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虚無と最後の希望 Level02


level-2 「困惑」


「すみません……」

 ベッドに横になっているルイズ、極度の緊張による過呼吸。
 意識喪失まで陥ったが、水魔法により落ち着きを取り戻し今に至る。

「いやいや、わしの所へ来るよりここに来て正解じゃった」

 ルイズが寝るベッドの隣のベッドに寝るオスマン。
 ロングビルの下着を自力で見ようと試みたところ、ヒールで3、4発顔面を踏みつけられ医療室行きとなった。

「ミス・ヴァリエール、学院長室に呼び出した理由はわかっとるじゃろ?」

 その言葉を聞いてルイズは瞼を閉じ数秒、決意したかのように返事をする。

「はい、使い魔のことですよね」
「そう、使い魔のことじゃ」
「それで……、退学、ですか?」

 毛布から顔半分だけだし、恐る恐るといった感じに問う。

「なに、ミス・ヴァリエールは退学になどならんよ。 第一使い魔召喚が出来ぬからと言って退学などにはなりはせん、精々留年と言うところじゃな」
「りゅ……はぁ」
「無論留年にもなりはせんよ」
「ほ、本当ですか!?」

 軽く笑いながら返事を返すオールドオスマン、その言葉を聞くなりルイズの顔が明るくなる。

「わしは嘘はつかんぞ、まあ一つばかし提案があるがの」
「提案、ですか……?」
「うむ」

 オスマンは深く頷き、チーフへと目をやる。

「なんと言ったか、ちーふ殿だったかの、彼女の使い魔をやってはくれんか?」

 オスマンは軽い口振りで重大な用件を話し始めた。
 ドットクラスのギーシュとは言え、魔法を使えない者がメイジに勝ったと言う事実は極めて大きい。
 そして、その決闘を見ていた者達の一部は気が付いただろう。
 彼がかなり手を抜いていた事に、それを含めての発言だった。

「オ、オールド・オスマン!?」

 ルイズは飛び起きるが、眩暈を起こしまた倒れる。
 頭が痛いのに、急かすように考え始める。
 オールド・オスマンは何を言い出すのか。
 そりゃあ、チーフが使い魔になってくれたら頼もしいけど。
 何を思っているのか、私の命令に従ってくれている。

 それこそ、契約すら出来ていないのに黙々と、私の後についてきてくれている。
 いずれ、いや、今すぐにでも帰りたいと思っているんじゃないかしら。
 そこまでしてくれる理由が良く分からなかった。
 でも、チーフが使い魔になってくれるなら……。

(な、何を考えてるの! いいいずれ帰らなきゃいけないのに!)

 チーフの話が本当ならば帰らなければならない、帰りを待ち望んでいる人が居るのだ、それこそ数え切れないくらいに。
 でも、チーフが使い魔になってくれるなら……。
 考えはまとまらず、ループし続けていた。
 ルイズは考えを繰り返す度にチラチラとチーフを見るが、チーフはオスマンを注視しルイズに視線を向けなかった。

「………」

 何か考えることがあるのか、答えず沈黙。

「やはり、すぐには答えられんかね?」
「はい」
「ふむぅ、しょうがない。 ならばミス・ヴァリエールにはもう一度『サモン・サーヴァント』を行ってもらうしかない」
「え?」

 当たり前、当然の処置、少し考えれば分かる簡単の答えを見逃していたルイズ。
 呆然とした表情、キュルケ辺りが見ればすぐにでも馬鹿にしてきそうなほど情けない顔だった。

「当たり前じゃろう? 君は使い魔を持ってはいない、呼び出したが契約に至っていないとなると、もう一度別の使い魔を呼び出す他あるまいて。
 じゃが、二度目の使い魔召還が失敗すれば、その時は退学となってしまうじゃろう。 まあ、彼が使い魔の代わりを引き受けてくれれば問題は無いがの。
 無論、ちーふ殿にただで引き受けてもらおうとは思っとらんかった。
 引き受けてくれるならば送還方法を責任を持って探すつもりじゃったんだがのぉ」

