あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの夢幻竜-19


「ラティアス!」

ルイズはそう叫んで目を覚ますが、そこはもう外ではない。
自分はベッドに横になっていて、そこから丁度跳ね起きたからだ。
ついでに言うと着ている物も学生服ではなく、誰かの手によって着させられた誰かのパジャマだった(ルイズは寝る時いつも下着姿である)。
また目覚めた場所も自室ではない。
軽くポーション系の匂いがツンとくる保健室だ。
そこまできてルイズはやっと事の経緯を思い出せた。
そうだ……学院に『深海の宝珠』を盗みに入ったというフーケを捕まえる為に森まで行って……
現場に着いたらそれがあって……それでもって案内してくれたミス・ロングビルがフーケだって事も分かって……そしたら大きなゴーレムが襲ってきて……
そこまで思い出してルイズはハッとする。
あのゴーレムは確かキュルケの『ファイヤーボール』でも、タバサとかいう子の風魔法でも通用しなかった筈。
ならばラティアスがゴーレムを打ち倒したというのだろうか?
ギーシュやキュルケの戦いであれだけの働きをしたのだから考えられなくも無い。
と、その時横から声がかかった。


「お目覚めかしら、ルイズ?」

目を横にやると、キュルケが自分と同じ様に半身を起こした状態でそこにいた。

「そうだ!ラティアスは?それからフーケはどうしたの?『深海の宝珠』は?」
「そんな一偏に聞かないで落ち着きなさいよ!ラティアスならあなたの部屋でぐっすり寝てるわ。治療が終わったから先に帰されたのよ。」
「そう……良かった。」

ラティアスが無事……その事が聞けただけでも良かった。
それからキュルケはルイズに質問された事を順々に答えていく。

「フーケは捕まったわ。今しがた王宮から来た衛士隊がしょっ引いていったけど、あれじゃ運良く脱獄したとしても当分の間泥棒稼業は無理ね。右腕と両足が折れちゃったんですから。」

フーケはラティアスがデルフで切りかかられた際にもう片方の足も折っていた。
おまけに小屋の中に押し込まれた時の衝撃が強かったのか、体のあちこちに打撲を負っていた。
その為学院に運ばれた時には水系統のメイジが大わらわだったとの事。
応急処置といってもかなりの精神力と水薬を使うものだった為、つい先程まで保健室への人の出入りはかなり多かったそうだ。
そして肝心の『深海の宝珠』だが、今はきちんと学院長、オスマン氏の元に戻っているとの事。
そして学院長はルイズが目を覚まし次第、他の皆、そしてラティアスと共に学院長室まで来るようにと言われていた。

「よくぞフーケを捕らえ、そして『深海の宝珠』を取り戻してくれた。君達にはわしから『シュヴァリエ』の爵位申請を出しておいた。王宮から追って沙汰があるじゃろう。
ミス・タバサに関してはもう授与されているので精霊勲章の授与を申請しておいた。」

学院長室で行われていた報告は終わり、オスマン氏の口からは労いの言葉と思いもかけない朗報が語られた。
『シュヴァリエ』の言葉にキュルケとルイズの表情はぱあっと明るくなる。
しかしルイズは直ぐにオスマン氏に対して質問した。

「あのう……ラティアスには何も出ないんですか?」
「うむ。今回の一番の功労者は彼女とも言えるが残念ながら貴族ではないのでな……」

人間形態、事情を知らない人間からすればどう見てもルイズ専属のメイドのようにしか見えないラティアスは少しばかりうなだれる。
その様子を見たオスマン氏は咄嗟にフォローの一言が出る。

「しかし、わしの出来る範囲じゃったら何とかしてやれん訳でもないぞ。さあさあ!固い話はここまで。今日の夜はフリッグの舞踏会じゃ!主役の君達は目一杯着飾ってくるんじゃぞ。」

