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新約・使い魔くん千年王国 第十四章 白炎襲来

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ロサイスに対する奇襲作戦は成功し、トリステイン・ゲルマニア連合軍は遂にアルビオン大陸に上陸する。
ダータルネスに艦隊が出現したとの急報を受け、3万の兵を率いて首都ロンディニウムから北上したホーキンス将軍は、
青空へゆっくりと消えていく幻影の艦隊を見て愕然とした。

とは言え、ロサイスからアルビオンの中心部に位置する首都までは300リーグあまり。
細長い大陸を縦断する街道はあるが、途中いくつもの都市や要塞があり、
すぐにアルビオン全土を制圧するわけには行かないだろう。

特にロサイスとロンディニウムの中間点、古都サウスゴータには亜人混じりの革命防衛軍がいる。
水際防衛線があっさり破られた以上、そこで押しとどめねばなるまい。あるいは今度こそ北から回り込んでくるやも知れぬ。
ホーキンスは下唇を噛み締め、ダータルネスの防備を固めさせてからロンディニウムへ戻った。

松下とルイズは3隻の『千年王国艦隊』に戻り、ロサイスへ向かう。その船室で、二人は戦況報告を受けていた。
「ロサイス上陸作戦では、味方の損害は比較的軽微だったようだな。教団兵にもさしたる死傷者はいない。
 我々の陽動も功を奏したが、ゲルマニア軍にも新兵器があったというし」
「ふーーーっ、とにかく休みたいわ。『虚無』の魔法は強力で独特だけど、魔力の消耗が激しいのよ。
 まだ私は『虚無のドット』ってとこね……」
「ふむ、『虚無』か。伝説によれば、始祖ブリミルには四人の僕がおり、
 三人の御子と一人の弟子が指輪と秘宝を授かり、四大王国を作ったと言うが……」

「そうよ。三人の御子はガリア・トリステイン・アルビオンの、弟子はロマリアの王。
 アルビオンの王統は、今回の革命騒ぎでほとんど途絶えてしまったし、
 ロマリアも王国ではなくなって、教皇聖下が治める都市国家連合になったけど。
 ゲルマニアはブリミルの正統を引いていない、成り上がりの集まりよ」
「四人の僕と王国の祖は、違うのだな? 疲れているところ悪いが」

ルイズは怒りもせず、溜め込んだ知識を披露する。実技以外では、彼女は優等生なのだった。
「ちょっと横にならせて。……いろんな説があるけど、まあ、そうでしょうね。
 王国の祖が『虚無の担い手』で、四人の僕は『虚無の使い魔』よ。私とあんたみたいにね。
 あんたは『神の右手、神の笛』ヴィンダールヴだったわよね?
 他には『神の左手、神の盾』ガンダールヴ、これはあらゆる武器の使い手。
 『神の頭脳、神の本』ミョズニトニルン、これはあらゆる魔法具を操るそうよ。
 もう一人は『名を記すのも憚られる』として、失伝しているらしいわ」

「ふうむ……笛と盾と本、もう一つ、か。四大王国に四大系統、四つの指輪に四つの秘宝。
 四人の『虚無の担い手』に四人の『虚無の使い魔』……」

「メシア、ミス・ヴァリエール、もうすぐロサイスに到着します。ご準備を」
シエスタとマルトーが伝令に来た。さて、ロサイスからアルビオン本土をどう攻めるか。
戦いは、これからが本番だ。


一方、その日の深夜。1隻の小さなフリゲート船が、アルビオンから密かにトリステインへ降下していた。
傭兵メンヌヴィルとその部下たち、ベアードやフーケを乗せた、奇襲用のフネだ。

「よーし、どうにか警戒線を抜けたぞ。攻めている側は、案外自分が攻められるとは思わんものなのかな。
 ……いや、学院上空には、やはり探知結界が張ってあるな。直接侵入は出来ない。
 付近の森林に空き地がある、そこに降ろそう」
操船しているのは、風のスクウェアメイジ・ワルド子爵……に取り付いた、妖怪バックベアードだ。
暴走しかねないメンヌヴィルの目付け役であり、情報収集も担う。
彼の周囲には小さな黒い球体がいくつも漂っていた。それには各々『魔眼』が付き、ベアードの視覚とリンクしている。

