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魔法騎士ゼロアース-04


決闘から五日。トリステイン魔法学院はいつもと変わらぬ日常を……
「デデデ、デザートのケーキでございますー」
「おい、愛想の無いメイドが来たぞ!」
「胸も無いけどな!」
送っていなかった。
メイド姿のルイズが食堂でケーキを配っている。
生徒の中傷に「こいつら殺す」と思いつつも今日で5日目。引きつった笑顔のままケーキを置いていく。

そして、なぜか同じメイド姿のギーシュ。ちょっとキモイ。
「や、やぁ、モンモランシー。で、デザートのケーキだよ」
「あら、ギーシュ。今日もメイド姿がお似合いね。」
「僕ほどの人間となると、何を着ても似合ってしまうのさ」
イヤミだと分かってない辺りがギーシュである。

シエスタとの決闘の後、ギーシュが目覚めたのは次の日のこと。
ギーシュは香水を盗んだ犯人がモコナだと知ったが、それを責める気にはならなかった。
頭に血が昇っていたとはいえ、平民だからといって自分のしたことを考えれば、責められるものではない。
モコナからしてみれば、周りに誰もいないから貰っちゃえー、みたいなノリだったのかも知れないが。
何か深い考えがあって……そんなことは誰も思いもしないのだった。

「野薔薇を折るような真似を……いやー、シエスタ君も実に美人だったな」
懲りない男、ギーシュであった。
ともあれ、ギーシュはモンモランシーとケティに謝罪に向かった。
ケティもモンモランシーも冷たく「許す。どうでもいいし」とだけ言うだけだった。
許してもらえたが、フラグが折れているのを肌で感じてギーシュは泣いた。

その足で、使用人の宿舎に向かう。
シエスタはまだ目覚めていないそうで、周りの平民の目が冷たい。
「どうにか許してもらうわけにはいかないだろうか?」
頭を下げるギーシュに、反省はしているのは伝わったらしい。
「なら、ミス・ヴァリエールと一緒に働いたらいいんじゃない?」
「ルイズと?」
「知らないんですか? 「自分の使い魔の不始末は自分でつける」ってシエスタの仕事を代わりにやってるんですよ」
あのやたらプライドの高いルイズが……とギーシュは驚く。
「自分で言い出した割に文句が多いのよね」
「一応真面目に働いてるけど……一日に割れる皿とかの量が三倍になったわね」
とても自然にその光景が想像できた。
ギーシュも自信は無かったが、特に代案もなかったので働くことにした。

次の日、目覚めたシエスタに「怒ってませんから、気持ちだけで結構です」と言われたが二人は働けるようになるまでは続けることにした。
始めは白い目で見ていたマルトーたちも、真面目に反省している様子と、シエスタ自身怒っていないことから、二人を許すのだった。
「……ただ、割った皿の代金は、自分の懐から払ってもらわないとな?」
「「はい……」」

仕事を終え、二人はシエスタの見舞いに宿舎を訪れていた。
「今日でメイド仕事も終わりか……というか、今更だが他にも仕事があったんじゃないかなと」
「ノリノリでメイド服着てたくせに、本当に今更ね。まあ、シエスタも元気になったし……あら?」
シエスタの部屋の前に、モコナがいた。

「モコナ、そこで何してるの?」
「ぷ……ぷぷう」
なんでもない、という仕草をするモコナ。
だが、何か妙だった。いつもの元気も無い。
悲しそうな顔で、なぜかシエスタの部屋を見つめ……
「ちょっと待ちたまえ。まさか……!」
「シエスタッ!?」
シエスタの容態が悪化した? それとも、まさか死――
ギーシュとルイズはシエスタの部屋に押し破るように入る。

「シエ―――」

「あ、ミス・ヴァリエール! おかげさまで、明日から仕事に出ても大丈夫だそうです!」
すってーーーーん!
豪快にこけるギーシュとルイズ。
「ど、どうしたんです?」
「は、はは。完治おめでとうシエスタ……モコナは何だったのかしら?」
「モコナさん? そういえば……ミス・モンモランシの使い魔を頭に乗せたまま遊びに来て、怒られてましたよ」
「おや、モンモランシーが来たのかい?」
モンモランシーの名前にギーシュが反応する。

「ええ、使い魔を探しに。ついでに私の怪我の調子を見てもらってしまって。完治のお墨付きを頂きました」
「さっきのは遊び相手を連れて行かれて、しょげてただけ? 紛らわしいわね」
「モコナさん、使い魔さんたちと仲が良いそうで。ミスタ・マリコルヌの使い魔は嫌がってたみたいですけど」
「そういえば、僕のヴェルダンデと地中探検していたのを見たことがあるよ」
意外なモコナの交友関係に驚くルイズ。

