あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

モニカがルイズに召喚されました-01


彼女は気が付くと青空の下でたくさんの人間に囲まれていた。
みんな一様にマントを羽織って目の前に居る人物をあざ笑っていた。

「子供だ。ルイズが子供を召喚したぞ」
「流石はゼロのルイズだ。 とてもじゃないが真似できないぜ」
「真似したくないけどね」

見た所、学生のようだ。
それにしてもなんて程度の低い。
他者を貶める事でしか自分の優越感を守る事が出来ない、まるで子供だ。
人間の教育がどんな物なのかは知らなかったが彼女の周りには道徳観念のよく出来た人間
ばかりだった。
つまるところ人間に対する過大評価があった訳だが。
『私が飛べない事で苛められたのはいつの事だったのだろう?』と、ここまで考えて思考
を中断する。
もしかしたらここはとんでもない辺境なのか、もしくは異世界である事も考えた。
だとしたら自分がフェザリアンである事を話すのもまずいのかもしれない。
相手がどんな文化を持っているのか分からないのだ、もしかして精霊使いやファザリアン
を目の敵にしているかもしれない。
ちょうど総本山に帰る途中で、翼を隠せるようなローブを着ていたことに安堵した。
注意深く、周りの人間の指を確認する。どうやらリングマスターは居なさそうだ。


ルイズがモニカを召喚しました 第1話


"ゼロのルイズ"と呼ばれた彼女が『やり直しを要求します』とか"ミスタ・コルベール"と呼
ばれる人物―多分ここの責任者だろう―が『使い魔』とか『神聖な儀式』とか『伝統』と
か『進級』がどうとか言っている。
大体自分の置かれている立場については大体分かったが、見知らぬ他人の進級の為に使役
される立場に落とされるなんて冗談ではない。
契約しなきゃ留年だというなら留年して不幸になってしまえー


「アンタ誰?」
「礼法がなってないわ。
 見た所学生のようだけど、人に名前を聞く名前を聞くときは自分から名乗るものだって習わなかったの?」
「……ルイズよ。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」

"de" つまり貴族様である。
モニカも長ったらしい名前を聞いて偉そうな態度で接してくるのは偉そうな身分の人間だ
からだと理解した。
だいたいが長ったらしい名前の人間は性質が悪いと学習済みである。

「モニカよ。モニカ・アレン。
 私をここに呼び出したのはあなたかしら?」
「そうよ。 あなたは私のサモン・サーバントの魔法で呼び出されたんだから私の使い魔
になりなさい」

いきなり命令形。 流石貴族様だ。
だがモニカにとってむしろ話の内容の方が重要だった。
機械の補助と精霊使い2人で行った英雄召喚のような大規模魔法を学生の少女が行ったと
言うのだ。
これが本当ならもう異世界大決定である。
おそらく自分の知らない未知の魔法技術なのだろう。
いや、この世界の魔素の密度から調査しなおす必要があるかもしれない。

「それにしても、とんだ野蛮な地域に呼び出されてしまったものだわ」
「ややややや野蛮ですって?」

ため息をつくモニカ。
怒りでぐるぐるになるルイズ。

「神聖な儀式で、人間を召喚して働かせる民族の何処が野蛮じゃないの?」
「だってあんた平民じゃない。 平民が貴族の為に働くなんて当然の事よ」
「キシロニア連邦は民主主義だから貴族と言う身分が無いだけ。 私は平民じゃないわ」
「キシロニアレンポウ? 何処の田舎よ」
「自分が知らない地名を田舎と決め付けるのは文明人としてどうかと思うわ」
「じゃあ何処の国よ?」
「国の名前よ。 王や貴族と言うものの変わりに議会政治で国を運営しているわ。
 人口は少なく見積もって400人位かしら?」
「小国も良い所じゃない!」
「それは仕方ないと思うわ。 戦争で大分死んでしまったもの。
 今は復興中よ。」

時空融合計画で大多数が他の世界へ避難した事は言わない。
流石に信じてもらえないだろうから。

「じゃあ、あんた魔法使えるの?」
「勉強すれば普通使えるものでしょう?」
「嘘おっしゃい! 平民に魔法が使えるわけ無いじゃない!
 嘘をつくならもっともっともらしい嘘をつくことね!」

どうやらここでは一握りの人間しか魔法を使う事が出来ずしかもそれが遺伝するらしい。
魔法が使えるものをメイジと言い、それが貴族階級を作っているようだ。
異世界へ渡った人間達が"グローシアン"と言う特権階級を作り上げた事を考えると人間と
言うものは実の所どこも変わらないのではないか? とも思う。

