あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

KNIGHT-ZERO ep13


Q6.ナイトライダーファンに女性は少ないですか?
A6.少なくともこのスレでは多数派を形成しつつあります。問題ありません。
KARRになら何をされても構わないと豪語する猛者もいます。


2ch海外ドラマ板
         ナイトライダースレッドのFAQより




夜明け前

朝露に濡れた芝生が沈みかけのふたつの月に照らされて銀色に光る、五つの塔に囲まれた庭
白い靄の中から、規則的な呼吸とリズミカルな足音、それに合わせて動く桃色の髪が近づいてくる

トリスティン魔法学院の二年生ルイズ・フランソワーズは学院の庭を、朝早くからぐるぐると走っていた

基本的に夜明け前から朝食まで、そして授業が終わってから就寝する夜まで、時には深夜に及ぶまで
文字通り一日中KITTで走り回っていたルイズが自分の足で芝生を踏みしめ、単調な周回をしていた

自身を操るために不可欠な体力を養うべく、KITTがドライブの前に課した異世界の修行「ジョギング」
最初は庭をちょっと走っただけで息を荒げてブっ倒れ、運転禁止を申し渡すKITTを悪魔だと思った
この苦行がKITTの居た異世界では都会人の娯楽であるという言葉をルイズは初め信じられなかったが
それまで縁の無かった運動は成長期の体に馴染み、それはすぐにルイズにとってごく自然な日課となった

スポーツウェアなど無いこの世界、ルイズは学院制服のブラウスとミニスカート姿で芝生の上を走っていた

KITTの中で息づく水素核融合タービンのように力強い運動を繰り返す、ルイズの白くしなやかな両足
その腿には公爵令嬢として学院に入学した頃には無かった、まだ細いながらしっかりとした筋が通っていた

ジョギングが終わると、早朝の庭で杖を構えて虚無魔法の訓練をする、武道の稽古のような動きと息遣い
それはルイズが自主的に始めた事だった、それらの練習を終えた後、KITTとのお楽しみの時間が始まる


ルイズは走っていた



もうひとつの夜明け前


ハルケギニアの上空を浮遊する大陸アルビオンは、過日の戦乱による変化の時を迎えていた

レコンキスタによる新政権の崩壊と彼らの離散、トリスティン、ガリア、ゲルマニアによる委任統治


本格的な総力戦の無きまま終わった戦争の戦後処理を話し合うべく各国の元首が港町リヴァプールで会談し
浮遊大陸の地理的にも文化的にも異なる三つの地域がそれぞれの国によって分割されることとなった

首都ロンディニウムや軍港、商業都市を抱え文化的、経済的に最も恵まれた大陸南部のスコットランド
大陸北部高地の広い面積を占め、肥沃な穀倉や農地と湖水魚の漁場、森林資源を抱えるイングランド
東部で酪農と酒造を行う敬虔で独立性の高い国民が、他の地域の干渉を拒み続けるアイルランド

戦後処理を話し合った結果、その三つの地域にそれぞれの国が総督と駐留軍を送り、占領を行う事となった


三つの占領国の中では最も高い軍事力と国力を持つゲルマニアがスコットランドの領有を出張し
農業立国を自認し、食料や工業材料の自給と輸出を国是とするガリアはイングランドを取った
他の二国に比較すれば小国に分類されるトリスティンはアイルランド地域の統治権を得る

人間より牛と羊の多いような田舎を押しつけられるアンリエッタの弱腰にルイズは嘆いたが
KITTは「その地域は近い将来、世界を動かす人材を数多く輩出する事になります」と言った

政界や文壇で活躍するケルト人や、アメリカの公職者の多くを占めるアイルランド移民についての話を
KITTは長々と語ろうとしたが、学校の退屈な授業の様な異世界の歴史話を嫌うルイズに早々に遮られた

それはKITTが懸念していた地球テクノロジーの濫用への本能的な警戒感で、ルイズの不精でもあった




戦利品の略奪から始まり、本国への搾取を目的とした殖民を行うそれまでの占領とは異なった形の統治
それまでのアルビオンの国民はハルケギニア大陸の国々よりも前時代的な封権制度に甘んじてきたが
戦勝国からやってきて旧弊な貴族荘園を効率的な農業共同体に作り変える占領政策を概ね歓迎した


それでも未だに残る身分制度や、山賊と変わらぬような地方領主から領地を奪うための武力行使など
地球の中世よりは進んだものながら、現在の地球の基準では人道的とはほど遠い占領だったが
それはこの古くて新しい世界が得た、来るべき時代への移行を前にしたほんの少しの胎動だった


ハルケギニアの国々を見下ろす島国、大陸から隔絶された地理条件故、文化的に遅れを取っていた国が
内乱で失われたいくつもの貴い犠牲と引き換えに、ハルケギニアで最も新しい実験国家として歩み始めた
そして、国家と人間の動きの影に消えたレコンキスタの貴族達は、地下に潜伏し独自の活動を開始していた


