あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

第六部 おまけ


「――・・・やらなければ、いけないのか?」
「ええ、そうよ。ジュン、あなたが自分の手で、やらなければいけないの」

 ジュンは、震える自分の右手を見つめる。

「ルイズ、でも、なんで僕がエレオノールさんを、この手で」
「地球、nのフィールドという秘密を、守るためよ。・・・あたしだって、つらいの」
「そんな・・・!どうして僕が、僕が、この手で、エレオノールさんの・・・」
 ルイズも、肩を震わせて俯いたままだ。

 ジュンは自問自答し続けた。
 どうして、どうしてこんなことになったんだ!?
 どうして僕が、この手で、エレオノールさん・・・




 ある日のハルケギニア、トリステイン魔法学院。
 本塔最上階の学院長室では、今日もオスマンが重厚な造りのセコイアのテーブルに肘を
つき、鼻毛を抜いていた。
 おもむろに「うむ」とつぶやいて引き出しを引いた。
 中から水ギセルを取り出した。
 すると、部屋の隅に置かれた机に座って書き物をしている秘書が杖を振った。
 水ギセルが宙を飛び、秘書の手元までやってきた。つまらなそうにオスマン氏がつぶや
く。
「年寄りの楽しみを取り上げて、楽しいかね?ミス・・・」
「オールド・オスマン。あなたの健康を管理するのも、私の仕事なのですわ」
「ふぅ。そのセリフを聞くと、ミス・ロングビルが戻ってきたような気がするのぉ」
「・・・そのミス・ロングビルとやらにも、同じ事をしようとしていたのですか?」
 といって秘書は机の下に杖を向けようとした。
 オスマン氏は、顔を伏せた。悲しそうな顔で、呟いた。
「モートソグニル」
 秘書の机の下から、小さなハツカネズミが現れた。オスマン氏の足を上がり、肩にちょ
こんと乗っかって、首をかしげる。
 オスマン氏はネズミにナッツを与えつつ、ネズミに耳を寄せた。
「なに、そうか、見えなかったか。残念じゃ」

 秘書は立ち上がった。しかるのち、無言で上司を蹴りまわした。

「ごめん、やめて、痛い。もうしない、許して、エレオノール様」
 エレオノールは、荒い息で、オスマン氏を蹴り続けた。

  コンコン
「失礼致します、アニエスです。王宮からモット伯とワルド伯が参られました」
「うむ、通してくれ」
 扉を開けて入ってきたアニエスの前には、重々しく腕を後ろに組んで客人を迎えるオス
マン氏と、何事もなかったかのように机に座るエレオノールがいた。



           『エレオノールの場合』



 エレオノールはアカデミーをクビになった。
 表向きは『薔薇乙女強奪未遂事件』の責任をとらされてのことだ。一歩間違えれば王宮
とルイズ達との完全な決裂を招き、薔薇乙女を敵に回すという結果に至りかねなかったの
だから。
 その後、学院に就職。現在、オスマン氏の秘書として働いている。

 もちろんヴァリエール家の権威をもって、エレオノールの地位を守る事は出来た。だが
あえてそれは行われなかった。
 ゼロ戦からの通信により、虚無の使い手と知れ渡ってしまったルイズ。未知の技を提供
するジュン。そして薔薇乙女達がいるトリステイン魔法学院。今や、いや今まで以上にハ
ルケギニア全土の注目を集めている。
 堂々と留学してきたイザベラと東薔薇騎士団だけではない。ロマリアからも留学生とし
て若い神官の受け入れを要請されている。その他ありとあらゆる国家・組織の目と手が学
院へ、表に裏に及んでいる事は間違いないだろう。
 アニエス率いる警護隊が学院に常駐しているが、彼等は魔法の使えない平民の女性ばか
り。教師や生徒は皆メイジだが実戦経験に乏しい。軍やトリスタニアの再建に忙しい今、
これ以上学院に人を裂けないという国の事情。
 ヴァリエール公爵夫妻としては、ルイズ達を学院から呼び戻して公爵家にて守りたいと
考えていた。だがそれは完全に拒絶されてしまった。なので、エレオノールがルイズ達を
守るために学院に来てくれることになった。
 これにはアカデミーも、何故かとてもとても積極的に同意してくれた。

 というわけで、学院にてエレオノールを受け入れさせられたオスマン氏。そして教員の
空きはなかった。空いていたのは、自分の秘書だけ。
 学院長はフーケが秘書をしていた過去を懐かしむ毎日であった。




