邪竜族との戦いに勝利したアデュー達リュー使いは再び各々の生活に戻っていった。
そして、アデューは旅を続ける事を選んだ。
途中でギャロップを休ませる為に寄った水場での休憩で、今までの旅の事を思い出していた。
いつも、つい張り合ってしまうライバルがいた。
熱くなって冷静さを失った時に宥めてくれる仲間がいた。
そして・・・心から守りたいと思う人がいた・・・・・・
「みんな・・・・・」
そんな物思いに耽っていた為か、アデューの後ろに謎の鏡が現れた事にも気が付かなかった。
もう十分に休んだ、そろそろ出発しようと振り返った時に、初めてその鏡の存在に気付いた。
「へっ?」
そしてそのまま勢いで鏡の中に体ごと入り込んでしまった。
「な・・・・・なんだこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
・
・
・
・
・
・
「で、気が付いたらあの場所にいたと言うのね」
「ああ、話す事はこれで全部だよ」
「そんな・・・・別の世界から来たなんて・・・・・そんなの信じられ、ん?」
事のいきさつを全て話したアデューは「じゃあな」と一言残して部屋から立ち去ろうとしたが。
「ふべっ!」
まぬけな声を上げて仰向けに派手に転んだ。
ルイズにマントを捕まれたのだ。
「何するんだお前は! 危うく首が絞まりかけたぞ!」
「こっちのセリフよ! どこ行くつもりだったのよ!」
「帰る為の方法を探しに行くんだよ!」
「あんた私の話聞いてなかったの!? そんな魔法存在しないって言ったでしょ!」
そう、アデューが目覚めてからしばらくの間、互いに話し合い、それぞれの状況を整理したのだ。
それによってわかった事は
そして、アデューは旅を続ける事を選んだ。
途中でギャロップを休ませる為に寄った水場での休憩で、今までの旅の事を思い出していた。
いつも、つい張り合ってしまうライバルがいた。
熱くなって冷静さを失った時に宥めてくれる仲間がいた。
そして・・・心から守りたいと思う人がいた・・・・・・
「みんな・・・・・」
そんな物思いに耽っていた為か、アデューの後ろに謎の鏡が現れた事にも気が付かなかった。
もう十分に休んだ、そろそろ出発しようと振り返った時に、初めてその鏡の存在に気付いた。
「へっ?」
そしてそのまま勢いで鏡の中に体ごと入り込んでしまった。
「な・・・・・なんだこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
・
・
・
・
・
・
「で、気が付いたらあの場所にいたと言うのね」
「ああ、話す事はこれで全部だよ」
「そんな・・・・別の世界から来たなんて・・・・・そんなの信じられ、ん?」
事のいきさつを全て話したアデューは「じゃあな」と一言残して部屋から立ち去ろうとしたが。
「ふべっ!」
まぬけな声を上げて仰向けに派手に転んだ。
ルイズにマントを捕まれたのだ。
「何するんだお前は! 危うく首が絞まりかけたぞ!」
「こっちのセリフよ! どこ行くつもりだったのよ!」
「帰る為の方法を探しに行くんだよ!」
「あんた私の話聞いてなかったの!? そんな魔法存在しないって言ったでしょ!」
そう、アデューが目覚めてからしばらくの間、互いに話し合い、それぞれの状況を整理したのだ。
それによってわかった事は
- アデューはアースティアと呼ばれる月が一つで天まで届く巨大な剣の突き立つ世界にいた
- ここはハルケギニアと言う大陸にあるトリステインという名の王国の魔法学院である
- この世界では魔法を使えるのが貴族であり、魔法を使えないのが平民である
- アデューはサモンサーヴァントという魔法によってルイズの使い魔としてこの世界に呼ばれた
- 逆に召喚した使い魔を元の場所に帰す魔法は存在しない
- 召喚の儀式は神聖な儀式であり、やり直しは出来ない
- よってアデューは使い魔としてルイズに使えなければならない
- というかもう儀式は済ませてしまったので(不本意ではあるが)何がなんだろうと使い魔として働いてもらう
「ちょっと待て、まだ俺は使い魔になるという話を受けたつもりはないぞ!」
「とにかくやってもらわなきゃ私が困るの」
「へん、何で俺が気絶してる間に勝手に済まされた儀式に俺が賛同しなくちゃいけないんだよ。俺は自分で帰る方法を探しさせてもらうぜ」
と、その言葉を聞いたルイズが呆れたようなため息を吐いた。
「あ~ら、なら勝手にどうぞ。で、どうやって見つけるの?」
「え・・・・そっそれは・・・・」
「行く当てはあるの?泊まる宿は決めてるの?そもそもここでの通貨は持ってるの?」