到着を前に、メンヌヴィルは檄を飛ばし、部下の士気を高める。
「さあて、野郎ども! 目的はトリステイン魔法学院の制圧と衛兵の始末、
 そして貴族のメスガキと教師どもの生け捕りだ! なるべく殺すなよ!
 制圧が完了したら、人質以外は殺すなりなんなり、好きにしろ」
うっひひひひひ、と下卑た笑いが起きた。

「……あのさあ、一応レディの目の前で、そういうセリフは自重してくんない?」
「そりゃ悪かったな、『土くれ』のフーケさんよ。まあ、荒くれをまとめるにゃこれが一番さ。
 俺は盗みや犯しはしねえ、焼き殺すだけだ。老若男女、平等にな」
ベアードが振り向き、メンヌヴィルに尋ねる。
「好奇心で聞くんだが、なぜそんな物騒な性格になった? 生まれつきか?」
「そうじゃあねえ、この目玉が焼かれちまってからさ……」


到着するまで、ちょっと昔話をしよう。
元々俺はトリステインの下級貴族でね、アカデミーの『実験小隊』ってとこに士官として所属していた。
あんたのいた魔法衛士隊みてえな華やかな仕事じゃねえ、ま、裏方の何でも屋だ。

あれはもう20年も前になる。俺は二十歳になったばかりだった。
トリステインの北の海岸に、ダングルテール(アングル地方)って小さな漁村があった。
アルビオンからの移民が住み着いていた、ちんけで辛気臭ぇ村だ。牡蠣を拾うぐれえしか金目のものはねえ。
で、上の方から、そこで疫病が流行っているから『焼き尽くせ』って命令がきた。
疫病、確かにそうさ! そこは新教徒の巣窟だったんだ。まあ、俺は神様なんぞ信じちゃいねえが。


……でよ、隊長が俺より少し年上の男だったんだが、こいつが凄い。
酷薄非情で狙った者は皆殺し、火を使うくせに酷く冷てえ、蛇みてえな奴だった。
そのダングルテールを焼き滅ぼしたのも、そいつなのさ。それも一人で!

ああ、今でもあの美しい炎の竜巻が、脳裏に浮かぶぜ。夜の海に映って、すげえ綺麗だった。
それにあの、たくさんの人間が焼け焦げる香りと来たら! 何にも代えられない、素晴らしい芳香だった!
お蔭で俺は、すっかりイカれちまった。隊長のことが大好きになって、思わず焼き殺したくなった!
咄嗟に杖を向けて、呪文を唱えた。次の瞬間、俺の目玉はこの通りさ。


フーケが、実にいやそうな顔をしている。
「……酷い話だね。よく殺されずに済んだもんだ。まぁ、あんたがイカれてるってのはよーく分かったよ」
「へへへ、こういう仕事は、ちょっとイカれてねえとできないのさ。
 それに俺は鼻が利くようになったし、耳も鋭い。ついでに頭もすっきり冴え渡って、
 熱の位置や微妙な変化が手にとるように分かるようになったよ。目明きよりよっぽど便利だぜ、この能力は」
「私のような『魔眼』の使い手には、結構いろんなものも見えるんだがな。
 まあ、杖を突いて歩くのではなく、振って歩けるのは大したもんだ」

メンヌヴィルが、狼のような口で『にやっ』と笑う。
「ありがとよ。それから俺はトリステインを飛び出して、ゲルマニアで傭兵稼業を始めたよ。
 実に天職だね。なにしろゲルマニアやロマリアあたりじゃあしょっちゅう戦争してるし、
 あぶれ者やちんけな村を焼き尽くしたって、別に誰も文句を言わねえ。都市を襲えば大金持ちだ。
 強いものが自由と富を得て、弱いものはサクサク死んでいく。坊主どもだってそうなんだもんよ」
「なんとも、楽しげだな」

