あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの7号

物語はいつも、春の召喚の儀式から始まる。
「で、あんた誰よ?」
「ノノです!」
「ノノってなに!?」
「ノノです!」
「いや、だから、えーと、ノノって名前?あんたの」
「はい!」
「わかったわ。あー、あんたって、平民よね?」
「ノノです!」
「いや、それはわかったから、えー、あんた何?」
「ノノです!」
「そうじゃなくって!もう、あんたは、そう、あんたは何をする人なのよ?!」
「ノノは宇宙に行くのです!
 なぜならば!
 ノノはノノリリになるのですから!」
少女が指差すハルキゲニアの空を思わず見上げたルイズの視界の隅で、ピンクのアホ毛が揺れていた。

(ここから画面はモノクロームになります)

――『シャイターンの門』殴りこみ艦隊旗艦 発掘戦艦エクセリヲン艦橋
「あの少女……ノノ君ことバスターマシン7号がこの世界に来てから7年。
 たった7年で我々はここまで来た。空恐ろしく思えることすらありますな」
元学院教師、現殴りこみ艦隊技術中将コルベールが眼前に展開した艦隊の威容に苦笑を浮かべた。
「シャイターンの門の真実を我らが知り、エルフ達が守り続けた封印があと7年で解けることを知ってからの7年だ。必死にもなる」
ガリア国王兼殴りこみ艦隊総司令官ジョゼフの顔には苛立ちがある。かつての無能王には決して見られなかった表情。自分の全てを振り絞ってなお絶望的に全てが不足している現実への苛立ち。
「ノノ君が聖地へ辿り着いた時……エルフ、すなわち偽装のため人型へと進化したバスターマシン達は彼女に道を開き……我々は世界の真実に直面しました」
「何も知らぬまま滅んでいた方が幸せだった、とでも言いたいのか?」
「かつて我々の祖先がこの世界へと逃げてきた理由…それが再び迫っていると知ったハルキゲニア全土を絶望と混乱が包みました」
「だがそれを乗り越え、我々は立ち向かう道を選んだ」
「縮退炉を積んだ第3世代艦で再生できたのはこの船1隻。後は魔法を併用してようやく動く、出来損ないの反応炉をつんだ第2世代艦もどき。頼みの綱のバスターマシンも所詮は我々が回収したデータから作り上げたレプリカ、やつらにどこまで対抗できるか」
「今更だな。悩んだところでもはやどうにもならん。あとは行動するだけだ。やつらを……宇宙怪獣を叩き潰す」

――殴りこみ艦隊所属 トリスティン王国軍旗艦・空母クレマンソー
「いよいよね、腕が鳴るわ」
「ツェルプストー、あんたゲルマニアの方にいなくて良かったわけ?」
「ここまでくれば国なんてどうでもいいじゃない。それに最後はみんなと一緒にいたいしね」
「最後って……縁起でもないこと言わないでよね」
「あら、誤解しないで。7年前に始まったこの馬鹿騒ぎもこれで最後ってことよ。
 まったく、本当なら5年前にはあなたの顔を見なくて良くなってたはずなのに」
「無理に引き止めてないわよ?さっさと帰れば良かったじゃない」
「無理。……学院がバスターマシンパイロット、トップレスの養成所に指定されたから」
「わ、わかってるわよ、そんなこと」
「全く、あなたときたら、7年たってもあきれるぐらい成長しないんだから」
「な、なにがよ!?」
「言わなくてもわかるでしょ?ねぇ、ノノ」
この7年で少女の域を脱し妖艶さがいや増した赤毛の女性が、ピンクの髪の……こちらは7年前と見た目が変わらぬ少女を抱き寄せて、もう一人のピンクの髪の女性の胸のあたりへとわざとらしい視線を送った。
「ノ、ノノ!?あんたも私のことをそんな目で見てたの!?」
「はい、お姉様は凄いです!」
未だにノノにおいつけない自分のボディラインを意識して、顔を真っ赤にしたルイズへとノノが意味不明の回答を返す。
この7年間繰り返されてきた光景にタバサの口元が微かに緩んだ。

