あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのしもべ2



妙に焦げ臭い。
良く嗅いだことのある匂いだ。爆発が起きた後、あたりにこういう匂いが漂う。
「あんた誰?」
突然現れた少女がそう問う。
薄桃色の光沢のかかったブロンドヘア。一瞬染めたのかと思うが、根元まで色が変わらないところを見ると
どうやら自毛らしい。
黒いマント、杖。まるで
「魔法使い…?」
ゆっくりと腕を下ろす。視界に、周辺に立っていた若者たちが入る。ほぼ全員同年齢らしい少年少女は、
どれも皆この少女と同じように一律黒マントと手には杖である。
ただ、目の前の少女は成長が遅れている部類に入るだろう。主に胸の部分が、である。
「メイジよ!」
少女が呟きに反論する。どうもこだわりがあるらしい。
「明治?」
いや、magiだろうか。たしかMagicの元になった単語の。
「なによ、明治って。そんなことよりあんたは誰かって聞いてるのよ!名乗りなさい!」
近くには他に頭皮がかわいそうになっている男が一人。推測するに、この集団は学生で、
この男は教師と言ったところだろうか。
いったいあの光はなんだったのか。以前、ヨミの基地を攻撃したときに幻覚を見せられて、
破壊をしていない基地を破壊したつもりになって引き返したことがある。これも幻覚なのだろうか。
「ちょっと!平民の分際でシカトする気!?」
『なによこいつ。平民を呼び出しただけでも恥なのに、それが貴族の命令を無視するってどういうことよ!
恥に恥。二重の恥よ!……って何、こいつ!?眼が…』
『おいおい、ルイズのやつ呼び出した使い魔に無視されてるぜ』
『さすが、「ゼロ」の二つ名は伊達じゃないな』
『もうメイジになるのを諦めたほうがいいんじゃないか?』
精神を集中させる。
瞳が輝く。
相手の頭の中が流れ込んでくる。いわゆる読心(テレパシー)と呼ばれる超能力だ。
ルイズ、メイジ、使い魔、魔法、火、水、風、土、爆発、貴族、平民、キュルケ、タバサ、ヴァリエール、
ツェルプストー、コルベール、トリステイン魔法学院、授業、契約(コントラクト・サーヴァント)……
さまざまな情報が頭に流れ込んでくる。


『なるほど、この少女はルイズという名前なのか。』
ぐるっとあたり一帯の思考を読んでみたが、敵意や殺気は感じられない。いくら幻覚でも、思考までは
誤魔化せない。万が一ここにいる全員が催眠術にかかっているのだとすれば、そのときは周囲にこちらを伺って
いる人間がいるはずだ。しかしそれはいない。また、周囲の人間の思考にブレや矛盾がない。とな
るとこれは現実であり、演技ではない。
となると、あれはヨミの攻撃だったのか。しかしそれも違うようだ。
『どうやら、今、進級に必要な召喚の儀式とやらをやっていて、それでボクが召喚されたようだな。
おそらくあのときの光の円盤は使い魔を召喚する魔法だったのだろう。
問題はその召喚で連れてこられたのがどこかということだ。』
バビル2世は、使い魔と称される一段を横目で見る。
ドラゴン、サラマンダー、妙なカエル、大きなモグラ、etc、etc……
こんな生き物が現実に存在するなど聞いたことがない。ところが、心を読むと珍しい動物ではあるが、
普通に存在するもの、という意識を持っているのがわかる。
また少なくとも自分たちの世界に魔法が周知される形で存在はしていない。
なるほど、どうやらここは異世界(ファンタジー)と呼ぶべき世界らしい。
『ということは、ぼくは異世界へ召喚されたのだ。』
問題はこの世界へ、元の世界から往復できるのか、ということだ。もっといえば召喚したものを送還できるのか
ということに搾られる。
ふと、以前戦った老人の操る謎の生命体を思い出した。
『ひょっとすれば、あれはこの世界にいた生き物で、元の世界へ移動していたのかもしれない。
となればここはひとつ話をあわせておいて、帰る方法があるかどうか聞き出すべきだろう。』
「あの……」
ルイズ、ルイズ、ダメルイズ、と囃し立てられ、身体がプルプル震えだしたルイズに話しかける。
「すいません、貴族様。急に目の前に見習いとは言えメイジの方々が現れたので、驚いて混乱していました。」
深々と頭を下げて謝罪する。
タイミングが絶妙だったため、囃し立てる言葉がぴったりと止む。