「ああ、実に愉快だ。飯も酒も美味いし、わりと財産も築いた。俺はこうなったのをまったく後悔してねえ。
 唯一気に食わねえのは、例の隊長があの後すぐに行方をくらましたと聞いていることだ。
 俺はこんなに強く、あいつよりも激しく炎を繰り出せるようになったのに!
 ああ、あいつを焼きてえ! あいつが焼け焦げて消し炭になる匂いを、胸いっぱいに吸い込みてえ!
 それだけが、俺の最大の望みであり、悩みなのさ。はは、はははははははははは、ひいはははははは……」

メンヌヴィルは、気が触れたように笑い始めた。いや、彼はとっくに気が触れているのだろう。
ベアードは珍しくもなさそうに見ているが、フーケはぶるっと身震いした。鳥肌が立っている。
こんな妖怪や狂人の同類には、絶対になりたくない。


《彼らはバアルのために高き祭壇を築き、息子たちを火で焼き、『焼き尽くす献げ物(ホロコースト)』として捧げた。
 私はこのようなことを命じもせず、定めもせず、心に思い浮かべもしなかった。
 …この所をトペテや、ベンヒンノムの谷と呼ばず、『虐殺の谷(ゲヘナ、地獄)』と呼ぶ日が来るであろう》
  (旧約聖書『エレミヤ書』第十九章より)


夜明け前、メンヌヴィルたちは魔法学院の裏門に近付いた。
しばらく学院に勤めていたフーケの話から、内部の構造などは知れている。
居眠りしている衛兵を永久に眠らせ、フーケが『錬金』で門扉に穴を空ける。
音も立てず、十数人の小部隊は学院に潜入した。フネは森の中に隠してあり、人質を連れて脱出する手筈だ。

物陰に隠れると、ベアードがふよふよと『魔眼』たちを内部へ飛ばし、衛兵や生徒の居場所を偵察する。
「……ふむ、一般の衛兵が20人ばかり、女子銃士隊が同数。そこそこだな。
 衛兵どもは気を抜いているが、銃士は『火の塔』に駐屯して、二交代制で不寝番をしているようだぞ。
 教師が数人、オールド・オスマンの姿は見えないな。教師と女子生徒の総数は、情報によれば90人ほど……。
 む、あれはタバサ! あの『雪風』のタバサが目を覚ましたぞ!」

フーケがぴくっと反応する。確か、あのルイズやマツシタの仲間だ。
「あのガリア出身のちびメイジか。トライアングル級で風竜も使い魔にしてるし、手強い相手だね。
 感づかれたか、どうなのか……他はどうだい? ヤバイ相手は起きているかい?」
「いや待て、今いいところなんだ。よーし、集まれ魔眼ども……」
「何デバガメやってんだい、このロリコン妖怪!!(ばきっ)」
「漫才やってねえで、さっさと情報をよこしな、ミスタ・ベアード」

ともあれ、学院内に大した動きはない。タバサはまたベッドに戻ったようだ。
「……じゃ、内部の構造と衛兵・銃士の配置はこんなところだね。使用人どもは、まあいいか」
「うっし、制圧戦の開始だ。セレスタン、四人連れて銃士のいる『火の塔』を抑えろ。
 ジョヴァンニ、てめえらは寮塔だ。俺らは本塔を抑えておくから、メスガキどもをこの食堂に集めて来い!」

突入した分隊は、次々と女子寮の部屋のドアを蹴破り、女子生徒や教師を集める。
寝込みを襲われ、杖も奪われ、皆なすすべなく捕縛された。すすり泣くばかりで抵抗もしない。
衛兵たちは警笛を吹き鳴らし、剣や槍で応戦するが、歴戦の傭兵メイジたちには敵わない。

メンヌヴィル・ベアード・フーケは、占拠した本塔の『アルヴィーズの食堂』で待機している。
続々と人質が集められ、食堂の床に座らされていく。メンヌヴィルが眠たそうに欠伸をした。

「……あーあ、簡単すぎて欠伸が出ちまうぜ。こういうやわな仕事は俺向きじゃあねえな。
 もうちょっと歯ごたえのある奴はいねぇのかよ? 俺、まだ誰も焼いてねえし」
「じゃあ、もうちょっと上に行ってみるか。学院長も探し出して、捕らえておかねばな」
「しょうがないね、道案内にあたしも付き合うよ」

