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宵闇の使い魔 第弐拾参話

お姫様のご命令で、メイド――もとい女騎士様のお供をする事になった俺とマチルダ。
気の強そうな顔立ちをしてると思ったが、中身もまんまガチガチでやんの。
マチルダがなんとか上手く取り持ってはくれてるが――
ま、引き受けた以上はやるだけのことはやるがね。


宵闇の使い魔
第弐拾参話:Dusky Link


異世界であっても夜は暗い。
いかに魔法によって気軽に火や明かりを生み出せる世界であっても、夜の世界を侵食できるほどの力は持っていないのだ。
故に、人は夜を恐れるのが常である。
しかしその一方で、常に当てはまらない者達が居ることも事実である。

異世界から呼ばれし異形の術を使う剣士、長谷川虎蔵。
《土くれ》のフーケの名を持つ快盗、マチルダ・オブ・サウスゴータ。
トリステイン女王アンリエッタの懐刀、アニエス。
アンリエッタの密命を受けた三人は、夜の闇に紛れてとある貴族の屋敷へと忍び込んでいた。

この屋敷は今夜、主が出かけている事もあり警備人員が少ない。
更に、マチルダの手元には屋敷の間取りが書かれた羊皮紙も準備されている。
全てアンリエッタとマザリーニの手による物だ。
今は足を洗ったとはいえ、マチルダはハルケギニアでも屈指の快盗である。
此処までお膳立てされていれば鼻歌を歌いながらでも忍び込めるというものだ。

目的は屋敷の主である貴族の裏帳簿である。
此処暫く、妙に金遣いが荒いという情報を得たアニエスが調査を主張したのだ。
虎蔵やマチルダは、いかに裏帳簿とはいえ敵側からの賄賂の情報が乗っているとは思えないと意見したのだが、彼女は今は少しでも情報が欲しいと意見を押し切った。

確かに、此処暫くの調査では思うように情報が手に入っていないのは事実なのだ。
アニエスが未だにシュヴァリエとして認可されていない以上、派手な調査活動は出来ない。
せいぜい城下町の盛り場や裏路地で探りを入れる位のものだ。
前者はマチルダやアニエスが遊んでいる風の格好で盛り場に出入りし、男を引っ掛けて。
後者は裏路地で屯すならず者達を虎蔵が締め上げて。
はっきり言って、どちらも致命的に効率が悪い。
更に言えば、アニエスは男に免疫が無い訳ではないが慣れているとも言いがたく、成功率はかなり低い。
その中で、虎蔵が暇つぶしがてらに口説き落とした酒場女から偶然得られた情報がそれなのだった。

「どうよ」
「五月蝿い。少し待て――」

書斎で意外なほどにあっさり見つかった帳簿を眺めるアニエスに、暇そうにした虎蔵が声をかけるのだが、アニエスは真剣な様子で帳簿を眺めながらしっしっと手で追い払う。
虎蔵は肩を竦めて本棚を物色するマチルダへと視線を移した。
この潜入の決め手となった情報を持ってきた当初は妙に機嫌が悪かったのだが、この本棚を見てだいぶ回復したようだった。
快盗時代の本能を刺激されているのだろうか。
もっとも、潜入がばれて今後のこういった行動がしにくくなるのは面倒である。
金目の物があってももって行くことは出来ないのだが――

「ふぅん、意外と良い物が揃ってるじゃないか――この辺りの貴族の蔵書にしちゃ、モット伯に次ぐかもしれないね」
「こんな量でか?」
「価値のある本が何冊あるか、さ。だいたい有象無象の本なら、書斎とは別の所に溜まってる可能性もあるだろう?」

そりゃそうだ、と虎蔵も本棚の前に立って背表紙を眺める。
もっとも、文字は読めないので特に意味のある行動ではないのだが――

「って、こいつぁ――」
「ん? なにか珍しい物でもあったのかい?」

驚く虎蔵にマチルダが近づいてきて、彼の視線の先を覗き込む。
身長差から彼女の髪の香りが虎蔵の鼻に届くのだが、"女性経験の少ない高校生"などではない彼は特に気にすることもなかった。
一方マチルダは虎蔵が眺めていた本を発見するのだが、その背表紙に形の良い眉を顰めてしまう。
決して如何わしい言葉が書かれていたわけではない。
単純に、読めないのだ。

