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ACECOMBAT ZEROの使い魔-04


彼は、かつて"円卓の鬼神"とともに戦った男。
彼は、かつて世界に絶望した。
彼は、生きながらえて自分の運命をただ受け入れる。
彼は、"片羽の妖精"と呼ばれた男。

「とりあえず逃げずに来たのは褒めてあげよう」
余裕の表情を浮かべて、ラリー・フォルク曰く生意気な小僧―ギーシュ・ド・グラモンは薔薇を片手に言った。
学院内のヴェストリの広場で、野次馬の貴族たちが見守る中、ラリーとギーシュは対峙していた。
ちらっと視線を後ろにやると、桃色かかったブロンドの髪の毛の我がご主人様―ルイズがじっと心配そうな目でこちらを見ていた。

ほんの数分前。ギーシュと決闘をやると言うと、ルイズは顔を真っ赤にして怒り出した。今まで見たことがないほどに。
「ちょっとラリー、何考えてるのよ!?」
「何って・・・ちょいと生意気な小僧を教育してやるだけさ」
「そうじゃないわよ、今すぐ謝ってきなさい!魔法も使えないただの平民のあんたが、ドットクラスのギーシュに挑んだところで・・・」
勝てるはずがない、と言うルイズの言葉をラリーは途中で遮る。
「やってみなけりゃ分からん。それに、売られたケンカは買うのが戦闘機乗りだ」
「はぁ?あんた何言って・・・」
"戦闘機乗り"という言葉に怪訝な表情を浮かべるルイズを無視して、ラリーは広場に向かった。

「覚悟はできたかね?」
ギーシュは今か今かと待ち構えていた。ラリーは適当に頷く。
さて、魔法ってのを見せてもらうか―。
身構える。決して素手での格闘は得意ではないが、傭兵として戦ってきた過去の戦場では白兵戦の経験がある。
ギーシュは構えるラリーをふっと余裕の笑みで見つめ、手にしていた薔薇を振る。
花びらが一枚、宙に舞う―かと思いきや、花びらは甲冑を着た女戦士の形をした人形となった。
「・・・ヒュー」
さすがにラリーも驚き、口笛を吹いた。花びら一枚が人形となるとは、さすが魔法。
「言い忘れていたね、僕の二つ名は"青銅のギーシュ"。従って青銅のゴーレム、ワルキューレが君の相手をするよ」
なんだ、直接相手するんじゃないんだな―。
決闘というものだから、ラリーは一対一でやりあうものだと考えていた。ところが彼の戦闘スタイルはそうではないらしい。
「さぁ行け、僕のワルキューレ!つけ上がった平民を叩きのめせ!」
ギーシュの命令を受けたワルキューレはラリーに向かって突っ込んできた。
突進。ワルキューレは自身の重量を生かした直線的な攻撃を仕掛けてくる。

しかしそこは戦闘機乗りのラリー。ドックファイトでは欠かせない眼のよさを持ってワルキューレの攻撃を軽々と回避する。
「ふっ―」
横に薙ぎ払われたワルキューレの重そうな腕を屈んで回避すると、逆に足を引っ掛けて転倒させてやる。
地面に転がったワルキューレはしかし、ただちに起き上がると攻撃再開。ラリーはやはり避ける。
「逃げてばかりかね、平民!」
ギーシュの声が聞こえた。これがラリーの癇に障り、ワルキューレは大振りな攻撃を避けられた直後に思い切り蹴飛ばされた。
ワルキューレは再び起き上がろうとするが、ラリーはその頭部を踏みつけて動きを封じる。
「・・・で?お前の魔法とやらはこれでおしまいか」
ぎっと睨まれたギーシュは一瞬怯んだものの、まだ余裕の表情を崩すことなく薔薇を振る。
七枚の花びらが舞い、それらが一瞬にしてワルキューレと化す。しかも今度はいずれもが剣で武装していた。
「っち―」
露骨にラリーは舌打ちしてみせた。さすがに七体を同時に相手するのは厳しい。
懐に仕込んである拳銃―もともとは自決用―を使えば済むことだが、弾の補給はこの世界では望めまい。それ以上に、ラリーにとってはこれはギーシュへの"教育"なのだ。拳銃はあまりに大人気ない。
とは言え、そうも言ってられんか―?
パイロット・スーツの内側に仕込んであるベルカ公国製のオートマチック拳銃に手を伸ばそうとして、ラリーは見慣れた桃色がかったブロンドの髪の毛が広場に乱入するのを
眼にした。
「ルイズ?」
「ギーシュ、お願い、もうやめて!この馬鹿がやったことは私が代わって謝るから!」
ラリーとギーシュの二人の間に割って入ってきたのはルイズ。彼女は自分の使い魔がワルキューレに叩きのめさせる前に、飛び出したのだ。
「おやおや、ルイズ・・・だが、そこの君の使い魔は決闘を続ける気のようだが?」
ギーシュに言われてルイズは振り返り、未だ戦闘態勢を崩さないラリーに涙目になって決闘の無意味さを訴える。
「あんたももうやめなさい!いくらなんでもあの数が相手じゃ勝ち目ないわよ!そりゃ、あんたがただの平民より強いのは分かったけど・・・」
一体だけとは言えギーシュの作り出したワルキューレを軽々と手玉に取るのは、さすがにルイズも驚いた。
だが今度は数が違う上に、剣まで持っている。"土"系を得意とするギーシュが作ったものだから、その剣の切れ味は人間相手なら充分だろう。
いけ好かない平民とは言え自分の使い魔を切り刻まれるのは見るに耐えない。
「・・・それは心配してくれているのか?」
ラリーは意外そうな表情を浮かべながら聞いてみた。
「当たり前じゃない!平民でもあんたは使い魔よ、他の誰でもない私の!」
とうとう目に溜めていた涙を流し、ルイズは叫ぶ。
ところが、ラリーは彼女の頭を優しく撫でてやる。
―まったく、貴族連中はみんな傲慢でオーシアの拡張主義みたいな奴らばかりだと思っていたが。
「すまないな、ルイズ」
「・・・え?」
「俺はお前のことを誤解していたようだ・・・下がってろ、すぐに終わらせる」
ラリーはルイズを抑え、ギーシュを睨む。