「うぐ・・・・」
「私の使い魔としてここに残るというのなら、食事と寝床ぐらいは用意してあげるわ」
・・・・どうするアデュー? こんな子供にこき使われるなんて騎士としての誇りが許さない。
自分は人々を守るために騎士となったのだ。
だが、こいつの言う事にも一理ある。
自分は魔法によって呼び出されたと言っていた。
ならばアースティアに帰る方法もおそらく同じ魔法だろう。
少なくともここは魔法学院と言うくらいなのだからその手の専門家が多くいるだろうから、その人達に聞いていけばなんとかなるかもしれない。
外にはここ以上に魔法に関して調べられる様な場所があるという保証も無い。
となると、選べる選択肢は一つしかないではないか。
「わかったよ。アースティアへの帰り方がわかるまでの間、君の使い魔を引き受けるよ」
「だからそんな方法ないって言ってるのに、どうしわからないのかしら?」
「騎士道大原則ひとおおおおおおおおおおおおおつ!!!」
と、アデューはいきなりに人差し指を立てて叫びだした。
「騎士は、いかなる時も諦めてはならない!」
(・・・・・・・間違いない、こいつ真性のバカだ)
ルイズのその評価はあながち間違いでもなかった。
「とにかくやってもらわなきゃ私が困るの」
「へん、何で俺が気絶してる間に勝手に済まされた儀式に俺が賛同しなくちゃいけないんだよ。俺は自分で帰る方法を探しさせてもらうぜ」
と、その言葉を聞いたルイズが呆れたようなため息を吐いた。
「あ~ら、なら勝手にどうぞ。で、どうやって見つけるの?」
「え・・・・そっそれは・・・・」
「行く当てはあるの?泊まる宿は決めてるの?そもそもここでの通貨は持ってるの?」
「うぐ・・・・」
「私の使い魔としてここに残るというのなら、食事と寝床ぐらいは用意してあげるわ」
・・・・どうするアデュー? こんな子供にこき使われるなんて騎士としての誇りが許さない。
自分は人々を守るために騎士となったのだ。
だが、こいつの言う事にも一理ある。
自分は魔法によって呼び出されたと言っていた。
ならばアースティアに帰る方法もおそらく同じ魔法だろう。
少なくともここは魔法学院と言うくらいなのだからその手の専門家が多くいるだろうから、その人達に聞いていけばなんとかなるかもしれない。
外にはここ以上に魔法に関して調べられる様な場所があるという保証も無い。
となると、選べる選択肢は一つしかないではないか。
「わかったよ。アースティアへの帰り方がわかるまでの間、君の使い魔を引き受けるよ」
「だからそんな方法ないって言ってるのに、どうしわからないのかしら?」
「騎士道大原則ひとおおおおおおおおおおおおおつ!!!」
と、アデューはいきなりに人差し指を立てて叫びだした。
「騎士は、いかなる時も諦めてはならない!」
(・・・・・・・間違いない、こいつ真性のバカだ)
ルイズのその評価はあながち間違いでもなかった。
「とにかく、今後は私に黙って勝手な行動を取らない事。そして私の言いつけはちゃんと守る事、いいわね」
「まあ、そんな心配するな。とにかくルイズを守ればいいんだろ?」
「それだけじゃないわよ。あと掃除洗濯雑用全部ね。あと呼ぶ時はご主人様と呼びなさい」
本来使い魔の役目は、主人の目となり耳となること、使い魔の望む秘薬の材料などを見つけてくること、主人を守ることの3つなのだが、前者の2つは不可能であるため、アデューにできるのは最後の主人を守るという事ぐらいだ。
が、それだけでは釣り合わないと、食事と寝床を供給する変わりに身の回りの世話をするという条件になったのだ。
元々1人旅をしていた自分にとってはいつもの事だと割り切ってその条件を飲んだのだ。
「でもこんなそんな剣で私を守るなんて出来るの? 黒い剣なんて見たことないけど、いかにもナマクラじゃない」
ルイズはアデューの背負っている剣を指差した。
アデューが気絶している時に抜いてみたらしい。
たしかにアデューの剣は刀身から柄までほとんどが黒一色となっているが、錆びているわけでもない。
一体どんな物質なのか、それすらもまったく予想がつかない。
少なくとも鉄ではないのは確かだ。
お世辞にも立派な剣とはいい難い。
唯一、柄に埋め込まれた緑色の宝石は、吸い込まれるような美しさをかもし出している。
「安心しろ。そこいらの剣よりよっぽどすごい剣だぜ」
アデューその剣を抜いて見せた。
数々の邪竜族を打ち倒した聖霊石の武具『聖騎士の剣』。
母から譲り受けて以来、ずっとアデューを守ってくれた最高の武器だ。