アルビオンは動いていた



めまぐるしい春が終わり、季節は初夏になろうとしていた

王都トリスタニアから各地方へと伸びる馬車道路を、ルイズはKITTを駆り帰郷の途についていた
今回はルイズがしばしば行っていた無断欠席ではなく、学院から正式な休講の許可を得ている



その数日前に実家から手紙が届いた、当主ヴァリエール卿の名で、至急帰られたし、と著された書面

ルイズは厳格な父と母を思い出して涙目になるもKITTの前で無理に虚勢を張る、膝は震えていた

「…ちょ…ちょうどわたしも言いたいことがあったのよ…わ、渡りに船って奴だわ…行ってやろうじゃない」



ルイズは実家に向けてKITTを走らせていた、KITTの故郷での制限速度を律儀に守っている

「いい?あんたはただの馬車、ちょっと不思議な魔法で動く馬車、決して喋ったりなんかしない馬車よ」

KITTは自身が嫌う「馬車」という呼び名を無神経に連呼するルイズに、珍しく鼻を鳴らす音を発する

「ルイズ、あなたが口を噤めというならば私はそうしましょう、しかし、もうバレてると思いますよ」



ルイズの使い魔であるKITTの性質を無闇に口外しないようにというアンリエッタ女王のお達しは
あのタルブでの戦闘を目撃した兵士や村人のみならず、学院の生徒や職員にまで及んでいたが
それはルイズとKITTの身の安全を守るためという名目で、その実彼女のKITTへの独占欲だった

そして、決断力に富んだ清廉な元首として知られ始めた女王アンリエッタは、ツメが甘かった




使い魔品評会の後、それをサボって郵便屋の真似事をしたルイズにアンリエッタから個人的な感状が届いた
王室の便箋には流麗な筆跡でしたためられたKITTへのお礼と、ルイズやシエスタへの同様の感謝
よく似た文面ながら自分らへの礼はKITTへ綴った文の付け合せに見えたのは女の勘という奴だろうか

感状に添えられたアンリエッタ女王の直属女官としての辞令と、あらゆる権限を許可する身分証明書
タルブ戦以来なんとなく持ち続けてきた水のルビーと祈祷書も、正式にルイズの手元での保管が命じられた


ルイズとKITTが真っ先に求めたのは、王宮の書庫に収められている全ての文献情報の開示だった
表から許可を求めるのも面倒だったので、ルイズはKITTの機能を駆使して勝手に頂戴することにした

ルイズはまたしても授業をさぼって王宮に乗り込み、門衛に女王様の身分証明書を突きつけ下がらせると
王室所蔵の書物が収まっている巨大な「ミョズニトニルンの塔」に鼻先を向けてKITTを停車させる


KITTはナイト財団が密輸摘発の為に開発した新世代のX線透視装置によるスキャナを起動させた
塔に向かって数分間X線スキャナを照射する、石壁を通し書棚を透過し、閉じたままの書物を取り込み
KITTはミョズニトニルンの塔に収まっていた全ての王宮蔵書を自分のデータベースに収蔵し終えた



王宮を構成する建物は地球の土木建築に比して遅れていながら部分的に超越した技術で建てられていたが
土の魔法で建てられたそれらの建造物に比して異彩を放つ黒銀色の塔は人力で建築されたものではなくて
はるか昔にとあるメイジが『使い魔』として召喚したものであるらしい、王宮に属する研究機関では
この使い魔こそが始祖ブリミルの四人のしもべのうちの一つ、知を司る使徒だという仮説が建てられていた
そのメイジが没した後もミョズニトニルンの塔は書物保管に理想的な内部空調を備えた便利な塔として
王宮の古文書から議事録や官吏名簿、下町の通俗小説までもが収納され、知の塔として生き続けている

スキャナで蔵書と共に建物の走査をしたKITTは、その円柱が地球に存在するカーボンナノチューブに
極めて近い成分で形成されている事に気づいた、地球の宇宙開発を大幅に推進させるであろう素材の塔は
現在の地球では構想図の中にのみ存在する軌道エレベーターやシリンダー型コロニーに似た構造をしていた



それよりKITTには、王宮訪問中にこちらを遠くから監視する平官吏の服を着た男のほうが気になった
KITTが先刻収集した情報を早速駆使して骨格形状から認識した情報によると、彼の名はジュローム
トリスティンきっての名門ヴァリエール家の執事で、内政情報を収集する役を負っているらしき男だった


アンリエッタの勅命によりルイズとKITTに計られた便宜は、結局アンリエッタが秘することを望んだ
ルイズとその使い魔の秘めた力についての情報を、一部の耳ざとい人間に少しづつ垂れ流す事となった