「続けるぞ、小僧」
「ラリー・・・!」
「大丈夫だ、見ていろ」
なおも止めようとする主人を安心させるように穏やかな口調で制し、ラリーはギーシュと七体のワルキューレに向かう。
ところがギーシュはまたも薔薇を振るう。またワルキューレを生み出すのかと思いきや、宙に舞う花びらは一本の剣になり、ラリーの前に落ちてきた。
「使いたまえ、丸腰の平民をいたぶり殺すのは趣味じゃない。それでせいぜい抵抗してくれ」
「・・・恩に着る」
あくまでも余裕を崩さないギーシュに、ラリーはむしろ笑みを浮かべえ剣を手に取る。
その瞬間―得体の知れない感覚がラリーを襲った。
「っ!?」
召還された時に刻まれた、左手のルーンが光り輝く。同時に、身体が軽くなり、この剣の癖も性質も最適な戦い方も全て分かる。
否、分かるというより"感じる"と言った方が正しい。
「これは・・・」
何がなんだか分からない―だが、今はむしろ都合がいい。
「ギーシュ、とか言ったな?」
「ああ」
「俺にも二つ名、と言うより異名がある」
ゆっくりと剣を構え、ラリーは不敵な笑みを浮かべる。
「"片羽の妖精"・・・ピクシーだ」

それはまさに"妖精"と呼ぶにふさわしい戦いぶりだった。
剣を持ったラリーは鮮やかに、しかし力強く舞う。
群がるワルキューレはその舞いに翻弄され、逆に斬り倒されていく。
ギーシュはそんな馬鹿なことが、と薔薇を振り、再びワルキューレを生み出す―だが、無駄だった。
振り下ろされたワルキューレの剣は弾き返され、無防備な胴体を真っ二つにされる。
より強大な斧を持ったワルキューレはラリーの鮮やかな機動―まるで妖精のような―に翻弄され、背後から一薙ぎされた。
アウトレンジを期待して槍を持たせたワルキューレは懐に潜り込まれ、バラバラにされた。
「そんな・・・」
何体ものワルキューレを突っ込ませても。
「そんな・・・」
いかなる武器を振りかざしても。
「そんな、馬鹿な!」
―この"妖精"には敵わない。
ギーシュはパニック状態に陥りながらも、ラリーに向かってワルキューレを突っ込ませる―これも軽々と蹴散らされた。
急いで次のワルキューレを生み出そうとしたその時、すでにラリーは彼の目の前だった。
「・・・降参するか?」
ラリーは呼吸一つ荒れておらず、皮肉にもギーシュ自身が生み出した剣を彼の首筋に当てていた。
もはや、誰の目にも勝敗は明らかだった。
「・・・分かった、僕の、負けだ」
大人しくギーシュは薔薇を手放す。
「それでいい」
ラリーは剣を降ろし、「返すぞ、いい剣だった」と言って剣を地面に突き刺した。


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