ヴーゥ ヴーゥ

警報が艦内に響き渡る。終わりの始まりを告げる警報が。
「いくわよ、タバサ。『トランシス』!」
「……『キャトフヴァンディス』」
「 ちょ、いきなり出さないでよ。待ちなさい、私達もすぐにグレートガンバスターで」
「露払いは任せておきなさいな。主役は後からゆっくりいらっしゃい」
両手両足に砲塔を備えたキュルケの36号と完全に人型のタバサの90号、呼び出された2体のバスターマシンに遅れじと愛機へと駆け出そうとしたルイズは、キュルケの声にいぶかしげな表情で振り返った。
「いきなりなに言ってんのよ、あんた。あたしたち抜きでやれるわけが」
「ダーリンに聞いたわよ。あんたのグレート、マイクロガンバスターが無いからエネルギーが足りないんですってね?ノノちゃんの縮退炉だけじゃフル稼働は一瞬しか出来ないそうじゃない」
「あ、あのコッパゲ、余計なことを」
「そうなのです!今のノノじゃ足りないのです!タルブにはマイクロガンバスターが埋まっていませんでしたので、困っているのです!」
「あんたもあっさり答えないの!」
「ま、通常起動でもトランシスより強いのも確かだけどね。あなたたちは最後の切り札なんだから、力を残しときなさいな、ルイズ」
「……任せて」
飛び立っていくバスターマシン軍団を見送るルイズの瞳には友の身を案じる光がある。
この修羅の7年をともに乗り越えた友との絆は今の彼女にとって何よりも強かった。が
「お姉様、今は……」
「わかってるわよ、それぐらい。でも……。ううん、皆を信じなきゃね。
 エネルギーチャージ始めるわよ、ノノ。いつでもいけるように」
「了解です、お姉様!」

――『シャイターンの門』殴りこみ艦隊旗艦 発掘戦艦エクセリヲン艦橋
「『シャイターンの門』封印破れます!タンホイザーゲート露出!重力場反転、来ます!」
悲鳴のようなオペレーターの叫びに、ジョゼフの指揮が応える。
「全艦隊一斉射撃初め。出鼻を叩け」
「初弾、発射」
ハルケギニア全土の人材・資源をかき集めて作られた大艦隊が一斉に光条を解き放つ。
7年前には想像すらできなかった超技術の結晶。
「弾着!最初に出現した宇宙怪獣は消し飛んだもよ……」
「どうした、報告ははっきりしろ」
「きょ、巨大な敵影出現!確認できるだけで全長数リーグ!」
「! これが兵隊どもの親……『門』が封印してきた巡洋艦級宇宙怪獣ギドドンガスか」
「シールド確認!こちらの攻撃が全てはじかれています!」
「ふん、任せろ。俺の<虚無>を乗せたホーミングレーザーで無効化する。
 ミスターコルベール、アルビオン艦隊に『岩石落とし作戦』発動の指示を。
 宇宙怪獣どもに見せてやれ、自棄になった人間がなにをするかをな」
「了解しました。『岩石落トシ』発動セヨ、『岩石落トシ』発動セヨ」

――アルビオン艦隊旗艦 ヴァンガード
「ウェールズ陛下、エクセリヲンから『岩石落とし』発動の司令が下りました」
「分かった。テファニア、頼む。」
『分かりました、陛下。いきましょう、ディスヌフ』

「……しかし、これでアルビオンも見納めか……」
傍らの女性の沈み込んだ言葉にウェールズは小さな驚きを感じた。
「意外だね、君にとっては悲しい思い出だけがある土地だと思っていたが」
”土くれ”のフーケことマチルダオブサウスダコーダは肩をそびやかして見せた。
「清々するって言ってるんだよ、国王陛下。過去にとらわれて生きるつもりはないからね。
 あんたはどうなんだい?治めるべき祖国を失ってしまって本当に良いのかい?」
「わが祖国のほとんどは今回の疎開の前にたった数体の兵隊級によって滅ぼされている。奴らとの戦いにはあらゆる手段を持ってしなくてならないと、誰よりも知っているのは我々アルビオンの民だ。そう。例え、わが祖国の大地、アルビオンを
    『 本土決戦用特別攻撃最終質量兵器  ア ル ビ オ ン 』
 と化そうとも」

眼下に広がる大地を見て、今日までの日々を思う。悲しいこと、つらいことも多かったけれど、みんなと一緒に生きてきた思い出の場所が脳裏をよぎる。でも。
「みんなを守るために。みんなとこれからを生きるために。力を貸して、ディスヌフ。」
バスターマシン19号ディスヌフがテファの魔力を巨大な「手」に換え。 
「いっけぇええ バスターぁぁぁアルビオぉぉぉン 落としぃぃぃぃい!」
「手」が『アルビオン』を『シャイターンの門』へと投げつける。

