あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのミーディアム 第一章 -03


時刻は夜をまわろうとし、東の空に月が顔を見せ始めたころ、ここはトリステイン魔法学院生徒寮の一室。
ルイズの部屋である。その十二畳程の大きさの部屋に二人の少女…いや、この場合は一人と一体と言うべきか…



色々とゴタゴタしたものの儀式も無事終わりルイズは水銀燈を連れて自分の部屋に帰ってきた
さて、その儀式だがどうやら双方共に食い違いがあったようだ
ルイズは使い魔としての契約を、水銀燈はミーディアムを得るために契約を行った
結果は…お互いの手を見ればお分かりだろう
ルイズの右人差し指には薔薇をあしらった指輪が、水銀燈の左手の甲には不思議な紋章が刻まれている
互いの認識の違いを正すべく色々と話を交わしてみたのだが…
「信じられないわねぇ…まさか契約した先が異世界だったなんて…」
開かれた窓縁に座り天を仰ぎながら言う水銀燈。
(でもあれを見たら信じるしかないわよねぇ…)
その瞳に映るのは冷たく輝く大きな二つの月…そう、天には彼女の見慣れぬ二つの月が輝いていた
「おまけに魔法の世界ですってぇ?まるでファンタジーの世界じゃないのよぉ」
ルイズの話によればここは魔法が存在しそれが万物の中心とする世界。
彼女自身も実際に人が何か呪文を唱え空を飛んだのを見た。信じるしかないだろう
「私だってそうよ、別の世界から来た上にローゼンメイデンとかアリスゲームとか…
そもそも自律式の人形が実現してたなんて…」
くどいようだがこの世界に自律式の人形を完成させた者はいない。
それは魔術師の、その中でも人形師と呼ばれる者達の永遠の課題とまで言われているのだ
「あと私以外に六人はいるわねぇ」
「あんたの創造者って何者なのよ…」
「お父様は天才なのよ」
「そんな簡単に片付けないでよ。研究家なんかに知れたら大慌てするわよ?」
「まぁ信じようが信じまいが関係ないわぁ、私のミーディアムとしての契約を交わした以上、
貴女は私の力の糧となってもらことになるんだから」
「ちょ、ちょっと!力の糧とかなんか物騒な事を…」
「心配しなくていいわよ、ほんのちょっぴり力を借りるだけよ。少なくとも力をとられすぎて死ぬようなことは無いわぁ。多分」
「多分!?」
「ああ、あと私は他の子と違って力の吸収に際限がないからよろしくねぇ」
「よろしくじゃなーい!」
「怒っちゃだめよ…血圧上がっちゃうから…乳酸菌とってるぅ?」



ルイズは激しく息を切らしながら抗議するものの、水銀燈はそれをかわすように、からかうように答える
彼女に振り回されっぱなしだ
(まったく…やりにくいことこの上ないわ…)
「まぁ私の話せることはこのくらいかしらぁ?
ところで…使い魔云々の契約自体は私にも理解できたんだげど…具体的に何すればいいのよ?」
(来たわ!私のターン)「フッフッフ…知りたい~?」
すごく嫌な…じゃなかった、(含みのある)眩しい笑みを水銀燈に向けるルイズ
「正直あまり知りたくない…と言いたいけど
そっち(使い魔)の契約も受けた以上はそう言う訳にもいかないわよねぇ…?」
こちらは苦笑いを浮かべ水銀燈は言った



「当然よ!それじゃあ聞きなさい!まず第一に!使い魔は主人の目となり耳となる能力が与えられるわ!」
「私の見たものが貴女にも見えると言ったところかしらぁ?」
「理解が早いわね」
「で…?何か見えるの?」
「…無理みたい。何も見えないもの…」
「…ダメダメじゃないのよ」
「アンタのせいでしょーが!」
「知らないわよぉ、そんなこと」
「あ!まだあるわよ!使い魔は主人の望む物を見つけてくるのよ!例えば秘薬とか!」
「秘薬ってなんなのよ?」
「魔法を使う時に使う触媒よ。硫黄とか苔とかね」
「やぁよ。なんか面倒くさそうだし危なそうだし。と言うか分からない物なんか見つけられないわよぉ」
「…そうよね、あんた秘薬の存在も知らなかったのよね…」
額を押さえどこか諦めたように呟くルイズ
「そしてこれが一番なんだけど…使い魔は主人の守護を担う存在なの!
その能力で敵から主人を守ることが最も重要!…なんだけど…」
ルイズはジト目で水銀燈を見やる
「…何よ?何が言いたいのよ?」
もっとも、彼女もルイズが何を言いたいのか察しはついてるようだが
「あんたじゃ無理よね…私より小さい人形だし」
「し、失礼ねぇ!私だってその気になれば!」
「ドラゴンやグリフォンも倒せるの?」
「う…それは、ちょっと難しい…かも…」
流石の水銀燈も口ごもらせた
「だからあんたにできそうなことやらせてあげる。掃除に洗濯。その他雑用!」
「…はぁ、わかったわよ…」
「つべこべ言わないの!私もちゃんとあんたを世話してあげるんだからそのくらいは…え?」



