あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

つかいま1/2 第八話 魔剣デルフリンガー

良牙の『爆砕点穴』でフーケのゴーレムは爆砕されたが、谷間は土砂で埋まってしまう。
らんまたちは、逃げ込んだフーケのアジトの3階にある窓から、ようやく脱出できた。
「ぺぺぺっ、死ぬかと思ったぜ。でも、これじゃあフーケも……」

と、ぼこっと土が盛り上がり、緑色の髪が現れる。
「あ・あんたたち……本気で死ぬところだったじゃない……くっ」
土まみれでフーケが這い出てきたが、ぱたっと倒れて気絶した。生きてはいるようだ。
杖を取り上げ、ロープで縛りあげておく。それから一同はフーケのアジトの中に引き返した。

ルイズとタバサをキュルケに預け、らんまと良牙は物陰で話し合う。
知り合いに会えて嬉しいし、頼りにはなるが、良牙に帰り道が分かるはずがない。
「……おい良牙、お前どーやってここまで来たんだ?
 まさか、お前も銀色に光る『鏡』みたいなのを潜ったのか?」

「鏡? いや、知らんな。一週間前ぐらいに、変な事はあったが。
 旅の途中でうっかり川に落ちて流されてしまい、気がついたら変な奴らに取り囲まれていた。
 若い男にキスされそうになったところを必死で逃げ出して、いつしかこの山の洞窟に迷い込んだんだ。
 その時はブタに変身していたが、荷物や服が一緒に流れ着いていて助かったぜ」

「ふーん。じゃあ、流されている途中で『鏡』に入ったのかもな。
 その変な奴らってのは、多分他の国の魔法学院の奴らだろ」
「他の国? 魔法学院? さっきから何を言っとるんだ乱馬。あの女たち、日本語が通じていたぞ?」
言葉が通じる……ってことは、良牙のやつも、召喚されたときに結局キスされちまったのか?
まあそれは置いといて、真実を告げてやらねぇとな。

「……いいか良牙、よく聞けよ、どれだけ驚いてもいいぜ。
 ここは地球じゃねえ、月が二つあって、魔法使いや化け物がうろうろしている妙な異世界だ。
 俺は寝ているときに、あの桃色の髪をしたルイズってやつに魔法で拉致されたんだよ。
 早いとこ帰る方法を見つけねぇとな、あかねたちが心配してるだろーし」

良牙は半信半疑だが、見上げると空には確かに二つの月があった。
まあ、二人とも不可思議・奇天烈な事には結構慣れている。
「……流石の俺でも、異世界に迷い込むとは思わなかったな。とりあえず危ないところを救ってやったんだし、感謝しろ」
「うるせえっ、生き埋めにしかけやがってっ」
「お前がやれっつったんだろうがっっ」

目を覚ましたルイズたちが、言い争うらんまたちのそばにやってきた。

「キュルケから話は聞いたわ、助けてくれて有難う。あんたたち、知り合いなの?」
「まーな。俺は響良牙、乱馬のライバルだ」
「ヒビキリョーガ、か。変な名前ねえ。でもライバルって、ランマは女でしょ?
 ……ひょっとして、恋人? だったりして?」
「「ねーーーーよ」」(ぞぞっ)
二人はハモって否定する。いかに女の体でも、乱馬は男なのだ。

「俺には許婚もいるし、こいつは一応彼女持ちだ。
 それにこいつ、本当は人間じゃねーんだぜ」
「「は?」」

らんまがアジトの奥から水を汲んできて、良牙にばしゃっとかけた。
たちまち彼は、首にバンダナを巻いた黒い仔ブタになる。

「な? こいつは『もともと黒い仔ブタで、お湯を被ると人間になる』奴なんだ。
 そーだろ、『Pちゃん』?」
ぶきき~っ、と良牙が暴れる。らんまはその耳にひそひそと囁く。
「へへっ、悪ぃが、こっちでは俺は『お湯を被ると男になる女』で通してるんでな。
 良牙もちょっと秘密保持に協力してくれ」
「きゃーっ、可愛い! ちょっと貸して、ランマちゃん」
Pちゃんになった良牙がキュルケの巨乳に挟まれ、鼻血を噴いた。

「……ま、フーケも捕まえたし、さっさと秘宝を持って帰ろうぜ」
「そうしましょ。さあフーケ、気がついたんならアジトを案内してもらうわよ」


フーケのアジトにある宝物庫には、沢山の金銀財宝が眠っていた。
お城の一つや二つは買えるであろう量と質だ。これを全部貴族から盗んだというのだから、大したものである。
そして、学院から盗まれた秘宝『魔剣デルフリンガー』は、ずっと奥の部屋の壁に掛けられていた。

らんまが、剣の掛けられた壁に近寄る。

「これが、盗まれたお宝か? ただの錆び付いた長剣じゃねえか」
『へん! 見る目のねえ奴にゃ、評価されたくねえよっ』
「のわっ!? け、剣が喋った?」
ルイズは大して驚かず、喋る剣にたずねる。
「ふぅん、インテリジェンス・ソード(知性ある剣)ね。あなたがデルフリンガー?」

『おうよ! この俺様こそ、始祖ブリミルの時代から存在する伝説の魔剣!
 値段なんかつけられねぇお宝さ!』
「こんな錆び錆びじゃあ、くず鉄にもならねえもんな(ひょい)」
『あにおう!? ……いや、おめー「使い手」か、おでれーた!
 まさかこんな小娘が「ガンダールヴ」たあ思わなかったぜ。よーし、俺様を使ってくれ』
「が、『ガンダールヴ』!? それって」

