あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

発明使い魔イッシン

「暇だな……」
「せっかくの虚無の曜日なのに雨だもんね……」
「ん?」
 学生寮の共有スペースでキュルケ・ギーシュと共に暇を持て余していたルイズの手に、何か当たる箱状の物があった。
「え……? これって……」
「あ……、それ……」
「懐かしいな。子供の頃よくやったな……」
 そう言ってキュルケは、ルイズの手が当たった箱の表面に書かれていた文字を読み上げる。
「『ライフ・イズ・ビューティフルゲーム』」
「何でこんなのがここにあるのよ?」
「ねえ、ちょっとやってみない?」
「はあ? 子供じゃあるまいし……」
「まあまあ、どうせ暇でしょ? あたしこのゲーム大好きだったのよ!」
 そう言い終わるが早いか、キュルケは嬉々として「ライフ・イズ・ビューティフルゲーム」の盤面をセットし始めた。
「よし! セッティング完了!」
「よっと……5ね。1、2、3、4、5と。えーと、何々?」
『魔法学院に入学するもなかなか芽が出ず 追試受験料金貨50枚払う』
「あははっ! 追試だって!」
「う……、うるさいわね!! ルイズ達もさっさとやりなさいよ!」
「まったくくだらない……。ほら……」
「それじゃ私も」
「くっ……、5……。僕も追試……」
「わ……、私も5だわ……。追試……」
「馬鹿ね、あんた達だって同じじゃないの。おっと、2」
『同級生の使い魔を誘惑して魔法で吹き飛ばされる 前の番のプレイヤーより治療費金貨20枚貰う』
「やった! ほら払いなさい、ルイズ!!」
「3だ……。何々……?」
『二股がばれて破局の上決闘で大敗 治療費・関係修復の出費で所持金が10分の1となる』
「くぅ……」
「5ね。え~と……」
『使い魔用の剣を買いに行った先でとんでもない物をつかまされる インテリジェンスソード代金貨20枚』
「くぅ……」
「何かこのゲーム不快ね……」
「あら? そうかしら?」
「妙にリアルというか……」

 ――ガチャリ
 その時、シルフィードを連れたタバサが部屋に入ってきた。
「………」
「あ、タバサ」
「……まさか……そのゲーム……やってるの……」
「え……? ええ……、やってるけど……? え……? 何……?」
「………」
「………」
「あの……、タバサ……?」
 タバサの真剣な表情に、思わず緊張する3人。
「……まあいいか……」
「知らぬが仏とも言うのね……」
 そう言って踵を返すタバサとシルフィード。当然3人は大慌てだ。
「ちょっと!! 何なのよ!?」
「ねえ! 気になるじゃないの!!」
「イッシンかい!? イッシンがからんでるのかい!?」
「……それなら言うけれど……知らない方がいいと思う……」
「いいから早く言ってっ……!」
「そのゲームはダーリンが開発した、その名も『リアルライフ・イズ・ビューティフルゲーム』なのね」
「……大体察しはつくだろうけれど……ゲームで起きた事は今後の人生で実際に起きる……」
『なあっ!?』
「アホか!! 僕は帰らせてもらうっ!! どうせろくなコマが用意されていないんだろう!?」
「やめよやめよっ!!」
「本当にルイズの使い魔はろくな物作らないわね!!」
 席を立とうとする3人。しかし……、
「……ゲームを途中でやめると……有無を言わさず『単身聖地奪還』になって……悲惨な人生を歩む……」
『う……』
 その言葉にピタリと出ていく足を止める。
「え……? じゃ……、じゃあ……」
「ゲームを続けるのね、ダーリンのご主人様達!!」
「と……、とにかく……、何とかこのゲームでいい結果を出さないと……」
「人生が……」
「あ……、あたしからだったわね……。い……、いくわよ……」
「7だわ……。えーと……」
『会社を起こす 資金として金貨500枚払う』
「おお! 会社! という事は私は将来女社長! やった!」
「おっと、職業を選ぶのか。『軍人』にしよう」
「くう……、『補正下着を買う』ですって!? じゃあ私は将来……」
「きゃはは、デブだわ! デブ決定!!」
「さて……、女社長の私の番が……6と……。えーと……」
『友人に騙され破産 無職になったうえ借金金貨1万枚』
「あんたねえー!!」
 すかさずキュルケの火球がルイズに炸裂した。
「なっ、何を……!?」
「こんな事するのはあんた以外いないわよ!!」
「静かにしてくれよ!! えーと、3と……」
『友人に詐欺に遭い 金貨1000枚の借金』
「貴様よくもー!!」
 叫びと共にルイズの横っ面に回し蹴りを決めるギーシュ。
「ちょっと!! 何で私だと決め付けるのよ!!」
「あんた以外に誰がいるの!!」
「最低だな、本当に……!!」
「ふ……、ふざけるんじゃないわよ……。あ……、子供が生まれたわ」
「くうっ、馬車に轢かれる……。まさかあんたが運転してたんじゃ……」
「何で私なのよ!!」
(ん……? あたしのコマの隣……。
なんと!! 宝くじで金貨5万枚!!)
「………」
 クルッ
 キュルケは何食わぬ顔でルーレットをずらし、6に変えた。
「あっ……、おい!!」
「うるさいわね!! 6よ! 最初から6だったでしょ!! 文句あるの!!」
「……あ……」
「え?」
「……やった……ずるをしたら有無を言わさず……『単身聖地奪還』になる……」
「やると思ってたのね。お馬鹿さん!!」
「え!? そ……、そんな!!」

