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つかいま1/2 第十話 格闘! 舞踏会

地球、日本国、東京都練馬区、『猫飯店』にて。時刻は夕方。
長髪眼鏡の男が、誰もいない空間へ話し続けている。傍らには、かちかちとノートパソコンを操る美女。

「じゃからシャンプー、おらの話を聞くだっ! 乱馬が失踪した今こそ、シャンプーはおらと……」
「招き猫に向かって何話しかけてるか、ムース。私、乱馬以外の男と付き合う気ないね。
 今、日本最大的電子掲示板使って情報収集してるとこある。静かにするよろし!」
ばっしゃんとシャンプーがムースに水を浴びせると、ムースはアヒルに変身した。
「がーっ、ぐわぐわぐわっ」
「まったく、騒がしいね。……でもこの掲示板、有益な情報あるのか、いまいち分からないね」

一方、お好み焼き屋『うっちゃん』にて。賑わう店内に、天道あかねも来ていた。

「はあっ……乱馬が失踪して、そろそろ3週間になるわね……。
 Pちゃんもどこかへいなくなっちゃったし、どうしようかしら……」
「天道あかね、邪魔者は消えた。さあ、そろそろ僕の愛を受け入れるのだ(すりすり)」
「結構ったら結構ですっっ。(どかっ)」
どこからか湧いて出た九能を、天道あかねが店の外へ蹴り飛ばした。
店の主人・久遠寺右京は、別に気にもとめない。いつもの事だ。

「せやねえ、このまんま学校休み続けてたら、乱ちゃん退学かもせえへんで。
 あの変態校長が喜びそうやなあ、そろそろゴールデンウィークやけど。はい、豚玉」
「そうかも知れないけど、それどころじゃないでしょ。最近良牙くんも見ないなぁ……」
「そら、いつもの事やんか。案外乱ちゃんみたく、鏡の中に迷い込んでるんと違うかぁ?
 まぁコロンのばあちゃんがヒント持ってたんやし、妖怪つながりで八宝斎のじじいにでも聞いてみたらどーやろ」
「そうねぇ、おじいちゃんの知識や蔵書は、大したもんだし。いろんな奥義書も持ってるもんね、盗品だけど。
 皆を集めて、もうちょっと調べてみましょう」

「……ところで、あかねちゃん」
「何? おかわりはもういいわよ」
「今確か4月の末やんか。うちらいつまで高校一年生のままやねん」
「それだけはつっこんじゃダメよ、右京」

かくして、乱馬と良牙がいないまま、日常は続いていた。


さて、場面は異世界ハルケギニア、トリステイン王国。
トリステイン魔法学院では、姫殿下を迎えての『フリッグの舞踏会』が催されていた。
らんまはキュルケ・タバサとともに、ドレスに着替えて会場に集まる。

「ほえー、食堂の上にこんなダンスホールがあったんだな」
「これから絢爛豪華な舞踏会の始まりよ、ランマちゃん。……タバサは料理に夢中みたいね。
 背は低いけどスタイルいいから、結構似合うわよそのドレス」
「下着まで女物にするのは、ちょっと抵抗があったがな……えーと、姫様とルイズは?」
「一応主賓だから、準備が整い次第入場じゃない? そう言えば、あのリョーガって男の子はどこ?」
「さーな。あいつ、超人的な方向音痴だし。俺も今夜は料理に舌鼓を打たせてもらおうか、いっただっきまーす」


 「びゃんど~~じょぼぼ~~ん」「じゅびじゅぶじゅべ」「ぶべぼあ?」


宴もたけなわ、料理も減り続け、マルトー親父たちも大忙し。
タバサもらんまも、どこからか忍び込んだ怪しい僧侶も、ダンスそっちのけで食べ続ける。
キュルケは男たちに取り巻かれ、談笑に花を咲かせている。そして、ようやく主賓たちの登場だ。

「ラ・ヴァリエール公爵家令嬢、ミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの、
 おなーーーーーーーーーりーーーーーーーーーーー!!」

「「おおーーーーっ」」

桃色の髪をポニーテールにし、華麗なドレスに身を包んだルイズが、しずしずと現れた。
黙っていれば、ルイズはとても可愛らしい。胸はゼロだが。
「だが、それがいい!(にやっ)」
「ちぇっ、ずん胴のちんちくりんの洗濯板がいいなんて、てめーらロリコンかよ。
 けど、タバサはそれより小せぇなー。こんだけ食べてんのに、どこ入ってんだ?」
「余計なお世話」
「どうなんでしょーねー。胃袋が異常に大きいか、スタイルは変わらなくても体重だけ増えてたりして」


「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーーーーーーーーーりーーーーーーー!!」

いよいよプリンセスの登場だ。今までルイズやらんまやキュルケに群がっていた男たちが、一斉に振り向く。
「う、麗しきプリンセス、どうかこのぺリッソンめと、ダンスのパートナーを」
「いえ、このスティックスこそ」「このギムリ」「レイナール」「ギーシュ」「マリコルヌ」「ペイジ」「ジョーンズ」
上座に座った姫殿下に群がる男子学生らを、傍らに立つ黒衣長身の男が叱り付ける。