 オスマン氏の前に立つのは二人の貴族。ジュール・ド・モットと、ワルド。
 モットは読み終えた書簡をクルクルと丸めてオスマンに手渡した。
「以上です。やはり艦隊の再建には、アカデミーのみならず学院の協力が必要ですな」
「だからとて、コルベール君とジュン君の派遣、というのはじゃなぁ・・・」
「聞けば、かの鉄の鳥の残骸を調べ上げる毎日とか。あの機動力を艦隊に生かせれば、ど
れほどのものかは言わずもがなかと」
「残骸なら、アカデミーにも送ったじゃろ?」
「かのシュヴァリエは半分に出来ませんからな。はっきりいって、アカデミーではお手上
げの状態です。何故あれが宙を舞えたのか、それすら分からないと」
「やれやれ。とはいえ、当人達が首を縦に振らぬ事は明白じゃ」
「そこを学院長のお力で・・・」
 そんな二人のやりとりを、ワルドは退屈そうに後ろで黙って聞いていた。しばらくして
交渉をモットに任せ、学院長室を退室していった。


 ワルドはコルベールの研究室にやってきた。
  コンコン
 ワルドが扉をノックするが、返事はない。
  コンコンコンコン
 さらにノックする。が、何か話し声が聞こえてくるのに、やっぱり返事がない。
 彼は、掘っ立て小屋の横にまわり、窓から中を覗いてみた。
 そこには、机を挟んで熱心に話しをしている師弟の姿があった。


 自分たちの身柄が知らない所でやりとりされてるなんて気にもせず、当の二人は今日も
実験室にこもっている。
 激しい異臭が染み付き、様々な試験管・薬品・地図などが散乱する掘っ立て小屋の中、
二人は机の上に広げたものを見比べていた。それは二枚の細長く黒い板。黒い板の表面に
は白い横スジが走っている。一枚の板にはぼんやりとした5~6本、もう一枚には2本の
スジがくっきりと浮き出ている。
「信じられませんぞ・・・本当に『観測する』という行為だけで、『かんしょうしま』に
差がでましたぞ」
「僕も『干渉縞』なんて初めてみましたよ。この実験は話しか知らなかったんですけど、
まさか本当に、こんな見事に差が出るなんて」
「これが君の言う『りょうしろん』の中の『物質の波動性証明』なのですな!?
 いやはや、全く信じられない。光と電気と、その辺の物が全て同じ物で、しかも波の性
質をも併せ持つとは!
 だが、正直、その波が『存在の確率』の波だというのが、今目の前にしても信じがたい
のだが・・・」
「それは、僕にもよく分からない話なので・・・。でも、これでこの前僕が描いた元素周
期表について、どうしてあんな風な並びになっているのかは説明出来る・・・はずです。
難しくてサッパリなんですけど」
「いやいや!今はこれで十分ですぞ!さぁ、次はこちらの」
  トントントン
 窓枠をワルドが叩いて、ようやく二人は来訪者の存在に気がついた。


 コルベールとジュンは、ワルドと机を挟んで座っている。ワルドは彼の調べてきた事実
を二人に語っていた。
「なるほど、やはりエルフとのコネクションは見つかりませんでしたか。まぁ、しょうが
ない話しですぞ」
 コルベールはガッカリした様子でワルドの話しを聞いていた。
 ジュンも落胆を隠せない。
「やっぱりハルケギニアには、エルフと話の出来る人はいないのかな」
 ワルドも溜め息混じりで話しを続ける。
「全く、困ったモノさ。この調子では、我々自身がエルフの国と国境を接しているガリア
まで足を伸ばさないといけないかもな」
「いやいや!あのジョゼフという男は、とても信用出来ないですぞ!ガリアを迂回するな
り考えないと」

 ジュンは先住魔法やエルフの技術を知るために、コルベールは『東方』を自分の目で見
るために、ワルドは聖地へ行くために。どうにかして聖地のエルフと接触出来ないかと頭
を捻り続けていた。
 だが今のところ、さしたる成果は得られていないようだ。

  コンコン
 研究室の扉がノックされた。入ってきたのはエレオノール。
「失礼します。モット伯が帰られるそうですわ」
「おっと、そうか。お邪魔したね。それじゃ二人とも、また何かあれば連絡するよ」
 そう言って出て行こうとしたワルドに、ジュンはこっそりと一枚の紙片を手渡した。



「妹の使い魔に、ご執心のようですわね」
「救国の剣士、始祖の再来たる虚無の使い魔、『東方』の若き技術者、そして一人の女性
を巡るライバル。執心なのは当然ですよ」
 二人は学院の門へ、並んで歩いている。エレオノールのメガネが、一瞬キラリと鋭い光
を放つ。
「そうですわね。でも、お気を付け下さい。『良い英雄とは、死んだ英雄だけだ』という
言葉もございますの」
「ふっふっふ。美しい顔で怖い事を言うモノだね、心するよ。ところで、僕のフィアンセ
はどうしているかな?是非会っていきたいのだが」
「授業中ですわ。・・・あの」
 エレオノールは急に歩みを止め、ワルドの方を向き直った。
「ルイズの事なのですが。何か、その、少し変わったと思われませんか?」

 さっきまでの事務的な態度とは違う、姉としての表情に、ワルドの顔も少し和らぐ。

「そりゃあもう、凄く変わったとも!魔法が使えるようになって、すっかり自信もついた
ようだし。国の将来を担う人材としての自覚が」
「あ、いえ、そうではなくて、いえそれもあるんですけど、それとは違って・・・その、
ですね・・・」