――『シャイターンの門』殴りこみ艦隊旗艦 発掘戦艦エクセリオン艦橋
「やりました、ギドドンガス、崩壊します!……え?!なに、これ!」
エクセリヲンから放たれたホーミングレーザーが、ジョゼフの<虚無>の力によってシールドを無効化した瞬間、ハルケギニア大陸を秒速20kmで横断した『本土決戦用特別攻撃最終質量兵器 アルビオン』がギドドンガスへと叩きつけられた。
圧倒的な運動エネルギーの前に『ギドドンガス』が『アルビオン』とともに崩壊する様に快哉を上げようとしたジョゼフの顔が、オペレーターの悲鳴と共に凍りつく。
「ギ、ギドドンガスの影からもう1体、巡洋艦級が」
「ミスターコルベール、これは?」
「いや、もう1体いるわけではないですね。どうやら、『アルビオン』で砕いたのは奴の殻に過ぎなかったようです。あの砕けたものには中身が無い。本体の前に浮かんでいた殻が砕けることで破壊エネルギーを吸収し、本体へダメージが及ぶことを阻止した、ということでしょうか」
「なんてこった。只の囮に切り札を切ってしまったというのか?……」
動揺を抑えきれないジョゼフへと、つとめて平静さを保ちながらコルベールが続ける。
「いえ、ジョゼフ陛下、一概にそうとも言い切れないでしょう。『アルビオン』の全エネルギーを相殺したほどの殻、他の手段で破壊することは不可能に近かったと思われます。奴 の本体にこれで手が届く。そう考えるべきだと考えます」
「物は言いようだな、全く。だが、まだあきらめるには早いということか。……そうだな 我々にできるのは全力でやることだけだ。全艦に攻撃の指示を送れ。本艦も光子魚雷を使」
「陛下、ギドドンガスより兵隊級多数の出撃を確認!な、なんて数?計数不能!レーダー画面上の七割を敵の表示が占めています!」
「敵が7分に空が3分、か。バスターマシン軍団に迎撃させろ。艦隊はあのデカブツに集中だ!」

――旧『シャイターンの門』上空、バスターマシン軍団
「いいわね。いくわよ、みんな。先は長いんだから飛ばしすぎず、陣形を崩さずに戦うのよ」
「…バスタースマッシュ」
タバサの魔力を受け肩から飛び出した冷凍光線の球を巨大なテニスラケットで撃ち放つキャトフヴァンディス。前方に展開した兵隊型宇宙怪獣の群れが巨大な樹氷をおもわせる姿で凍り付いていく。
「って、何いきなり大技使ってるのよ、タバサ。あなた人の話をなんだと」
「見て」
「…っ!」
冷凍光弾で凍りついたはずの宇宙怪獣の群れのほとんどが氷の戒めを破り再び動き出す。
「マイナス1兆2000万度よ?余波だけでもこの宇宙の物理法則を超越しているはず。
 それが直撃した奴以外には通用しないって言うの?」
「これまで私達が戦った兵隊よりも、強い」
「そっか。最大の攻撃をぶつけて、敵の戦力を測ったってこと。」
タバサが昔読んでいた英雄譚で大魔王と戦う竜騎士がそんなことをやっていたっけ。
埒もない思考が一瞬浮かぶが、すぐに振り払う。
「なぁるほど、これは手加減してられる状況じゃないわね。じゃあ、こちらも。 
 収束!バスタぁービぃーーム!」
トランシスの両手両足の連装砲から一斉に放たれた八条のバスタービームが絡み合い炎の竜の姿をとって―その姿は彼女の使い魔フレイムをどこか思わせる―、動き出そうとする宇宙怪獣へと襲いかかる。

