あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの魔獣-10


「クッ! ヴァリエールは 一体何をやっているのよ!?」
キュルケが叫ぶ。
シルフィードの上からは、ルイズの間近に迫るゴーレムがハッキリ見えた。

「女は度胸よ! やって タバサ!!」

タバサは頷き、シルフィードを動かす。 風竜の翼が空を切り、一躍ゴーレムの眼前に迫る。
キュルケが敵の顔面に火球を浴びせる。
土人形相手では効果は望めないが、陽動には成功した。
煩わしそうに振るわれた左手をかいくぐり、シルフィードが自由落下する。
激突寸前で体勢を立て直し、そのまま地面スレスレを飛行する。
「ルイズッ!」
キュルケが両手を伸ばし、すれ違いざまにルイズを受け止め、一気に飛び去った。

「イヤアアァァァ!! マリアが! マリアがッ!?」
半狂乱で腕を振り払おうとするルイズを見て、ツェルプストー家の娘は事態を把握した。
真理阿の最期を思い、褐色の肌から一気に血の気が引く・・・が、
すぐに毅然とした表情に戻ると、ルイズの頬を思い切りはたいた。

「アンタはマリアの主でしょうがッ! 最善を尽くしなさいよ!!」
「・・・・・・・ッ!」
「・・・一旦後退しましょう お願い タバ ― キャッ!?」

シルフィードの動きが一瞬止まり、高度がガクンと下がる。
タバサがその背を撫でると、風竜はすぐに落ち着きを取り戻した。

「シルフィードに何が・・・どこかやられたの!?」
キュルケが問う。
タバサはシルフィードを大きく旋回させ、ゴーレムを俯瞰できる位置に回す。
一呼吸おいて、緊張した面持ちで言った。

「・・・ヴェストリの時と 同じ」
「―そんな!? 幼生とはいえ 風竜の子を怯ませる相手なんて・・・」

『グ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ オ オ ォ オ オ ォ ォ ! ! ! !』

突如、この世のものとは思えぬような獣の咆哮が炸裂し、大気が震える。

ボゴンッ!と、大きな音を立て、ゴーレムの足元が陥没する。
土埃が舞い上がり、やがて、巨大なジャッキでも差し込んだかのように
ゴーレムの右足が、ゆっくりと押し上げられていく・・・。


土煙が晴れる。 その足元から現れたのは、一頭の熊だった・・・。

それは、見るからに普通の熊ではなかった。 一般的なグリズリーよりも、ゆうに二回りは大きい。
さらに驚くべきことに、その熊は自分の五倍近い体格の相手に、真っ向から力比べをしている。

キュルケとタバサは、突然の乱入者に声も出ない。
だがその時、ルイズの思考はまったく別方向に回転していた・・・。

(真理阿が・・・真理阿が生きている!?)

あの大型の熊は、真理阿を踏み潰した右足を押し返しながら出現した。
ならば、真理阿が潰されていない可能性も十分に考えられるハズだ。

一縷の望みが、少女の精神を生へと引き戻し、急速に行動へと駆り立てる。

「そいつを貸してッ!」
言いながら、ルイズは『破壊の杖』を奪って跳躍する。
同時に凍りついた時間が動き出す。キュルケは慌ててレビテーションを唱える。
魔法を受けたルイズは緩やかに落下しながら、戦いの場へと近づいていく。

「アンタ達! マリアから離れなさいッ!!」

そう叫び、破壊の杖を思い切り振るう。 
一回、 二回、 三回・・・ ― 何も起こらない。
五月蝿い蚊トンボだ、と言わんばかりにゴーレムの首が回り、ルイズに向かって左手を伸ばす。

「バッカ野郎ッ!! テメェの相手はこの俺だろうがァッ!!!」
熊が人語で喚きながら、右足を一気に押し返す。ゴーレムの巨体が大きくよろめく。

熊が四足を突く。巨大な体躯が見る見る縮む。全身を覆う体毛が抜け落ち、筋骨隆々とした人間の肌が露出する。
一頭の熊は、瞬く間に精悍な若者へと変貌を遂げた。

男が走る。傍らのデルフリンガーを拾い上げ、槍投げのような投擲体勢に入る。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ま 待てッ!? まだ心の準bうぇrdtvぎゅあああおおお!!!!!!」

叫びにならない叫び声を挙げながら、デルフが一陣の風になる。
ゴーレムの左手を直撃し、瓦礫を飛散させながら大きく弾き飛ばす。
至近距離での衝撃で、ルイズもまた大きく弾かれる。

