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ゼロの魔獣-04


「もうやめてよ!! ギーシュ! こんなの一方的じゃない!!」

ルイズの悲痛な叫びが広場に響く。確かに眼前の光景は一方的なものだった。
ギーシュの呼び出した、7体のゴーレム━青銅のワルキューレを前に、真理阿は近づく事さえ叶わない。
ただひたすらに避け、逃げ惑い、攻撃をかろうじて剣で受け止めるだけである。

「そうはいかないよルイズ! グラモン家の名誉にかけて
 当事者であるマリアが音を上げるまでは 攻撃の手を緩めるわけにはいかない」

そう言いながら、しかし、ギーシュはある違和感を感じていた。

平民相手にわざわざ魔法を見せたのは、別にメイジのプライドなどといった大層なものでは無い。
下手に剣を使って、女性に傷つけるのを恐れたのだ。
7体のワルキューレなら安全に相手を捕らえ、屈服させる事が出きる・・・ハズだった。

しかし、対手である真理阿は動きこそ素人そのものだが、
どういうわけか、たまたまワルキューレのいないスペースへと逃れていく・・・。

(まったく、実戦というのは難しいものだ)
目の前で起こっている現象を、ギーシュは自身の手加減のためと解釈した。

一方、真理阿は真理阿で、今後の対応を考えあぐねていた。
彼女の一族には、人の心を読んだり、未来を予知したりといった不思議な力がある。
真理阿自身の言葉で言えば『カンが鋭い』のだ。

かつてはその力をゆえにつけ狙われた事もある真理阿だったが、今の彼女は非力な少女ではない。
人形が何体いようと、繰り手であるギーシュの気配を読めば、回避は容易であった。

しかし、問題はそこから先である。
決着は、いかにして着けるべきだろうか?
ただ負けてやるのは論外だ、かかっているのは主と友の名誉なのだ。
だが、負けないにしても遺恨が残らない形に持ち込みたかった。

(引き分け・・・)

ワルキューレから逃げ惑ううちに、たまたまギーシュの懐に潜りこみ・・・相打ち。
それがベストなシナリオと考えたが、相手は7体である。機会は容易に回ってこない。

(甘いんだよ お前は 気にいらねえ奴は全部ブッ潰してしまえばいい)
不意に胸に沸いてきた凶暴な野性を、真理阿は心の中で打ち消した。

そんな真理阿の思考が届かないルイズは、最早気が気では無かった。
全てはロクに魔法も使えない自分が、決闘などと出しゃばった真似をしたからである。
心優しい真理阿は、その身代わりになろうとしたのだ。
何とか止めねばならない。

(私に・・・私に魔法が仕えたら ・・・魔法・・・?)

そう、ルイズ自身はロクに魔法は使えない。だが失敗のとき、必ず爆発が巻き起こった。
あれをワルキューレにぶつけてやればいい。
決闘を邪魔されたギーシュは怒るだろうが、その時はその時だ。
謝るなり、改めて決闘を申し込むなりどうとでもできる。

(待ってて真理阿 今助けるわ)
ルイズは杖を握りしめ、小声で詠唱を唱えた。

友を思い焦る余り、ルイズは大切な事を忘れていた。
魔法を使う練習は積んでいても、当てる練習はしていなかった、という事だ。
真理阿の方も、目の前の相手に集中する余り、ルイズの思考を汲み取れなかった。

戦場でのミスは甚大な被害を伴った・・・。

ルイズの魔法は、ワルキューレの前方ではなく、その後方で爆裂した。
1体のワルキューレがスクラップと化しながら飛び跳ね・・・

真理阿の腹部に、深々と突き刺さった・・・。




「何!? 一体なにが起こったの!?」
パニックに陥る群集を尻目に、キュルケが叫ぶ。

広場の中央で突然爆発が起こり、青銅の破片が飛んできた。
だが、問題はその先だ。

フレイムが! 比類なき力を持つ炎の化身が怯えている!?
立ち込める爆煙の中に、何がいるというのか。

「タバサ!」
キュルケは、とっさに風の障壁で破片を防いでくれた友人の名を呼ぶ。
「獣臭」
青い瞳の少女は、いつに無く険しい表情で煙の先を見つめていた・・・。



黒煙の中、ギーシュは眼前の光景を呆然と見つめていた。

爆風はワルキューレの背後で起こったため、ギーシュ自身にダメージは無い。
だが、千切れ飛んだ戦乙女の上半身、その凶器と化した頭部は、確かに真理阿の脇腹を貫いたかに見えた。

