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ゼロの魔獣-21


慎一の脳裏にかつての記憶がよぎる。子供の頃見たアニメ。
巨大な悪の組織と戦うスーパーロボット。敵を穿つ未来の兵器・巨大ドリル―。

―まさか! 剣と魔法の世界でお目にかかる事になろうとは!!

郷愁に耽っている暇はない。慎一の倍はあろうかと言うその鉄隗を、間一髪、横っ飛びで避ける。
その眼前に、今度は巨大な足が突っ込んでくる。避けている余裕はない。
両手で受け止め、入り口側の壁をぶち破って、宿の外へと押し出されていく。

宿の二階部分まで破壊しながら、そのゴーレムの全身象が露わになる。
全長は過去に見たそれと同程度、ただし、大きくくびれた腰部を始め、全身が鋭角的にスリム化している。
特徴的なのは左手のドリル、そして、慎一を押し潰さんと回転する、脚部側面に取り付けられた4つのローラー。

敵は、魔力を回転力へと変換する事で、ゴーレムの馬力を飛躍的に高めていた。
的確に状況判断しながらゴーレムを動かす強敵、 だが、真に恐るべきはそこではない。
建物一つを巻き込み、おそらくは仲間であろう賊をも巻き込みながら、一切止まるつもりがない大胆さだ。

「チクショウッ!! やるしかねぇ!!」
慎一が意を決し、足とローラーの間のわずかな空間に身を滑らせる。
ゴオオオウウ、と鼻先を掠めながら巨体が通過する。それに合わせ体内の巨熊を呼び出す。

足元が突然大きく盛り上がり、ゴーレムが前へとつんのめる。
その勢いを利用して、巨熊が片足を投げっ放しジャーマンの要領で放り投げる。
加速がついたその巨体は、勢いのままに峡谷の岸壁に強かに激突する・・・ハズだったが、

頭部に乗ったメイジの杖にあわせ、ゴーレムが体操選手のようにクルクルと前宙し、
ターンを決める水泳選手のように、華麗に壁面に張り付く。
同時に両足のローラーから瞬時に長いスパイクが生え、壁面を垂直に爆走しだす。

「なんだとおおおッ!?」
吠える慎一の位置を確認しながら、ゴーレムが腰を落とす。同時に、上半身が不気味に回転を始める。

刹那、放たれた矢の如く、左手を突き出したゴーレムが飛んでくる。
固定された頭部を除いた、首、腰の間接が回転を始め、
通常の三倍の回転を得たゴーレムの全身が、一本のスクリューとなる。

巨熊のパワーを持ってしても、触れれば即ミンチであろう。
変身を解きながら、慎一が大きく飛び退く。
ゴーレムは猛スピードで眼前を通過し、発生した衝撃波の大渦に巻き込まれた慎一は、後方の壁面へと叩き付けられる。
ゴーレムはそのまま前方の岩盤へと突っ込み、勢いのままに掘り進んでいく。
壁面に亀裂が走り、ボゴンボゴンと建物の崩落する音が響く。

「止まる気一切無しかッ! やるじゃねーかッ!! あのアマ!!」
慎一は翼を広げ、大きく上空へと飛び立つ。
どうやってそれを認識しているのか、岩盤を砕く音も次第に上昇していく。

やがて、切り立った岸壁が終点を向かえ、開けた台地が視界に飛び込んでくる。
慎一が緩やかに着地する。 程なく、巨大なドリルが天を突き、ゴーレムがにゅっ、と顔を見せた。 

「周りの被害が心配かい?
 あいかわらず優しいねえ 『真理阿』ちゃんは」

「あんな狭ッ苦しい場所じゃ 思う存分ブン殴れねえからな!
 ・・・随分と俺好みの女に成りやがったじゃあねえか 『ミス・ロングビル』」

ゴーレムの頭部が月明かりに晒され、メイジの全身が明らかとなる。
フードの下から現れた顔は、間違いなく慎一の良く知る怪盗 『土くれ』のフーケ。
―ただし、その大きく吊り上った三白眼を除けば、だ・・・。

「俺の知らぬ間に 女を磨いてきやがったみてえだな・・・」

「フフ・・・ 兄さんも一度回って見るがいいさ! 新たな世界が開けるよォ!!」

そう言い終ると、両足のローラーが勢い良く回転を始める。
腰を捻ってタメを作りながら、ゴーレムが突撃する。 慎一が爪を研ぐ

―と、
身構えた慎一の頭上を翼竜の影が通過し、その眼前に人影が降り立つ。
男の名前は ギーシュ・ド・グラモン・・・

「この場は僕に任せてもらおうか」
「下がってろ、ミンチになりてえかッ!!」

喚く慎一を右手で制しながら、胸元の薔薇を掴む ― 本来なら、ここで花びらを千切るところであるが・・・

「僕だってヴェストリの一件以来、寝ていたわけでは無いさ!」
そう言って、一輪まるごと前方に投げると、『錬金』を開始する。

まばゆい光とともに、直ちに青銅の塊が膨れ上がり・・・

その目の前に、恐らくはワルキューレ7体分の質量を持つのであろう青銅の巨体が、腕組み仁王立ちで出現した。

「構うこたあ無いよ! 丸ごとブッちめなァ!! ゴーレムッ!!」
フーケの指示を受け、鋼鉄の巨体が加速する。

「エレガントに受け止めろッ!! ワルキューレェ!!」
ギーシュが造花を振るう、その声を聞き、仮面の下の乙女の瞳が大きく光り、その両腕を鶴翼の如く開いた。

月光の下、鋼鉄と青銅の巨人が激突した・・・。


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