「これは――文字、かい?」
「同心円と極地の空洞帯――って書いてあんな」

首を傾げるマチルダに対して、虎蔵があっさりとそれを読んでしまう。
読み書きが出来ない筈の虎蔵が、だ。
マチルダは一瞬きょとんと虎蔵を見つめるが、すぐに得心が行った様子で指を鳴らし――かけて止める。
一瞬潜入調査中であると言うことを忘れていた節があるが、すぐに思い出したようだ。

「召喚されし書物」
「呼び方は知らんがな。俺の世界か、それに近い世界の本だな――
 同じ物を美津里の倉で見た気がするんだが、中身は思い出せん」
「美津里?」
「なんで其処に食いつくんだよ――元の世界で色々と面倒を持ち込んでくれた奴だよ。古物商でね」

ふぅーん、とまた機嫌が悪くなりかけるマチルダだが、それ以上にその本が気になったようだ。
虎蔵の脇腹を突付いて説明を求める。

同心円と極地の空洞帯――
虎蔵の世界では一般的に世界は球状をしていると認識されており、その球の中身は詰まっていると考えられている。
だがこの本では、球は中空であり内側の凹面は人間などの居住が可能だと語られているという。
地球空洞説というらしい。

「内側の世界が此処だって?」
「可能性は、な。奴の受け売りってのは腹立たしいが――
 穴が地殻に存在するもんだから、便宜上空洞って言ってるだけでな。
 実際はなんらかの回廊で別の宇宙にある惑星――ま、ざっくりと言ってしまえば異世界と繋がってるって訳だ」
「アンタは兎も角、こいつやゼロ戦だっけか? あれの持ち主は、その穴を通って来た――かもしれない、と」

理解の早いマチルダに、虎蔵は頷いてみせる。
とはいえ――

「仮説の域を出んがな。とはいえ、これの著者とは別だが、穴の先の世界には二つの太陽がって言ってた奴もいてな。
 ま、此処は太陽じゃなくて月だが」
「そりゃ――偶然にしちゃ、ちょっと出来すぎてるね」
「だろ? ま、なんにしても俺にはさっぱりだが」

ギブアップと言わんばかりに両手を挙げる虎蔵。
マチルダは此処まで煽っといてそれかい、と飽きれてしまう。

「仕方あるめぇよ。こちとら人を殴ってなんぼの仕事しかしたことが無いんだ」
「あんたらしい。っと、そういえば――確かに他にも幾つか聞いたことがあったね。
 文字だけの、精巧な絵だけのと色々あるらしいけど――興味が?」
「俺がそうそう本なんぞ読むように見えるか?まぁ、"厄介な本"じゃあないことを祈るばかりだね」

マチルダはアンタらしい、と笑って肩を叩いて物色へと戻っていった。
一方でアニエスは帳簿から書斎机の引き出しの物色を始めている。
一つ一つ引き出しを開けては、中に入っている羊皮紙や手紙を慎重に調べているようだ。
時折何かをメモしているのは、次の調査対象といったところだろうか。

「これは――」

だが突然、アニエスが先程の本を発見した虎蔵のように声を上げた。
よほど驚く何かが見つかったのか、声のボリュームが少し大きい。
ぬ、と慌てて口を押さえるが、幸いにも何者か書斎に近寄って来るような気配は無い。
虎蔵は手でOKを示してアニエス元へと向かった。
マチルダもまた、やれやれとため息をつきながらやってくる。

「そんなに驚くほどの物が見つかったって?」
「あぁ――これだ」

アニエスが二人の視線の先に晒したのは一通の封筒。
その声色、目付きからしてそれなりの発見と言うことなのだろうか。
もっとも、決定的な証拠などが手紙などという形で残っているとも考えにくいが。