タバサとキュルケは一礼し、揃ってその場を去ろうとしたがルイズとラティアスだけはその場にいた。


「あら、あなた達来ないの?」
「後で行くわよ。」

ルイズはキュルケに素っ気無い返事を返し、オスマン氏に向き直る。
それから彼は部屋に残っていたコルベールにも退室を促した。
面白そうな話を聞けると考えていた彼はかなり落胆したようで、すっかり肩を竦めながら退室していった。
そして部屋の中が一頻り静かになってからオスマン氏は口を開いた。

「さて、ミス・ロングビルもとい、フーケの監視ご苦労じゃったな。
朝の時点で目を付けておいたので暫く泳がせておいて本性を見せた時に、とは思っていたが思いもかけんほどの重役になってしまったのう。すまんかった。」
「いえ、お気遣い感謝いたします。オールド・オスマン。」
「いいのじゃ。フーケにしても今回の一件は予想外の事じゃったろう。あれ程の痛手を被るとは彼女も予測はしとらんかったじゃろうな。
ところで……ミス・ヴァリエールの使い魔、ラティアスといったかな。
君はあの『深海の宝珠』に関して何か知っている事があるようじゃが、良ければ詳しく教えてくれんかね?こちらも力になれる事があれば出来るだけ力を貸そう。」


その言葉にラティアスは精神感応で答えた。

「あれの正確な名前は『深海の宝珠』じゃありません。私達の世界で『こころのしずく』と呼ばれている宝石です。」
「ほう。『こころのしずく』とな。それで一体あれはどういうものなんじゃ?」
「はい。あの宝石は私と同じ姿の個体であるラティアス、雄種族のラティオスが持つ力を大幅に上げる物なんです。何故上がるのかは分かりませんが、そういう力があるんです。」
「そうか……君が今持ったとしてもその力は働くのかね?」
「はい。どうも私本来の姿をしていない時でも働くみたいなんです。ところで……今度は私から質問してもいいですか?」
「一向に構わんぞ。」
「それじゃ、『こころのしずく』が何故ここにあるんですか?そもそもあれをここに持ち込んだ人って一体誰なんですか?」

その質問にオスマン氏は溜め息を一つ吐いて答える。

「あれをここに持ってきたのはわしじゃ。今から丁度30年ほど前になるかのう。丁度外で散歩を楽しんでおった時にワイバーンに襲われてな。
その危ない所を見たことも無い火竜で助けてくれたのが『こころのしずく』の持ち主だったのじゃ。」


火竜と聞いてラティアスは、自分の知り得る全ての携帯獣からそれに近しいイメージの物を考える。
該当する物はたった一つしかない……岩石を溶かすほど高温の炎を吐き、強い者を求めて高空を飛びまわる携帯獣、リザードン。
懐かせるのが難しいといわれているそれは、懐かせる事が出来るトレーナーは一流の腕前を持つと言われているほどである。
トレーナーとしてよほど出来た人だったのだろうとラティアスは思った。
オスマン氏は続ける。

「格好も見たことの無い奇妙な物でな、その者はわしに『使い道が分からない。宝石など持っていても自分には価値の無い物だから』と言って『こころのしずく』をくれたのじゃ。それと……」

オスマン氏はすっと立ち上がり、近くの戸棚からある物を持って来た。
それは『こころのしずく』が納められていた箱と同じくらい質素な箱。
オスマン氏は机の中から宝石のついた鍵を取り出して蓋を開ける。
その中には奇妙な文様の描かれた、大きさにして5サント四方の所々欠けた板が一枚だけ入っていた。

「これもな。その者はどこぞの遺跡でそれを拾ったと言っておった。その者はわしの厚意で一晩だけ泊まっていったが時折言っておったよ。
『想い人の知り合いがこれの研究に夢中になっていた。』とな。この文様にも名前があって詳しい言い方も教えてくれたのじゃが何しろ昔の事じゃ。
上手く思い出せんでのう……あくる朝にはもういなくなっておった。『こころのしずく』とこの板を残してな。今を思えばもっと様々な事を訊いておけば良かったと思うものじゃ……」

