよ?
それに、どこの馬の骨とも分からない平民なんか、私のところから出て行ったら、良くて物貰い、悪ければ野垂れ死にね。
悪い事は言わないわ、いい加減諦めて私の使い魔として一生仕えなさい」

その話を聞いて、う~ん… と唸っている横島。
指を折ったりルーンを眺めたりしながら、5分も過ぎた頃。

「はぁ… 一人で攻略すんのは、やっぱ無茶だよなぁ。
普通に腹も減るし、そもそも何がどうなってるのかさっぱり分からんし…
しばらくの間は、使い魔でも何でもやって食っていくしかねーか」

その結論に、一瞬頬を緩めるも、すぐに気を締めなおすルイズ。

「ようやく分かったみたいね。
私も鬼じゃないわ。あんたがちゃんと立派な使い魔に育ったら、ちょっとくらいはあんたの住んでた場所を探してあげたって良いんだから、しっかり頑張りなさい」
「まぁ使い魔頑張るのは、この際もうしょうがねーけどさ。感覚の共有だけは基本無しにしてくんねーか?
山奥だろうが海の底だろうが行けと言われれば行くし、何か困った事があれば出来る限りで手伝うからさ」

(あ… そういえば、まだ感覚の共有が出来ないって事、言って無かったんだわ…
でも、ある意味ちょうど良かったかしら)
「うーん… 分かったわ。本当は、使い魔が主人に交換条件を持ち出すなんてありえない事なんだけど、特別に感覚の共有はしない方向にしておいてあげるわ。
感謝しなさい。
でも、あんたがさっき言った事はごく当たり前の事なの。だから、感覚の共有をしないでおいてあげる代わりに、もっと礼儀良くして頂戴。
あんたが無礼な事をすると、困るのは私なんだから」

そうして、改めて横島に昨日の説明の続きをさせる事にする。
「ギーシュとの決闘で多少疲れたから、実演は無し」などとふざけた事を言ったので、少しお仕置きをしてあげようと思ったルイズだったが…
その理由としてあげられた横島第三の霊能、文珠の話を聞いたら、色んな事がどうでも良くなった。

①見た目は、緑色っぽい小さな珠らしい。
②漢字(ルーンの事かしら?)1文字を入れる事が出来、その文字に応じた効果が霊力に見合った分だけ発揮される。
③2個以上同時に使うと、より強力になったり複雑な事が出来るようになったりする。
④文字が込められた状態の文珠は、基本的に誰でも使う事が出来る。
⑤ある程度の霊能があれば、文字を込める事も出来るらしい。
⑥文字の書き換えは、横島以外が出来ると聞いた事はない。
⑦横島の霊力3日分ほどが必要らしい。当然他に霊力を使う事があれば、もっと時間がかかってしまう。
⑧今は1個もなくて、次の文珠は明日にならないと出来ない。


(落ち着くのよ、落ち着くのよルイズ。
とても信じられない話だけれど、別に今はわざわざこんな嘘を付く必要はないわよね?
大体、明日になったらすぐバレるような嘘ついても仕方ないわけだし…
武具の瞬間精製だけでも、今まで聞いた事がないレアな能力なんだから、この際何が出てきてもおかしくは…
いくら何でも秘薬も無しに瀕死の重傷が治ったりだなんて、誇張のしすぎでしょうけど、全くの嘘って事もないはずよね。
もしかして、すっごいレア物なんじゃないの、こいつって?)

使い魔として何とか手懐ける事に成功し、どうやらその使い魔はレアな能力持ちらしいと分かってそれなりに気分の良くなるルイズ。
とりあえず、明日になったら今の話が本当かどうか確かめるという約束をする。
その時、横島がロングビルにもそれを見せる約束をしていた、というので、次回からは無闇にばらさないように、と釘をさして、そしてそろそろ学院長室へ行く事にした。



そして学院長室の前までやってきた二人。

「ヴァリエールです。私の使い魔の意識が戻りましたので、連れて参りました」

ルイズがそう言いながらドアをノックするのを、横島は多少緊張しながら見守っていた。
何だかんだ言って横島も学生の身。自分はそんなに悪くないと思っている以上、やっぱり怒られるのは嫌だった。
そんな事を思いながら部屋に通されると、そこには3人の大人が待っていた。

大きな机に着いている、どこに出しても立派な魔法使いとして紹介できる老人。
(うわ、こりゃいかにもって感じだよな)

一番最初に出会った教師のコルベール。
(誰かに似ていると思ったら、唐巣神父に似てるんだ。きっとこの人も凄い苦労を重ねてるんやなぁ)

そして今朝出会った素敵なお姉さんのロングビル。
(そういえば秘書をしてるって言ってたっけ。セクハラも凄いとか… 
って事はそこにいるじじいか!? くぅ、じじいの癖に何てうらやましい!)