その半身が、何故か真理阿の足元に転がっている。首から上を除いて・・・だ。
それは砕け散ったというよりも、何者かに食い破られたかのような痕跡だった。

真理阿はと言えば、服こそ破れているものの、腹部には傷跡ひとつない。

「危ねえじゃねえか、真理阿。俺じゃなきゃ死んでたぜ。」
真理阿の声がする。

だが、ギーシュの直感が告げている

こ い つ は 真 理 阿 じ ゃ な い ! !

ギーシュは本能に身を任せ、急ぎ6体のワルキューレを集結させる。

「クズ鉄人形 文字通り 喰いでは無さそうだが・・・」
真理阿が指を鳴らす

「寝起きのウォーミングアップにゃあちょうど言いか!!」
風を巻いて、一匹の魔獣が走り出した―。


「うおおおおおおおっ!?」
ギーシュは絶叫した。目の前のコイツは、まさに魔獣そのものである。

最初の突撃で、たちまち3体のワルキューレが吹き飛ばされた。
遠目には、ただ、ワルキューレが力任せにブン殴られただけに見えた。

だが・・・最初にやられた一体は、鎧をカギ爪のような何かで引き裂かれていた。

別の一体は、巨大な牙で咬み砕かれたかのようだった。

そして最後の一体は、ハンマーで叩き潰されたかのように大きくひしゃげていた。

「くそ! クソッ! くそォッ! いけええェェェェッ! ワルキュゥゥゥレェェェッ!!」
このままでは自分が肉隗と化す。
ギーシュは勇気を振起し、全ワルキューレに命令を下す。

上から一体、下から二体の同時攻撃
魔法が使えない生物では、捌きようの無い攻撃である・・・がッ!

「腹くくるのが遅えんだよおぉッ!!」
凄まじい速度で真理阿が踏み込み、突き出した両手で人形の頭部を握り潰す。

「三匹目ェ!!」
二つの頭部を抱えたまま飛び上がり、上体にひねりを加え、突き下ろされた槍をくぐる。
そのまま喉元に噛み付き、一気に首を引きちぎった・・・。



「ひっ・・・」 ギーシュは思わず腰を抜かす。
蛇に睨まれた蛙の心境を、はからずも彼は理解した。

ペッ、と首を吐き捨てながら、真理阿がうそぶく

「悪いな ここん所負け戦続きでな 俺ァどうにもムシャクシャしてんだ それによ・・・」
言いながら、右手に持った首をギーシュに向けて振りかぶる

「俺は テメェみたいな偉そうなヤツが、大ッ嫌ぇなんだよおおおぉおおおぉぉっ!!」
ギーシュはとっさに目を閉じる。

――が、

青銅の塊はあらぬ方向にスッポ抜け、真理阿はもんどりうって倒れこんだ。

見ると、右手甲のルーン文字━契約の証が、不思議な輝きを発している。

「チッ・・・ 真理阿のヤツめ・・・コイツが首輪代わりってかぁ・・・」
魔獣が呟く。

「わかってんだよ・・・今のオレには お前に逆らう力すら残ってねぇ・・・」

黒煙が払われると、ギャラリーの視線は広場の中央に集まった。
真理阿が地面に突っ伏している。
ワルキューレは、どれも無残な鉄隗と化している。
一方のギーシュは、情けない格好でへたり込んでいる。

ルイズは自分がしでかした事の大きさに耐えられず、腰を抜かしたまま立ち上がれないでいた。

と、ムクリと真理阿が起き上がり、何事も無かったかのように体のススを払いだした。
水を打ったような静けさの中、真理阿はいつもの柔らかい笑顔で言った。

「この勝負、私の負けです。主の魔法に助けられましたから。」


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