ラティアスはオスマン氏の話に耳を傾けながらも、箱の中にある板をしげしげと眺めていた。
見た事のある文様だ。しかしそれが何なのか思い出せない。いつ、そして何処で見たのかも思い出せない。
知っていることは確かに知っているのだが。
側にいるルイズはそれまで黙っていたが、抑え切れなくなってオスマン氏に訊く。

「その者の行方は?」
「残念ながら掴めずじまいじゃ。ラティアス君のいる世界に帰れていれば良いのう。」

そう言って学院長は遠くを見つめる。
が、直ぐに真剣な表情に戻って二人に向き直った。

「すまないがミス・ヴァリエール。この先の話はラティアス君とだけでしたいのじゃがよいかね?」
「えっ?はい……分かりました。」

ルイズは気を抜かれたような返事をしてドアへと向かう。

「ご主人様、後で直ぐ行きますから!」
「わ、分かったわ。ありがと、ラティアス。」

ラティアスの元気のいい返事に少々戸惑いを見せるルイズ。
彼女が退室した後、オスマン氏は口を開いた。

「それから話はもう一つある。ラティアスの左手にあるルーンの事じゃが……」
「これ……ですよね?私も訊こうと思っていたんです。これが光ると体が凄く軽くなって上手く剣を使えるようになって……私剣なんて握った事も無いんですよ!それなのにどうして……?」

今度は自分の左手の甲を見つめるラティアス。
オスマン氏はその様子を見ながら話し出した。

「そのルーンはな、ガンダールヴの印じゃ。今では伝説ともなった使い魔の印じゃよ。」
「伝説の使い魔の印、ですか?」
「そうじゃ。書物によれば、その伝説の使い魔はありとあらゆる『武器』を使いこなしたそうじゃ。インテリジェンスソードを使えたのもそのおかげじゃろう。」
「でも……なんで私がその伝説の使い魔が持つというルーンを持っているんですか?」
「分からん。真に分からん事ばかりじゃ。お主がこの世界にやって来た事、そしてそのガンダールヴの印は何か関係しておるのかもしれん。」

ラティアスはもう一度自分の手にあるルーンを眺めた。
これが伝説の使い魔に関係しているという証なら、こっ恥ずかしい気もしてくる。
というのも、元の世界でも自分の種族ことラティアス、ラティオスはその力の多様性と謎の生態系の為伝説扱いされていた。
しかし今ここにいるラティアスはというと……その中でも落ち零れの類だった。
技の力比べをしても、飛ぶ速さを競っても、結果は同じ、仲間内で底の底。
伝説の生き物なんて肩書きは吹けば飛ぶようなものだった。
だが今は力がある。恐らく同世代の誰と戦っても負けないくらいの力が。
そんな事を考えていると、オスマン氏から声がかかってきた。


「ラティアス君?」
「は、はい!何でしょうか?!」
「力になれんですまんの。じゃがわしはお主の見方じゃ。よく深海の……ではなかった『こころのしずく』を取り戻してくれたな。改めて礼を言うぞ。」
「いえ、そんな……」

つい謙遜した口調になってしまうラティアス。

「わしなりに調べてみるつもりじゃ。お主が何故この世界に来たのか。そして何故そのルーンを持つ事になったのかをな。しかし……」
「しかし。何ですか?」
「何も見つからなくても恨まんでくれよ。なあにこっちの世界も住めば都じゃ。お前さんもこの先また手柄を立てる事があるなら我々と肩を並べる時が来るかもしれんぞい。
……おおそうじゃった。つい忘れておったわい。褒美の件なんじゃが何か欲しい物はあるかね?」

言われてラティアスは少し悩んだ。
自分は特に今これといって欲しい物は無いからだ。
やや間があってから彼女はこう答えた。

「今はいいです。でももし何かが必要になったら、それが学院長先生の用意出来る物だったらその時に言います。」


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