驚くルイズやキュルケの背後で、縛られたフーケが呟く。
「……始祖ブリミルの、4人の使い魔の一人。しばしば時代の変わり目に現れ、
 あらゆる武器を自在に操って、ブリミルの後裔たる『虚無の担い手』を守る……」
「フーケ……」
「コルベールから、そう聞いたわ。あんたが『ガンダールヴ』ってことは、
 そこのルイズ・フランソワーズは『虚無の担い手』の一人ってことになるわね。
 ま、私の敵じゃなかったけど。あのバンダナのガキはどうしたの?」

「知ってても教えねーよ。大人しく牢屋に入ってな」
「そうよ。貴族をあれだけコケにしたんだし、縛り首になっても文句はないでしょ」

縛り首、絞首刑。日本でも時々行われている重い刑罰だが、ここは中世ヨーロッパ風の異世界。
窃盗罪でも侮辱罪でも、縛り首になることはよくあるのだろう。
なんか、後味悪いな。まだ若いじゃねえかよ、女だし。何も死ぬこたぁねーだろ。

「……なあ、メイジは杖がなきゃ魔法が使えないんだろ?
 杖だけ取り上げて、こっそり逃がしてやらねぇか? 秘宝は取り返したんだしさ」

それを聞いて、フーケが哄笑する。
「あっはははは! お優しいお嬢ちゃんだね、いいのかい? 私の杖はこれ一本とは限らないよ?」
「間接的にでも、人殺しにはなりたくねーんだ。また襲ってきたら、きっちりぶちのめしてやらー」
「ランマ……。ねぇキュルケ、タバサ、どうする?」

キュルケは、胸にPちゃんを抱いたまま、呆れて肩をすくめる。
「あのねぇ、またフーケが盗賊を始めたらどーすんの? 思いっきり、逃がした私たちの責任じゃない。
 縛り首がイヤなら、手の指を切り落として逃がしてあげてもいいのよ?」

フーケが青褪める。せっかくなら、五体満足で生き延びたいのが本心だ。
「そ、そいつは勘弁しとくれよ。私だって、まだ人殺しはしちゃいないさ。
 私には祖国に可愛い妹もいるんだ、家族のために仕方なくやっていたんだよ。
 没落貴族の私が手っ取り早く大金を稼ぐには、盗賊か傭兵か娼婦しかなかったんだから。
 逃がしてくれたら、盗賊稼業は今日を限りにきっぱりやめるよ。お礼もするし、陰の味方にもなる。
 私の名誉にかけて誓うよ、これは本気さ」

「……だとよ。タバサの意見は?」
「悪党でもけじめはある。彼女は土のトライアングルで裏の情報通。利用できれば、メリットは大」
「そうねえ、ランマの故郷である『東方』の情報も必要だし。キュルケも、いい?」

キュルケが溜息をつき、しぶしぶながら承諾する。
「しょうがないわねえ。じゃ、フーケさんはこれまでどおりミス・ロングビルでいて、
 私たちに協力してくれたらいいわ。秘密を守るには秘密を共有するのがいいって言うしね。
 『土くれ』は追い詰めたけど逃げられたって学院に報告して、お宝の大部分を持ち帰れば、
 手柄としては充分よ。あーゆーおーけい? 裏切ったら縛り首ね?」

フーケが肯き、目を伏せる。
「……秘宝目当てで就職したとは言え、あのじじいの下で働くのも、正直限界なんだけど。
 居酒屋でバイトをしてたら、じじいがセクハラしてきたのが縁で学院長秘書にされたぐらいだしねぇ。
 依願退職して、いくばくかのお宝を売ったお金をもとに、トリスタニアで酒場でも開こうかしら(フゥ)」
「おめーも苦労してんだな……」

翌日、トリステイン魔法学院では。

「な、なんですと!? 姫殿下が、明日ですか?」
「そうなんじゃ、ミスタ・ギトー。急に学院の視察がしたいと仰せられたそうでの。
 どうする、フーケはまだ捕まらんし、わしは捕まりそうじゃし」
「あとはお任せ下さい、前学院長」
「ギトーくん、クビにしちゃろか?」

なんと、アンリエッタ王女殿下が、急遽魔法学院の視察に見えるというのだ。
学院中が準備にてんやわんやの中、風竜シルフィードに乗ってらんま一行が帰ってきた。
ミス・ロングビルが進み出て、学院長に『報告』する。

「オールド・オスマン学院長、ただいま戻りました。実はかくかくしかじかで、
 フーケは取り逃がしたものの、アジトから多数の盗品を押収いたしました。
 これが盗まれた魔剣『デルフリンガー』です!」
『よおーお、オールド・オスマンのじじい、久し振りだな!
 俺様はあんなとこにいるのも飽き飽きしてたんだ、このおさげの姉ちゃんに使ってもらうことにしたぜ!』

オールド・オスマンは、ほっ、と安堵した。
「お、おお、それはお手柄じゃった! 姫殿下も喜ばれようぞ!」
「姫殿下?」
「ああ。明日の朝から、アンリエッタ姫殿下が学院のご視察に来られるそうでな。
 授業は休みじゃし、ついでに夜は歓迎祝賀パーティーも兼ねて、ぱーっと『舞踏会』を催そうと思っておる。
 デルフリンガーはまあ、褒美としてランマちゃんに差し上げよう」

「まあ、素敵! 張り切っておめかししなくっちゃ!」
教師のギトーはじろっと、はしゃぐキュルケを睨む。
「姫殿下は、いずれ王位を継承される大事なお方。粗相があってはならんぞ、諸君」
「はあい、ミスタ・ギトー。でもフーケを撃退した私たちだって、主賓席に連なるだけの資格はあるんじゃない?
 さあルイズ、タバサ、ランマちゃん、一緒にドレスを選びましょう!」

(続く)

新着情報

取得中です。