あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと疾風-03


ゼロと疾風 食堂での出来事

掃除は思ったより早く終わり、二人は昼飯を食べに食堂に来ている。
とりあえず、チップは目に前のものを見て考えていた。
ルイズが言うには、最初、俺のことを完全な無能と思っていたらしく、まともな食事を用意してなかった。次からはこれよりはまともな食事が出るらしい。
ストリート育ちのチップから見たら、たいていの物は『まともな食事』である。
しかし、いまチップの目の前にあるのは黒いパンの形をした物体とスープらしい液体だ。
これが食べ物か?さすがのチップも首をかしげる。
目の前の物体からは変な臭いを発している。一応、黒い物体はコゲや炭ではない。
試しに口に入れて噛み千切る事にした。うまく噛み千切れない。前にアンジの所で食べたSURUMEのようだ。
何とかして噛み千切る。口の中で噛んでみるが口の中の水分がどんどん奪われていく。味は全くない。
スープの方はまだ何とか飲める。感想を言うと、水の中にコンソメスープを少し入れた感じだ。
ルイズの食事やその量を見る限り、厨房の残飯をあさった方がいいかもしれない。むしろ、残飯の方が一般家庭の食事より豪華かもしれない。
そんな食事に四苦八苦していると、チップの耳にある怒鳴り声が聞こえた。
余談だが、このチップの食事はミス・ロングビルが作ったオールド・オスマンのボケ防止(及び日頃のセクハラの仕返し)用の食事である。


ルイズは『何かを成す』、この言葉について考えていた。
たしかに、魔法は『何かを成す』ための一つの手段でしかない。
魔法の使えない平民でも有名な者もいる。簡単なところで作家や詩人だ。
いままでルイズは魔法のことばかりに気をとられ、その先のことは全く考えてなかった。
『何かを成す』といってもいったいなにをすればいいのだろう?
チップの発言によってルイズの価値観は少し変わった。
何も残さない貴族より、何かを残す平民の方が価値のあるものに思えてくる。
もし、自分が魔法を使えたとして何も残すことが出来なかったら、私は平民以下であろうか?
今まで考えなかったことだ。いざ考え出すと一向に答えを見つけ出すことが出来ない。
そういえば、チップはいったい何を成すつもりなのだろう?自分であんなこと言ったからには何か目標があるに違いない。
「チップ、『何かを成す』って言ったけど・・・」
ルイズはチップの方を見たがそこにチップはいない。
「あれ?」
すると、食堂中に凄い轟音が鳴り響いた。
皿が割れ、机が砕ける。人々のざわめき。
ルイズはそれらの音がした方向を見た。
ルイズの目に入ったのは
顔を真っ赤に晴らし倒れているギーシュ、
なにが起こったのか解らない様子のメイド、
そして、ギーシュの目の前にすごい表情で立っているチップであった。


ルイズが周りの生徒からの聞き込みで解ったこと。
  • ギーシュの二股がシエスタというメイドのせいで発覚。
  • 直後、ギーシュはその二人から別れを告げられる。
  • ギーシュは腹を立てメイドをしかりつけていた。
  • そうしていたら、チップの跳び蹴り(JD)がギーシュの顔面に炸裂。
  • ちなみに、今はギーシュが起き上がりチップに正々堂々の決闘を申し込んでいる。
  • そんでもって、チップはそれを受ける。
  • 場所はヴェストリの広場
ちょっとはいい奴かなーって思ったが駄目だ。奴は馬鹿だ。やっぱり、自分はハズレくじを引いたのだ。先ほどの『何かを成す』発言も大して考えないでだした、口先の言葉に違いない。
しかし、使い魔を守るのも主人の役割だ。とりあえず、チップを止めなくては、平民がメイジに敵うはずがない。

チップのメイドを助けギーシュを蹴っ飛ばした理由は単純だった。
ここにいる人間全てが憎かったからである。
おそらく、この世界にもストリート又はそれに似たものがあるだろう。
そこにいる人間は、こんな馬鹿げた連中に贅沢をさせるために犠牲になっているのか?
俺の苦悩は、ジャン、トニー、マクファーソンなどのストリートにいた子供たちの死は、こんな奴らの幸せのためにあったのか?
エリカとの出会いによって少しは裕福な人間に対する理解はあったつもりだ。
しかし、それは間違いだったとチップは確信した。
チップの胸の中にはどす黒い怒りが込みあがってくる。
「広場って言ったな」
昨晩の探索、ギーシュやこれから決闘の野次馬になるであろう人間の動きから、広場の場所は大体わかる。
しかし、チップの足に何かが絡みつき、チップを広場に行かせるのを止めようとする存在があった。シエスタである。
「何処のどなたか存じませんが、止めてください。平民が貴族に敵うはずがありません」
チップが表情を見る限り、本当に平民は貴族に対して恐怖を抱いているらしい。
「そのメイドの言うとおりよ。チップ、すぐにギーシュに謝りなさい」
「ミス・ヴァリエール!」
「ンだ?テメーにはかんけいないだろ」
「関係あるわよ!!私はあなたのご主人様なんだから、あんたが怪我させるわけにはいかないの!!」
ルイズの目を見る。
チップに対して少しの恐怖を抱いてはいるが、それに屈しようとはしない。それにチップのことを本気で心配している。いままで出会った奴等とは違った強さをチップは感じ取った。その目には、どことなく惹かれるものがある。
「安心しろ、俺は負けねェ」
そうチップがいうとコインを上に投げる。コインが落ちるときにはチップの姿は消えていた。
「へ?」
しっかり、シエスタは足にしがみついていたのに、チップは軽々とそれを外してしまった。
「まったくあの馬鹿、シエスタだっけ?広場に向かうわよ」
「は、はい!! ミス・ヴァリエール」
こうなっては見届けなくてはならないだろう。
それに、いざとなったら自分が守らなくてはならない。
ルイズとシエスタは広場に向かった。