「ルイズ、"私達"の正体はバレてますよ、きっと」



実家差し回しの馬車ならヴァリエール領まで二日、領地に入ってから屋敷まで一日を費やすいつもの帰郷
KITTを飛ばせば3時間程で着く道中をルイズはゆっくりと走らせていた、上空を飛竜が追い越していく

原付バイク程の速度で一日を走り通し、宿を取るのも面倒だったのでKITTの中で一泊して、また走る
アクセルは踏めるだけ踏むのが当たり前の操縦に慣れていたルイズにとって、最初はそれが苦痛だったが
実家のお膝元で目立つ真似はしたくない、それにゆっくり走らせるKITTも悪くないとも思い始めていた

領地の荘園を走りながら、こっちを指さして驚く者、貴族の酔狂と眉を顰める者の視線を楽しむルイズは
屋敷の敷地にほど近い、見渡す限りの平原にさしかかった、若い頃の父と母が武勇を磨いたという草地

平原の向こう側に見えた小さな人影、ズームカメラの画像と個人認識データを見たルイズの血の気が引いた

近づいていくにつれて肉眼でも見える、鋼の甲冑に身を包んだ騎士は平原に響き渡るような名乗りを上げる

「ルイズ・ラ・ヴァリエールの使い魔KITT!我が名は烈風のカリン、いざ尋常に勝負せよ!」


ルイズの母カリーヌ・デジレがそこに居た

名門ヴァリエール家の一人娘にして、王宮直属の最精鋭騎兵マンティコア隊の設立を成した伝説的騎士
幾多の戦場で、その殺戮の数よりも救った味方の数や敵を撤退させる策謀で勇名を馳せた烈風のカリン

桃色の髪を靡かせた甲冑のメイジは老いたマンティコアから降りた、全身から漂う迫力がKITTを圧する

KITTは平原の中央、カリンと互いの姿が確かめられる位置で、ルイズに車体の停止を求めた
ルイズやKITTの知る、通常のメイジが戦闘で取る間合いのほぼ10倍、大砲すら届かぬ距離


「ルイズ、降りて頂けますか?」

「KITT!何のつもり?もしも戦うっていうなら…当然わたしも一緒よ!」

「カリーヌ殿は私との勝負を希望しました、それは私をひとつの人格と認めて頂いてるということです
私にはそれに全力を以って答える義務があります・・・ルイズ、あなたを母君と戦わせるわけにはいかない」

「わかったわ、KITT……おねがい、わたしのお母さまを殺さないで……」

「ルイズ、私は決して人を傷つけません…私から降りたら500m、いえ1kmは離れていてください」

KITTは平原の中心で、琉球短槍のような杖を無造作に下げたルイズの母カリンと向かい合った



ルイズが500m以上離れたのを確かめたKITTは放射状の土煙を上げ、カリンに向かって急発進した
カリンは輪っかの形の雲を発てながら、フライ魔法による極めて高速な移動でKITTに突っ込んでいく
甲冑の重さなど感じさせない動き、低空で亜音速飛行するカリンはKITTに向かいながら杖を払った

KITTとカリンがマッチを擦るように接近し離合する、高速でニアミスした二つの物体が発てる衝撃波は
700m離れた位置で双方を見守るルイズにまで届き、盾にしていた岩がカンカンと音をたてヒビ割れる

KITTはルイズによって蓄積された走行データを存分に生かし、土埃の円幕を作りながらターンした
カリンは競技水泳のクイック・ターンのように縦に回転して、空気の壁を蹴るような急加速で突進してくる

KITTは分子結合殻が無傷であることを確めた、そして超音速で撃ちこまれた鋼の硬さを持つ氷の砕片も

すれ違った瞬間に撃ちこまれた氷の魔法はタルブ戦で被弾したアルビオン軍の魔法攻撃など比べ物にならぬ
KITTにとって未知の攻撃だった、戦艦の大砲を凌駕する質量の攻撃に人工知能は恐怖の感情を覚えた

KITTはそれまで、魔法による攻撃の地球における近代兵器に対しての優位性を認めていなかった
しかし、現在自らが対峙している強大な力は、KITTの記録にあるいかなる個人携行兵器をも上回った
この一人のメイジが祖国アメリカの敵になったなら、原子力空母一隻程度では到底敵わないだろう



カリンが再び杖を突き出した、KITTはミラーでその杖を弾く、カリンは飛んでいく杖に同調するように
体を飛ばし巧みにエネルギーを殺すと、そのまま頭上の杖を叩きつける、KITTはスピンして弾いた

半径数百mにも及ぶ範囲での一台の車と一人のメイジの速く激しく、美しくさえある剣戟はしばらく続き
それは並のメイジには到底理解できぬタイミングで唐突に終わった、ルイズにもさっぱりわからなかった