「リッシュモン――高等法院長だったね」

アニエスはその通りだ、と頷きながら封筒から手紙を取り出した。
だが、その中身に書かれていたのは観劇がどうのこうのといった当たり障りの無い文面のみである。
アニエスは僅かに眉根を寄せて考え込む。

「同じ国の貴族同士なら、手紙のやり取り位しても不思議は無いんじゃないか?」
「この二人の間に、私信をやり取りするような繋がりは無かった筈だが――」

虎蔵の指摘も、腑に落ちないようで何度もその文面を確認する。
だが、何かの暗号が潜んでいる様子も無い。
本当にただの私信だというのだろうか。
いや、そうは思えなかった。
理由は無く、ただなんとなくでしかない。
だが、この手紙の裏に薄っすらと何かが透けて見える気がするのだ。

そして何度目かの読み返しで、彼女はある事に気づいた。
当たり障りの無い文面の中にある数少ない明確な固有名詞に。

「タニアリージュ・ロワイヤル座、トリスタニアの休日――か」
「流行の演劇だろう? それがどうかしたのかい」
「いや、少し気になってな――さて、少し長居し過ぎた。そろそろ引き上げよう」

二人にはさっぱりだが、彼女には薄っすらと敵への繋がりが見えたのかもしれない。
それまでの調子が嘘のように口元に笑みを浮かべると、手紙を封筒へと戻した。
マチルダは虎蔵に向かって肩を竦めて見せると、調査の痕跡を消す作業に入る。
その後三人は無事屋敷を抜け出し、帰宅した貴族が侵入者に気づくことも無かったという。


一方、時と場所が変わって魔法学園。
虎蔵をアンリエッタに貸し出したルイズは、やや退屈ながら平和な学園生活を送っている。
《虚無》に目覚めた影響なのか、初歩のコモンスペルならば使えるようになった。
更に虎蔵やキュルケ、タバサらの影響で性格も少しずつ丸くなり、
散々《ゼロ》と馬鹿にしてきたクラスメイト達とも少しずつ打ち解けてもきた。
今までのことを思えば、怖くなるくらいに幸福な日々であるとすら言える。

とはいえ、そんな日々も何日かたてば飽きがくる。
キュルケとタバサがふらりと何処かに出かけてしまったこともあり、これといった話相手がいないのだ。
シエスタとも比較的話すようにはなっていたが、彼女には仕事がある。
そうそう邪魔をする訳にもいかない。

「と、言うわけなんです」
「まぁ、構いはしないがね。しかし、此処に居ても同じくらい暇ではないかね?」

そこでやってきたのがコルベールの研究室であった。
彼はここ数日、タルブ村から運ばれてきた《ゼロ戦》の整備に掛かりきりになっていたが、それを眺めるのは一人でボーっとしているよりはよっぽど良い暇つぶしにはなっていた。
彼は作業をしながらも話相手にはなってくれるし、時には手伝わせてもくれる。
なにより、虎蔵の世界の物に興味があった。
彼の話では、この金属の塊がシルフィードよりも早く飛べるというのだ。
興味が湧かない方がおかしい。

「そんなこと無いですよ。少なくとも、此処意外では見れるものでもないですし――でも、本当に飛ぶんですか、これ」
「飛ぶ、だろうね。少なくとも、彼の――虎蔵君の話を聞いた限りでは、納得できる理屈ではあったよ」
「理解できたんですか?」
「あぁ。もっとも、詳細な部分で疑問は尽きないがね。
 少なくとも、私の発明の延長、その派生にこれが存在することは間違いない。
 ならば、信じる以外の道は、私には存在しないよ」

機体の下から這い出してきたコルベールが、ぽんぽんとエンジンが納まっている部分を叩いて語る。
ルイズとしては、コルベールが言うならそうなのかも知れない位にしか考えられないが、彼の目にはこのゼロ戦が空を舞う姿が映っているのだろう。