横島のそんな思いは関係なく、ロングビルがドアを閉めると話が始まった。
基本的にはルイズが話をして、横島は補足をしたり聞かれたら答えたりするだけ、余計な事は言わない、と決めていたので、横島は暇だった。
ぶっちゃけ、彼の目線と思考はロングビルに九割方向いている。
動くたびに揺れる乳。服の上からでも主張が激しい尻。ロングスカートを履いていて、太ももが見れないのは残念だが、想像する余地があるのは、それはそれで素晴らしい。
いつまで見ていても飽きないかもしれない。
そんな事を考えていると、いきなり頭を引っ叩かれた。

「ちょっと、いい加減話を聞きなさい、この馬鹿犬!!」
「い、いってーな! ちょっと余所見してたくらいで叩かなくてもいいだろ!」
「何がちょっとよ、さっきから全然聞いてる雰囲気ないじゃない。違うって言うなら、今何を話してたか言ってみなさいよ」
「え、えーと… そ、その… あれだ、あれあれ。あれの話だよ」
「…素直に聞いてなかったって謝りなさい。今から再確認するから、今度はちゃんと聞いてなさいよ?」

そう言ってルイズが話してくれたことによると…


①霊能という力は、トリステインはおろかハルケギニア中どこを探しても聞いた事がない。
こういう特殊な能力の存在を知れば、何をしでかすか分からない組織もいくらか心当たりがある。よって、基本的に秘密にしておくこと。
ある程度見られてしまった剣・盾については、使い魔の特殊能力という事で何とかごまかす。
その際も、あまり言いふらしたりはしないように留意する。

ちなみに、ロングビルさんもあれから誰かに話す暇なんて無かったとの事なので、文珠の事を知っているのは、学院長のじいさん・コルベール先生・ロングビルさんの3人だけだ。

②必要がある場合は、誰かに明かす事も仕方ないが、通常はルイズの判断を仰ぐ事。
緊急時には横島自身の判断で使うのも仕方なし。
(この部分を説明するときには、すごく不機嫌そうだったけど…
判断を待っている余裕が無いから緊急時なわけで、仕方が無いのは本当だよな)

③文珠能力の確認については、明日放課後に学院長室で行う。
(ま、数に限りがあるからな。何度も何度も実験とか確認とかで消費させられるよりはよっぽどいいや)

④また、横島が自身で持っていた能力の他に、使い魔契約をした事によって特殊な能力が付与されているかもしれないらしい。
曰く、「武器を自在に操る能力」だとの事。これからその確認をしてみるが、もし万が一そうであっても、「能力」自体はやっぱり隠しておく事。


と言う事で、ロングビルが『錬金』したナイフを横島が触って見る事になったが…
彼が触ると、ほのかに彼の左手のルーンが光を発した。

「おお。これはやはりガンダールヴの可能性が高いですぞ! それでヨコシマ君、どんな気分ですかな!?」
「ちょっと待って下さい」

(ナイフの使い方なんて勉強した事ないんだけどなー それが分かるってのは不思議な気分だけど…
それはあんまり問題じゃないよな。一番は…)
頭に思い浮かんだ、一番使いやすい持ち方でナイフを持ち直して、しっかり握る。
わずかだがルーンの発光が強くなった気がした。
少し皆と離れてみて、振り回してみる。
一通り試してみた後、最後にハンズ・オブ・グローリーを出してみる。
上手く集中できず、出すのに10秒ほどかかってしまい…
そして最後に、霊波刀状態のハンズ・オブ・グローリーでナイフを両断すると、ルーンの発光も止んでしまった。

「えーと… なんていうか、確かにナイフの効果的な使い方とか、知らないはずの知識が思い浮かんだり…
体が多少軽くなったりとか、そういった効果が出てます。ただ…」
「他に何かあるのですか、ヨコシマ君?」
「いつもなら瞬時に使えるはずなんすよね、ハンズ・オブ・グローリーって。
でも、さっきは作り出すのにかなり集中力が必要になって…
まぁ代わりに威力がすごい事になってるんすけど」
「では最初から作り出しておいたらどうなるのでしょう?」

