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悪魔も泣き出す使い魔-mission10


~盗賊と魔女~
破壊の杖を奪還せよ


フーケが目を覚ましたのは、自分が練成したであろうゴーレムの上であった。

(ちょっと・・!これは一体・・・どうなってんだい!?)

気が動転するあまりゴーレムから転げ落ちそうになるが、何とか平静を取り戻して現状を確認する。
アグニ&ルドラのテンペストによって、ゴーレムを覆っていたネヴァンの蝙蝠は残らず焼き尽くされてたが、
竜巻の中心地に居たフーケは奇跡的に無傷であった。フーケはゴーレムの足元を見下ろす。
そこには学院の生徒達から介抱を受ける気絶したコルベールと、その隣では"あの"使い魔がこちらを見上げていた。
事態は最悪。ここをどう切り抜けようか考えをめぐらせようとしたその時、フーケの手元から声が囁いた。

「駄目よ・・・。折角良いところなんだから、・・・大人しくしてなさい」
「な!?なんだいこれは!お前は・・・?」

それからフーケの体と意識の自由は、再びネヴァンに奪われるのだった。


「ねえ、・・・あれ」

ルイズが指を差すそこには、再び動き出したゴーレムが両手の拳を組み、それを頭上高く振り上げていた。
ダンテはデルフリンガーを握り、野球打者の素振りを始めた。

「デル公、向こうはまだヤル気みたいだぜ?」
「そ、そいつは威勢の良いこって。・・・ところで相棒よう、俺っちで一体何をするつもりだい?」

それを無視し、今度はバッティングフォームを確認しながら、足首のストレッチを始めるダンテ。

「なあ、ちっとは相棒を労わろうぜ・・・?あんなの受けたら、俺絶対折れるって。アンタはともかく、俺死ぬって。マジ」
「あれは確実に死球」

ダンテは警告するタバサとデルフリンガーに構わず、目の前のゴーレムと対峙し、ルイズ達は固唾を飲みながらその様子を見守った。
錬金によって鋼鉄となったゴーレムの両拳には、ネヴァンが放出する有りったけの電気が蓄えられようとしていた。
ダンテが笑いながらデルフリンガーに答える。

「刺激があるから人生は楽しい。そうだろ?」

轟音と共にゴーレムの拳が振り下ろされた。

「嫌ぁあああああああ!」

ダンテは向かってくる鉄拳に合わせて、絶叫するデルフリンガーを振りかぶった。
激突する両者。ゴーレムの拳に亀裂が入った。

「ヤッハー!、場外まで飛んでいきな!!」

ダンテがそのままデルフリンガーを降り切ると、ゴーレムの両腕が粉々に砕け、破片が宙を舞った。

「もうムチャクチャね・・・」

感心を通り越して呆れるルイズ。両腕を失ったゴーレムはバランスを崩し、後ろへ仰け反った。
ダンテはそれを見逃さず、デルフリンガーを鞘に収めて、コートの裏に装備していたケルベロスを取り出した。

「逃がさねえぜ!」

ダンテがゴーレムの足元にケルベロスをかざすと、氷のスパイクが地面から大量に突き出し、
ダンテの左拳に刻まれたルーンが輝くと、それが巨大な氷柱へと変化して、ゴーレムの下半身に突き刺さった。
ルイズ達は今まで見たことも無い現象を目の当たりにし、先程の炎の竜巻の時以上に、驚きを隠せないでいた。

「嘘っ!!?」
「凄いわダーリン!ねえタバサ!?」

タバサが目を大きく見開く。雪風の二つ名を持つ彼女はこの光景に戦慄する。

「詠唱もしてない。こんなの見たことない」
(お姉さま、珍しくビックリしてるのね)

ゴーレムの半身を覆いつくす程までに変貌したミリオンカラットの氷柱に、ダンテも少し驚いていた。

「ハハッ!どうしたお前等、絶好調じゃねえか!?」

ダンテが身動きの取れないゴーレムの頭部に向かって、ケルベロスの牙の一本をゴーレムの首に絡ませ、
その鎖が縮まる反動を利用して、ダンテは大きく飛び上がった。
ゴーレムの左肩に飛びついたダンテは、「ホァアアォ!!」と、雄叫びを上げながらケルベロスを振り回し、
ゴーレムの頭部を粉々に砕いた。
反対側に見えるゴーレムの右肩には、ネヴァンを持ったフーケが不敵な笑みを浮かべている。

「残念だったな。もうじきお開きの時間だぜ?」
「残念なのは・・・、さあ、どちらかしら?」

フーケが黒いモヤに覆われる。ダンテは咄嗟にエボニーを構え、フーケを撃ち抜いた。

「クソ野郎が・・・!いつの間に入れ替わりやがった?」


フーケが霞の如く消えると同時に、ゴーレムが倒壊を始めた。
ゴーレムが土くれに戻り、ダンテがそれを身に委ねながらゆっくりと降りていく途中、地上からルイズの悲鳴が聞こえた。
急いでゴーレムの土砂から飛び降りると、そこには素顔を露わにしたフーケが、
鎌に変形したネヴァンの刃をルイズの首にあて、キュルケ達の前に立ち塞がっていた。