「下がれ、悪童ども! 姫殿下がきさまらのご相手をなさると思ったか!!」


彼は、品評会でも姫殿下の傍近くに控えていた衛士だ。立派な貴族のようである。
年の頃は20代半ば、長身長髪でヒゲがあり、目は鷹の様に鋭い。
男たちはうぐっと黙るが、ルイズは思わず声をあげる。
「あっ……ワルド子爵!」
「わるど? なんでい、その悪役っぽい名前は」
「悪役とは失礼ね、王国のエリート部隊・魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊の隊長よ!
 私が小さいとき、よく家に来ておられたわ。それに、彼は……私の、許婚なの」

「許婚、かぁ。まぁ貴族にゃいるんだろーな、そういうの」
「両親が決めた事だけど、貴族の跡継ぎや令嬢はそうやって結婚するものよ。
 ……そーいやランマ、あんたもいるそうじゃない、許婚。どんな男性なの?」

らんまが遠い目をする。そう言えばもう、20日ほども会っていない。
「……俺、許婚が二人と一方的婚約者が一人いるんだよな。あとストーカー。
 どいつもこいつも、そんじょそこらの男よかよっぽど強いぜ。
 今世話になってる家にいるのはよー、がさつで乱暴者で不器用でカナヅチで、嫉妬深くて意地悪くて、
 へちゃむくれのオタンコナスで、そいつの手料理食べたら寝込んじまうような奴さ」
「……今あんたを世話してあげてんのは私だけど、そいつも大した言われようね……」


「は、は、はくしゅっ! くしゅん!」
「あらあかね、風邪気味? 暖かくして、早く寝なさいね」
「そーね、かすみお姉ちゃん。……誰か噂でもしてるのかしら」


と、どこからかもう一人の男がすっ飛んできた。
「乱馬、きさまあっ! あかねさんの悪口は許さーん!!(ばきっ)」
「あら、リョーガ」
「いちち……よー、シャルロット。言っとくがな、おめーとはダンスしねーぞ」
「誰がするかっ、オカマ野郎! 今の暴言を取り消しやがれっ(ひゅっ)」
「やるかっ、このブタ! 上等じゃねーか、『ガンダールヴ』がなくてもおめーなんかなぁ(しばっ)」
らんまと良牙は、場所もわきまえず喧嘩を始める。ルイズはおろおろするばかり。

「や、やめなさ「やめろっ、そこの二人! 殿下のご臨席の場で、狼藉は許さん!」
ワルドが二人をばしっと叱り飛ばした。ルイズもびくっとして、背筋を伸ばす。
「わ、ワルド様……すみません、私の躾が足りませんで」


しかし、ワルドはルイズに優しく微笑む。
「君が謝る事はない、僕のルイズ。そこのバンダナの男、招かれもせずに宴席に乱入し、
 あまつさえミス・ランマを殴りつけるとは何事だ。この『閃光』のワルドが叩き出してやる」
スッ……とワルドが、細身の剣のような『杖』を抜く。
「おもしれえっ、やってもらおうじゃねえかっ!」
「おいおい、挑発に乗るなよ噛ませブタ。痛い目見るぜ」
「誰が噛ませブタだっ、あとでてめーもきっちり殴って……ぐえっ」

良牙は『エア・ハンマー』に吹っ飛ばされ、壁にめり込む。
「不粋な真似は好まない。彼を倒した後で、ルイズ、君のダンスパートナーを務めよう。
 姫殿下やミス・ランマともね。ふふふふふ」
「こっ、このキザ野郎~っ」「ここで喧嘩することないでしょっ、外でやんなさいよ!」

だが、異常な耐久力を誇る良牙は、この程度では参らない。
「ふん、これしきの衝撃波で、俺をどーにかできると思ってんのか!
 食らえ『獅子咆哮弾』!!(ドオオオン)」
「!!」
ワルドは咄嗟に空気の盾を張り、気弾を防ぐ。
「これは……まさか、先住の魔法か?」
「まだまだっ、『爆砕点穴』!!(ドッ)」
良牙が床に指を突き刺すと、そこが爆発して破片を撒き散らす!
「うおっ!?」

ワルドも少々油断していたようで、足に床の破片を食らう。彼の目が吊り上った。
「きさま……姫殿下への刺客か、あるいは忌まわしきエルフか……?
 しからばこちらも本気で行かせてもらおう! 食らえい我が蒼き雷、『ライトニング・クラウド』!!」
ワルドの杖から強烈な稲妻が走り、良牙を襲う!
「ぐわあああああーーーっっ!!」

吹っ飛んだ良牙はテーブルの上に落ち、熱いスープを入れた鍋が空中に飛び上がる。
「良牙!!」「きゃああ!! わ、ワルド、やりすぎよ!」
「ふっ……死んだか?」
良牙に駆け寄るらんまの頭にスープ鍋がぶっかかり、男乱馬に戻った。
「ぶわちちちちち、てっ、てめえワルド、何てことしやがる! おーし、次は俺が相手だ!!」