そう言って再びナイフを錬金するロングビルと、霊波刀を改めて作りなおす横島。そしてナイフを触ると…

「な、何だこれ!? くっ …ダメや」

徐々に霊波刀の光が薄くなり、10秒ほど後には解除されてしまった。
再度、10秒ほどかけて発動した後…
しばらくうんうん唸っていたが、最後にナイフを両断してルーンの発光が解除される。
その後、霊波刀状態から篭手状態に変えてみたり、また戻してみたりして、そして能力解除をする。

「ダメっすね。最初に作り出していても、それを維持出来なかったす。
後、一旦作り出したらどうも形の変更とかも出来ないみたいでしたし。
それと思い出したんすけど、これと少しだけ似たような現象起こす物知ってます。
俺が前いたところにあった霊刀・妖刀といった類の武器の中には、霊力を吸い取ったりする物があるんすけど…
そういった物に霊力を吸われた感触が、このナイフからも少しですけどしました。
やっぱりこれもそのガンダールヴって物の影響なんすかね?」

いくら魔法で作られたナイフだとは言え、そんな能力が付いているわけでもなく。
良く分からないが、そういう物なんだろう、と言う事になった。
結局、横島は凄腕の傭兵、という形で対外的には説明する事となる。
横島自身は
「俺はGSっす。悪霊退治はした事があっても、人間相手となんか数えるほどしかやった事ないっすよ?」
と言っていたが、悪霊なんていうオカルト話は、どうせ誰も信じないから言うのは構わないが意味は無い、と言われてしまった。

「さて、これで話は終わりじゃ。
ミス・ヴァリエール、繰り返しになるが… 彼は自分の能力がいかに特異な物であるかという事がさっぱり分かっておらんかったようじゃ。
一応釘をさしたとは言え、お主の方からもしっかり気を配っておくように」

本人の前で言うにはいかにもはっきりしすぎだろー!? と横島は思ったが、まさか色気に負けて調子に乗ってたと言うわけにもいかなかったので、黙っているしかなかった。


学院長室からルイズの部屋へ戻った二人。
授業に関しては次の時間から出席する事にしたらしく、横島に平民の貴族への態度を教え込もうとするルイズだったが…

「分かった分かったって。他の貴族を呼ぶときは、『ミスタ・ミス・ミセス』のどれかをつけて、ルイズちゃんを呼ぶときは『ルイズ様』。
それで、出来るだけ丁寧に話すって事だろ」

…いまいち効果のほどが実感できなかったので、そうそうに切り上げる事にした。
その代わりに、「霊能」というものについて聞いてみる事にする。

血筋が全く関係ないわけではないけれども、多かれ少なかれ万人が持っている力という話に少し興味を惹かれた。
(でも、はっきり目に見える形に出来る人はやっぱり少ないって言う事で残念な気になった)

いい血筋に生まれ、力も大きいのにいつもうまく力を扱えなくて暴走ばかりさせてる人の話を聞いたときは、不覚にも涙が出てきてしまった。

バンパイア・ハーフの友達が居る、なんて事を言った時には、「何でもかんでも信じると思ったら大間違いよ」と言ってやった。
信じてくれたっていいだろ、と喚いていたけど、信じろっていう方が無理よ。やっぱりこいつはバカね。

人への変身能力を持っている狼や狐がいるって言われたときは、思わずそっちが召喚されれば良かったのに、と愚痴ってみたりもしたけど、
「毎日毎日朝早くに起こされて、50kmも散歩に付き合わされたり、金欠で明日の食事もままならない時に、遠慮のひとかけらもなく油揚げをたかって来るんだぞ。やめておけ」
って言われた。

でも、そう言いながらもどこか楽しそうな口調だったから、きっと仲は良かったんだろうな、と思う。
それと同時に… 私にはそう言った人がほとんどいない事に気付く。全くってわけじゃないけれど、少なくともここにはいない。
そう思ったら、ちょっと悲しくなってきて… これ以上話を聞くのが辛くなったので、少し早いけれども夕食へ行かせる。
本来の夕食時は、厨房だってかなり忙しくなるから、あんまり迷惑にならない今のうちに行ってきなさい、と。

そうして一人になって… 私は少しだけ泣いて、それから顔を洗って、食堂へ向う。
途中でキュルケに会って、心配してるんだかバカにしているんだか良く分からない絡み方をされたけれども、それでも嬉しくなって、気付いたら涙ぐんでいた。
それを見たキュルケは何故か慌ててて(慌てるくらいなら、バカにしたような事言わなければいいのに)、ちょっとおかしくなって笑ってしまった。
そんな事があって、(今日の夕食は、きっといつもよりおいしい気がする)と思いながら、始祖ブリミルに食事前の祈りをささげたのだった。


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