「おっと、そうだ。ミス・ヴァリエール、一つ頼まれてくれるかな?」
「はい? えぇ、構いませんけど」
「ミスタ・グラモン――ギーシュ君を呼んで来てくれないかい」
「ギーシュを?」

背の高い椅子からひょいと飛び降りながらも、コルベールの口から出てきた意外な名前に首を傾げる。
ギーシュは決して無能という訳ではないし、ゴーレム創造にいたっては優秀とすら言って良い。
多少性格に――主に女性がらみの――難はあるが、教師に呼び出されるような事は滅多に無いはずだ。

「あぁ、彼にはこれの整備を手伝ってもらっていてね」
「ぇッ、本当に?」
「彼は練金が得意で手先も器用だからね。飲み込みも悪くない」

はぁ、と納得したようなしていないような微妙な表情で研究室を出て行くルイズ。
どうしてもコルベールのように顔を汚しながらゼロ戦の整備をするギーシュが想像出来ずに、何度も首を捻りながら歩き始めた。

「とりあえず部屋かしらね――」

ギーシュの部屋の前までたどり着くと、中からは談笑が聞こえてきた。
この声はギーシュとモンモランシーだろう。
無駄足にはならなかったようだ。

「ギーシュ、ミスタ・コルベールがお呼びよ」

逢引中に間が悪かったわね、などと思いながらドアをノックするルイズ。
《アン・ロック》も既に使うことは出来るのだが、流石にキュルケのように問答無用で押し入ったりはしない。当然だが。
するとすぐにドアが開き、ギーシュが顔を出した。
なぜか手にはワイングラスを持っている。

「おや、ルイズ。何故君が?」
「暇潰しに《竜の羽衣》を見に行っててね。それで頼まれたのよ。研究室に来てくれって」
「あぁ、なるほど――うーん――」

ルイズによる伝言に、ギーシュは手元のワインと部屋の中でテーブルに座り、妙に不機嫌そうにしているモンモランシーを見比べた。
行くべきか行かぬべきか迷っているといった所だろう。

「相手は一応先生なんだから、さっさとそれ飲んで行った方が良いんじゃないかしら?」

基本的にルイズはクラスで一番真面目な性格をしている。
授業とは関係ないとはいえ、教師に呼び出されているなら行くべきだろうとギーシュを促しただけだ。
他意はない。
そしてギーシュも、それもそうだね――と言ってグラスを口元へと近づけようとするのだが――

「ちょッ、駄目ぇぇッ!!」

それを見たモンモランシーは、二人が驚くほどの声を上げてそれを止めた。
二人はぎょっとしてモンモランシーへと視線を向ける。

「あ、いや、その――ほら、先生の所に行くのにワインの匂いをさせているのも、ね?」

するとモンモランシーはなぜかしどろもどろになりながら席を立ち、ギーシュの手からグラスを取り上げる。
あまりの挙動不審っぷりに二人は声も出ない。

「ほ、ほら、ギーシュ。ミスタ・コルベールがお呼びなんでしょう? 早く行った方が良いんじゃなくて?」
「あー――あぁ、そうだね。うん。じゃぁ、モンモランシー。また後で」
「えぇ。片付けは私がしておくわ」

だが其処は流石のギーシュである。
しっかりとモンモランシーの手の甲に軽くキスをしてから部屋を出て行った。
しかしルイズはその場に残り、ふぅーん――と妙な声を漏らしながらモンモランシーを見つめている。

「ま、まだ何か用があるのかしら?」
「あやしい、わ、ねぇ――――」
「な、何のことかしらぁ?」

ギーシュから取り上げたグラスを背中に隠すように持って、ルイズの視線から逃れるように明後日の方向を見る。
だがその視線の先には壁しかないのだから、怪しい事この上ない。
誤魔化すにしても、もう少し上手く出来ないものかとすら思う。
決して器用ではない――というより、明らかに不器用なルイズをしても、だ。

「それよりも、ほら。もう用は無いでしょう? さっさと出て行って頂戴!」
「あら、良いじゃないの。少しお話しましょうよ」
「あ、貴女、ちょっとキュルケに似てきたわよ――」