 エレオノールは、言いにくそうに視線をそらし、頬を染め、口元に指を当てる
 その仕草に、ワルドもピンと来る。
 オホンッと一つ咳払いして、小さな声で姉の耳元にささやいた。

「もちろんレディとしても、成長しているようですね。まだまだ少女のようですが、将来
は殿方の視線を集めることでしょう」
「はぁ・・・それは、姉として嬉しい限りですわ」
 と言いつつも、何か納得出来ない感じのエレオノールだった。




 夕暮れのトリスタニア旧市街。
 急ピッチで進む新市街建設の仕事を終えた人々が集う安酒場。その中に、妙に気品のあ
る男女が酒を酌み交わしていた。
「あははははっ!その姉貴はねぇ、妹に抜かれるんじゃないかと気にしてたのさ!」
「特に、胸かい?」
「あったりぃー!あのタカビーの胸、ぜぇったい布きれ詰め込みまくりだわ。『最近、妹
の胸が大きくなってきた』って、対抗心燃やしてるんだろうねぇ!」

 でも、話している内容は品がなかった。

「くははははっ!まさに骨肉の争いというヤツだ!マチルダよ、お前の爪の垢でも煎じて
飲ませてやればどうだ?」
「やなこったい。クソッタレの貴族共にくれてやる物なんか1ドニエたりと持ってないん
でね」
「おやおや、それでは今日の酒代も、このワルドのおごりかい?」
「・・・あんた、女に払わす気だったのかい」
「冗談だ、そう睨むな」
「わかってるさ。それよりも、今回は何をもらったのさぁ?」
「うむ、これだ。・・・といっても、相変わらず俺にはサッパリ意味が分からん」
 といってマチルダに手渡したのは、ジュンから受け取った紙片だ。そこには、ハルケギ
ニア語に翻訳された元素周期表と説明文が書かれていた。


――ワルドと『土くれのフーケ』ことマチルダ・オブ・サウスゴータは陽気に酒を酌み交
わしていた。
 フーケはもちろん今でも指名手配されてはいた。が、薔薇戦争のゴタゴタですっかり存
在を忘れ去られた。張り出された手配書は街と共に焼け、人手不足のため新しいものも未
だ掲示されていない。新たに盗みを働かない限り、直接フーケの顔を見た人物でないと彼
女が誰だか思い出せない。そして平民と貧乏貴族ばかりが来る安酒場に、彼女と面識のあ
る人はいない。
 現在、彼女は盗みよりも確実で、安全で、効果的に『貴族に一泡吹かせる方法』を思い
つき、日々実行していた。貴族の権威を根本的に、かつ合法的に失墜させる方法を――


 紙片を受け取ったマチルダも、一応は目を通す。でも、いくら目をこらしてじぃーっと
見つめても、説明文を読んでも何のことだかサッパリ。
「う~む、相変わらずあの坊やの言う事は分からないねぇ。でもま、ゲルマニアの鍛冶職
人あたりなら、意味がわかるんだろうよ。いつものように、安く広く売りさばいてくるさ
ね」
「うむ、頼んだぞ。ジュンも貴族の傲慢さには腹を立てているからな。お前が彼の技術を
広めれば広めるほど、平民の地位は上がり貴族の権威は失墜するんだし」
「任せな。ところで、夜はまだまだ長いんだ。今夜はとことん付き合ってくれるんだろう
ねぇ?」
「もちろんだとも」
 二人は嬉しげに乾杯を繰り返した。




 さてさて就寝の時間。場面はトリステイン魔法学院。
 人間は汗をかいたり垢がでるので、風呂に入らないといけない。でもエレオノールはま
だ風呂には入らず、自分の部屋で書類に目を通していた。
 夜も更けた頃、コンコンと彼女の部屋をノックする人がいた。
「夜分失礼致します。ローラですが、ルイズ様達が入浴に向かわれました」
「ご苦労、下がってよろしい」
 その報告だけ聞くと、エレオノールも浴場へ向かった。


 学院の風呂場は本塔にある。半地下構造で、5体のゴーレムが警備している。窓ガラス
は魔法がかけられ、外からは覗けないが内側からは外が見える。固定化と魔法探知装置も
つけられている。
 男子生徒諸君は「余計なところに大金かけやがって!」と恨みをつのらせていた。