 オスマンは二人に見えぬようニヤリと笑った。
 見えない理由は包帯が顔に巻かれているからだ。

「……少し、考えさせてください」
「え?」

 またも呆然、完全に置いてけぼり。
 チーフが言ったその言葉は、ルイズが望んだ可能性を意味する物だった。







『考えさせてください』

 彼が言った言葉が何度も繰り返される。
 チーフと契約して本当に自分の使い魔になる、その可能性がルイズの心に希望を植えつけた。
 初めて成功した魔法、現れた使い魔。
 ドットクラスとは言え、メイジを容易く打ちのめした。
 その彼を呼び出したのは自分だと、そりゃあ呼び出した時の状況は凄く怖かったけど。
 魔法に成功して、強い使い魔を呼び出して、契約できていない事を除けば生まれてからもっとも幸せな一日かもしれない。
 長年悩んでいた出来事が一気に解消したのだ、喜びの余り笑わずにいられなかった。

 だが、それが切欠だったと今思えば分かる。
 魔法に失敗し続け、馬鹿にされ、それでも耐え忍んできた。
 失敗する度に知識が足りないのだと、やり方が悪いのだと。
 図書館へ足を運び、貪る様に知識を溜め込む。
 それでも失敗すれば、さらに勉学に励んだ。
 身体と心の軋み、溜め込んだ物は知識だけではなかったのだ。
 それに気づかず、鼻提灯が膨らんだり縮んだりさせているオスマンを横目に。

「もう大丈夫です」

 と、医療室から退室。
 自室へ続く廊下を歩いていた、その後ろにはやはりチーフが付いて歩く。

「ルイズ」
「なななに?」

 声を掛けられた瞬間、ビクリと震える。

「寄りたいとこがあるんだが」
「寄りたいとこ? 何処よ」
「30分以内には戻ってくる」
「……分かったわ、私は部屋に居るから出来るだけ早く戻ってきなさいよね」

 チーフは頷き、来た方向へ戻る。
 姿が見えなくなるまで背中を見つめた。
 その後、部屋に入るなりベッドに転がるルイズ。
 すでに双月は空高く上がり、柔らかい光を大地に降り注いでいた。
 この時間となれば、寝ている者が多いだろう。

「……あれ?」

 と、一つの疑問が沸いた。
 チーフは何処に行ったのだろうか。
 外に通じる門はすでに閉じられているので外へはいけない、なら何処へ?
 考えれば考えるほど疑問は不安となる、ならば出来る次の行動は一つ。
 ベッドから降り、その手はドアノブを掴んでいた。





 探し回るが見当たらない。
 すれ違ったんだろうか、もしかしたら部屋に戻っているかもしれないと自室へ走る。

(居た!)

 見つけた場所はいくつもの蝋燭が壁に掛けられ並び、廊下をほの暗く。
 光に照らされているのはチーフと、あれはギーシュと決闘の原因になったメイドではないか。
 メラっとなにかが燃え上がる感じがした。

(寄りたい所ってあのメイドの所なの!?)

 燃え上がった何かは火に油を注いだように拡大燃焼する。
 一人燃え上がった何かに戸惑いながらも二人を凝視、その視線は物理的威力を持っていそうだった。
 何度も頭を下げるメイド、一頻り頭を下げたメイドはルイズが居る方へ歩き出す。

(やばっ!)

 咄嗟に物陰へ隠れる、その脇を通り過ぎるメイドは上機嫌に鼻歌を歌っていた。
 さらにメラっと燃え上がる、何を話していたのか非常に気になる。
 メイドの姿が見えなくなる、その後姿を見てはっ、と気が付いた。
 軽いため息、何をやっているのか、自分の行為に呆れた。

(自分の使い魔でも無いのに何付け回してるのかしら……)

 座り込んだまま、はぁ、ふぅ、と何度もため息をついていると。

「ルイズ」
「はいっ!」

 弾かれたばねの様にルイズが立ち上がる。
 ルイズが振り返るとチーフが見下ろしていた。

「な「アンタ何してるのよ!」」

 チーフの言葉を遮り、何をしていたのか問いただし始めた。
 責める内心、自分の事を棚に上げてなに言ってるんだろうと。
 答えないでたたずむチーフの左手に握られた籠に気が付く。

「……それは?」

 籠からはいい香りが漂って来ていた。
 チーフとメイドの姿ばかり見てその手に持つ物に気が付いていなかった。
 籠のふたを開くと、中には出来立てらしき料理が入っていた

「それ……」

 チーフは頷き、かかとを返す。
 それを見たルイズは笑っていたとか何とか。



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