「それに俺の剣の腕だってかなりのもんだぜ、俺は昔こう呼ばれたんだ」
そう言って剣を鞘に収めて一呼吸置き、再び人差し指を立てて、
「音速のアデュー!」
と胸を張って誇らしげに言い放った。
「オンソクの?・・・」
「ああ、昔俺の剣を見た奴が言ったんだ。俺の剣は音速みたいに速いってな」
「へえ・・・それはすごいわね」
その声には全く信じていないという気持ちに満ち溢れていた。
が、当のアデューはそんな事は意に介さず、
「それに、俺はリュー使いだしな」
と、事のついでのように続けた。
「竜!? あんたドラゴンを操れるの」
今度のルイズは目を輝かせた。
竜を操る使い魔、これは以外と当りだったかもしれない。
「ドラゴン? そんなの操れるわけないだろ」
「はあ、でしょうね」
その言葉を聞いたルイズはがっくりと肩を落とした。
「でも、自分は竜使いだって言ったじゃない」
「リューはリューだ。ドラゴンとは違うだろ」
・・・・・なんだろう、コイツと私との間に何か溝のような物が感じられる。
そのリューについて詳しく聞こうとした時。
「まあ、そんな心配するな。とにかくルイズを守ればいいんだろ?」
「それだけじゃないわよ。あと掃除洗濯雑用全部ね。あと呼ぶ時はご主人様と呼びなさい」
本来使い魔の役目は、主人の目となり耳となること、使い魔の望む秘薬の材料などを見つけてくること、主人を守ることの3つなのだが、前者の2つは不可能であるため、アデューにできるのは最後の主人を守るという事ぐらいだ。
が、それだけでは釣り合わないと、食事と寝床を供給する変わりに身の回りの世話をするという条件になったのだ。
元々1人旅をしていた自分にとってはいつもの事だと割り切ってその条件を飲んだのだ。
「でもこんなそんな剣で私を守るなんて出来るの? 黒い剣なんて見たことないけど、いかにもナマクラじゃない」
ルイズはアデューの背負っている剣を指差した。
アデューが気絶している時に抜いてみたらしい。
たしかにアデューの剣は刀身から柄までほとんどが黒一色となっているが、錆びているわけでもない。
一体どんな物質なのか、それすらもまったく予想がつかない。
少なくとも鉄ではないのは確かだ。
お世辞にも立派な剣とはいい難い。
唯一、柄に埋め込まれた緑色の宝石は、吸い込まれるような美しさをかもし出している。
「安心しろ。そこいらの剣よりよっぽどすごい剣だぜ」
アデューその剣を抜いて見せた。
数々の邪竜族を打ち倒した聖霊石の武具『聖騎士の剣』。
母から譲り受けて以来、ずっとアデューを守ってくれた最高の武器だ。
「それに俺の剣の腕だってかなりのもんだぜ、俺は昔こう呼ばれたんだ」
そう言って剣を鞘に収めて一呼吸置き、再び人差し指を立てて、
「音速のアデュー!」
と胸を張って誇らしげに言い放った。
「オンソクの?・・・」
「ああ、昔俺の剣を見た奴が言ったんだ。俺の剣は音速みたいに速いってな」
「へえ・・・それはすごいわね」
その声には全く信じていないという気持ちに満ち溢れていた。
が、当のアデューはそんな事は意に介さず、
「それに、俺はリュー使いだしな」
と、事のついでのように続けた。
「竜!? あんたドラゴンを操れるの」
今度のルイズは目を輝かせた。
竜を操る使い魔、これは以外と当りだったかもしれない。
「ドラゴン? そんなの操れるわけないだろ」
「はあ、でしょうね」
その言葉を聞いたルイズはがっくりと肩を落とした。
「でも、自分は竜使いだって言ったじゃない」
「リューはリューだ。ドラゴンとは違うだろ」
・・・・・なんだろう、コイツと私との間に何か溝のような物が感じられる。
そのリューについて詳しく聞こうとした時。
「あ~ら、お邪魔だったかしら?」
と、アデューの背後から別人の声がした。
ルイズは驚いた後に苦虫を噛み潰したような表情になった。
後ろを振り返ったとき、そこには一人の女が立っていた。
いや、美女と言うべきであろう。
胸元を大きくはだけた褐色赤髪の美女がそこにいた。
「何しに来たのよツェルプストー」
彼女はツェルプストーというようだ。
彼女の来訪はルイズにとってかなり不愉快な事であるらしい。
「うふふ、ちょっとその珍しい使い魔を見にね」
そう言ってアデューに顔を近づけた。
「ふ~ん、よく見ると結構いい男じゃない」
さらに顔を近づける。
「ああ・・・・ええと・・・・」
美女が自分に迫ってくる。
アデューはこういった事態になれていない。
案の定顔を赤らめて目を泳がせて頬をポリポリと掻いている。
と、泳がせた目線の先にいた1匹の生物が目に止まった。
・・・・・岩トカゲ?
