あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

プレデター・ハルケギニア-09


ベッドの中でルイズは考えていた。ワルドと自分は親同士が決めた許婚だ。
何事もなければいずれ二人は結婚する事となる。それはわかっていたし、不満も無い。
勝手に親が決めた事、そういう気持ちが全く無いと言えば嘘になる。
しかし幼少の頃からワルドは憧れだったし、久しぶりに再会した彼も昔と変わらず、
いや、昔以上に魅力的だった。肩書きも魔法衛士隊の隊長と申し分ない物だ。
断るほうがどうかしている。

しかし、何か、よくはわからないが本当にこれでいいのか、そんな感情にも囚われるのだ。
それは彼女の一人の人間としての、あるいは女としての本能的な直感だったのかもしれない。

悶々と考え込んでいる内にルイズは眠りに落ちていた。






「夜明け前に着いたか。流石は韻竜だな」

亜人の腰の剣が喋る。夜明け前の薄暗さに包まれた森の中に佇むのは
韻竜のシルフィールド、ルイズの召喚した亜人、そしてその腰に差された喋る大剣だ。
この何とも奇妙な一行はルイズ達の貨物船を追い抜き既にアルビオンへと到着していた。

「じゃ、じゃあ私はこれで帰らせてもらうのね!」

そう言い放つとシルフィールドが飛び上がろうとする。
しかし飛び上がろうとしたその時、彼女の鼻面の目の前に亜人の手が差し出された。

亜人の手に握られているのは不気味な小動物の頭骨を繋いだ首飾りであった。
亜人の首に掛けられていた物だ。


「く、くれるの?」

亜人は答えない。黙って彼女の前に首飾りの握られた手を差し出している。
シルフィールドが恐る恐るその首飾りの一端に爪を引っ掛ける。
同時に首飾りは亜人の手から離れ、亜人が歩き出す。

「じゃあな韻竜。ありがとよ」

亜人が歩き出すとともに、剣が謝礼を述べる。
やがて亜人の姿は森の奥へと消えていった。

その場にぽつんと残されたシルフィールドは渡された首飾りを見つめていた。

「どうしよう……いらないけど……捨てたら呪われそうなのね」

少しの間シルフィールドはその首飾りを困惑した表情で見つめていたが
やがて、それを角に引っ掛けると空中に飛び上がり主人の待つラ・ロシェールへと帰って行った。






「ルイズ、ルイズ、起きるんだ」
誰かが自身の体を揺すっている。目を開いて見るとそれがワルドである事が分かった。
「ふにゃ?ワルド、もう朝なの?」

「ああ、それは間違いないが少しまずいことになった。すぐに着替えて甲板に行くぞ」
ワルドの口調や表情から何か尋常では無い雰囲気を感じ取ったルイズはすぐにベットから飛び起きた。

「あの、ワルド……その……」

ルイズが少し困った様子でワルドを見つめる。

「ん?あ、ああ、すまない。部屋の前で待っているよ」



甲板に出ると朝日が二人を照らした。船の前方には浮遊大陸のアルビオンが肉眼で確認できる。
見ると貨物船にそばにもう一艘、船が横付けされているのが見えた。

船の大きさとしてはルイズ達の貨物船より一回りほど大きい。
黒い船体から突き出た数十の大砲がこちらに向けられている。
甲板の上からはボウガンや銃で武装した男達がこちらを見下ろしている。

「く、空賊船!?」
「ああ、まさかこんな所でとはね。最近、活動が活発だとは聞いていたが……」

ルイズが驚きの声を上げ、ワルドが表情を曇らせる。

空賊船から続々と男達が飛び移ってくる。
最後に現れた眼帯で片目を覆った髭面の男が貨物船の船員を見回すと、開口一番にこう言った。

「船長は誰でぇ?」






「ふぁ~あ」
朝日に照らされるラ・ロシェールの路上でキュルケは大きな欠伸をした。
路上には既に大勢の人々が行き来している。例え住んでいる街で残虐な殺人事件が起こったとしても
人々の生活は変わらずに流れていくし、そうしなければ生きては行けない。

「あんな安っぽい部屋じゃよく眠れないわ」

三人は昨晩、殺人現場から少し離れた安宿に泊まることとなった。

「しかし、これからどうするんだキュルケ?そう何泊もできる程の金は持ってないぞ僕は」

「実を言うと私たちもそんなに持ち合わせ無いのよね。慌ててすっ飛んで来たから」

ギーシュの言葉にキュルケも肩をすくめて答える。
豪華な宿に大勢で何泊もできたのは王室から資金を持たされているルイズやワルドがいたからである。

「まあ、いざとなったらあなたのシルフィールドで頼むわ」
キュルケがそう言いながらタバサの頭をくしゃくしゃと撫で回す。

その時、不意に街を行き来する人々がざわつき始めた。
見るとみな空を見上げている。

「どうしたのかしら?」

キュルケ達も人々と共に空を見上げた。

見ると一艘の船がラ・ロシェールに向かって飛行して来ているのだ。

「あれは……トリステイン空軍の物じゃないか?何でこんな所に?」
ギーシュが困惑した口調で言う。


やがて船は山岳の波止場へと止まり、中から続々とマント姿の男達が出てくる。

「な、魔法衛士じゃないかあれは!?」

続々と船を降りる魔法衛士の先頭には一人の女性が立っていた。
腰まで伸ばした金髪に吊りあがった眼鏡。
それは紛れも無い、王立アカデミーの研究員、エレオノールその人であった。


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