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ソーサリー・ゼロ第三部-01

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 革張りの豪奢な長椅子に腰掛けたギーシュは落ち着かなげに身じろぎし、きょろきょろと周囲を見回す。
 隣に座るルイズはそれを見とがめ
「じっとしてなさいよギーシュ! みっともないわね」と言うが、
そういう彼女の表情も緊張でやや強張ったものだ。
 彼らが緊張し、落ち着かぬのも無理はない。
 君たちはトリステイン王国の首都トリスタニアの王宮に居て、アンリエッタ王女との謁見を待っているのだ。
 ふたりから少し離れたところ、見事な彫刻のなされた柱のそばに立つ君は、この待合室に入るまでにあった出来事を思い起こす。 

 君たちが便乗したアルビオンからの避難船がラ・ロシェールに入港したのは、その日の夜のことだった。
 一刻も早くアンリエッタ王女に事の次第を報告せねばならぬと、ルイズは夜通し馬を駆けさせて王都トリスタニア向かうことを主張し、
ギーシュもそれに同意するが、君は断固として反対する。
 魔法学院からラ・ロシェールへと向かう往路では、まだ日の高い刻限だというのに怪物と出くわしたのだ。
 夜道ともなれば、どのような危険と遭遇するのか想像もつかない!
 早朝に出発して可能な限り馬を急がせるということで、をふたりを納得させる――それでも王都トリスタニアに着くのは明後日の
昼前になったのだが。
 王宮の門前で衛兵の誰何(すいか)を受けた君たちは、王女がワルド子爵に使者の証として貸し与えた≪水のルビー≫を見せ、
王家に連なる名門の出身であるルイズと、高名な軍人の父をもつギーシュがそれぞれ名乗りをあげたのだが、それでもそう簡単に
王女に取り次いではもらえなかった。
 この待合室に通されるまでに何度も身体検査を受け、魔法による変身や洗脳が施されてはおらぬかと、≪魔力探知≫の術までかけられたのだ
(その結果、君の所持品は背嚢ごと没収され、王宮を出るときに返してもらうこととなった)。
 三人ともいいかげん待ちくたびれだした頃にようやく呼び出しがかかり、君たちは顔を上げる。二五八へ。


二五八

 アンリエッタ王女の私室に通された――王女自身の要望らしい――君たちを、この部屋の主が出迎える。
「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ。いったいどうしたの?」
 トリステイン先王の一粒種、アンリエッタ王女は透き通った声でそう言うと、微笑を浮かべる。
 君は王女が魔法学院を訪れたときの歓迎式典を見物しなかったため、その姿を見るのは初めてだ。
 歳の頃は十七、八だろうか、青く澄んだ瞳と肩の上で切りそろえられた栗色の髪、雪のように白い肌と高く形のよい鼻をもつ、
はっとするほど美しい少女だ。
 ただそこにたたずんでいるだけでも、純白のドレスをまとったその姿からは王族にふさわしい気品が感じられる
――彼女に較べれば≪旧世界≫の王たちなど粗野な田舎者にすぎぬという、不敬な思いが頭をよぎる!
「姫殿下、お久しゅうございます!」
 ルイズは深々と一礼すると、君とギーシュを王女に紹介する。
 君が金銭で雇われた護衛や案内人などではなく、ルイズの≪使い魔≫だと知らされて、アンリエッタは眼を白黒させる。
「まあ、遠い異国からはるばると……。わたくしの幼馴染み、ルイズ・フランソワーズは、あなたにとってよき主人なのでしょうか?」
 王女の問いに応とも否とも答えず曖昧な笑みを浮かべる君を、ルイズは横目で睨み
「そこは主人を立てて『はい』と答えるべきところでしょ……」と、
君にしか聞こえぬ低く小さな声でつぶやく。
 続いて顔を真っ赤にしたギーシュが、
「ド、ド、ド・グラモン元帥の四男、ギーシュにございます、おみ、お見知りおきを、姫殿下!」と、
緊張のために激しくどもりながらも、どうにか名乗りを終える。 
「ギーシュさんですね、ルイズのお友達ですか?よろしくお願いします」
 アンリエッタに微笑みかけられたギーシュは
「ああ……姫殿下がぼくの名を……薔薇のごとき笑顔をぼくに……!」と、
熱に浮かされたような口調でつぶやくと、感極まったのかその場にへたへたとくずおれてしまう。
「だ、大丈夫なのですか? よろしければ≪水≫の魔法で治療を……」
 心配そうな表情を見せる王女に君は、旅の疲れが出ただけなのでお構いなくと告げ、失神したギーシュを部屋の隅に転がす。
 ルイズは、そんなギーシュの奇態を気にしたふうもなくアンリエッタと向かい合い、緊張した面持ちで
「姫さま、本日は重大なご報告がございます。いい報せと、悪い報せが」と前置きしてから、
本題に入る。

