視界の端でまた爆発。爆発爆発爆発。何度やっても爆発。正直もう疲れた。
嗚呼始祖ブリミル、私は一体後どれくらいサモン・サーヴァントの呪文を唱え続けねばならないのですか?
嗚呼始祖ブリミル、私は一体後どれくらいサモン・サーヴァントの呪文を唱え続けねばならないのですか?
「疲れてるのはこっちだぞ、ゼロのルイズ!」
「そうだそうだ!いつまで失敗魔法に延々と付き合わされなくちゃならないんだ?」
「そうだそうだ!いつまで失敗魔法に延々と付き合わされなくちゃならないんだ?」
ギャラリーが何か言ってるけど、無視ね無視。
…でも、やっぱりちょっと、ううん、だいぶ疲れた。
もうなんでもいいわー。とっとと何かお手軽に強いのが来てくれないかしらー。
…でも、やっぱりちょっと、ううん、だいぶ疲れた。
もうなんでもいいわー。とっとと何かお手軽に強いのが来てくれないかしらー。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。
我の運命に従いし使い魔を召喚せよ…お願いもうなんでもいいから早く来て…」
我の運命に従いし使い魔を召喚せよ…お願いもうなんでもいいから早く来て…」
祈り?が届いたか、振った杖の先でようやく光の鏡が形成された。
人生で初めて魔法が成功したにも関わらず、疲れきったルイズにはそれを喜ぶ余裕などなかった。
ただ憑かれたように鏡を凝視し、ひたすらに強い使い魔が来てくれることを望んでいた。
人生で初めて魔法が成功したにも関わらず、疲れきったルイズにはそれを喜ぶ余裕などなかった。
ただ憑かれたように鏡を凝視し、ひたすらに強い使い魔が来てくれることを望んでいた。
彼女の呼びかけに応えた?使い魔は、確かに強かった。
だが、少々…いや。かなり、あたまが軽かった。
だが、少々…いや。かなり、あたまが軽かった。
そして少し先の未来で、彼女は最後の言葉を深く後悔したのち、始祖ブリミルに懺悔することになる。
その時マリアはひとりの少女の希望などどこ吹く風で、港町ローカイドの「楽園」出張所であり、
ご近所の皆様方から「幽霊屋敷」の呼び名で親しまれている屋敷の厨房にて、献立片手に料理中だった。
ご近所の皆様方から「幽霊屋敷」の呼び名で親しまれている屋敷の厨房にて、献立片手に料理中だった。
「きょうのごはんはシチューだねっ。うふふー、シチューシチュー」
一体何がそんなに楽しいのかは知らないが、とりあえずマリアはいつも通りだった。
一体何がそんなに楽しいのかは知らないが、とりあえずマリアはいつも通りだった。
そんなマリアの真横に、突如として光の鏡が現れた。
ただしマリアは気付かない。
ただ楽しそうに、ひたすらナベをかき回している。
ただしマリアは気付かない。
ただ楽しそうに、ひたすらナベをかき回している。
マリアがまったく気付かないことに業を煮やしたかのように、光の鏡は部屋中を煌々と照らした。
そのあまりの存在感に、さすがのマリアも鏡に気付いた。
そのあまりの存在感に、さすがのマリアも鏡に気付いた。
「ほえ~っ?これ、なんだろ…?」
鏡である。
ただし、とてもあやしい。
ただし、とてもあやしい。
ふつうの人間、いや生物ならば、危なそうなものには絶対にさわらないだろう。
だが悲しいかな、そういった危機感がないと普段から言われるマリアには、
このあやしすぎる鏡に「さわらない」という選択肢ははじめからなかった。
だが悲しいかな、そういった危機感がないと普段から言われるマリアには、
このあやしすぎる鏡に「さわらない」という選択肢ははじめからなかった。
「へんなの~。えいっ、さわっちゃえ~!」
疑いもせず、ただ「へんなものにさわりたい」という思いだけで、マリアはそれに手を伸ばした。
その歳の割にちいさな手が、鏡の表面に触れた瞬間。
その歳の割にちいさな手が、鏡の表面に触れた瞬間。
ずぶり、とマリアの手が鏡にしずんだ。
「えええっなにこれ?!ぬ、ぬけないよおおおっ?!」
ようやくなにか変だということに気付いたらしく、
慌てて手を引き抜こうとするマリアだが、時既に遅し。
マリアが手にしたナベごとその内に取り込んだ鏡は、
出現時と同じく唐突に、跡形もなく厨房から消えた。
慌てて手を引き抜こうとするマリアだが、時既に遅し。
マリアが手にしたナベごとその内に取り込んだ鏡は、
出現時と同じく唐突に、跡形もなく厨房から消えた。
その頃、鏡出現からマリアが鏡に引き摺り込まれるまでの一部始終を見ていたサラ・バーリンは、
その鉄面皮とあだ名される無表情をまったく崩すことなく、手にしたフラスコをしばし揺らし。
ややあって、本当にこまっているのかどうかすら疑わしい声で呟いた。
「さて、これは困ったことになったのだろうか?」
その鉄面皮とあだ名される無表情をまったく崩すことなく、手にしたフラスコをしばし揺らし。
ややあって、本当にこまっているのかどうかすら疑わしい声で呟いた。
「さて、これは困ったことになったのだろうか?」