KITTはカリンの直前で止まる、鬢に一筋の汗を流したカリンは眉ひとつ動かさないまま杖を捨てた


「負けました、あなたは私が若き頃に目指し届かなかった『最強の不殺』をすでに成し遂げている」




ルイズは母カリンを助手席に乗せたまま、ヴァリエール家の屋敷までの緊張のドライブをしていた

異世界でKITTのお仲間を操る時に必須だという自動車免許などルイズは持っていなかったが
恐らくその免許を取るために課せられる試練と修行はこれに似たものなんだろうとルイズは思った
運転操作や目視確認、わたしが一度でもそれらをおろそかに行えば、きっと拳や蹴りや杖が飛んでくる

カリンはといえば目新しい馬車での移動を楽しんでいた、そしてこの不思議な力を宿した馬車との会話も

「カリーヌ殿、貴殿の騎兵隊における活躍についての情報を王室の古い記録から拝見させて頂きました
あえて付け加えさせて頂きます、あなたは私がこの世界に来て以来、最も敬愛を覚えた人物であると」

カリンは無表情のまま氷のひび割れるような声を発した、ルイズの心臓がまたドキンチョと跳ねる

「昔の私がどうであろうと、現在は老いた領主夫人に過ぎません、若さも強さも、過ぎ去りしものです」

助手席の上で足を組み、片肘をドアにもたれかけるカリーヌの桃色の髪は鈍く輝く甲冑との調和を描き
車窓を見つめる澄んだ鳶色の瞳といい、ルイズやその姉達が逆立ちしても敵わぬほどの色香を纏っていた

「機械である私に肉体の強さや外貌の老若はさほど意味を持ちません、ただ、その心に感銘を受けるのです」

顔を正面に向けたままKITTを操縦するルイズは、そっと横目で盗み見した母の姿に心底驚かされた、
それは生まれてこのかた一度も見た事の無かった物、厳格な母カリーヌが、烈風のカリンと呼ばれた騎士が


頬を赤らめていた


「KITT、夫ある身の女をからかうものではありません」



その後、ルイズは学院入寮以来数ヶ月ぶりに母カリーヌと父ヴァリエール卿と共に晩餐の食卓を囲んだ
KITTがただの馬車であること、ヴァリエール卿にはその知能と人語の能力について黙ってる事を
ルイズは母カリーヌとの密談で決めた、母が少女の悪戯のような真似を率先して行う様にまた驚かされた


数回の夕餉を重ねた頃、ルイズは帰郷の目的でありながら今まで言い出せなかった事を父と母に告げた


「お父さま、お母さま、わたくしはアルビオンに向かいます、わたしの成すべき事はそこにある」

カリーヌはルイズを横目で睨み、すぐに晩餐の肉料理に視線を戻すと、それを切る作業を再開した
いつかルイズが邸の庭で汚い山猫を拾ってきた時からずっと、母が何かを許可する時の仕草は変わらない
威圧を覚える所作が逆にルイズを安心させる、最大の問題が解決して胸を撫で下ろすルイズは父の顔を見た
ヴァリエール卿はといえば妻カリンの顔色を窺ってる、娘に許しを与えた母の顔を確かめると豪快に笑い
オーバーアクションな身振りで成長した娘への感動と激励を表現した、ルイズは正直ちょっとウザかった


父であるヴァリエール卿もKITTの事を知っていた、執事ジュロームの収集した精度の高い情報を聞き
タルブでの無血勝利やウェールズ皇太子との接触よりも、グラモン家の小童の『逮捕』に大喜びした


「ルイズ、お前一人なら私は牢に入れてでも止めただろう、しかし今のお前にはKITT君が居る」


どうやら父は晩餐の後でこっそりKITTを見に行き、言葉を交わし、ドライブまでもを楽しんだらしい
ヴァリエール家が突然ルイズを呼びつけたのは、ルイズが使い魔として得たKITTを見定める為だった

後でルイズがKITTに聞いたところ、KITTはそれが地球の普遍定理であるかのように答えた
「スピードの出るクルマが嫌いな男子はそうそう居ません……ヴァリエール卿も男の子ですから」


翌朝に実家を出て、学院に戻る事を決めたルイズはその晩、子供の頃のように母と同じベッドで眠った
いつも妻と同じ寝室で睦まじく眠りについているヴァリエール卿はといえば、またKITTと遊んでた


母の胸に抱かれながら「これが最後になるかもしれない」という言葉を飲みこむルイズの髪を
カリーヌはルイズが幼い頃に好きだった子守唄を歌いながら、眠りにつくまで撫でつづけてくれた


「ルイズ、ルイズ、強く美しくなったルイズ、あなたはずっと、いつまでも、わたしの小さなルイズ」


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