踊る火炎人形
「異世界から来た!?」
「うん。疑う気持ちは分かるけど、ウソは言ってないよ」
夜、ハルケギニアについて修太に説明していたルイズは、彼の服装と持ち物を改めて見て、どこから来たのか尋ねた。
修太は迷わず「異世界から」と答えたのだ。
炎修太、幼稚園児だが、サイファーの中でも群を抜いて冷静である。
「ぼくがこの世界に来る事は、避けようが無かったんだ」
「それ、どういうこと?」
「・・・・・・ここに来るまでにぼくが何をしていたのか、それを説明するね」
こうして、修太は説明を始めた。
地球を我が物にせんと企み暗躍した謎の怪物「ガイ魔」と、彼らが恐れる程の強い超能力を持った人間「サイファー」の長く壮絶な戦いを。
そして自分がサイファーの一人である事を。
「イッキ兄ちゃんとミカ姉ちゃんにドラゴンドッグのウォン、そしてぼくとイワンは、予知能力者(プレコグニション)のシンの予知どおりに赤霧の町にあった地下空洞に集まったんだ」
修太は更に続ける、最後の仲間、尼蛭との遭遇と和解、ガイ魔王が目覚める最中の最終決戦、その全てを語った。
「イッキ兄ちゃんが地盤を壊してマグマを呼び込んだことで、ガイ魔王もほかのガイ魔もみんなやっつけることが出来たんだ」
死を覚悟していた事、しかし「テレポ-ター」である尼蛭が最後の最後できてくれたおかげで生き残れた事、シンだけがマグマの中に消えていった事を、修太はルイズに伝えた。
「気が付いたら、ぼくたちは地下空洞へ続く穴の入り口にいたんだ。みんな火傷や出血がひどかったけどね」
そして修太は、イワンから伝えられたシンの遺言のことを話した。
しばしの沈黙が室内を支配し、それを打破すべくルイズは話題を変えた。
「シュータ、自分がどうやってこの世界に来たのか、知りたい?」
「・・・・・・うん」
ルイズの意図に気付いた修太は、それに従う事にした。
「結論から言うと、貴方は私が唱えた呪文、コモン・サーヴァントによってこの世界に呼び込まれたのよ」
「お姉ちゃんの呪文で?」
「そうよ。本当は、ハルケギニアの動物を、使い魔にするために呼び寄せるハズなんだけど……」
「なぜか異世界にいたぼくをこの世界に連れて来ちゃった、と」
「そうなるわね……」
「ぼくからも、聞きたいことがあるけど、いい?」
「何?」
「あの時、お姉ちゃんがぼくにチューしたら、少しの間だけ胸がすごく痛かったけど、何だったの?」
「それはルーンが刻まれる痛みよ」
ルイズは、コントラクト・サーヴァントによる契約、それによって使い魔の身体にルーンが刻まれる事を説明した。
「うん。疑う気持ちは分かるけど、ウソは言ってないよ」
夜、ハルケギニアについて修太に説明していたルイズは、彼の服装と持ち物を改めて見て、どこから来たのか尋ねた。
修太は迷わず「異世界から」と答えたのだ。
炎修太、幼稚園児だが、サイファーの中でも群を抜いて冷静である。
「ぼくがこの世界に来る事は、避けようが無かったんだ」
「それ、どういうこと?」
「・・・・・・ここに来るまでにぼくが何をしていたのか、それを説明するね」
こうして、修太は説明を始めた。
地球を我が物にせんと企み暗躍した謎の怪物「ガイ魔」と、彼らが恐れる程の強い超能力を持った人間「サイファー」の長く壮絶な戦いを。
そして自分がサイファーの一人である事を。
「イッキ兄ちゃんとミカ姉ちゃんにドラゴンドッグのウォン、そしてぼくとイワンは、予知能力者(プレコグニション)のシンの予知どおりに赤霧の町にあった地下空洞に集まったんだ」
修太は更に続ける、最後の仲間、尼蛭との遭遇と和解、ガイ魔王が目覚める最中の最終決戦、その全てを語った。
「イッキ兄ちゃんが地盤を壊してマグマを呼び込んだことで、ガイ魔王もほかのガイ魔もみんなやっつけることが出来たんだ」