――殴りこみ艦隊所属 トリスティン王国軍旗艦・空母クレマンソー
飛行甲板上、そびゆる勇姿は人類の希望、グレートガンバスター。
『ルイズ、状況はわかっていますね?』
幼馴染の女王陛下の表情は固い。
「はい、陛下。1枚目の切り札で勝負が決まらなかった以上、私たちがやるしかないということですね?ノノ、いけるわね?最大出力で一気に勝負をかけるわよ」
その幼馴染の緊張をほぐすように軽い口調で返してみせる。
「はい、お姉さま。どーんといっちゃいましょう」
相棒も合わせてくれ、いや、ノノはいつもどおりか。笑みを浮かべて出撃を告げようとした瞬間、新たな通信が入る。
『いや、いかんぞ、それは』
珍しく慌てた顔の恩師であった。
「オールドオスマン?何故です?」
『ギドドンガスのパワーがエルフの情報から我々が予想していたそれをはるかに上回っておる。先ほどの映像じゃ、見るがよい』
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
『主砲操作不能姿勢維持困難、ワレコレヨリ特攻スル。援護求ム。世界ト女王陛下ニ栄光アレ』
手ひどくやられた大型砲艦サンダーチャイルドがギドドンガスへと突入していく。
突入を助けようと援護する艦はあっても、特攻をとめようとする声はない。
この戦いの意味を誰もが理解し、阿修羅となっていた。

画面中央、ギドドンガスへと突っ込んだ砲艦の自爆により対消滅反応の巨大な爆炎があがり、光量補正のため画面が一瞬暗くなる。

画面が戻ったとき、ギドドンガスの表面は大きく抉れていた。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
が。
「再生した?」ルイズは驚愕の叫びをあげていた。

――旧『シャイターンの門』上空
「冗談じゃないわよ。砲撃なんてほとんど効いてないのに、再生までするなんて」
絶望を突き抜けて怒気をはらんだ声でキュルケが叫ぶ。
「大丈夫。ルイズとノノがいる」
「結局、最後はあの2人頼みか。まったく情けないわね、っと」
いつもと変わらず冷静な友人の言葉に応じながら、バスタービームを解き放つ。
第23波の兵隊はこれであらかた片付いただろうか。しかし、きりがない。
無限の力でもあれば別だろうが、魔力には限りがある。この果てしない増援をいつまでも受けきれるものではない。なんとかして、戦線を維持しなければ。あの二人に全てを委ねるなどと言うことはできない。いくら二人でもこの数の前では擂り潰されかねない。せめて道だけでも切り開いておかなくては。
自分を立て直すための一瞬の思考。だがこの状況での「一瞬」は長すぎた。バスタービームの死角から突っ込んできた兵隊級に気づくのが「一瞬」遅れた。

「タバサ!」
死を覚悟したその「一瞬」に―――飛び込んで盾となったキャトフヴァンディスの姿に思わず悲鳴を上げる。1匹目の突撃を受け、動きが止まった途端に次々と喰らい付いてくる。
「っこの!バスタービーム、拡散発射ぁ!」
8条のバスタービームを表面をかすめるように解き放つ。宇宙怪獣の動きがそれで止まる、が。
   轟  
爆炎をあげ砕け散るキャトフヴァンディス。遅すぎたのか。

爆煙をついて、青い韻竜が現れる。タバサの使い魔、シルフィード。彼女がタバサの体を抱えている事に気付き、硬直しかけたキュルケは息を吐いた。
(早く戦闘空域から離脱させないと。でも)
この魔女の大釜の中から脱出できるのか。

