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双月の女神 第十章1

繁華街から離れれば、そこは貧困層の平民達が住む裏通り。
あちらこちらに葺かれていないあばら家が散見され、ゴミが散乱して不衛生な通りはぬかるみ、
その道に身体が不自由な老人が腰掛けて物乞いをする。

「・・・・・っ。」

目を背けたくなる衝動を抑えながら、ミカヤ、シエスタと共に歩を進めながらルイズは思考する。
自身の故郷であるヴァリエール領では、このようなことは無かっただろうか?
父たる公爵はどのように領内の政を行っていただろうか?
その様子を見るミカヤの視線は、彼女の貴族として、一人の人間としての成長を傍らで見守る優しいものだった。
暫く歩くと、一枚の銅製の看板が見つかる。

「あちらが私がお世話になっている武器屋です。」

見つけたシエスタが一軒の家屋を指す。
そこには剣の形の看板を下げた、如何にも武器屋といった佇まいの一軒屋。

「そう言えばシエスタ、どうして貴女みたいなメイドが武器屋に?」

ルイズは此処に来るまでに疑問に思っていたことをシエスタに訊ねる。
すると、困ったようにしつつも、誇らしい笑みを浮かべながら彼女は答える。

「死んだお祖父ちゃんが私に剣術を教えてくれたんです。自分の身を守れるように、て。」
「あ・・・、そっか。ごめんなさい、余計な事を聞いて。」

触れてはいけないものに触れてしまったような罪悪感を感じたルイズはシエスタに謝罪する。
亡き彼女の祖父の事に触れたこともそうだが、何よりも彼女は平民であり、女性。
自衛の為に武器を取ることはそう珍しいことでは無いのだ。

「お気になさらないでください。」

しかし気にした様子は無く、此方を逆に気遣うシエスタはそう話す。
石段を上がり、羽扉の前に立つと、彼女は二人に声をかける。

「店長は馴染みの客の人以外には気難しい人なので、失礼をして先に入りますわ。」
「ええ。」
「いいわ。」

ミカヤとルイズがそう返したのを確認すると、シエスタは先に店内へと入った。




ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~

第一部 『ゼロの夜明け』

第十章 『魔剣デルフリンガー(ミカヤの章)』





「こんにちわ。」

シエスタが挨拶をしつつ羽扉を開くと日中にも関わらず薄暗く、壁に棚にと多くの武器が陳列され、
ランプの明かりをともす店内が見える。
店の奥には如何にも偏屈そうな、齢は50程になろう店主らしき男性がカウンター内に腰掛けていた。

「おや、いらっしゃいシエスタちゃん!今日はお休みかい?」
「はい。今日の掘り出し物を探しに来ました。」

常連客である彼女を確認した店主は笑顔になり、濁声で声をかける。
シエスタに続き店内に入って来たミカヤとルイズ。
身に着けているマントは各々形が違えど、彼女達がメイジであろうことが分かる。
店主は彼女達を一度見やると、シエスタに尋ねる。


「其方の若奥様方は奉公先の方々かい?」
「はい。御奉公先でお世話になっているミス・ヴァリエールと、仕事仲間のミカヤさんです。」
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールよ。」
「ミカヤと申します。」

シエスタの紹介からルイズは貴族らしく胸を張りつつも棘のない笑みで名乗り、ミカヤは慈母の微笑で会釈する。
二人を値踏みするように二人を注視する店主。
自身の眼鏡に適った者以外の客には二束三文の粗悪品を売るという、詐欺紛いの商売をしている彼ではあるものの、
それだけに観察眼は鋭い。