死を覚悟していた事、しかし「テレポ-ター」である尼蛭が最後の最後できてくれたおかげで生き残れた事、シンだけがマグマの中に消えていった事を、修太はルイズに伝えた。
「気が付いたら、ぼくたちは地下空洞へ続く穴の入り口にいたんだ。みんな火傷や出血がひどかったけどね」
そして修太は、イワンから伝えられたシンの遺言のことを話した。
しばしの沈黙が室内を支配し、それを打破すべくルイズは話題を変えた。
「シュータ、自分がどうやってこの世界に来たのか、知りたい?」
「・・・・・・うん」
ルイズの意図に気付いた修太は、それに従う事にした。
「結論から言うと、貴方は私が唱えた呪文、コモン・サーヴァントによってこの世界に呼び込まれたのよ」
「お姉ちゃんの呪文で?」
「そうよ。本当は、ハルケギニアの動物を、使い魔にするために呼び寄せるハズなんだけど……」
「なぜか異世界にいたぼくをこの世界に連れて来ちゃった、と」
「そうなるわね……」
「ぼくからも、聞きたいことがあるけど、いい?」
「何?」
「あの時、お姉ちゃんがぼくにチューしたら、少しの間だけ胸がすごく痛かったけど、何だったの?」
「それはルーンが刻まれる痛みよ」
ルイズは、コントラクト・サーヴァントによる契約、それによって使い魔の身体にルーンが刻まれる事を説明した。
「ようするに、ぼくの胸についているルーンは、ぼくがお姉ちゃんの使い魔になった証なんだね」
「そうよ」
「で、使い魔って何をするの?」
「色々あるけど、一つ目は感覚の共有。これは……無理みたいね」
「うん」
「二つ目は秘薬の材料調達。知識どうこう以前の問題ね」
まだ幼稚園児の修太じゃ体力的に不可能ですぜ、お嬢。
「三つ目は主人を敵から守る事。これが一番重要よ。これも……」
「ぼく、それなら出来るよ」
修太の答えに面食らったルイズであったが、修太がサイファーであることを、本人が説明してくれた事を思い出した。
しかし、修太がどのような能力を有するかまでは聞いていなかったので、ルイズは彼の能力を見せてもらうことにした。
「貴方の能力、見せてくれる?」
「いいよ」
修太は答えると同時に、指先から火を出した。
「呪文どころか、杖すら持たずに火を……」
「これがぼくの力。ぼくは自在に火を出すサイファー、『発火能力者(ファイアースターター)』なんだ」
修太は、そう言いながらも、自分の能力がいつもとは少し違うことに気付いた。
しかし、確かめる術がないため、黙っておく事にした。
そんなこんなで、二人は一つのベッドで一緒に眠りについた。
が、ルイズが下着を脱ぐ一部始終を見たうえ、彼女に全裸にされたためか、修太の寝顔は真っ赤だった。
「そうよ」
「で、使い魔って何をするの?」
「色々あるけど、一つ目は感覚の共有。これは……無理みたいね」
「うん」
「二つ目は秘薬の材料調達。知識どうこう以前の問題ね」
まだ幼稚園児の修太じゃ体力的に不可能ですぜ、お嬢。
「三つ目は主人を敵から守る事。これが一番重要よ。これも……」
「ぼく、それなら出来るよ」
修太の答えに面食らったルイズであったが、修太がサイファーであることを、本人が説明してくれた事を思い出した。
しかし、修太がどのような能力を有するかまでは聞いていなかったので、ルイズは彼の能力を見せてもらうことにした。
「貴方の能力、見せてくれる?」
「いいよ」
修太は答えると同時に、指先から火を出した。
「呪文どころか、杖すら持たずに火を……」
「これがぼくの力。ぼくは自在に火を出すサイファー、『発火能力者(ファイアースターター)』なんだ」
修太は、そう言いながらも、自分の能力がいつもとは少し違うことに気付いた。
しかし、確かめる術がないため、黙っておく事にした。
そんなこんなで、二人は一つのベッドで一緒に眠りについた。
