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ソーサリー・ゼロ第三部-02

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三八〇

 体力点二を失う。
 君はアンリエッタ王女に向かって、高位の≪土≫系統の魔法使いにもできぬ≪錬金≫をお見せしようと口上を述べると、術を使って、
大理石製の卓の上に金塊と宝石の小さな山を作り出す。
 王女は眼を丸くして
「まあ! なにもないところから財宝を?」と驚きの声を上げる。
 ルイズはおっかなびっくりとした手つきで金貨を一枚つまみ上げ、
「……幻? でも、ちゃんと感触があるわね」と言いながら首をかしげる。
 ルイズとアンリエッタが、突然現れた宝の山を本物だと確信した頃合を見計らって、君は術を解き幻影の財宝を消滅させ、もう一度ふたりを驚かせる。
「すごい……こんな魔法の使えるメイジは、ハルケギニアのどこを探しても見つかりませんわ。ルイズの使い魔さんは、
本当に遥かな異国のメイジなのですね」
 アンリエッタはそう言って、君を畏敬のまなざしで見つめる。三一四へ。

三一四

「ルイズ、わたくしは夢を見ているわけではありませんよね? この数日、よい報せが多すぎますもの。アルビオン反乱勢の脅威が近いうちに消えうせ、
それにともないゲルマニア皇帝との婚姻も、取りやめに。そのうえ、ウェールズさまが生き延びようと決意してくれただなんて!
祖国もわたくしも救われ、すべてがよいほうへと向かっていますわ。これも、始祖ブリミルのお導きでしょうか!」
 アンリエッタはふたたび眼に涙を湛え、うっとりと陶酔したような表情でそう言うが、君とルイズはとまどい顔になる。
「姫さま、アルビオンの脅威が消えうせるというのは?」
 ルイズが尋ねると、アンリエッタは君たちのほうを向いて微笑む。
「本当はまだ秘密なのですが、あなたたちにはお伝えしてもいいでしょう……」
 そして、君たちが馬の背に揺られていたころ、トリスタニアの王宮ではなにがあったのかを話してくれる。

 トリステインの南に位置する大国、ガリアの大使が王宮を訪れたのは、一昨日の朝のことであり、彼のもたらす報せを受けて、宮廷は驚愕につつまれた。
 ガリア王ジョゼフがアルビオンの内乱への介入を決意し、トリステイン王国や帝政ゲルマニアをはじめとした諸国へ、打倒≪レコン・キスタ≫を
目的とする連合軍の結成をもちかけたからだ。
 ハルケギニア最大の軍を有するガリア王国はこれまで、アルビオンの内乱への不干渉と中立を宣言し、トリステインなど諸国からの同盟締結の誘いも
無視してきた。
 そのガリアが、手の平を返したように対≪レコン・キスタ≫の同盟を発起するなどおよそ信じがたいことであり、宮廷の重臣たちは耳を疑い、
なんらかの謀略ではなかろうかと勘繰った。
 しかし、近々発足するであろう新生アルビオンの脅威にさらされているトリステインにとっては、この申し出は渡りに船であり、
天からの慈雨にも等しかった。
 唐突な心変わりを見せたガリア王の真意は謎のままだったが、あまり公の場に姿を見せぬ変人――口さがない者たちのあいだでは、
狂人ともささやかれている――として有名な人物のため、ただの気まぐれだろうと片付けられた。
 わずか一日の協議でガリアの提案は受け入れられ、アンリエッタは嬉々として快諾の旨を記した親書をしたためたという。
 アルビオンを支配しトリステインを脅かす≪レコン・キスタ≫が倒されてしまえば、トリステインはゲルマニアと同盟を結ぶ必要もなくなる
――すなわち、王女が望まぬ政略結婚を強いられることもなくなるからだ。
 すでにガリア軍は数万の兵をアルビオンに送り込むべく動員を開始しており、トリステインも数日中に連合軍の結成を発表し、
選りすぐりの精鋭部隊を参加させるということだ。

「わたくし……戦は嫌いです。ウェールズさまの身を案じ続けた日々で、その思いを新たにしました。
殿方はやれ勇気だ、名誉だなどと言って
戦場に出向いてしまいますが、後に残されるわたくしたち女子供がどれほど心配しているか、帰ってこなかったときにどれほど嘆き悲しむか、
そういった事々を考えてはくれません」
 アンリエッタ王女は話を続ける。
「ですが、此度の出兵はトリステインとアルビオンの未来のためにどうしても必要なのです。ガリア一国でもアルビオンを解放するに足るだけの兵を
揃えられはするでしょうが、失礼ながらなにを考えているかわからない、あのジョゼフ陛下にアルビオンの命運を委ねるわけには参りません。
小国とはいえ伝統ある我がトリステインも、戦場で堂々と存在を示さねばならないのです。マザリーニ枢機卿は、アルビオンとガリア、
二大国に恩を売るまたとない機会だなどと言っていましたが」
 じっと話を聞いていたルイズは顔を輝かせ、
「それでは、もうすぐ≪レコン・キスタ≫の謀叛人たちはしかるべき罰を受け、ウェールズ皇太子殿下はロンディニウムにお戻りになり、
新しきアルビオン王として冠を戴かれるのですね。ああ、なんて素晴らしいことでしょう!」と、
いくらか芝居がかった調子で言う。
 事態は思いがけず、最善の方向へと向かっているようだ。
 遠からず≪レコン・キスタ≫は壊滅し、トリステイン王国は救われ、ウェールズは失われたかと思われた王座につき、
いずれはアンリエッタと契りを交わすことになるだろう。
 しかし、いくつか気がかりなこともある。
 君はひとつ咳払いをすると、王女に訊きたいことがある、と言う。
「まあ、なんでしょう、使い魔さん?」
 なにを質問する?