「あら、あなたもこの子の価値がわかるの? ねえ見てこの鮮やかで大きい炎の尻尾。間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ」
そう言ってさらに体を近づけて指まで絡ませてきた。
もはや狼狽して声も出せない。
さらに今度は耳元で囁きかけてきた
「ねえ、あなた騎士なんでしょ。私専属の護衛になってみない?」
「え!? えええ!!!???」
「ふふふ、少なくともヴァリエールの小娘よりは良い待遇で迎えるわよ」
「ちょっと! なに人の使い魔に色目使ってるのよ」
「あら 嫉妬してるの」
一方は怒りに満ちているが、もう一方はやたらと楽しげだ
「うるさいうるさいうるさい!!! とにかく私の使い魔に手を出さないで!!」
ツェルプストーと呼ばれた女性はそのルイズの様子を見て満足したみたいで、
「冗談よ。でも、そちらに気があるのならいつでも歓迎するわ。おいで、フレイム」
そういってアデューから離れ、フレイムと呼ばれた先ほどの生物も彼女に付き従った。
アデューは心の中で(それはもう冗談とは言わない)とひっそりと呟いた。
そうして彼女が部屋を出て行く間際、
「そうそう、自己紹介がまだだったわね。私はキュルケ。『微熱』のキュルケよ。よろしくね」
と、アデューにウィンクをして部屋を出て行った。
「ああムカツク! よりにもよってあの女使い魔にまで・・・いい!今後あの女に誘惑されても付いて行っちゃだめよ」
今までに無いほどの凄い剣幕だ。
元々ちゃんと使い魔となると約束した以上、そんなつもりは無かったが、ここまで言われて引き下がるのも癪であった。
「ちょっと待てよ!お前にそこまで言われる筋合いは・・・」
「い!!い!!わ!!ね!!」
「はい!!!!」
何故だろう。
何故自分は女の子に凄まれると断れないのだろう。
「はあ、疲れた。私はもう寝るわ」
そう言ってルイズは服を脱ぎ始めた。
「ちょっバカ! なに考えてるんだ!!俺がいる時に脱ぐなよ!」
アデューは思わず手で顔を覆った。
「いいじゃない、あんたは使い魔なんだから。あ、あんたは床で寝てね。はい、毛布。それで十分でしょ。あと明日になったらこれを・・・ん?」
アデューは毛布を持ったらすぐに部屋から飛び出してしまった。
「ちょっとこれ!・・・まあいっか。明日言えばいいんだし」
そのままルイズは毛布を被り、深い眠りに付いた。
と、アデューの背後から別人の声がした。
ルイズは驚いた後に苦虫を噛み潰したような表情になった。
後ろを振り返ったとき、そこには一人の女が立っていた。
いや、美女と言うべきであろう。
胸元を大きくはだけた褐色赤髪の美女がそこにいた。
「何しに来たのよツェルプストー」
彼女はツェルプストーというようだ。
彼女の来訪はルイズにとってかなり不愉快な事であるらしい。
「うふふ、ちょっとその珍しい使い魔を見にね」
そう言ってアデューに顔を近づけた。
「ふ~ん、よく見ると結構いい男じゃない」
さらに顔を近づける。
「ああ・・・・ええと・・・・」
美女が自分に迫ってくる。
アデューはこういった事態になれていない。
案の定顔を赤らめて目を泳がせて頬をポリポリと掻いている。
と、泳がせた目線の先にいた1匹の生物が目に止まった。
・・・・・岩トカゲ?