が、ルイズが下着を脱ぐ一部始終を見たうえ、彼女に全裸にされたためか、修太の寝顔は真っ赤だった。
朝、素っ裸の修太を抱き枕にしたままルイズは起床した。
それから数分後、修太が目を覚まし、二人は着替えた。
下着のストックがなかった修太は、ルイズのパンツを着用させられた。
着替えが終わった後、二人は部屋を出たのと同時に褐色の肌の赤毛の女に遭遇した。
「おっはよ、ルイズ」
「おはよ、キュルケ」
早朝から赤毛の女―キュルケ―に遭遇したせいか、ルイズの顔が一気に不機嫌そうになった。
「その子がルイズの……」
そう言いながらキュルケは修太に手を伸ばしたが、本能的に危険を感じた修太はすぐにバックステップしてキュルケと距離をとった。
「……中々素早いわね。でも私の使い魔にはおよばないわ。フレイム!」
キュルケが呼ぶと同時に、虎ほどの大きさの赤いトカゲが出てきた。
「サラマンダー!?」
「そうよ。それも火竜山脈のブランドモノ」
キュルケが得意げに語る中、フレイムは修太をじっと見ていた。
キュルケもそれに気付いたらしく、修太に話しかけた。
「この子、キミのことが気になるみたいね。キミ、お名前は?」
「シュータ・ホムラ」
「いい名前ね。それじゃ、お先に失礼するわね、ルイズ、シュータ」
そう言って、キュルケはフレイムを連れて女子寮を後にした。
「あの女、人の使い魔にまで手を出すつもり!?」
「ルイズ姉ちゃん」
「何?」
「あのお姉ちゃんの使い魔、ずっとぼくを見てた」
「……シュータの能力に薄々気付きはじめてるのかしら?」
気を取り直し、二人は食堂へと向かった。
それから数分後、修太が目を覚まし、二人は着替えた。
下着のストックがなかった修太は、ルイズのパンツを着用させられた。
着替えが終わった後、二人は部屋を出たのと同時に褐色の肌の赤毛の女に遭遇した。
「おっはよ、ルイズ」
「おはよ、キュルケ」
早朝から赤毛の女―キュルケ―に遭遇したせいか、ルイズの顔が一気に不機嫌そうになった。
「その子がルイズの……」
そう言いながらキュルケは修太に手を伸ばしたが、本能的に危険を感じた修太はすぐにバックステップしてキュルケと距離をとった。
「……中々素早いわね。でも私の使い魔にはおよばないわ。フレイム!」
キュルケが呼ぶと同時に、虎ほどの大きさの赤いトカゲが出てきた。
「サラマンダー!?」
「そうよ。それも火竜山脈のブランドモノ」
キュルケが得意げに語る中、フレイムは修太をじっと見ていた。
キュルケもそれに気付いたらしく、修太に話しかけた。
「この子、キミのことが気になるみたいね。キミ、お名前は?」
「シュータ・ホムラ」
「いい名前ね。それじゃ、お先に失礼するわね、ルイズ、シュータ」
そう言って、キュルケはフレイムを連れて女子寮を後にした。
「あの女、人の使い魔にまで手を出すつもり!?」
「ルイズ姉ちゃん」
「何?」
「あのお姉ちゃんの使い魔、ずっとぼくを見てた」
「……シュータの能力に薄々気付きはじめてるのかしら?」
気を取り直し、二人は食堂へと向かった。
「すごく広いね」
「この学院の生徒は、全員貴族の子弟だから、食堂もそれに相応しい規模になっているのよ」
食堂の広さに驚く修太に説明するルイズは、すごぶる嬉しそうだった。
自分の席の向かいにあたる空席に修太を座らせたルイズは、周囲の視線も気にせず自分の席に座った。
テーブルに出された豪華な料理を見て、修太は思わずこう言った。
「食べきれるかな…」
「大丈夫よ、厨房に頼んで少し少なめにしてもらっているから」
それを聞いて少し安心したのか、修太は手を合わせて「いただきます」と言ってから食べ始めた。
ルイズは食べながら、修太が食べる姿を食い入るように見つめていた。
他の生徒たちは何かを言おうとしたが、ルイズが放つオーラに気圧されて何も言えなかった。