そろそろコントロールしやすくするために、叱り付けて威厳を見せようと足を一歩踏み出しかけたコルベールが
ビクッと固まってしまった。
「そ、それなら仕方ないわね。たしかに平民がこんなところに現れれば混乱するのも仕方がないわね。」
「その平民を召喚したのは誰かしら~?」
落ち着きを取り戻したルイズがコホンとセキをして、威厳を整えて寛容に振舞う。しかし後方からの色っぽい声に
よる冷やかしを受け、あっという間に皮がはげ、声の方向をにらみつける。『あの声はキュルケ・ツェルプストーか。ゲルマニア……。先祖代々仲が悪いのか。』
宿命って奴かな、と思い、ふとヨミの顔が脳裏に浮かぶ。しかし、すぐに「なかなかいい男じゃないの。早く使い魔
にしないと私が貰っちゃうわよ?」「あげないわよ!どうやったらそんな思考になるのよ!」などという言い争い
で現実に引き戻される。
「そんなことより!」
振り返って、キッとバビル2世を睨み付ける。寛容な演技などどこかに消えてしまったようだ。
「さっきから聞いてるでしょ。名前は?」
「名前?」
どうすべきだろうか。ここは山野浩一と名乗るべきだろうか。しかし、魔法使いの国である。簡単に名前を教えて、
あとでとんでもない目にあわないとも限らない。
「ビッグ・ファイアです。」
「ビッグ・ファイア?変な名前ね。」
『変な名前ね。どういう発音するのよ。』
それは自分も思っている。今考えた名前だ。直訳すれば大火。日本風にすれば炎大か?漫画家にいそうだ。
『さ、早く契約を済ませないと。使い魔と……キスをするのよね。』
「ちょ、ちょっと待った。」
全身からどっと汗が噴出し、顔が熱をおびる。
口付け?キス?契約というのはキスが必要なのか?
意外や意外。バビル2世はまだキスは未体験であった。
無理もない。本来そういう体験をする齢に戦いの渦へと投げ出されたのだ。
バビル2世は今、ヨミとの戦い以上に緊張し、狼狽していた。
「なによ?まさか使い魔になるのが嫌だっていうの?平民の分際で!」
「こ、これは孔明の罠だ!」
「なにわけわからないこと言ってるのよ!コウメイって誰よ!」
『ファーストキスなんだから、こっちは緊張してるのよ!覚悟が鈍るじゃないの!』
心を読むと、少女のほうも初めてのようであった。


それを知ると、落ち着きが出る。少し腰をかがめ、キスしやすい位置へ顔を差し出す。
それを見て明らかにルイズは動揺する。心を読まなくてもわかるほどだ。
しかし、覚悟を決め、ついに契約のキスを交わした。

 ジャーン ジャーン ジャーン

「ぐわあっ」
不意打ち的に左手を襲う焼きつくような激痛に思わず声を漏らす。
やはりヨミの罠だったのか!?
右手で左手の甲を押さえ、痛みに耐える。だがすぐに痛みは止み……
「こ、これは……?」
左手に浮き出た妙な印をルイズに見せる。
「使い魔のルーン」『使い魔のルーン』
発言と思考が同時に響く。
地上最強の超能力少年、3つのしもべを操るバビル2世が、
史上最低のメイジと言われているルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのしもべになった瞬間であった。


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