 ――キュルケゲームオーバー 負け組決定!――

「さっ、負け犬は放っておいて続けるわよ」
「くうっ……」
「そうだな」
『友人から偽ダイヤを買わされ大損 金貨5000枚払う』
「貴様ー!!」
 今度はギーシュの右ストレートがルイズの顔面を直撃。
「だから何で私……!!」

 こうしてゲームは続けられ……。
「う……、また子供が生まれたわ……」
 ギーシュの番。
『不審火により家全焼 金貨4000枚払う』
「おいっ! いいかげんにしろよ!! 何の恨みがあるんだ!」
「だ……、だから何で私だと決めつけるのよ!!」
「君以外考えられない!!」

 ――30分後。
「……さて……ゲームも佳境に入ってきた……。……そこで……これまでの各自の人生を振り返ってみる……。……以下の文章参照……」
「最低の人生なのね……」
ルイズ:魔法学院入学→インテリジェンスソード購入→太る→子供生まれる→子供生まれる→子供→子供→子供→子→子→子→子
ギーシュ:魔法学院入学→二股ばれ決闘に敗北→詐欺に遭う→詐欺に遭う→家全焼→大病→詐欺→詐欺→詐→詐→詐→詐
キュルケ:魔法学院入学→同級生の使い魔誘惑→会社設立→破産→馬車に轢かれる→単身聖地奪還
「……特筆すべきはルイズの子だくさん……」
「どーいうペースなの。獣なの、あなた」
「……本当に最低……」
「いや……、違……、タバサ……」
「終わった……。あたしの人生終わった……」
「君は何度僕を騙す気だ!! この疫病神があ~!!」

 そしてさらにゲームは続き、ついに「運命の分かれ道」億万長者と単身聖地奪還の分岐点に……。
「……所持金が金貨1万枚以上あれば億万長者コースへ……」
『ぜ……、全然足りない……』
「……足りない場合は人生最後の大勝負をしてもらう……。
……ルーレットを回し……1が出れば億万長者……それ以外は単身聖地奪還決定……」
「うおー!! いっけー!!」
 ギーシュの回したルーレットの針は、かろうじて1に引っかかっているものの、隣の10に行ってもおかしくないという状況だ。
「お……、おっ!! いいぞ!! そのまま止ま――」
「はっくしょん!!」
「え?」
 ルイズのくしゃみの風圧に押され……結果は10。
「殺すっ!! 僕はお前を殺ーす!!」
 流石にこの事態にギーシュの堪忍袋の緒が切れたようで、ワルキューレにルイズを幾度と無く足蹴にさせている。
「ちょっ……、待……、わざとじゃ……」
『お……、終わった……。人生が……、終わったあ~』
「な……、何でもかんでも私のせいにして……」
「……今のは完全にルイズのせい……」
「死ねなの」
「私は負け犬にはならないわ!! 億万長者よー!! 1出なさいー!!」
 渾身の気合を込めてルイズはルーレットを回す。その結果は……、

「あ……」
 ――1。
「やったー!! 1よ!! 億万長者よ!! 人生の勝ち組よー!!
やった……、やったわ……。やっぱり正直者が最後には勝……え?」
 狂喜するルイズの目の前で、キュルケ・ギーシュはゲーム盤を両手でつかみ……、
『おらー!!』
 盛大に放り投げたのだった。
「なっ……、何を……!?」
「ゲームを途中でやめたからこれであんたも単身聖地奪還よー!!」
「はははは、ざまみろー!!」
「な……、な……、な……」
 次の瞬間、ルイズは怒りに任せて2人に飛びかかった。
「ぶっ殺す!! あんた達ぶっ殺す!! よくもっ……、よくもお~」
「怒ったってあんたの単身聖地奪還は変わらないわよ!!」
「1人だけ幸せになろうったって、そうはいかないんだよ。はっはっはっ!!」
「死になさいー!!」
「あんたが死になさい!!」

「こんにち……は……。え!? 何をやっているのですか!?」
 熾烈な格闘を演じている3人の様子を偶然通りかかって目の当たりにしたコルベールは目を丸くした。
「……『ライフ・イズ・ビューティフルゲーム』で……喧嘩中……」
「はあ? 仕方のない人達ですね。
しかし私がフリッグの舞踏会の余興で当てたゲームをそんなに本気でやるとは、まだまだ子供ですね」
『え……!? 舞踏会で当てた!?』
 その言葉に3人は呆然とする。
「……あんな嘘をまさか本気にするとは……」
「嘘に決まってるのね。お馬鹿さん達なの」
 今日も平和なトリステイン魔法学院であった。



新着情報

取得中です。