意外だった。ルイズは水銀燈と出会ったばかりだが彼女がどんな人間…訂正、どんな人形か把握していたつもりだった
彼女ならこんなことは絶対嫌がるに決まっていると思っていたのだが…



「嫌に素直ね…てっきりすごく嫌がると思ってたのに」
「仕方ないじゃないの」
水銀燈はさっきまでの不敵な笑みを浮かべていた表情から突然真剣な顔となり真面目な口調で話しだした
「貴女は私との契約でミーディアムとなった。そして私は貴女の契約で使い魔に。
例え不本意とはいえ契約は契約。双方共にその義務は果たすべきでしょ?」
言われてみればごもっとも。だがルイズは水銀燈の口からそんな言葉がでるとは思わなかった
「あんた…意外にそういうとこしっかりしてるのね」
「ある程度は貴女の言うとおりにしてもいい。
そのかわり貴女も私のルールには従ってもらうわ。主に衣食住の提供、アリスゲームへの協力と言ったところかしら?」
「…わかったわ。交渉成立。でもちゃんと私の言うことも聞いてよね?」
「まあ善処してあげるわぁ」
真剣な口調も元にもどり水銀燈は答えた。



(まぁとりあえずアリスゲームとやらが始まるまではこの子の衣食住を負担してあげれば…)
…!?
ここでルイズは不自然なことに気づいた
「ちょっと待ちなさい!あんたさっき衣・『食』・住って言ったわよね!?」
「何よぉ、それぐらいは世話してもらっても罰当たらないでしょうに」
「そうじゃなくて『食』って何よ!」
「そのまんまよ、ご飯食べさせてってことよぉ」
「あんた食べ物食べるの!?人形なのに!?」
「人形がご飯食べるのに何か問題あるのかしらぁ?」
「大ありよ!自律式どころか食物を摂取する人形なんて!」



自我を持つと言うだけでも十分すごいのに…これはもう人形の域を越えている



何故か頭が痛くなった。この人形、ルイズの中の常識と言う物をどんどんぶち壊しにしていく



「なんか今日はもう疲れたわ…眠くなってきた…」
「あら本当、もうこんな時間。私も眠りの時間だわぁ」
「それじゃ今日はこれぐらいにしときましょ。…あ、」
ルイズはベッドに倒れこんでから最後にもう一つだけ気づいた
この部屋はルイズ一人しか住んでいない。故にベッドは一つだけ。自分はベッドに寝ればいい。
では水銀燈は?
(犬や猫なら床に眠らせればいいんだけど…)
彼女は人形とはいえ見た目は普通の少女。流石に床で寝ろなんて言いにくい。ましてや、住む場所は保証するといったばかりなのだ
(ってことは…これしかないわよね…)
一つのベッドに…2人で一緒に寝るしかない



なんだかこっぱずかしい
(で、でも普通にぬいぐるみ抱いて寝てる人間もいるんだし。人形抱いて寝るのにも何も問題ないわよね!
そ、そうよ!使い魔のために仕方なくよ!仕方なく一緒に寝てあげるのよ!わ、わ、私ってご主人様の鏡よね!)
自分に言い聞かせる。別に抱いて寝る必要は無いのだが



「と、ところで、あ、あんたの寝るとこなんだけど、良ければ、じゃなかった、仕方ないから…」水銀燈に向き直りルイズは不自然にどもりながら話しかけたが…




「それじゃ、お休みなさぁい」
彼女は最初に入っていた鞄の中に入りこむと中から閉めようとしていた
「な、何よそれ!」
「何って私の寝床よぉ?ローゼンメイデンにとって鞄の中で眠りつき夢を見るのは神聖なことなの。
それ以外の場所で眠るなんて考えられないわぁ。と言うかここ以外では眠れないのだけれど。で、何かしらぁ?」



呆気にとられるルイズ
彼女には普通に寝床があったのだ。ルイズ決死の誘いは空振りに終わってしまった
「そ、そりゃよかったわねぇ!そんなに良いベッドがあるなら私と寝る必要なんか無いものねぇ!か、勝手にそこで寝てなさいよ!お休み!」
「なに急に不機嫌になってるのよ…わからない子ねぇ…」
ルイズは魔法の灯りを消しベッドに勢いよく潜り込み水銀燈は鞄を中からガチャリと閉めた





少しばかり時間もたち安らかな寝息が二つ
二人の少女の大変な1日はようやく終わりを告げた


新着情報

取得中です。