少し前まで勉強の虫の様だったルイズがチェシャ猫宜しく笑みを浮かべながら近づいて来る。
それを見たモンモランシーは思わずキュルケの名前を出してしまったのだが、それが彼女の運の尽きだった。

「なッ、なぁーんですッてぇー!!」

最近は仲良くなってきている。
ご先祖様には申し訳ないが、十分に友人と言っても良いだろう。
しかし、そうは言っても素直でない事にかけてはハルケギニアでも指折りのルイズである。
他人の口から指摘されるのは我慢がならない。
自分がほんの少しでもそれを認めてしまいそうな所がある分、尚更だ。
故に、何時もの様にあっという間に頭に血が上ってしまう。

「い、言うに事欠いて誰に似てるですッて!!」
「え、いや、そのー」

ずんずんと詰め寄ってくるルイズに、モンモランシーはおたおたと後ろに――部屋の奥へと追いやられていく。
非常に拙い状況だ。

彼女の頭の中では今、最悪の状況がシミュレートされている。
このまま情けなく後ろに下がって行くとする。
壁までは結構な距離があるから、下手をすると転んでしまいかねない。
何せ後ろ向きだ。
当然、そうなればこの手の中のグラスは割れ、ワインは零れてしまうだろう。

まずい。まずいのだ。それは。
ただのワインならどうということも無い。
あの浮気者の部屋が汚れるだけだ。知ったことか。
しかし、このワインはそうではない。
高価な秘薬使ってまで作った惚れ薬が入っているのだ。
零してしまっては後が無い――これは何とかしてあの浮気者に飲ませなければならないのだ。

「ちょっと、落ち着きなさいよ、ルイズ。顔が怖いわよ――」

じりじりと後ろに押されていくモンモランシー。
頬に冷や汗が流れる。
だがその時、後ろに回した手にテーブルがぶつかった。

――あぁ、始祖ブリミル! 感謝します!

心中でそう喝采をあげると、グラスをテーブルの上に乗せて、そっと滑らせてテーブルの中央へと向けて滑らせる。
簡単には落ちないであろう位置まで持っていき、自分はそのままルイズに押されるように壁際へ。
完璧だ。
ルイズの意識はもはやワインには無いだろう。
これでどうにかして少し怒りを収めれば、ぷんすかしながらも部屋を出て行くだろう。
繰り返そう。完璧だ。
ルイズはいまだにきゃんきゃん怒鳴っている。
あの黒衣の使い魔を呼んで以来、割と大人しくなっていた気がしたが、本性はそう変わらないらしい。
もっとも、今のモンモランシーにはそれも可愛く見える。
達成感でいっぱいだった。

「ふぅ。ッぅ――まったく、もう!」
「ごめん、悪かったわ。ルイズ。そうよね、貴女があんなゲルマニア女に似てきたなんて、私もどうかしてたわ」

一頻り怒鳴り疲れたのか、ルイズは未だに肩を怒らせながらも、追及の手を緩める。
それを好機と見たモンモランシーは、普段のギーシュもかくやという口の滑らかさでルイズを宥めに掛かった。
だが――――

「ほんとにもう。急に怒鳴らせないでよね!」

と、苦心してテーブルに置いたワイングラスを手に取り、ぐいっと呷ってしまったのだ!

「あぁぁッ!?」
「っ、ん――ふぅ。何よ、変な声上げちゃって――」

絶望的な声を上げてがくっと崩れ落ちるモンモランシーを見下ろして、ルイズは首を捻る。
たったグラス一杯のワインに何を――と。
そんなに高かったのだろうか。
その割には大した味では無かった気もするが。
とはいえ、ここまで大げさに落ち込まれると後味が悪い。
謝らない訳にもいかないだろう。
ルイズはもう、と呟いてモンモランシーの傍らにしゃがみ込む。

「えーと、その、モンモランシー。ワイン一杯でそんなに落ち込まなくて、も――」

そして慰めの言葉を掛けながら――――

(2008/1/9 22:49 一部訂正by作者)

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