 皇帝との婚約を破棄するそうだが、ゲルマニアとの関係は大丈夫なのか・四八へ
 ガリア王ジョゼフという人物は、信頼のおける相手なのか・一五〇へ
 トリステイン以外の各国は連合軍に加わるのか・八五へ

八五

「ガリアからの使者はトリステインやゲルマニアだけではなく、ロマリア連合皇国やクルデンホルフ大公国、ほかにもいくつかの国々に
遣わされているそうです。そのいずれの国もが、≪レコン・キスタ≫討伐の軍に参陣することは間違いない、と枢機卿は申していましたわ。
数十人しか派遣できない国もあるでしょう、ということですが」と、
王女の答えが返ってくる。
 ハルケギニアの諸国にしてみればこれは、最強の大国ガリアを味方につけた確実に勝てる戦だ。
 勝ち馬に乗って損はないと考えるのも当然であり、誘いを断ってもなんら益するところはない。
 世界中を敵に回した≪レコン・キスタ≫の命運ははいまや風前の灯だが、彼らの非道なやり口を眼にした君の心に、同情の思いはない。
 早く解放されたアルビオンに赴いて、ウェールズ皇太子――あの快活な青年にニューカッスルでの非礼を詫び、もう一度酒を酌み交わしながら
語り合いたいものだと、君は考える。
 次は、ゲルマニア皇帝との婚約を一方的に解消して大丈夫なのかと問うか(四八へ)?
 それとも、ガリア王ジョゼフという人物は信頼できるのかと尋ねるか(一五〇へ)?

一五〇

 アンリエッタはガリア王のことを、わずかに嫌悪混じりの声で語る。
「始祖ブリミルの末裔であり、遠縁とはいえわたくしたちの親戚でもあるお方を悪し様に言いたくはありませんが……」とささやくような声で言う。
「あまりよい話は聞きません。相当な変わった性格のお方だとか。政務を投げ出し、いつも私室に篭って奇妙な遊びに興じているそうです。
王位継承をめぐって実の弟を殺めた、それ以来心を病んでしまったといった、悪意に満ちた噂さえ流れているそうです。
もちろんわたくしは、そんな噂を信じてはいませんけれども。此度の≪レコン・キスタ≫征伐のための挙兵も、ジョゼフ陛下にとっては
ただの思いつき、気まぐれなのかもしれません。なんにせよ、アルビオンを蝕む礼儀知らずの謀叛人たちを成敗しようというのですから、
立派な行いには違いありません」と言う。
 話題を変え、皇帝との婚約を破棄するそうだがゲルマニアとの関係は大丈夫なのかと尋ねるか(四八へ)、
トリステイン以外の諸国は連合軍に加わるのかどうかを尋ねるか(八五へ)。

四八

 君の問いを聞いて最初に声を上げたのは、アンリエッタではなくルイズだ。
「そうです、姫さま! 婚約の解消は喜ばしいことですが、野蛮な成り上がりのゲルマニアのことです。侮辱されたと言いがかりをつけて、
トリステインを脅かすのではありませんか?」と言って、
心配そうな表情でアンリエッタを見つめる。
 アルビオンからの侵攻の心配がなくなっても、大国であるゲルマニアと戦争になっては元も子もない。
 バク地方の古い言い回しにいわく、『スナタ猫から隠れて、くびり藪に入る』だ!
「心配ありません、ルイズ・フランソワーズ」
 アンリエッタはそう言うと、ゲルマニア皇帝にはなんらかの形で償いをしなければならぬだろうが、交渉で穏便に片付くであろう問題だ、と語る。
 まだ正式な婚約の発表はなされておらぬので、皇帝の体面もそれほど傷つくことにはならぬのだ、と。
 その言葉を聞いて、ルイズは小さく安堵の溜息をつき、君は胸を撫で下ろす。
「わたくしの結婚式はとうぶん先のこと、この≪始祖の祈祷書≫も宝物庫に逆戻りです」
 アンリエッタは卓上に置かれた、古びた一冊の書物を指し示す。
 革装丁の表紙は表紙はいたるところが擦り切れ、虫に食われ、ぼろぼろの有様だ。
 その表紙に綴じられている百五十枚ほどの羊皮紙も、退色がひどい。
「≪始祖の祈祷書≫? これがあの、国宝の?」
 ルイズが眼を丸くする。
「ええ、トリステイン王室の伝統では、王族の結婚式ではこの≪始祖の祈祷書≫が大きな役割を果たします。聞いたところによると、
貴族のなかから選ばれた巫女がこの本を手にして、式の詔(みことのり)を詠み上げるとか。……もっとも、なにも書かれていない本ですから、
ただのお飾りでしょうけれども」
 アンリエッタはそう言って笑うと、そっと≪始祖の祈祷書を≫開き頁をめくるので、君とルイズは興味津々の様子でそれを覗き込む。
 王女の言うとおり、退色した羊皮紙はどこを見ても文字ひとつ記されてはいない。
 おそらく、その内容はどうでもよいことであり、王家に代々受け継がれてきたという歴史と伝統にこそ意味があるのだろう。
 君たちが≪始祖の祈祷書≫に対する興味を失ったようなので、アンリエッタはその本を閉じようとするが、そのとき、ルイズが小さく驚きの声を上げる。
「えっ? なにか文字が…」
 二八六へ。



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