 そんな要塞のごとき女風呂の脱衣場に、ルイズとキュルケとタバサの3人がいた。
 『女3人寄ればかしましい』と言う。この場合ルイズとキュルケの二人がかしましかっ
た。制服を脱ぐ手より、口の方が忙しい。
「ふっふんだ!何よ、おっきければ良いってもんじゃないのよっ!いずれ、そんなの、垂
れちゃうんだからっ!」
「あぁ~ら、そぉれは大変だわぁ~。気をつけないとね。ルイズは良いわねぇ~、垂れる
心配ないんだしぃ」
「くぅぉっ!これからよ!見てなさい、絶対ぜぇったいっ!将来素敵な胸になるんだから
ね!」
 黙って聞いてたタバサが、ポンとルイズの肩に手を置いた。大丈夫、とでも言いたげに
コックリと頷く。
「・・・何よ」
「ジュンは、胸の大きさを気にしてない」
 瞬間ルイズは、風呂にまだ入ってないのに全身真っ赤になった。
「にゃにゃにゃにがにゃにがよーっ!!じゅ、ジュンは、関係ないわよっ!」

「あらあら、楽しそうね」
 さらに脱衣場に入ってきた女性がいた。エレオノールだ。
 とたんにルイズは真っ青になった。
「あ!姉さまっ!ど、どうしたんですか!?こんな時間に、お風呂なんて」
「ちょっと書類に目を通していたら、遅くなったのよ・・・あなた達、何それ?」
 そう言ってエレオノールは不思議そうに3人を見渡した。

 3人は制服を脱ぎ、下着姿になっていた。
 ショーツについては、見た目ごく普通。ルイズはピンク、タバサは白、キュルケは黒
の、貴族の淑女が普通に履いているものだ。だが、上が違った。3人とも、ブラジャーを
着けていた。
 キュルケの巨乳には黒のブラ。上側はレースで、その下から褐色の肌が透けて見えてい
る。彼女のむせ返るほどの色気を生かしたチョイス。
 タバサは青のスポーツタイプブラ。小さくて形の良い胸を、動きやすくもしっかりガー
ド。北花壇騎士として動きやすいものをゲット。
 そしてルイズはピンクの、地球では一般的なブラ。ささやかながらもふっくらとした胸
を優しく包む。

  ―――下着の解説はおいといて―――

 エレオノールの目はブラに、特にルイズのブラに釘付けだ。
「あ、姉さま、えっと、これは、その・・・」
「おちび・・・もしかして、それもジュンが?」
「あうぅ、その、はい、そうです・・・」
「まあぁ、『東方』の下着ですか。それにしても、女性用下着まで作れるとは、一体あの
者は何者ですか?」
「え、えと、その・・・なんというか。趣味が洋裁とかどうとか・・・」
「洋裁が趣味とは。・・・それにしても、剣士としてだけでなく、仕立屋としても一流な
のですねぇ」
「うぅ、その、えと」
 ルイズはしどろもどろ。キュルケとタバサも顔を合わせて困り顔。

 エレオノールは、ルイズのどもるセリフを右から左へ聞き流していた。
 彼女の目は、ルイズの胸をじっと見下ろしている。この間まで平らだったはずの彼女の
胸には、ちょっとだけ谷間が出来ていた。
 姉は、自分の胸と見比べた。何度も何度も視線を往復させた。
 そして、心の底から敗北感と劣等感に襲われた。
 わざわざメイドにルイズの入浴を報告するよう命じたのに、結果は目の前の現実に打ち
ひしがれるだけだった。


――3人ともヴェルサルテイル宮殿襲撃について話し合った際に、のりや巴から勧められた
ブラジャーがすっかり気に入ってしまった。ハルケギニアはキャミソールやコルセット、
それにシミーズはある。でもブラはない。
 地球の科学・工業はハルケギニアを遙かに上回る。当然、下着に関しても日本で売って
いるモノは、素材から縫製からハルケギニアのそれとは比べものにならない。着けていな
いかのようなフィット感、肌触りの良さ、日常生活でも邪魔にならず、デザインは芸術の
域。しかも丈夫ときたもんだ。
 というわけで、3人とも普段からブラをつけるようになった。でも、ばれると「どこで
手に入れたの?」と聞かれる事間違いなし。だから3人とも、誰もいない夜更けに入浴し
ていた。
 だが、とうとうバレてしまったワケである――


 キュルケが誤魔化すように、二人の間に割って入った。
「ま、まぁまぁエレオノール様。そんな事はおいおい話せば良い事ですわぁ。それより、
早く入らないと風邪をひいてしまうわよ」
 と言ってさっさと下着を脱ぎ捨て、浴布を片手に大浴場へ入っていった。タバサもヒョ
イと脱ぎ捨てて、杖を持ったまま後に続く。
「あ、姉さま!私達も、ほら!」
 ルイズもそそくさと大浴場へ入っていった。



 浴槽は、横25メイル、縦15メイルほどもある。貴族の浴場らしく、はられたお湯に
は香水が混じっている。
 ルイズとエレオノールは並んで、弧を描く壁に背をつけて、浴槽につかっていた。

 ルイズは細い手足を無造作に投げ出し、ゆらゆらと揺れる水面を見つめる。
 キュルケはその身体を誇示するかのほうに、壁際に設けられたベンチに足を組んで腰掛
け、壁から噴き出る蒸気に身をゆだねている。
 タバサは、キュルケの隣で本を読んでいる。
 エレオノールは、改めて自分の胸を見た。浴布で隠してはいたが、やっぱり布一枚では
隠せないほどの、貧乳。ちょっと前までは、末っ子のルイズとそっくりだったはずのペッ
タンコ。


 まさか、ちびルイズに負けるなんて!
 そりゃ、おちびが魔法を使えるようになったのは嬉しいわよ。ヴァリエール家の名に恥
じないメイジになって、姉としても鼻が高いわよ。
 でも『虚無』って何よ!この姉をさしおいて、どういう事よっ!
 おまけに、胸まで・・・胸まで!