「この学院の生徒は、全員貴族の子弟だから、食堂もそれに相応しい規模になっているのよ」
食堂の広さに驚く修太に説明するルイズは、すごぶる嬉しそうだった。
自分の席の向かいにあたる空席に修太を座らせたルイズは、周囲の視線も気にせず自分の席に座った。
テーブルに出された豪華な料理を見て、修太は思わずこう言った。
「食べきれるかな…」
「大丈夫よ、厨房に頼んで少し少なめにしてもらっているから」
それを聞いて少し安心したのか、修太は手を合わせて「いただきます」と言ってから食べ始めた。
ルイズは食べながら、修太が食べる姿を食い入るように見つめていた。
他の生徒たちは何かを言おうとしたが、ルイズが放つオーラに気圧されて何も言えなかった。
午前の授業も、滞りなく進んでいたが、ルイズが錬金に失敗して爆発が起きたため、従業は中止、ルイズは罰として教室の片づけを命じられた。
幸い、ルイズと、その日の担当だったシュヴルーズは、爆発が発生する寸前に伏せたため被害は殆ど受けなかった。
しかし、爆風をモロに受けた修太は、その衝撃で気絶。
目覚めたのは片づけが終わった頃であった。
「あれ?」
「シュータ!」
ルイズは、勢いあまって修太をきつく抱きしめた。
「むぎゅ」
修太が思わずうめいたので、ルイズは慌てて抱きしめる力を緩めた。
「ルイズ姉ちゃんが、魔法を使おうとしたらいきなり爆発が起きて、そこから先は全然覚えていないんだけど、何があったの?」
「えーっと……実はね」
修太はルイズの口から、彼女が魔法を失敗した事で起きた爆発に吹き飛ばされた衝撃で、自分が気絶していた事を知った。
しかも、彼女が魔法を使おうとするたびに爆発が起きることも。
「そんなに気にする事はないと思うよ」
「……シュータ?」
「だって、ぼくを召喚できたし、契約だって出来たんだもん。その内もっとすごい魔法だって使えるようになるよ」
「シュータ……」
励まされたのが嬉しかったのか、ルイズは再び修太を抱きしめた。
(事情は違うけど、ルイズ姉ちゃんも、イワンや尼蛭と同じように苦しんでいるんだ……)
幸い、ルイズと、その日の担当だったシュヴルーズは、爆発が発生する寸前に伏せたため被害は殆ど受けなかった。
しかし、爆風をモロに受けた修太は、その衝撃で気絶。
目覚めたのは片づけが終わった頃であった。
「あれ?」
「シュータ!」
ルイズは、勢いあまって修太をきつく抱きしめた。
「むぎゅ」
修太が思わずうめいたので、ルイズは慌てて抱きしめる力を緩めた。
「ルイズ姉ちゃんが、魔法を使おうとしたらいきなり爆発が起きて、そこから先は全然覚えていないんだけど、何があったの?」
「えーっと……実はね」
修太はルイズの口から、彼女が魔法を失敗した事で起きた爆発に吹き飛ばされた衝撃で、自分が気絶していた事を知った。
しかも、彼女が魔法を使おうとするたびに爆発が起きることも。
「そんなに気にする事はないと思うよ」
「……シュータ?」
「だって、ぼくを召喚できたし、契約だって出来たんだもん。その内もっとすごい魔法だって使えるようになるよ」
「シュータ……」
励まされたのが嬉しかったのか、ルイズは再び修太を抱きしめた。
(事情は違うけど、ルイズ姉ちゃんも、イワンや尼蛭と同じように苦しんでいるんだ……)
昼食の時間になり、二人は再び食堂に来た。
が、食後のティータイムを楽しむ二人にトラブルが降りかかった。
ルイズの同級生であるヴィリエ・ド・ロレーヌが食って掛かってきたのだ。
理由は簡単、朝に続きまたも平民である修太を食堂に入れた上、同じテーブルで食事をとっていたからである。
ルイズは特別に許可をもらっていると説明したが、それでもヴィリエは納得せず、遂にルイズを罵り始めたのだ。
余りにもひどい罵りように憤慨した修太は、ヴィリエの正面に割って入った。