 ルイズは君を≪使い魔≫として召喚したことから話しはじめ、その≪使い魔≫が実は、重大な任務を帯びた異世界の魔法使いだったのだと語る。
 君を送還する方法を知っているかもしれぬリビングストン男爵を探して、内戦に揺れるアルビオンを旅している途中で、
偶然にもウェールズ皇太子と出会ったのだとルイズが語ると、アンリエッタは話に夢中になり、じっと耳を傾ける。
 王女は、自身が密命を託したワルド子爵の裏切りに驚愕し、彼がアルビオン国王ジェームズ一世を殺害したうえに、ウェールズまで
手にかけようとしたことを知らされ、その美しく整った顔を蒼白にする。
「まさか、まさか子爵が…魔法衛士隊の隊長が≪レコン・キスタ≫の一員だったなんて……」とアンリエッタは言い、
膝の上で組んだ細い指を震わせる。
「ああ、わたくしはなんと愚かなのでしょう! あの男を使者に選んだせいで、陛下はお亡くなりに……そのうえ、
ウェールズさまの身まで危うくしてしまうなんて……!」
 アンリエッタはそう言って嘆くと、ワルドを撃退してウェールズの命を救った君とルイズにしきりに礼を述べる。
「姫さま、まだ続きがございます」
 そう語るルイズの表情も沈痛なものだ。
 十年ぶりに再会した立派で心優しいはずの婚約者が、自らの眼前で祖国を裏切り凶行に及ぼうとしたのだから、無理もない。

 話が、ウェールズが父王の復讐を誓い名誉ある死を決意するくだりにさしかかると、アンリエッタは一言一句たりとも聞き漏らすまいと集中する。
 荒っぽい説得が功を奏し、君たちがウェールズから
「たとえ卑怯者のそしりを受けようとも、私は生きる。生きてこの『白の国』でそなたの幸せを願い続ける」との言伝を頼まれたことを知ると、
アンリエッタは笑顔を浮かべ、次の瞬間、ぽろぽろと大粒の涙をこぼす。
「ウェールズさま、ウェールズさま……ああ、名誉に殉じる道をお選びにならなかったのですね! これほど嬉しいことはありません!
ありがとう、ありがとうルイズ! あの人を思いとどまらせてくれて! あなたはわたくしの本当のお友達、いえ、一生の恩人です!」と言いながら、
人目もはばからずに歓喜の涙を流し、ルイズの手を握る。
「も、もったいないお言葉にございます、姫さま」
 そう応えるルイズの眼にも、貰い泣きの涙が光っている。一七八へ。


一七八

 しばらくの後、ようやく落ち着きを取り戻したアンリエッタは涙を手巾で拭いながら、君にも礼を言う。 
「そちらの勇敢な使い魔さんにも、なんとお礼を申してよいやら。ウェールズさまとルイズ・フランソワーズ、わたくしの大事な人を
ふたりも守ってくださったのですから」
 君は、なりゆきでそうなっただけであり、たいした事はしていないと答える。
「まあ、謙虚でいらっしゃるのですね」
 アンリエッタ王女は微笑むが、急になにかに気づいたような素振りを見せ、
「でも、あなたが王国屈指の使い手である≪スクウェア≫クラスのメイジ、あの≪閃光のワルド≫を退けるなんて……。
その、失礼ながら普通の平民にしか見えないお姿ですが、確かに魔法が使えるのですよね?」と、
真剣な表情で問いかける。
 それを聞いた君は、ならば証拠に術を使ってみせようか、と言う。
 本来、アナランドの神秘の業は軽々しく見世物にしてよいものではないのだが、美しい王女に褒められた君は、いつもより気が大きくなっているのだ。
 アンリエッタは期待の眼差しで君を見つめ、アナランドの魔法についてあまり多くを知らぬ――普段の君はそう気安く術を披露せぬからだ――ルイズも、
固唾を呑んで見守る。
 どの術を使う?

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