 と、怒りが顔に出るのをこらえつつ、チラリと隣のルイズを見る。
  ?
 さっきと何か違う?

 エレオノールは、妹の細い身体をよーく見直した。シミ一つ無い、ほんのり桜色の肌を
くまなく見つめてみた。特に胸を。

 え?無い?無い、無い!
 さっきまでの、胸が、谷間が、無いっ!!

 もう一度、自分の胸と見比べながら、よぉ~っく見てみた。


  ♪ペッタンペッタンツルペッタン♪


 そんな謎のBGMが頭の中に流れてくるほど、二人並んで洗濯板。悲しくなるほど真っ
平ら。
 そんなせわしなく往復する姉の視線に、妹も気付いた。
「?・・・どうしたの?姉さま」
「え??い、いえ、なんでも、ないの」
 今度はエレオノールがぎこちなく誤魔化した。


 そして4人一緒にお風呂を上がり、下着に身を包む。
 エレオノールは、もう一度ルイズを見直した。
 その胸には、どこからか、再び可愛いふくらみと小さな谷間が現れている。

「る、る、る・・・」
「はい?」
 妹は、見た。
 般若のごとき姉を。
「ルイズうぅうぅーーーーーーーっっっ!!!」




「どうして僕が、僕が、この手で、エレオノールさんのブラジャーを作らなきゃいけない
んだ!!しかも、よせあげブラなんて、作り方しらねーってのっ!!」
「しょーがないでしょーがっ!!もう姉さまったら、すごい剣幕で、とても断れなかった
のよぉっ!」

 というわけで、ルイズの部屋に戻って来た一行は、この困った事態をジュンに話したの
であった。トランクで寝ていた真紅と翠星石も起き出してきた。

「無理、絶対ぃっムリ!!今すぐ断ってきてくれよっ!」
「だ、ダメよ、そんな恐ろしい事・・・出来ないわ。それに、姉さまの気持ちも分かるん
だし・・・」
 タバサが、ポンとジュンの右肩を叩いた。
「あなたなら、出来る」
 真紅も、ポンと左肩を叩いた。
「ジュン。あなたの裁縫の腕は、もともとマエストロ(神業級の職人)よ。あなたに作れ
ない服はないわ」
 翠星石が、ジュンの目の前に裁縫道具を持ってきた。
「人間はぁ、諦めが肝心ですぅ」
 キュルケが、椅子に座ったままケラケラ笑う。
「だぁいじょうぶよぉ!サイズだけ測って、地球で似たサイズのヤツを買ってきて、あと
はちょっと手直しとかしたらいけるわよぉ♪」
 キュルケの言葉に、ルイズがポンッと手を打った。
「それよ!というわけで、ジュン、早速姉さまのサイズを計ってね」
「あのな、おまえらな、僕に計ってこい、と言うワケか?」
 全員が、コクリと頷く。
「ジュンよ、役得というヤツだ。頑張れよ」
 のんきなデルフリンガーのセリフに、ジュンはどんどん青ざめていく。

「あのさ、計るだけなら、別に誰でも出来るんじゃ?」

 一縷の望みを託したジュンの言葉。でもキュルケは、残念でしたぁ、とでも言いたげな
顔で首を横に振る。
「悪いんだけど、それじゃ『ジュンが作る』という点に説得力が出ないわ。何しろ、あた
しとタバサの下着もあなたが作った、ということになっちゃったんだものぉ。ねぇ?」
 キュルケに話しを振られて、タバサはコクコクと頷く。
 真紅も、申し訳なさそうに口を開く。
「それに、やはりあなた自身が計ってブラに手を加えないと、エレオノールの胸にフィッ
トした良い下着は作れないわ。それが出来るのは、マエストロたるジュンだけだわ」
「そおですねぇ。せぇっかく私達を守るために学院に来てくれたんですからぁ、昔の事は
水に流してですねぇ、良い物をプレゼントするべきですぅ」
 翠星石の言葉が、さらにジュンを追いつめる。