――空母クレマンソー艦上 グレートガンバスターコクピット内
『そうじゃ。このような再生能力は情報になかった』
「六千年の間に進化した」ノノがつぶやく。
「あの殻も、膨大な数の兵隊も巡洋艦型の標準にあてはまらない」
「でも!グレートのフルパワーならあいつを跡形もなく吹き飛ばすことだってできるはずよ」
『そう、確かに可能じゃな。だが、それをやった場合』
「ギドドンガスをグレートが吹き飛ばしたときのエネルギーで地上は全滅です、お姉様。
 この星そのものが砕けちゃうかもしれないです」
「それなら、あいつを宇宙まで運んでから叩けば良いわ。あたしたちならやれる」
『残念ながらそれも無理じゃ。奴がまだ完全にゲートから出てきておらぬのに気がついておるか?』
「引っこ抜いてから持ち上げてやるわよ!」
『オスマン。あなたの認識でさえまだ甘い。事態ははるかに悪い。これを見ろ。ゲートの隙間から向こうの空間へ偵察に赴いた同胞がエーテル通信で送ってきた映像だ』
突然割り込んだヴィターシャルから送られた映像を見たルイズは絶句した。
「ダイバスターなみの大きさです!」
「いくらなんでも成長しすぎでしょ!何千リーグあるのよ」
『ゲートからこいつを引き込んだ日には、重力干渉だけでハルキゲニアが滅びるな』
『とはいえこやつはそのすさまじいエネルギーに物を言わせてゲートを拡張しつつある。このまま座していても、そのうちこの世界へと侵入してきて……世界は終わりじゃがの』
老人達のぼやきに不敵な笑みを返してみせる。
「なら、方法は一つね。奴を押し返してから、ゲートの向こうで消し飛ばす」
が、予想外のところから反論が来る。
「うー。お姉様。それだけだとやっぱりこっちに影響が出るので、ゲートも閉じないと駄目ですけど」
「けどなに?できるでしょ?」
「一つ一つならできても、全部一緒だとエネルギーが足りないです」
「あんたの得意の努力と根性でなんとかしなさい!」
うなだれていたノノがルイズの喝でキュピンと立ち直る。アホ毛もぴんと跳ね上がって天を突く。
「はい、そうです、お姉様。努力と根性です!」
瞳に螺旋が見えそうな勢いのルイズとノノに(流石に)ツッコミが入る。
『こりゃ待てい』
『エネルギー保存の法則を無視するのは無理だと考えます、7号』
「うー、それなら。それなら。……あ、そうよ、忘れてた」
「なんです、なんです?」
「デルフリンガー!」
「……え?なんか呼んだ?気のせいだよな。どうせ俺なんか何の役にも」
まったく出番がなかったためにすっかりいじけているインテリジェンスソード。あまり可愛らしいものではない。
「あんたがハルケギニア世界の救世主になるのよ」
「え?な、なに?出番か?本当に出番なんだな?よっしゃー、任せときな」
「でもデルさんになにをしてもらうんです?」
「デルの吸収能力でエネルギーをかき集めてグレートにチャージするのよ」
『待て待て、そんなエネルギーがどこにあるんじゃ。この艦隊の全エネルギーをかき集めてもおぬしらのフルパワー1秒分にも届かぬのじゃぞ』
「一秒でもないよりはましです、その一秒であいつを吹っ飛ばしてやるわ!」

――旧『シャイターンの門』上空
『キュルケ、早くタバサを回収して後退したまえ。後は引き受ける』
「ギーシュ?この状況でよく気づいたわね」
『今の僕にはたやすい事さ。それより早く!次の集団が来たら僕でもかばいきれない』
「全く、ノノちゃんに吹っ飛ばされて半べそだった子が立派になっちゃって」
自機の前に滑り込んできた27号機ヴァンセットへと軽口を叩きながら、コクピットハッチを開きタバサと(人型に変じた)シルフィードを迎え入れる。
「お姉さまが、お姉さまが大変なのね」
きゅいきゅいと泣く少女を抑えてタバサの状況を確かめる。気を失っているが大きな外傷は無い。とはいえ、強い衝撃を受けたのだろうから早い処置が必要だ。
「ギーシュ!悪いけど」
『任せておきたまえ。今ここにいるのはかつての『青銅の』ギーシュではないのだからね』
「ギーシュ、お姉さまの仇をとるのねー!」

騒がしい友人達を見送りながら苦笑をもらす。旧悪(特に子どもの頃の)はいい加減忘れて欲しいものだ。それにしてもあの時はいったいなんだってノノと決闘するなんてことになったのだろうか?未だに何故ああなったのか、理解が出来ない。まるでブリミルの定めたもうた逃れえぬ運命だとでも
思念の中に送り込まれてきた新たな情報へと注意を移す。手を止めていたわけではないが、もっと集中しろ、とのヴェルダンデからの警告であろう。
ギーシュ用に調整されたヴァンセットはその両翼アンプリファから波動を放ち周囲の状況を探る事ができるが、その情報は人間の脳では処理しきれない。それを触覚や嗅覚という情報を人間とは異なるレベルで処理できるジャイアントモールに肩代わりしてもらっているのである。これが混沌とした戦場でタバサの状況を瞬時に察知できた理由だ。そして、その能力に彼のゴーレム、ワルキューレの操作を組み合わせる事で今の彼は戦場を(局地的にだが)支配することができるのである。
「ありがとう、ヴェルダンデ。さぁ、もう一頑張りしようじゃないか」
金属質の輝きを放つ青い造花を一撫でする。巨大なワルキューレ達と繋がるその薔薇は彼女達と同じ材質で出来ており、今の彼の称名を表してもいた。
「いくぞ宇宙怪獣ども。この『ヱルトリウムの』ギーシュを砕けるものなら砕いてみろ」
理論的に破壊不能な素粒子を2つ名に持つ青年はその名のとおり不壊の壁と化して立ちはだかる。

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