「ランマ! 待ちなさいよ!」
「何でい、止めんなよルイズ!」
「いーから、そのドレスを脱ぎなさい」
「うぐっっっ(ぴしっ)」


らんまのドレスを着たまま、乱馬は男に戻ってしまった。どう見ても変態だ。
「ミス・ランマのドレスを奪って纏い、僕のルイズにぞんざいな口を利く……。
 どこから湧いて出た、変態の無礼者め。きさまもこの男のようになりたいのか?」
「ぬわにい~~っ、誰が変態だ、このロリコン野郎!!」
乱馬は、顔を赤らめながら、ばっとドレスを脱ぎ捨てて構えを取る。

「何だロリコンとは? 僕はそんな悪口を聞いたことないぞ」
「いい年こいた大人がなあ、ルイズみてーなちんちくりんのつるぺた少女と恋愛すんのを、
 ロリコンって言うんだよ、この変態やろーっ!!」
「だっ、誰がちんちくりんのつるぺたよっ!」
「ほう……それでは、ドレスのみならず下着まで女物を纏った男を、変態と呼ばずに何と呼ぶ?
 僕にはそっちの趣味はないぞっ(びしっ)」

そう、ワルドの指摘する通り、乱馬は女物の下着を身に着けていた。やっぱりどう見ても変態だ。
「……(ぶるぶるぶるっ)……ちっ、ちっくしょおおおおお!!」
乱馬は猛烈な勢いで、ダンスホールから逃げ去った。
「……あんの、バカ……」「終わったな……」「涙目だったぜ」「しばらく立ち直れないかもな……」

乱馬は泣きながら使用人控え室に飛び込み、男物の服を奪い取って着ると、
例の棍棒とデルフリンガーを持ってホールに戻ってきた。この間、僅か30秒。

「早かったな……」「なんて気持ちの切り替えの早さ……!」(どよよっ)
「ランマ! もうやめなさい!」
「うるせえっ! 今度こそワルドをぶっ殺して、良牙の仇を討ってやる!!」
「人を勝手に殺すんじゃねえ、ボケッ(ぐい)」
「どわっ!?(どてっ)」

伸びていた良牙に足首を掴まれ、前のめりにこけた乱馬に、アンリエッタ姫殿下が近寄り、しゃがみこむ。
「か・わ・い・い……」
「は?」
「この鉄棒可愛いっ、私のものっ。さあジュリエット、私と踊りましょう(ぐいっ)」
「どわっ、何すんだ姫様!? これのどこがジュリエットだ、離せよっ」

それを見ていたマザリーニは、ハンカチを取り出し、涙を拭う。
「ああ、姫殿下……王位継承という重圧からか、すっかりあーぱー娘に育ってしまわれて……。
 国政を預かるこのマザリーニ、とうてい早死にはできませぬ(しくしくしくしく)」
「あら、何が悲しいのセバスチャン? 元気を出してもう泣かないで」
「セバスチャンではありませぬっ、このマザリーニをお忘れですかっ」


ふーっ、とルイズが溜息をつく。アンリエッタは鉄の棍棒を奪い取り、満面の笑顔だ。
「まぁ三人とも、姫様とこのルイズの顔に免じて、争うのはおやめなさい。
 武道会、もとい『フリッグの舞踏会』を再開しましょう!」
「ジュリエットかんわいいよぉ~、お持ち帰りぃ~(くるくる)」

ワルドも、ふっと笑って杖を収める。
「……ま、よかろう。ところでミス・ランマはどちらだ?
 盗賊フーケを撃退して秘宝を奪還し、本日の品評会で優勝した、あのマドモワゼルは」
「ここでいっ(ばしゃ)」
乱馬が水差しの水をかぶり、女になる。ついでに良牙にも水がかかり、Pちゃんになった。

「おお、ミス・ランマ! さっきの、おさげの男と同じ服……これは、一体?」
「まぁ、これこれこーいうわけでな、俺はお湯を被ると男になっちまうんだ。
 ガサツなのは育ちのせいだ、勘弁してくれ。ほら、これがデルフリンガー」
「そ、そうだったのか。なんと可哀想なマドモワゼル! 安心したまえ、僕は女性には優しい。
 さぁメイドたち、彼女を着替えさせてあげたまえ」
「「はい、ワルド様!」」

シエスタたちがらんまに群がり、更衣室に押し込んで新しいドレスに着替えさせる。
どうにか場が丸く収まり、一同は安堵した。ルイズは「ランマと踊りたかったな……」と呟いた。

「やれやれ、良牙のせいで酷え目に遭ったぜ。……ん、ワルド、まだ何かあんのか?」
「姫殿下がお呼びだよ、マドモワゼル・ランマ」
「ミス・ランマでいいよ、くすぐったい。……ルイズも一緒か、何でしょー姫様?」

アンリエッタ姫殿下は、すうっと目を細め、真剣な顔つきになる。
「何処に目が光っているか分かりません。パーティーが終了してしばらくしたら、ご相談があります。
 ルイズ、ワルドとともに、学院長室に集合してください」

(続く)

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