人質たちが集められた食堂の壁際を、ちょろっと白いハツカネズミが駆け抜けた。


その頃、傭兵メイジのセレスタンは、『火の塔』を守るアニエスと戦っていた。
戦槌のような『杖』と、平民の磨いた牙である『剣』が交錯する。
「チェッ、いい女なのに勿体ねぇなあ! その牙、引っこ抜いてやらあ」
セレスタンは元ガリアの『北花壇騎士』、その実力はメンヌヴィルに次ぐ。
杖から火球が飛び、アニエスの剣が灼かれて折れ曲がった。

「きさま、火のメイジか! 私はメイジが嫌いだ、特に火を使うやつはな!」
アニエスは曲がった剣をセレスタンに投げつけ、言葉とは裏腹に逃げ出した。
「『騎士』が背中を見せるとは、さすがは平民出身じゃねぇか! その背中、がら空きだぜ!」
セレスタンが『魔法の矢』を放つが、アニエスは身を伏せて避け、振り返り様に拳銃を撃つ!
「私は、『銃士』だ」

「ぶがっ……」
醜い呻き声を立て、セレスタンが額に銃弾を受けて、どさっと斃れる。
彼の率いていた傭兵たちも、銃士隊に追い詰められて討伐された。そこへ、ハツカネズミが走ってくる。
アニエスはそれを見て、にっと笑った。
「よし、この塔は守った。ついて来い、作戦通り残りを掃討する! 耳栓をしろ!」


本塔を昇っていたメンヌヴィル・ベアード・フーケは、急に眠気に襲われた。
塔の上から鳴り響くのは、鐘の音だ。

「チッ、オールド・オスマンのじじい、『眠りの鐘』を使ってやがるね……」
フーケは手早く『錬金』を唱え、耳栓を作った。
「この耳栓を使えば多少は防げる、さっさと学院長室に殴りこもう!」
「狸寝入りでもしていたのか? ミスタ・ベアードの魔眼にも、見抜けないもんはあるようだな」
「やかましい。お前は盲目だからいいが、私の魔眼と目を合わせたら命はないぞ。
 オスマンのじじいも睨み殺してやるさ」

三人は耳栓をして、階段を駆け上がる。
だが、鐘の音は『下』……さっきまでいた食堂の周囲からも、響いていた。


三人はバアンと学院長室に殴りこむが、誰もいない。
「隠れていても分かるぜ、そこだァ!」
メンヌヴィルが天井を火球で貫くと、オールド・オスマンがふわりと降りてきた。手には『眠りの鐘』がある。
オスマンが鐘を床に投げたので、三人はひとまず耳栓を外した。

「久し振りじゃの、三人とも。まだ生きておったか」
「そいつぁこっちのセリフだぜ。二十年以上前からじじいのくせに、あんた何百年生きてんだ?
 まあ、あんたなら相手に不足はねえ。確か『土のスクウェア』級だよな?」
「好戦的な男じゃのう。そこのフーケとワルドの実力も知っておる、生半なメイジでは相手にならんな。
 では、わしがおぬしら三人をまとめて相手にしてやる。かかってこい!」

オスマンが杖で床を叩くと、床は溶岩のように煮えたぎって激しく渦を巻き、三人を窓の外へ吹き飛ばす。
三人は『フライ』で宙に留まるが、オスマンのいる部屋には、地面や他の塔から砂や石材が飛んできて集まる。
ゴゴゴゴゴゴと物凄い地響きがして、土砂は本塔の上半分を包み、獅子の体を備えた巨大な石の獣の姿となる!
その顔は、内部にいるオールド・オスマンそっくりだ!!