「へぇ、使い魔の間で人気あるんだ」
「私の仕事仲間にもかわいいって人気ですよ。マルトーさんは自分の料理を食べてくれないって、がっくりしてましたけど」
「本当に、何食べて生きてるのかしら」
三人が、モコナの食事風景を思い浮かべる……クヴァーシルが食べられる映像しか浮かばなかった。

「……知ってはいけない真実というものがあると、僕は思うね」
「そうね。でも、知りたいことはたくさんあるわ。たとえば、あの額の飾りの仕組みとか」
「そうですね。モコナさんがいなければ、ミスタ・グラモンに負けていましたし」
その言葉の意味が分からず、ルイズが聞こうとしたが、その前にギーシュが口を開いた。
「ちょっと、話を切るようで済まないが……シエスタ、君は少し固いな」
突然何を言い出すのかと、ギーシュの発言を待つ二人。

「僕らは決闘し、友情を確かめ合った仲じゃないか。僕としては、女性とは愛情を深めたいところだがね。
……これ以上の発言は、どこからかワインが飛んできそうなので止めるが……もう少し砕けて話さないかね? と言いたいのだよ」
「そう言われましても、私は魔法が使えようと平民。貴族様相手に……」
「いいじゃない。ルイズ様、ギーシュ様~くらいなら、誰も文句言わないわ」
ルイズもギーシュの意見に賛成らしい。

「それでしたら、ルイズ様、ギーシュ様。これからもよろしくお願いします」
こちらこそ、とルイズとギーシュ。
色々あったが、決闘騒ぎの一件はこれで全て丸く収まったのだった。

その頃―――ガリア王都リュティス。
ヴェルサルテイル宮殿の中心から外れた小宮殿、プチ・トロワに風竜が舞い降りた。
「遅いぞ。姫殿下がお待ちだ」
冷たく用件のみを言い放つ衛士に、風竜――シルフィードを預けるのは、タバサ。
ガリアの北花壇騎士である彼女は、今日も過酷な任務に挑むのだった。

「今回の任務は、亜人の住処跡地に増え始めた魔物の討伐だよ」
北花壇警護騎士団団長にして、ガイア王女であるイザベラが、淡々と任務を告げる。
「随分と凶暴な魔物でね。トライアングルクラスのメイジが三人も殺されてる」
数年前より現れた謎の生き物、魔物。
街中でも突然現れる神出鬼没さと、凶暴性を持った生態系すらわからぬ異形の存在。
ガリアの獣、亜人などの多くが、魔物にその住処を追われ、そこを中心に村々が襲われるようになったのだ。
「逃げ出そうたって、そうは行かないよ。今回もお目付け役は付けるからね……カステルモール!」
「はっ! 東薔薇騎士団所属、バッソ・カステルモール。参上仕りました」
「今日も、この人形が逃げ出さないか見張るんだよ。魔法の実力だけは人並み以上だからね、こいつは」
いやらしく笑うイザベラ。その声に、一片の優しさも込められていない。

「なんとかお言いよ、七号。今時、ガーゴイルだってもう少し喋るよ。……ふん、ろくでもないこと考えてないだろうね」
杖でタバサの頭を小突く。カステルモールは、タバサを詰まらなそうに眺めていた。
「生きて帰れる思わないことね。ま、死ぬなら元王族らしく、無様には死なないことだね! おほ!おほほほほ!」
イザベラの高笑いを背中に、タバサは部屋を後にした。

「………はぁ」
椅子に座り、ため息を吐くイザベラ。
「さて、そろそろ……来る頃だね」
部屋の外から、バタバタと走る音。

「イーザベラ!」
「なんだい、ノヴァ。人の宮殿を走り回るんじゃないよ」
「あれぇ、シャルロットは? 一緒に馬鹿にしようと思ったのに」
ノヴァと呼ばれた、足元まで伸びたピンク色の髪の少女が、キョロキョロと部屋を見回す。

「もう任務に出たよ。というか、アンタのは馬鹿にするとかじゃなくて、拷問じゃないかい?」
「違うよ、あれは調教。馬鹿な飼い犬が、二度とは向かわないようにするための躾だよ」
「そりゃあ、死んだら歯向かわないだろうけどねえ。加減しないと、もう次から遊べないだろう?」
そっかぁ、と無邪気に笑うノヴァ。