「お前等、楽しんでないか?ぜってー、僕をいじめて楽しんでるだろ!?」

 そんなジュンの言葉に室内の全員が、そんなわけないじゃなーい、考えすぎ、私だって
辛いのだわ、なんて言葉が返ってくる。なんだか楽しげに。
 絶対明らかに楽しそうなキュルケが、彼に裁縫道具の入った箱をポンと手渡した。
「ま、向こうもブラ一個で納得してくれるんだし。分別ある大人なんだから、おかしなマ
ネはしないわよ。ジュンちゃんも子供じゃないんだから、計ってくるだけだし、大丈夫よ
ね?」
「ばっバカにするなよな!わーったよ、まったく、どいつもこいつも・・・」

 ブツクサと文句を言いながら、ジュンはエレオノールの部屋へ向かっていった。



 さて、ルイズの部屋には女性陣とインテリジェンスソードが残されたワケだが、
「とは言ったモノのよぉ、大丈夫かねぇ?」
 とのデルフリンガーのセリフに、真紅が少し不安な顔になる。でもルイズは余裕な顔。
「だーいじょうぶよぉ!ジュンはオコチャマだもの、姉さまに手を出せるはずがないわ」
「いやいやいや。あいつも薔薇戦争辺りから、すっかり男になったじゃねぇか。いつまで
も子供扱いしてると、痛い目みるんじゃね?
 例えばよぉ・・・

 ――やっぱりエレオノールさまは、ルイズと違って大人の女性の魅力がありますね
   あ、何をするのですか、胸のサイズを測るだけですよ!およしなさい!
   夜分に女が男を私室に呼び込む意味、分かってらっしゃるでしょう?
   そ、そのようなことは!ああ、誤解なのです、やめて、お願い――

 てな感じで、その場の雰囲気で思わずってことも・・・ねぇかなぁ」

 ジュンとエレオノールの声色まで使ったデルフリンガーの演技。
 だが、全員が『背が低くて見た目が子供で女性に関してはサッパリのジュンが、気が強
くて自尊心の高い長身のエレオノールを押し倒す』シーンを想像し、100%ありえない、
と改めて結論づけた。

 ルイズも「はぁ~」と呆れて溜め息をついてしまう。
「ジュンが、姉さまを襲うなんて、絶対にありえないわ。そして姉さまは、ヴァリエール
家の家名に見合わない男は相手にしないわよ。メイジでない人を人とすら考えていないで
しょうね。
 何より二人とも、すっごく真面目だもの。サイズだけ測ってさっさと帰ってくるわよ」
 ルイズの言葉に、キュルケがちょっと首を傾げた。
「ねぇ、ルイズ。たしかエレオノールって、この前バーガンディ伯爵との婚約が破棄され
てなかったっけ?」
「ん?そうよ・・・それが、どうしたの?」

 キュルケは、ちょっと意地悪な小悪魔っぽく微笑んだ。
「ヤバイ、かもよ?」
「何がよ」
「つまりぃ~、今、あなたの姉さまはぁ、ウップンとかそういうのが溜まってるワケよ」
「ど、どういう意味よ!?」
「つまりぃ~・・・」


―――薄暗い室内に、ろうそくの炎が揺れる。
 暗がりの中、シュルシュルと衣擦れの音。
 一枚、また一枚と、女は自らの意思で肌をさらしていく。
 女は、ショーツ一枚だけになり、ささやかな胸を恥ずかしげに腕で隠した。
 そして震える足で、ゆっくりと少年の前に進み出る。
 少年も女も、上気した顔を相手に向ける事が出来ず、視線を床に落としている。
 どうしてだろう?脱ぐのは上半身だけで良いのはずなのに。でも、少年にはそんな事を
考える余裕も無かった。
 少年の震える腕が、女の胸へと伸びる。
 女は、ゆっくりと腕を下ろし、少年に身体を預ける。

 ふと女は、少年を見下ろした。
 そこには自分の身体を見つめて頬を染める少年がいる。
 女は20代後半。行き遅れてはしまったが、まだ女を捨てるには早すぎる。いや、女盛
りといえる若さ。そして少年は、もうすぐ男と呼べる年だ。日々自分に磨きをかけ、男と
しての魅力を高め続けている。
 伴侶を得られず、このままでは女としての幸せをつかみ損ねそうな自分。そんな彼女の
目の前に、まだ少年のあどけなさを残す、だが男としての魅力と高い将来性を兼ね備えた
剣士が。
 しかも自分の女性としての魅力に耐えかねて、頬を染め俯いている。

 少年は、必死の思いでどうにか仕事を終えた。
 そして後ろを向き、もう終わりましたから服を着て下さい、と声をかける。
  シュル…
 衣擦れの音がした。
 だが、少年は不思議に思った。何故なら、衣擦れの音が一度しかしなかったから。
 背後から、ゆっくりと足音が近付いてくる。
 そして、少年の首に背後から、女の腕が回された。
 彼の目の前には、いましがた脱がれたばかりの、女のショーツが・・・―――


「ぎゃあーーーーーーーありえないありえないありえないいいーーーーーーーっっ!!」
 ルイズは耳を塞いでブンブンと首を振り回す。
 真紅と翠星石は、途中で気絶してポテッと倒れてしまった。
 タバサですら、本を読まずに聞き入ってしまった。