それを見て男が跳ぶ。空中でバサリと翼が生え揃い、ルイズ目掛けて一直線に舞い上がる。
男はルイズを抱え上げながら一回転すると、そのまま乱暴に着地した。

「なッ!? ア ア アアアンタッ! なっ! ななななんなのよッ!」

ルイズは思い切り動転していた。
無理もない。
幼い頃を除いて、ルイズはこんなにも間近で異性と向き合った経験が無い。
お姫様抱っこも初めてである。
しかも相手は、すっ裸の野獣であった・・・。

「そいつの使い方を教えてやる!」
そんなルイズの様子を、男の方は気にも留めない。
後ろからルイズを抱え込む形で破壊の杖を握り締め、ゆっくり引き金へと手を伸ばす。

「ちょちょちょちょっと! アンタ何を・・・ッ!!」
―男が引き金を引く。
思い切り抗議しようとしたルイズだったが、杖の反動を水月にモロに受け、息が詰まる。
強烈な振動でルイズの全身が痙攣する。
同時に破滅的な機械音が生じ、空薬莢が空中で派手にダンスする。
六連の砲身が高速回転し、毎秒60発の鉛玉がゴーレム相手に牙を剥く。

「こいつは『破壊の杖』なんて洒落た名前じゃねえ!
 こいつはよぉ 『ガトリングガン』って言うんだよおおお!! グワハハハハハッ!!」
友人の身に降りかかった災難を、キュルケとタバサは上から傍観していた。

「アレが『破壊の杖』 なんて威力・・・」
「・・・でも駄目 再生する」

タバサの言う通りであった。
確かに『破壊の杖』は、使いようによってはメイジの一個師団すら屠り去る程の威力を秘めていたが、
巨体と適当な脆さ、再生能力を併せ持つ土人形相手には分が悪かった。
現に目の前のゴーレムは、ハチの巣となりながらも前進をやめない。

「ら、ら、らめよ このままじゃ・・・」

ようやく開放されたルイズは、呻きながら言った。
悠々と片手で『破壊の杖』を振るいながら、男が応じる。

「どうしたルイズ? いつもの『アレ』を見せてやりゃあいいじゃねえか?」
「『アレ』?」
「お得意の魔法をよぉ」

その言葉を聞き、ルイズが一気に逆上する。
何が悲しくて、初対面、しかもすっ裸の男にまで馬鹿にされなければいけないのか。

(やってやる やってやるわよ! とびっきりの魔法を成功させてやる・・・)

ルイズは意識を研ぎ澄まし、思い付くありったけの詠唱を並べる。
杖を思い切り高く振り上げ、怒りの全てを敵目掛けて叩き込む。

―刹那。

ド ワ オ ! ! ! !

これまでで最大級の『失敗』が、ゴーレムの胸元で爆裂する。
全身風穴をあけられ、コルクのように脆くなっていたゴーレムに耐えられる一撃ではない。
胴体が真っ二つにへし折れ、ドウッと仰向けに倒れこんだ。

「やった・・・ やったわ! 全然嬉しくないけど あたしの魔法でやっつけたんだ・・・」
「まだ殺っちゃあいねぇ!!」

『破壊の杖』を放り投げ、男が再び走る。
ひとっ跳びで壊れた人形の懐に飛び込み、トドメを刺すべく両手を伸ばす。これは比喩ではない。
両腕が丸太ン棒のように一気に膨れ上がり、黒々とした毛並みが生え揃う。
同時に、打撃を司る背面の肉が異様に盛り上がっていく。

たちどころにゴリラの筋肉を纏ったその男は、今なお再生しようと足掻くゴーレムに対し
長い両手をブン回しながら、喜色満面、殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴りつける。
傍目には、大の大人が駄々をこねているかのような滑稽な動作だったが、
強烈な打撃音と舞い上がる砂埃が、その破壊力を証明していた・・・。

シルフィードを降り、キュルケとタバサが駆け寄ってくる。

「なんて・・・ワイルドなお方なの・・・」
「野蛮」

目の前で行われている破壊活動に対し、まったく逆の印象を抱いた二人だったが
口にした言葉の意味は同じであった。

ルイズはハッと我に返る。
「そうよッ! マリアはッ! マリアは無事なの!?」

まさか、あのまま本当に踏み潰されてしまったのか・・・?
おそるおそる、ルイズは真理阿のいたクレーターを覗き込む。

―真理阿はどこにもいない。
そこには、無惨に引き裂かれた衣服があるだけである。

「真理阿なら心配いらねえよ」

ようやく泥遊びに飽きたのか、
人間のそれに戻った親指を、自分の心臓の前に持ってきて、男が言った。

「真理阿はよ・・・ ここにいるぜ」


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