「でも……私、シャルロットもイザベラのことも大好きだよ。……殺したいくらいに、ね?」
見るものを恐怖に陥れる。そんな表情で笑うノヴァに、イザベラは同等の笑顔で返す。
「そりゃあ、どうも。私もノヴァのこと、生卵をぶつけたいくらいには好きだよ」
「ええー。あれヤダ。シャルロットにぶつけたとき、ぬちゃぬちゃしてて近づきたくなかったもん」
ゆで卵の方が血が出て楽しいー、とバタバタ騒ぐノヴァ。

「馬鹿だね。体をボロボロにしたって本当の意味での調教になりゃしないんだよ。
心を痛める、ちょっとした事の積み重ねで、じわじわと時間をかけてやるのが本当の調教なのさ」
「へぇー……イザベラの話は本当に為になるなぁ。シャルロットはイザベラの玩具だし……私もお母様に玩具を貰おうかな」
「何言ってるんだい。あるだろ、アンタの玩具」
イザベラがノヴァを指差す。
「へ、自虐しろって? 自分が痛いのは嫌いー」
「違うよ、背中に面白いものを背負ってるだろ?」
「あ、そっか!」
ノヴァが、背中にあるもの……古ぼけた剣を抜く。

「ぎゃー、何言ってんの!? 俺は玩具じゃねえよー!」
「そっか、人間じゃないけど楽しいデルフがいたの、すっかり忘れてた! これなら簡単に壊れないもんね!」
「何する気だ! 剣に何する気だぁああああ!!」
ニヤニヤと笑うイザベラとノヴァ。
意志をこめられた魔剣、インテリジェンス・ソードであるデルフリンガーは抗議の声をあげる。

「大丈夫だよ! 折れたら立派なお墓を作ってあげるから!」
「いやああああ!! 誰か、誰か助けてぇぇぇええ!!」
「まあ、落ち着きなノヴァ。……耳を貸しな」
イザベラが、ノヴァを止める。
「なぁに? ……ふんふん。へぇ……それは……」
「なんだか、とても楽しそうですね。担い手様」
「ふふ……安心して、デルフ」
ノヴァの無邪気な笑顔が、デルフは怖い。

「折れなくなったよ!」
「じゃあ何!? 何で満面の笑顔に!? 何吹き込んだデコ姫―――!!」
「誰がデコ姫だい! 安心しな、この美しい光沢には劣るだろうが、アンタも……おっと」
まだ言えないよ、と口を閉じるイザベラ。
「え? 何、テカるの? 何が起きるのか教えてぇぇぇぇ」
「教えてあげるよ、デルフ。その体にたっぷりとね」
「いやぁあぁぁぁ! 折って、むしろ折ってえぇぇぇ!」
デルフリンガーの悲鳴を嬉しそうに聞きながら、ノヴァはイザベラの部屋を後にした。

「やれやれ、とんだ小娘だよ。弄ぶ加減ってものを教えてやらないと、ろくな大人にならないね」
当然のように言うイザベラ。
「何がシャルロットがぬちゃぬちゃして、だい。ちゃんと割れてデロンデロンになるような卵を厳選してるんだから当然だろ?
まったく、血が見たいなら戦場にでも行けばいいのさ。そんな低俗なものと一緒にするようじゃ、あの子もまだまだだね」
そのまま、窓から外を仰ぎ見る。
(シャルロット……ちゃんと無事に帰ってくるんだよ)

ものすごく楽しんでタバサの事を虐めていたイザベラ。
その実、シャルロットが生きて帰ってくるのを、毎回心配しているのであった。
イザベラの父であるジョゼフがガリア王となったのは二年前。
その更に一年前。ジョゼフと、タバサの父でありジョゼフの弟であるシャルル・オルレアンの二人。
王の息子である二人。しかし、ジョゼフは魔法がまったく使えぬ無能と称され、シャルルが王となると誰もが予想していた。

だが、先王は後妻である王妃に王位を譲ると宣言して死んだのだった。
それが、先のノヴァの母親……デボネアであった。
まったく素性の知れぬ女を王妃にしたときにも大反発であったのに、今回はその比ではなかった。

だが、その数日後……シャルルや、その忠臣が無残な死体となって発見されたことで、その声は小さくなる。
更に、シャルルの妻までもが正気を失わされ、もはや表立ってデボネアに逆らうものはいなくなった。
デボネアの魔の手が、シャルルの娘であるシャルロットに伸びようとしたとき、それをジョゼフが止めた。

「彼女は魔法の才能がある。殺すよりも、面倒な仕事を任せたほうが一石二鳥ではないか?」

そこで、シャルロットは北花壇騎士となった。
それから地獄のような任務をシャルロットは与えられ、しかしその全てをこなしていった。
イザベラは父に北花壇騎士団団長の任を与えられ、影ながらシャルロットを助けるように言い渡された。