「キャハハハハハッ!!や~ねぇ、例えばよぉ」
 その様に、臨場感たっぷりに語り終えたキュルケは大爆笑だ。
 だがデルフリンガーは、真面目にキュルケの話しに同意しだした。
「いや~、十分ありうるんじゃねぇか?だって今や、ジュンがただの平民じゃねえって事
は、あの姐さんだって分かってるだろ。
 そしてジュンは、もう立派な男だ。顔は、まあ色男ってワケじゃねぇ。でもよ、背はハ
ルケギニアに来た頃より伸びてるし、身体もガッチリしてきてる。
 あの姐さんが、婚約破棄されてムシャクシャしてるって時に、若い男が目の前に出され
たら・・・」

 ルイズはすっくと立ち上がり、杖をデルフリンガーに向ける。
 そしてルーンを唱え始めた。
「や、やめて、消し飛ばさないで」
 剣がカタカタ震え出す。
 さらにケタケタ大笑いするキュルケ。
「あーおっかしぃーっ!ねぇねぇタバサ、あなたはどう思う?」
 聞かれたタバサは首を傾げてじっくり考え始めた。そして、杖を掲げた。

「後ろから『眠りの雲』。『レビテーション』でベッドへ」


 気絶していた真紅と翠星石が、突如スックと起きあがった。
 そして黙って扉に進んでいく。
  ドカッ!
 乱暴に扉を開け放ち、外へ出て行った。
 ルイズは、慌てて二人の後を追う。
 そしてキュルケとタバサも飛び出した。

 部屋に残されたデルフリンガーは「青春だねぇ」とつぶやいた。



 先を行くルイズとローゼンメイデンを追いかけながら、タバサが隣を走るキュルケに尋
ねた。
「最初から、誰かジュンと一緒に行けば良かった」
 問われたキュルケはニマ~っと笑い、
「あら、そういえばそうよねぇ~。気がつかなかったわ。タバサ、言ってあげれば良かっ
たんじゃなぁい?」
 と、棒読みな答え。そしてタバサも、
「気がつかなかった」
 と、普段よりさらに感情のこもらないセリフを返した。
 そんな後方の小悪魔達に気付く様子もなく、ルイズ達はエレオノールの部屋へ急ぐ。



 真紅と翠星石は、エレオノールの部屋の前に来るやいなや、ステッキと如雨露を取り出
した。
 後ろからゼーゼー肩で息して走ってきたルイズが止める間もなく、二人は「せーの!」
と声を合わせ、ドカッ!と扉を鍵ごと叩き破る。
 そして汗をダラダラたらすルイズが中をのぞくと、ジュンとエレオノールがいた。


 二人は、薄暗い室内にいた。
 ジュンは、ベッドに寝かされている。すやすやと眠っている。
 ベッドの横に立つエレオノールは下着姿。身につけるのは、ショーツ一枚。
 手に持った杖をジュンへ向け、身体をかがめて彼の顔を見つめていた。


 エレオノールが、突然の乱入者に目を見開いて振り向く。
 ルイズは、真紅と翠星石も、硬直していた。
 後からやって来たキュルケとタバサも中を覗く。

 しばし、全員が固まって動かない。


 ようやくキュルケが、タバサの手をとって上に掲げた。
「正解者、タバサ」
「・・・ぶい」
 タバサは棒読みで、掲げられた手でVサイン。


 ルイズが早口言葉並みの速度でルーンを唱える。
 次の瞬間、全員まとめて『エクスプロージョン』の光に包まれた。




 トリステイン魔法学院の医務室は、水の塔3~6階まである。
 その最上階一番奥のベッドで、ジュンが眠り続けていた。ただし、服はボロボロ頭はチ
リチリの黒い毛玉。寝ていると言うよりは、気絶させられたと言う方が正しい。
 慌てて飛んできたシエスタなどメイド達が、寝間着のまま彼を介抱している。
 その横で、やっぱりボロボロになった上にガウンを羽織ったエレオノールが、自分の魔
法に自分が巻き込まれてズタボロになったルイズを、そして巻き添えになったキュルケと
タバサと真紅と翠星石も並んで正座させていた。

「だから!どうしてあなたはっ!あなた達は、そうも粗忽者なんですかっ!?私がどうし
てジュンを襲うなんて思うんですか!!
 ちょっと考えれば分かるでしょう!?その子は緊張のあまり勝手に気絶したんだって!
それを『レビテーション』でベッドに移して介抱していたとっ!!
 それを何ですかあなた達はっ!!よってたかって!!貴族としての自覚の欠片も無いよ
うですね!!恥を知りなさいぃっ!!!」