「あら、あなたもこの子の価値がわかるの? ねえ見てこの鮮やかで大きい炎の尻尾。間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ」
そう言ってさらに体を近づけて指まで絡ませてきた。
もはや狼狽して声も出せない。
さらに今度は耳元で囁きかけてきた
「ねえ、あなた騎士なんでしょ。私専属の護衛になってみない?」
「え!? えええ!!!???」
「ふふふ、少なくともヴァリエールの小娘よりは良い待遇で迎えるわよ」
「ちょっと! なに人の使い魔に色目使ってるのよ」
「あら 嫉妬してるの」
一方は怒りに満ちているが、もう一方はやたらと楽しげだ
「うるさいうるさいうるさい!!! とにかく私の使い魔に手を出さないで!!」
ツェルプストーと呼ばれた女性はそのルイズの様子を見て満足したみたいで、
「冗談よ。でも、そちらに気があるのならいつでも歓迎するわ。おいで、フレイム」
そういってアデューから離れ、フレイムと呼ばれた先ほどの生物も彼女に付き従った。
アデューは心の中で(それはもう冗談とは言わない)とひっそりと呟いた。
そうして彼女が部屋を出て行く間際、
「そうそう、自己紹介がまだだったわね。私はキュルケ。『微熱』のキュルケよ。よろしくね」
と、アデューにウィンクをして部屋を出て行った。
「ああムカツク! よりにもよってあの女使い魔にまで・・・いい!今後あの女に誘惑されても付いて行っちゃだめよ」
今までに無いほどの凄い剣幕だ。
元々ちゃんと使い魔となると約束した以上、そんなつもりは無かったが、ここまで言われて引き下がるのも癪であった。
「ちょっと待てよ!お前にそこまで言われる筋合いは・・・」
「い!!い!!わ!!ね!!」
「はい!!!!」
何故だろう。
何故自分は女の子に凄まれると断れないのだろう。
「はあ、疲れた。私はもう寝るわ」
そう言ってルイズは服を脱ぎ始めた。
「ちょっバカ! なに考えてるんだ!!俺がいる時に脱ぐなよ!」
アデューは思わず手で顔を覆った。
「いいじゃない、あんたは使い魔なんだから。あ、あんたは床で寝てね。はい、毛布。それで十分でしょ。あと明日になったらこれを・・・ん?」
アデューは毛布を持ったらすぐに部屋から飛び出してしまった。
「ちょっとこれ!・・・まあいっか。明日言えばいいんだし」
そのままルイズは毛布を被り、深い眠りに付いた。
「はあ、はあ、ホントにアイツは何考えてるんだ・・・・」
ドアを閉めアデューはそのまま座り込んでしまった。
幸い、この廊下は野宿よりはずっとマシだ。
ここで眠っても死ぬ事はないだろう。
だが、こんな日がずっと続くのかと思うと心穏やかではいられない。
このまま逃げてしまおうかとも考えたが、その考えはすぐに排除された。
アイツは確かに言った。
使い魔をやってもらわなきゃ困ると。
「騎士道大原則一つ、騎士は困っているを見捨ててはならない」
それが自分の信念なのだから。
「さて明日に備えて、俺も寝るか」
そうして自分の防具を外して寝る準備を始めた。
そして篭手を外した時、アデューは自分の異変に気が付いた。
「何だこれ?」
自分の左手の甲に見たことのない文字で描かれた紋様が浮かんでいた
ドアを閉めアデューはそのまま座り込んでしまった。
幸い、この廊下は野宿よりはずっとマシだ。
ここで眠っても死ぬ事はないだろう。
だが、こんな日がずっと続くのかと思うと心穏やかではいられない。
このまま逃げてしまおうかとも考えたが、その考えはすぐに排除された。
アイツは確かに言った。
使い魔をやってもらわなきゃ困ると。
「騎士道大原則一つ、騎士は困っているを見捨ててはならない」
それが自分の信念なのだから。
「さて明日に備えて、俺も寝るか」
そうして自分の防具を外して寝る準備を始めた。
そして篭手を外した時、アデューは自分の異変に気が付いた。
「何だこれ?」
自分の左手の甲に見たことのない文字で描かれた紋様が浮かんでいた