あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔の夢-3

 異世界ハルケギニアは魔法世界である。
 科学技術の発展度合はせいぜい中世レベルだ。
 現代文明の機器である洗濯機の存在はどこにもない。
 従って、すすぎ、脱水等、全て手洗いで行うこととなる。

 洗濯機がなくてもそう戸惑う事はなかった。
 コインランドリ-に頼りきりだった1人旅の以前ならともかく、
 菊地啓太郎のクリーニング店の手伝いをやらされてきた乾巧には
 洗濯物を手洗いする仕事にも頻繁に回されていたからだ。
 しかし、幼い頃から親の手伝いをしてきた啓太郎、
 基本的には何でもソツなくこなす真理と違い、
 不器用で怠慢な巧の腕前は彼等のそれと大きく差があった。
 利用客からクレームを受けた事も少なくなかった。

(あいつも絶対、後でこっ酷く言い掛かりをつけてくる客だ)

 未だ夢の中であろうルイズの事を思う。
 手は抜けない。仕事は面倒だが、余計な揉め事はもっと面倒だ。
 できるかぎり慎重に、丁寧に、きめ細かく洗う。
 量が少ないので、早々に大半は洗い終えた。
 が、

(……)
 陽が昇る。 
(…………)
 異世界ハルケギニアに来て初めての朝日を
(…………こいつ、どうすんだ)
 巧は手に掴んだ下着を睨み付けたまま浴びた。

 使い魔の夢

 干しの作業を終えて、部屋に戻ってみると、
 ルイズが寝姿のまま仁王立ちで待ち構えていた。
「どこ行ってたのよ」
「洗濯」
「それ、洗面器?水は?」
「ついでに替えてきた」
「……」
 不満なんだろうか。
「何だよ、言われた事は全部やったぞ」
 ルイズはクローゼットを指差す。
「着替えさせて」
「ガキか、てめえは」
「貴族は下僕がいる時は自分で服は着ないの。
 さっさとやらないと朝ごはん抜きにするわよ」
「チッ」
 早々に痛いとこつきやがった。寝床と食事はこちらの死活問題だ。
 色々あって、巧は東京からこの世界に来てからほぼ丸1日何も口にしていない。 
 今、朝飯を切られるのはマジでやばい。
 ルイズの言うままに従った。

「おはよう、ルイズ」
 食堂に行こうと部屋を出ると、ルイズを呼ぶ声がした。
「おはよう、キュルケ」
 ルイズが嫌そうに声の主に挨拶する。
 褐色肌で赤い髪の女。キュルケと言うらしい。
 デカイ胸が特徴的でブラウスのボタンを外し見せ付けるようにしている。
「あなたの使い魔ってそれ?」
 明らかにバカにする口調で指差されたので、
 巧はカチンときた。言い返してやろうと思ったがルイズに睨まれた。
 代わってルイズが答える。
「そうよ」
「あっはっは!ほんとに人間なのね!すごいじゃない!
『サモン・サーヴァント』で平民を呼んじゃうなんて、
 あなたらしいわ。さすがゼロのルイズ」
「うるさいわね」
 まったくだ。

「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って1回で成功!
 どうせ使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ~、フレイムー」
 キュルケの部屋からのっそりと真っ赤で巨大なトカゲが現れた。
「熱ッ」
 むんとした熱気が巧を襲う。
「火竜山脈のサラマンダーよ~、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
 トカゲでもサラマンダーでもどっちでもいい、近寄るな、暑苦しいんだよ。
 早くどっかに行ってくれ。
 熱いのが何よりも苦手な巧にとってはこの上ない天敵だ。 
「そりゃよかったわね」
 得意気のキュルケに苦々しい声でルイズが言った。

 一頻り自慢して満足したのかキュルケは颯爽と去っていった。
 サラマンダーがそれに続く。
 あの赤トカゲ、別れ際に俺を妙に熱っぽい目で見つめてやがった。気色悪ぃ。
ムッとしたままのルイズと2人きりになる。
「おい、食堂って何処だ、さっさと案内しろよ」
 とりあえず話題を振る。
 あのデカ乳女、気まずい空気だけ残して行きやがって。
 ルイズは大きくため息をついた後、冷やかな目で言った。
「ねぇ、昨日から思ってたんだけど、その口の聞き方なんとかならないの?
 私はあんたのご主人様なのよ、敬意を払いなさい、敬意を」
 何が敬意だ。朝っぱらから散々扱き使いやがって、今度は八つ当たりか。
 昨日もほとんど眠れなかった、腹も減った、疲労と空腹がクライマックスだ。
 もう限界だ。
「うっせぇ、口が悪いのも生まれつきなんだよ。
 そんなこともわかんねぇのか、このバ~カ!」
 売り言葉に買い言葉。戦端は切って落とされた。

「うるさいうるさいうるさい!バカはあんたでしょうが!バカ!」
「バカバ~カ!」
「バカバカバカ!」
「バカバカバカバ~カ!」
「バカバカバカバカバカ!」
「バカバカバカバカバカバ~カ!」
「…………!」 
 ルイズは生真面目な性格である。何をするにも誠心誠意取り組む。 
 勝負事においても同様だ。手加減などしない。全力で相手を圧倒する。
 それが自分の流儀である。
 この低次元の言い争いにおいても
 巧を完膚なきまでに撃ち滅ぼすべく最強のジョーカーが使われた。
「ご、ご主人様をバカ呼ばわりするようなバカ使い魔は、朝ご飯抜きなんだからっ!」 

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