まぶしい太陽、雲は適度にあり風もある。温度・湿度共に絶好調。
洗濯、遠足、更にはスポーツで軽く汗を流すetc何をやるにしても吉と出るような天候だ。
しかし、こんな天気の中行われるのは決闘である。
ヴェストリの広場。
暇をもてあました貴族達はこの広場に集まってきた。そして、これから起こる勝敗の決した、と言っても良い戦いに興奮している。
その中、まさに特等席に陣取っている二人に女性がいた。
一人は赤髪の女性、キュルケある。
もう一人はそんなキュルケの親友タバサである。
青い髪、幼い体つき、低い背。容姿はキュルケのまったく逆といっていい。ちなみに性格もまったく逆だ。
こんな、タバサだが実力はこの学校で指折りである。
「タバサ、あなたはチップとギーシュ、どっちが勝つと思う?」
「・・・わからない」
キュルケは黙ってタバサのほうを見た。
普段なら「興味ない」とでも言いそうな彼女である。今回の決闘には少し興味があるということだろうか。
「たしかに、コルベール先生はチップのことを凄腕の傭兵と言っていたけど、ギーシュも実力はあるわよ」
普段、なよなよした態度を取っているギーシュだが戦闘能力や成績は上の下ぐらいには入るだろう。ドットメイジの癖に。
「おそらくチップは対メイジ戦もこなしてきた傭兵」
「何でそんなことわかるのよ」
「体に刻まれた傷痕を見ればわかる。魔法によってつけられたものと思われる傷痕がある。多分・・・その傷をつけたメイジの実力も高い。そのような存在と戦って生き延びる。相当な腕。コルベール先生もそれで判断したのだと思う」
「へー」
そういえば、気絶しているチップを運んだのはタバサだったようなきがする。それにしても、そんな傷痕を観察するなんて。
「タバサが男の体に興味を持つなんてねー」
タバサはそんなキュルケの冗談を無言で聞き流した。
広場にチップが到着したのはちょうどその時だった。足音ひとつたてずに。
タバサはチップを見た。彼女が今まで見た傭兵たちと見比べると細身である。
しかし、近くで見なければわからない。チップの体は異常だ。余分な筋肉は全くない。
一種の完全体といっても良いかもしれない。
どのような訓練や修行がそのような体を作るのであろうか。
しかし、タバサが最も注目したのはチップの眼である。激しい怒りを放っている。
そうか・・・彼も自分と同じ復讐者。
しかし、どことなく自分とは違う。タバサはそんなチップの眼に一瞬惹かれた。
広場でチップとギーシュはにらみ合っている。
ギーシュは薔薇の造花を振ると七体のゴーレムが現われた。ギーシュ自慢のワルキューレである。
「おいギーシュがいきなり本気だぞ」
「平民相手にムキになるなよ」
「でも、あいつは凄腕の傭兵なんだろ?」
「あくまでコッパゲ先生の評価だ。根拠も証拠もねーさ」
周りの生徒からはざわめきが聞こえる。
「君は凄腕の傭兵らしいね。ならば僕も最初から本気を出させてもらうよ」
「くだらねぇ、御託を並べるなら早く始めやがれ!HEY・COME ON!!」
ギーシュとチップの睨み合いは更に激しくなった。
チップがこっちのほうを見た。
「キュルケ!合図しやがれ」
「わかったわ」

HEVENN
OR
HELL
広場に緊張が走る。チップの眼からは怒りが完全に消えていた。目の前敵を倒す、そんなことだけを考えている眼だ。
ギーシュもそんな気を感じ真剣な顔になる。もしその顔で普段の生活を行ったのなら、近寄ってくる女子は軽く倍になるだろう。
LET’S! LOCK!!
一瞬だった。
タバサは凄腕の傭兵と呼ばれるチップの戦いを今後の参考にしようとチップを見ていた。
しかし、一瞬にしてチップの姿はタバサの視界から霞んで消えた。


新着情報

取得中です。