「こいつはご丁寧に、若奥様方。狭苦しいとこではありやすが、ゆっくりしていっておくんなせぇ。」

店主はミカヤ達を『客』として認め、笑みを向けた。

「若奥様方用に念込め済みの杖や杖剣がございやす。掘り出し物も御所望でしたら、珍しい杖や魔道具もお見せしますぜ?」
「ええ。見せてもらえる?」
「お願いします。」

杖や魔道具を売っていると聞き興味を持ったルイズと、自身が求める魔導書や杖があるかも知れないという望みから
そう申し出るミカヤ。

「承りましたぜ。少しお待ち下せぇ。」

そう告げると一度奥へと入り、カウンターの上に奥から持ってきた幾つかの剣や杖、杖剣、魔道具等を広げて見せる店主。

「鉄に鋼、ましてや銀ではタルブ物には勝てる物ぁ無ぇから、あちこちから見たこと無ぇ掘り出し物を買い上げて来たんだ。
どうだい?」
「そうですね・・・。」

一振りずつ鞘から抜き、シエスタは丁寧に品定めをする。

「へぇ・・・。」

その一方でルイズは杖を幾つか手に取り、ハルケギニアにおける魔法の根源―――精神力の精通を比べている。
そんな彼女達を他所に、ミカヤは一冊の魔導書らしき書物を取った。

「・・・!」

軽く息を飲み、危うく手から落としそうになるのを堪える。
彼女は手元にあるものに対する驚きの表情を隠せないでいた。
使えずとも馴染み深い、紅蓮の炎をシンボルにした赤の表紙。
テリウス大陸にしか存在しないはずの炎の上位の精霊魔法『ギガファイアー』の書だった。
他の書も手に取り、自身の額に刻まれた神の頭脳のルーンの力により、次々に情報を読み取る。
間違い無く、手に取った内の数冊はテリウスの精霊魔法の魔導書であり、手に取るうちにもう一つの発見があった。

(理の精霊達が契約を望んでいる・・・・・。)

テリウスの精霊魔法を行使するには、精霊と契約し、自らの魂を分け与えることが必要。
稀に精霊に愛され、此方に契約を望まれる場合もある。
ミカヤは女神の巫女であった為後者に当たるが、女神の眷属たる光の精霊の加護を受ける者は自然の理を司る
三精霊―――――炎、風、雷の精霊達、または闇の精霊との契約の重複は本来不可能なのだ。
しかし、通常の人間には目視出来ないが、本来なら意思の疎通すら適わない三精霊達が活性化し、
ミカヤに語りかけてきていた。
あらゆる魔道具を行使することを可能にする『ミョズニトニルン』のルーンが、魔法を行使出来るようにしている可能性が
あった。
これらを購入することを決断したミカヤは早速、店主とルイズに持ちかけた。

「これらの書物を戴けませんか?ルイズ、いいかしら?」
「おや、これですかい?それなら一冊新金貨5枚で結構でさぁ。」
「それぐらいならいいわ。シエスタ、お財布を。でも・・・、随分魔導書にしては安いわね?」

ルイズは了承し、シエスタに預けていた財布から新金貨を取り出しながら店主にそう訊ねる。
通常、安価で求められる魔導書でも新金貨10枚は下らない。これほどに製本のしっかりとしたものならばその倍はついても
可笑しくはない筈の代物が一冊新金貨5枚は破格も良いところだ。

「へぇ、書かれてる小節がハルケギニア語で無くて解読も出来無ぇときて、飾りもんにしかなんねぇんでさ。」

テリウスにおいても『古代語』の習熟には充分な知力と努力を要する。
初見の者では読めなくても、至極当然であろう。
ミカヤは頭を下げて感謝しつつ、約束を取り付けた。

「ありがとうございます。
もしよければ、またこの型の魔導書を手に入れたら取っておいていただけませんか?」
「心得ました。こっちこそありがとうございやす。」

ルイズは新金貨を20枚取り出し、ミカヤの取った四冊を買い取った。
ちょうどその時、羽扉が開かれ、新たな来客を告げる。

「いらっしゃい!おや姐さんかい。」
「こんにちわ。」
「どうも。」
「あら、サイトさんに、・・・ミス・ロングビル?」

シエスタは不可思議な取り合わせの二人の客―――サイトとロングビルを見た。

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