「とにかく私は王家に連なるヴァリエール家の三女なんだから平民なんかとは違うのよ」
「なら貴族の何処が優良種なのか証明して見せて欲しいものね。
 『貴方』が『私』に勝てそうなのは年齢くらいに見えるのだけど?」

ルイズは考えた。
『ゼロのルイズが使い魔の平民に論破されてやんの』とか言う野次は当然無視である。
彼女自身そもそも魔法が使えない。
年下相手に取っ組み合いで勝っても大人気ない。
編み物で勝負とか言っても受けてもらえないだろう。
しばらく考えて勝てそうなものを見つけたので言ってみる。

「えっと…そう!胸とか!!」

13歳に勝ち誇るな。

どんぐりの背比べみたいな洗濯板を見ながら内心『2年後を見てなさい』とか思いつつ
モニカは話す相手を変える事にする。

「あなたじゃ話にならないことは分かったわ。
 この"神聖な儀式"の監督をしているのはそちらの先生かしら?」
「ミス・アレンだったかな?
 私がこの生徒達を引率しているジャン・コルベールだ」
「じゃあミスタ・コルベール。
 私が彼女と契約しなかった場合どうなるか教えてちょうだい」

このコルベールという人物は学園の中でもルイズに同情的な教師の1人だ。
彼女が影で努力をしているのを一番評価しているのもおそらく彼だろう。

加えて魔法は破壊だけに使われるべきではないとの信念の持ち主で、聞いた事も無いよう
な遠い国から召喚されたであろう目の前の少女にも同情的な想いなのであった。
詰まるところ苦労人であった。
おかげで生徒から影でコッパゲと陰口を叩かれる程である。
しかしながら自分の立場は教職なのであり目の前の少女に使い魔になってもらわなければ
ならない。
しかたなく彼は対話を開始する。

「彼女は留年と言う事になるな」
「留年させておけばいいじゃない」

にべも無い言葉。
くじけそうになったがコルベールは話を続ける。

「いや、しかしだね…」
「むしろ使い魔を召喚する力量を問うのが今回の試験の目的なのだとしたら私を召喚した
時点で十分なんじゃないの?」
「…古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆる
ルールに優先するんだ。
 従って彼女の呪文で召喚されてしまった君が契約するまでが試験対象になる」
「例外は?」
「ない」
「ルールじゃ仕方が無いわね。
じゃあ、そのルールを制定した人か、ルールを管理している人に会わせて頂戴。
古今東西、人を使い魔にした例は無いと言ったわね?
本当に異邦人が召喚された場合に相手の意思を無視してまで使い魔にしなければなら
ないのか確認を取るわ」
「あー…そんなに契約が嫌かね?」
「その契約の呪文はあんなドラゴンも制御下に組み入れてしまうのでしょう?
 絶対に魅了の呪文が織り込んであるわ。
 お断りよ」

示す先には風竜の子供、確かにあんなのが暴れだしたのなら、ただじゃすまないだろう。
コルベールは少女の観察眼に舌を巻きながら仕方なく契約の一時延期を告げるのであった。

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流石に部外者を学園の中に入れるのに書類が必要だと言われて30分ほど待たされた後に秘書の女性に案内されて階段を上り始めた。
秘書の名前をロングビルと言うらしい。
どこか作った様に感じたが、貴族とか平民とかそんな環境では地のままで過ごすのも難しいのだろうと勝手に解釈した。
長い階段を抜けて建物の最上階―――学長室まで通される。
席には年をとった学長と思われる老人と、未契約の使い魔に対して監修の義務があるコルベール。あと留年が掛かっている当事者のルイズ。

「ワシがこの学院の学院長を務めとるオスマンだ」
「聞いていたのより真面目そうな人ね」
「………ミスタ・コルベール。 ワシの事をなんと言って話して聞かせていたのかね?」
「いえ、事前に話を聞かせていたのはミス・ヴァリエールです。
 今後、使い魔として共同生活を送る可能性があったので、私が交流を推奨しました。
 もっとも間違っているとは思わなかったので否定しませんでしたが」
「おぬしがワシの事をどう思っとるのかよーく分かった」

オールド・オスマンが今期の査定を付けはじめる。
もちろん場の空気を和ませる為のギャグだ。
目の前の男が慌てふためくのを見るとついやりすぎてしまうのは仕方あるまい。
ほーれほーれ。