特に危険度の高い任務には、若いながらスクウェアのメイジであるカステルモールをお目付け役として同行させた。
彼は、普段は周囲の目を誤魔化すためシャルロットへ辛く当たっていたが、本当は深い忠誠を密かに誓っていた。

しかし、状況がおかしくなったのは、その僅か一年後。
デボネアが、ジョゼフに王位を譲ったのだ。
だが、同時にジョゼフの様子がおかしくなった。
デボネアに表立って逆らう貴族を処断、危険な任務に就かせ、シャルロットの任務も危険度が跳ね上がった。
王になって以来、気を違えたような姿となり、イザベラもまともに会話をしたことがない。
弟を殺されて、シャルロット以上に怒りを露にしていたのは誰か、イザベラは知っている。

デボネアに、何か魔法をかけられた。そう感づく人間は少なくはなかった。
だが、形だけだが正当な者が王となったことで、安心する者もまた、少なくはなかった。

シャルロットを表立って擁護する発言をして、このガリアで明日を越せる者はいない。
デボネアは、あまりシャルロットを重要視していない。だが、あからさまな動きがあれば、は虫を潰すように彼女を殺すだろう。
シャルルとジョゼフは、あまり良い噂がなかった。ジョゼフが才能溢れるシャルルを憎く思っていたのは事実だからだ。
それ故、シャルロットを蔑ろにしながら、多少の小細工を弄せる人物……それはイザベラ以外にはいない。
だれもが、デボネアに組していると思っている人間だからこそ、シャルロットを守れるのだ。

だが、勘違いしてはいけないのは、虐めること自体はイザベラの趣味であるということだ。
シャルロットに対する非道が、単なるフリでないからこそ誰にも気づかれない。
カステルモールがシャルロット派の人間だと知っている者すら、イザベラが気づかずに同行させているのだと思っている。
カステルモール本人ですら「このデコ、味方だよな?」と疑うほどだ。
二年前に始めて顔を見せたノヴァも、まったく気が付いていない。

(気づかれたら、そこでアウトかもしれないね)
二年前、北花壇騎士の下っ端二人が、デボネアの娘だと気が付かずにケンカを売った。
素行は最悪だが、トライアングルの実力者。
しかし、勝負は一瞬だったという。

目撃者は、すでに消し炭になった死体と、もう一人の首を跳ね飛ばされた瞬間を見た。
炎の魔法の使い手で、悪魔のような剣技を操る。
イザベラ自信は、血まみれで笑うノヴァの姿を見ただけだが、その姿だけでも恐怖を禁じえなかった。
魔法を使った瞬間を見た者は誰もいないが、剣だけでトライアングルが相手にならない規格外に挑むものなどいなくなった。

(流石のシャルロットでも、無理な相手だね)
自分などは論外だ。イザベラには父同様に魔法の才能はない。
父と違い、ドット程度の魔法は使えるが王族としては恥でしかない。
それゆえに、才能溢れるシャルロットを恨みもした。
だが、その才能の代償が今の状況だと思うと、同情こそしないが考え物だとは思う。

(殺したいほどに大好き、とかノヴァは言ってたけどね……私がシャルロットを? どうだろうね)
正直どうでもいいと思いながら、椅子に座りなおす。
遠くからデルフリンガーの悲鳴も聞こえ始める。
帰ってきたら、シャルロットをどうやって虐めよう。
最高の環境の中、そんなことを考え、イザベラは書類を片付けるのだった。


王宮の、どことも知れない場所。
暗い、闇の中に立つ青白いどころではない、白い顔の女。
真っ暗だというのに、その姿がはっきりと見える。
この女こそが、ガリアを裏で支配する者。先王妃デボネアである。

「……なにか、妙な感覚がする」
先週まで感じていなかった、妙な違和感。
何か、異物が「この世界」に入り込んだことをデボネアは感じ取っていた。
「まあいい、邪魔などできるものか。既にムシケラが邪魔立てできる段階ではない」
デボネアの目の前の壁に、大きな地図が貼ってある。
その地図に、小さな黒いエネルギーをぶつけると、地図の一部が燃えだした。
焼け焦げた場所……それは、ハルケギニア大陸の近くを彷徨う浮遊大陸。

「アルビオン……私がもたらす、滅びの足掛かりとなるがいい」
大陸の名前をつぶやくと、デボネアは人とは思えぬ表情で笑う。
ハルケギニアに本来居るはずのない異物は、徐々に世界を闇に染めていこうとしていた。



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