 全員、返す言葉もなくシュンとして小さくなっていた。




 果てしなく続くかと思われたお説教も、日の出の頃になってようやく収まった。
 ゼイゼイと肩で息するエレオノールが、横でジュンを介抱していたシエスタをじろっと
見る。
「ちょっと、そこのメイド。・・・確かあなた、その子と一番仲が良いメイドという話し
ですね?」
「え!?あ、あの、一番仲がよい、かどうか分からないのですが、その、仲は良いと思い
ます」
「よろしい。名前は?」
「シエスタです」
「ではシエスタとやら。今後はこの子の、ジュン・シュヴァリエ・ド・サクラダの使用人
となり、その子とルイズの身の回りの世話をしてあげなさい」

 全員、あっけにとられた。
「はっ!はいっ!!喜んで拝命致します!あたし、頑張りますっ!!」
 と、シエスタはキャアキャアと大はしゃぎ。

 だが、ルイズは青ざめた。
「なー!どういう事ですか姉さま!?どうしてジュンにシエスタが」
「だまらっしゃいっ!!
 あなたみたいな慌て者で乱暴者の相手を一人でさせていたら、この子の身体が保ちませ
んっ!!自分の使い魔を殺すメイジなんて、ヴァリエール家、トリステインはおろか、ハ
ルケギニアの恥ですっ!」
「そんなーっ!横暴です姉さまっ!」


 そんな姉妹喧嘩とはしゃぐメイドの横で、目を覚ましていたジュンが呟いた。
「僕の意見は無視かよ・・・」
 ジュンは、この矛盾と理不尽に満ちた世界への怒りに震えるのであった。




 さてさて、さらに時が過ぎまして。
 地球でのりに泣きついたジュンが、姉に連れられて訪れたのは、Wacoelの女性下着専
門店。胃が痛くなるほどの恥ずかしさと肩身の狭さに耐えて彼が姉と選んだのは、エレオ
ノールのための『大天使のブラ』。客や店員の奇異の目から逃げるように店を飛び出し、
それでもマエストロの才能をフルに使って手直しを加えた。
 受け取ったエレオノールは狂喜乱舞。さっそく鏡の前に立ち身につけた。
 生まれて初めて見る自分の胸の谷間、対照的にスッキリした脇の下。彼女は、至福の時
を過ごすのであった。


 だが、ここでジュンの災難は終わるわけもなく、
「やっぱり、ね、ギーシュもね、大きな胸の方が喜ぶと思うのよ」
「ちょっと待ったぁ!このイザベラ様を差し置いて、何勝手言ってんだい!?」
「う、うむ、恥をしのんで、このアニエスも、貴公にお願いしたい。特に、タバサ殿が着
用しているような、動きやすい物を」
「あ、あたしもお願いします!」
「その、私も、是非・・・」
 後日ルイズの部屋には、モンモランシーが、イザベラが、アニエスが、学院の女生徒達
やメイド達が、女性教員達までもが押しかけてきていた。

 ジュンは、真っ白に燃え尽きた。




―――コルベールとジュンの名は、地球とハルケギニアの双方において、歴史上の偉人と
して語り継がれる事になる。
 二人が確立した理論、魔法と科学を融合した新しい学問は『伝説上の錬金術の復活』と
いうレベルのものではなかった。それは全くの新分野の学問と認められ、『魔工学』と呼
ばれた。
 彼等は量子論における超ひも理論においてすら為し得なかった、電磁気力・弱い核力・
強い核力の3つを結ぶ大統一理論と、重力とを結びつける、『超統一理論』を完成させた。
これを応用し、虚無の力により地球への道を開く人工ワームホール『世界扉』を、安定し
て存在させ続けることにも成功。いわば『次元回廊』を生み出したのだ。
 当初は両世界の破滅的衝突が予想された。だが、ジュン・コルベール・ルイズ・キュル
ケ・のり・タバサ・巴などの有力な橋渡し役が多数存在した事から、どうにか全面衝突と
いう事態だけは避け続ける事が出来た。

 ジュンは次元回廊開設後は、「初代魔工師」「賢者」「次元回廊共同管理運営機構理事」
「世界扉警護隊司令」「量産型ローザミスティカ開発者」と、政治的学者的な意味合いで
呼ばれた。ちなみにコルベールも、「魔工学創始者」「聖者」等、『炎蛇』の二つ名が霞む
ほどに異名の方が世に知れ渡った。

 だが、ジュンにはもう一種類の異名が、とても沢山授けられた。
 本人は、その異名の山を非常に嫌がり、生涯「なんで僕がこんな目に・・・」とぼやき
続けてた。
 それは
「女神の谷間ジュンダールヴ」「ハルケギニアにブラジャーを広めた人」「よせあげブラ
を手縫いした漢(をとこ)」「ある意味、勇者」「究極の幸せ者」「ハルケギニア女性に希
望を与えた天使」「ハルケギニアの半分の男性に幻を、もう半分に絶望をもたらす悪魔」
「貧乳の味方」「貧乳好きの敵」「才能の無駄遣い」「何しに召喚されたんだお前は」etc...


             『エレオノールの場合』 END
                           第六部 おまけ  終

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