「だまれ、この(以下放送禁止用語多様のため自主規制。ちなみに修太は自分が言っている暴言の意味を知っています)」
「貴様……! 決闘だ、貴様に決闘を申し込む!!」
かくして、風のラインクラス対サイファーの決闘が行われることとなった。
が、食後のティータイムを楽しむ二人にトラブルが降りかかった。
ルイズの同級生であるヴィリエ・ド・ロレーヌが食って掛かってきたのだ。
理由は簡単、朝に続きまたも平民である修太を食堂に入れた上、同じテーブルで食事をとっていたからである。
ルイズは特別に許可をもらっていると説明したが、それでもヴィリエは納得せず、遂にルイズを罵り始めたのだ。
余りにもひどい罵りように憤慨した修太は、ヴィリエの正面に割って入った。
「だまれ、この(以下放送禁止用語多様のため自主規制。ちなみに修太は自分が言っている暴言の意味を知っています)」
「貴様……! 決闘だ、貴様に決闘を申し込む!!」
かくして、風のラインクラス対サイファーの決闘が行われることとなった。
場所は変わり、学院長室。
オールド・オスマンとコルベールが何やら話し込んでいた。
机の上には、一冊の本が置かれていた。
「では、ミス・ヴァリエールは「四人目」を召喚したと?」
「はい。ルーンの位置と形状が、この本に記されているものと完全に一致していました」
「その幼子、一体どのような能力を持っておるのやら……」
その時、シュヴルーズがいきなり室内に転がり込んだ。
「コラ、ノックせんか!」
「それどころではありません、『眠りの鐘』の使用許可を!」
「何があった?」
シュヴルーズから、ヴィリエ対修太の決闘を聞かされたオスマンは、少し考え込んでから答えた。
「残念ながら許可はだせん」
「な…!」
「確かめたい事があるからの」
そう言って、オスマンは杖を振って『遠見の鏡』を起動させた。
そこに写っていたのは、見事なまでに黒コゲになった(死んだわけではない)ヴィリエと、人の形をした炎を操る修太であった。
修太は倒れはしなかったが、所々に傷を負って流血していた上に服はボロボロ、ルイズにはかされた女物のパンツが露出していた。
一方、人の形をした炎は、勝利を祝うかのように踊っていた。
オールド・オスマンとコルベールが何やら話し込んでいた。
机の上には、一冊の本が置かれていた。
「では、ミス・ヴァリエールは「四人目」を召喚したと?」
「はい。ルーンの位置と形状が、この本に記されているものと完全に一致していました」
「その幼子、一体どのような能力を持っておるのやら……」
その時、シュヴルーズがいきなり室内に転がり込んだ。
「コラ、ノックせんか!」
「それどころではありません、『眠りの鐘』の使用許可を!」
「何があった?」
シュヴルーズから、ヴィリエ対修太の決闘を聞かされたオスマンは、少し考え込んでから答えた。
「残念ながら許可はだせん」
「な…!」
「確かめたい事があるからの」
そう言って、オスマンは杖を振って『遠見の鏡』を起動させた。
そこに写っていたのは、見事なまでに黒コゲになった(死んだわけではない)ヴィリエと、人の形をした炎を操る修太であった。
修太は倒れはしなかったが、所々に傷を負って流血していた上に服はボロボロ、ルイズにはかされた女物のパンツが露出していた。
一方、人の形をした炎は、勝利を祝うかのように踊っていた。
かつて、その男は炎で空を染めた。
男の二つ名は『炎蛇』。
男は修太の能力を見て何を思ったか。
次回、「妖しい善人」。
火災が起き易い季節です。
発火能力の使用には細心の注意を払ってください。
男の二つ名は『炎蛇』。
男は修太の能力を見て何を思ったか。
次回、「妖しい善人」。
火災が起き易い季節です。
発火能力の使用には細心の注意を払ってください。