「そろそろ本題に入らせてもらうけどいいかしら?」
「ああ、すまなかった」
「『春の使い魔召喚の儀式において、それが何者であれ、呼び出された以上、術者の使い魔としなければならない』
 このルールは人にも適応されるものなのかしら?」
「春の召喚儀式と言うか…サモン・サーバントの呪文はお互いがお互いに必要な者を引き合わせる呪文じゃ。
 仮にサモン・サーバントを唱えなおしたとしても、お前さんの前にゲートが開くだけじゃな。
 そして召喚儀式の本義は使い魔によって本人の適正を確定して専門課程に進む為の準備を促す事じゃ。
 結局、お前さんが使い魔をやらない限り彼女は留年する事になるの」
「一つ付け加えるなら、サモン・サーバントの魔法は対象を指定できないと言う特性があります。
 先天的に適性が決まっていてミス・ヴァリエールがあなたを指定したという訳ではないのです。
 私としても彼女が留年してしまうのも忍びない。
 どうか契約を行ってはいただけないでしょうか?」
「それは、いつまで?」
「一生です」
「話にならないわ」

捨て犬のような目でコッチを見てくるコルベール。
いや、お前がそんな顔しても可愛くないから。
コッチ見んな。

「大体、貴族でもない人間がこうして交渉の場を作ってもらったって言うのにごちゃごちゃ屁理屈をならべないで頂戴。
 ちゃんと可愛がってあげるから、私の使い魔になりなさい」

彼女の名誉の為に補足しておくと性的な意味ではない。

「じゃあ、今抱えている問題点をあなたにも分かるように例え話をする事にしましょう。
 あなたは貴族だと言っていたから自分の領地があるはずよね?
 例えば隣の領地を治める領主があなたの領地に居る平民を攫って行ったらあなたはどうするかしら?」
「決まってるじゃない、ツェルプストーになんか小鳥一匹でも渡すもんですか!」
「…多少私怨が混じってる気がするけど執政者はそう考えるのが普通よ。
 それに私は議長の娘と知り合いだから今頃大変な事になっていると思うわ」

この世の終わりのような顔をするルイズ。
召喚した相手が、どこかの国の代表の娘のご学友だと分かったからだ。
更に言うと、その国の領主は他国に小鳥一匹渡す気が無いような人間がそろっているらしい。
下手を打つと後々国際問題になりかねない。
例えばキシロニア連邦とトリステイン王国を結ぶ航海路が発見されたとかした場合だ。
何しろ奴らは人口400人になっても戦争しているような戦闘民族なのだから

「あー、しかたないかの」
「ちょ、ちょっとだけ、もうちょっとだけ待って下さい。
 ミス・ヴァリエールはとても勤勉な生徒なんです。
 実技の成績はどん底ですが魔術理論・地理・社交・宗教、すべての筆記試験で優秀な成績を残しています。
 週末も街に繰り出すことなく実技の訓練をしている事を知っています。
 そんな彼女の努力がふいになってしまうのは忍びない。
 もう一度考えてはくれませんか?」

留年して来年サモン・サーバントを唱えても現れるのは目の前の少女。
つまりここで相手の了承を得なければ永遠に進級できない不可避の罠なのだ。

「…使い魔と言うのは必ずコントラクト・サーバントを受けないといけないのかしら?」
「コントラクト・サーバントを受けると使い魔のルーンが体に刻まれる。
 遅かれ早かればれてしまうだろうね。
 そして使い魔を獲得せずに進級した生徒と言う前例を作るわけには行かない」
「じゃあ、使い魔のルーンは足にあることにすればいいわ。
 お風呂には一人ではいる事にすればばれる事はないでしょうし 
 あなたが卒業するまで使い魔のフリをする事にするわ。
 使い魔召喚の儀式が2年生への進級試験を兼ねているのだからあと2年間ね。
 それでいいでしょう?」
「いいの?」
「別に私もあなたを困らせたくって契約を拒否しているわけじゃないもの。
 私が2年我慢すればあなたの一生が助かると言うならそうするべきだわ。
 …あとはこの2人をどう説得するかだけど…」

相変わらず捨て犬のような目をしているコルベール。
縋る様な目をしたルイズ。
2人の視線をうけてオールド・オスマンは深いため息をついて、それからこう言った。

「わしゃ何にも聞かなかった事にするよ。
 進級おめでとう。 ミス・ヴァリエール」


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