「「うわっははははは、これぞ我がゴーレム『スフィンクス』じゃ!! スクウェアメイジを甘く見るでないぞ!!
  そおおれ、メガトンパンチを食らえい!!」」

スフィンクスの顔がオスマンの声で高笑いし、塔のように巨大な腕が振り回される。
三人は青褪める。まさか、いきなりここまでやるとは!
「てっ、てめえじじい、状況が分かってんのか? 俺らは学院の貴族の子女を人質にしてるんだぞ?
 殺さねえまでも、攻撃をやめねえとそいつらの耳や鼻や指を……」

「「分かっちょるわい、おぬしらの奇襲なんぞ全部まるっとお見通しよ。わしの使い魔モートソグニルくんがのう。
  それに食堂に集まった傭兵どもは、隠れさせておいたミセス・シュヴルーズの『眠りの鐘』でとっくに夢の中じゃ。
  今頃は耳栓をした銃士隊に捕縛されているじゃろう。戦いは情報網と物量じゃよ諸君、ひょひょひょ」」

オールド・オスマンとアニエスたちは、学院のテロ対策をしっかりしていたようだ。
モートソグニルとネズミたちが学院内外を警戒し、非常時には合図を送って連絡する。
そして敵が一箇所に集まったところを、二つの『眠りの鐘』で人質ごと一網打尽。さらには、これだ。

「じょ、冗談じゃないよ! あのセクハラじじい、こんなバケモノだったなんて!!」
「ええいフーケ、気休めかも知れんが、お前もゴーレムを出せ! 私は『魔眼』の姿に戻る!」
「しゃあねえ、俺は食堂に戻るぜ。……いや、『火の塔』から銃士が出て来たな、あれから片付けるか」

バックベアードが黒煙とともに現れ、フーケのゴーレムがスフィンクスのパンチを受け止める。
スフィンクスは目から怪光線を放ち、ウオーーーッと咆哮する。妖怪・怪獣大決戦の始まりだ!!


その頃、『火の塔』の傍らにあるコルベールの研究小屋では。

「これは『神秘幻想数学』、これは古代サハラの数学書、アリストテレスなる哲学者の著書、
 『光輝(ゾハル)の書』に『東方魔法大全』! ああ、一生かかっても読み切れない!
 これを解読できれば、ハルケギニアはまさに革命的変化を……!!」
コルベールは感涙に咽びながら、『薔薇十字団』から送られてきた注釈付きの魔法科学書に没頭している。
そこへ、二人の生徒が駆けこんできた。外からズズズズズという地響きもする。

「コルベール先生! 未だにこんなところで何をしているんですか、大変なんですよ!」
「おお、ミス・ツェルプストーにミス・タバサ、こんな深夜に何事かね」
「敵襲。アルビオンの傭兵団が学院を急襲し、生徒及び教職員約90名を人質に取った。
 我々は脱出して無事。反撃の体勢を整えるため、あなたを捜していた」
「な、なんだって!? ……時に二人とも、アレは何かね?」
「は?」

二人がコルベールの指差す方を振り返ると、バックベアードとゴーレムが巨大なスフィンクスと戦っている!!
「きゃーーーーーーーっ!!? な、何よアレ!?」
「あの黒い眼は、以前ニューカッスル上空に出現したものと同じ。ゴーレムはフーケのものと同じデザイン。
 ならばあのスフィンクスは、恐らくオールド・オスマンのもの」

「そうだ。我々銃士隊と学院長が連携し、テロリストの大半は作戦通り捕縛した。
 残るはあのバケモノどもと……こいつだ」
いつの間にか、アニエスも近くに来ていた。体にいくつか火傷を負っている。
そして向こうから歩いて来る大柄な男に、銃を向けた。キュルケとタバサも、杖を構える。

「おやおや、熱と硝煙の匂いを頼りに追ってきてみれば、かすかに懐かしい香りがするなァ。
 さっきの女銃士が一人、火メイジと風メイジの女、それにもう一人。おい、おまえの名前は何だ?」

男を見たコルベールの表情が、さっと変わった。温和で臆病な普段からは想像できない、冷たい顔だ。
「……久し振りだな、『白炎』のメンヌヴィル」
その声音を聞いて、メンヌヴィルはあっと驚くと、両手を広げて心底嬉しそうに笑った。
「おお! おおお!! お前は『炎蛇』! 『炎蛇』のコルベールではないか!! 覚えていてくれたのか!
 久し振りだな隊長殿、20年振りだ! あのダングルテール以来だ!!」

「!!」
アニエスは、対峙する二人を物凄い表情で睨み付けた……。

(つづく)


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