「ミス・ロングビル、これは一体どういう事ですの?」

問い詰めるキュルケに、ロングビルが冷やかに答える

「フフフ・・・。どうも、こうも、ねえ?」

その口は薄く笑いを含み、妖しい輝きを放つ目で、キュルケ達をじっと見ている。
恐怖に震える身体を押さえながら、声を振り絞りロングビルに問うルイズ。

「ミス・ロングビル、貴女がフーケの正体だったの?」

キュルケの後ろから、鬼の様な形相で、ダンテが割って入ってきた。

「ダーリン!?」
「下手なお人形芝居はその辺にしておけよ。もう一度穴だらけにされたいなら、話は別だけどな」

ダンテはロングビルを睨みつけながら、左手に構えたエボニーの銃口を向けた。

「あら?この娘の命がどうなっても良いの?」

ネヴァンの冷たい刃がルイズの喉元に当たる。
ダンテは表情を変える事無く、冷やかに答えた。

「好きにしな」
「ちょっと、ダーリン!」
「フフフ、言い返事ね」

ダンテが言い放ったその一言で、自分が見捨てられたのだと悟ってしまったルイズ。
使い魔に見捨てられた?私が不甲斐ない主人だから?魔法も満足に唱えられないから?
迫る死の恐怖に震えるルイズは、使い魔に裏切られた気持ちも加わり、更にどん底に落とされた様な気分だった。
自然とルイズの目から涙が零れ落ちる。

しかし、目の前に佇むダンテの顔は真剣そのものだった。
その口からはいつもの冗談や軽口ではなく、己の信念を貫かんとする意志の言葉が発せられた。

「勘違いするなよ?お前がどう好きにしようが、そのガキに手を出させねえぞ。
この名を名乗る時に誓ったんだ・・・。もう俺の目の前で、お前ら悪魔なんぞに人間は殺させねえってな」

ダンテはロングビルに向けた銃口を、その手に持つネヴァンに狙いを定める。

「10秒やるから決めな。棺桶か、ゴミ箱か」

ロングビルはダンテの放つ気迫に圧倒され、観念したように溜息をついた。

「フフフ。そろそろやめておくわ。貴方のその目・・・本気で殺されちゃいそうだから」

ロングビルの周りに大量のコウモリが一斉に集まり、その中からコウモリのドレスを身に纏う一人の女が現れた。
女が現れると同時に、ロングビルはその場に倒れ込み、その女の右脇には今まで鎌の刃を当てられていたルイズが抱えらていた

「魔女・・人間なの?」

妖しい美貌を放つ半裸に近い姿のネヴァンに対して、何だかよくわからないが負けた気がするキュルケ。
そしてネヴァンに臆することなくルイズが問い詰める。

「アンタが土くれのフーケだったわけ?」

ネヴァンがルイズの頬を、右手の指でさすりながら答えた。

「いいえ。私は貴女達で言う破壊の杖よ。不細工で気に入らない呼び名だけど」
「それじゃあ、あのゴーレムは?」
「あれは彼女がつくったものよ」

ネヴァンが後ろに倒れているロングビルに目をやる。

「ミス・ロングビルが?」
「ええ。外に出ようとしたところ、偶然目があっちゃったから、・・・成り行きで付き合ってあげたのよ」
「聞きたい事がもう一つあるんだけどな」

ダンテがネヴァンに詰め寄った。

「その女に陰気臭い野郎が憑いてるのも、お前の仕業か?」
「さあ?私が会った時にはもう一緒だったから。彼女に直接聞いた方が早いんじゃない?」

それからネヴァンはコウモリのドレスを躍らせ、クルクルと器用に回転しながらダンテに抱きかかえられた。

「やっぱり素敵よ・・・。スパーダよりも情熱的な貴方。・・・私、ずっと寂しかったんだから」

ネヴァンが悩ましい姿でダンテに絡みつく。
フーケから開放され、ここ一番に駆け寄ろうとしていたルイズは、その光景を目にして一瞬たじろいだ。

「な・・・なっ!?」
「・・・気に入らないわね」

キュルケは眉を歪めながら、その膝に乗せたコルベールの頭から、残り少ない黒髪をブチブチと引きちぎった。
その度に意識を失っているコルベールが、「あっ」、「あっ」、と小さく呻きを上げていた。
タバサは、そんなコルベールの挙動を、まじまじと観察している。
ルイズとキュルケの二人に見せ付けるように、ネヴァンはダンテの耳元で囁いた。

「小娘達に物足りなくなったら、・・・夜はいつでも空いてるわ。ダーリン」

それからネヴァンはニヤリとしてみせて、雷の閃光に包まれながら、破壊の杖と呼ばれていた形状に戻った。

ネヴァンを抱えるダンテの目の前にルイズが立ち尽くす。
その顔は嬉しいやら腹立だしいやら、色々な感情がごちゃ混ぜになった表情をしており、目には涙を溜め込んでいた。
ダンテはネヴァンを肩に担ぎ、ルイズの様子を冷やかしながら話しかけた。

「ハハッ、俺の御主人様は相変わらず泣き虫だな」
「泣いてなんかないもん!」

それからダンテは、強がるルイズの頭をクシャクシャと撫でながら、珍しく穏やかな口調でこう言った。

「いいんだよ別に。悲しんだり喜んだりして泣いていいのは、人間だけだ」

ダンテが言った、その言葉の本当の意味をルイズが知るのは、もう少し先のことであった。


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