「んん~っ、やっと着きましたねぇ」
砂浜に上がった【救命イカダ】の前で、彼は昇り始めた太陽にのびをした
「ロバ・アル・カリイエからはやっぱり遠かったですねー…
ま、何はともかく朝食の準備をしましょう」
そう言って調理器具をどこからか取り出した彼の額には【使い魔のルーン】が輝いていた
ま、何はともかく朝食の準備をしましょう」
そう言って調理器具をどこからか取り出した彼の額には【使い魔のルーン】が輝いていた
ドラが使い魔 外伝
王銅鑼漫遊記
それから3日後―― ガリア付近の森の中
「ハァ、ハァ、ハァ…」
息を荒げて一人の少女が森の中を走りぬける
恐怖にゆがませた顔を、時折振り向かせて後ろを確認する
少女は吸血鬼だった。あまりに幼すぎるその姿とは裏腹に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
強力な先住魔法を使い、人間のメイジなど相手にならない……そう、思っていた
その慢心と驕りが産んだものは、体のいたるところのひどい火傷だった
命からがら何とか身代わりを作り、歩いてその場から逃げることには成功したが
それでも満身創痍の状態だった
息を荒げて一人の少女が森の中を走りぬける
恐怖にゆがませた顔を、時折振り向かせて後ろを確認する
少女は吸血鬼だった。あまりに幼すぎるその姿とは裏腹に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
強力な先住魔法を使い、人間のメイジなど相手にならない……そう、思っていた
その慢心と驕りが産んだものは、体のいたるところのひどい火傷だった
命からがら何とか身代わりを作り、歩いてその場から逃げることには成功したが
それでも満身創痍の状態だった
彼女を殺し「かけた」存在は青髪のメイジの少女だった
「それ」が自分を殺そうとした瞬間、偶然に見た瞳の中にあったのは
「それ」が自分を殺そうとした瞬間、偶然に見た瞳の中にあったのは
――「無」だった
ただ何も無いという訳でなく、その瞳にはまるで
氷のような冷たい輝きがあった
氷のような冷たい輝きがあった
「……っ!!」
そのことを思い出した彼女の顔に浮かんだものは
さらに色濃い…恐怖だった
そのことを思い出した彼女の顔に浮かんだものは
さらに色濃い…恐怖だった
――ガサリ
「!」
草むらで物音がした
草むらで物音がした
――アイツガ、キタ…?
それだけが彼女の頭の中を埋め尽くす
「あ…」
今まで自分に敵などいないと思っていた少女が
いきなり敗北を知り、恐怖を知る――これの意味するものは
今まで自分に敵などいないと思っていた少女が
いきなり敗北を知り、恐怖を知る――これの意味するものは
「…ぁあっ!あああああああああああっ!」
――爆発だった
――爆発だった
渾身の力を込めた、今時分にできる全力のパンチ
それが届く寸前
それが届く寸前
――ド、ゴッ!
「………?!か、はッ…」
鈍い音とともにやってきた腹部への衝撃に、一気に意識が遠くなる
彼女が薄れ行く意識の中で見たものは
鈍い音とともにやってきた腹部への衝撃に、一気に意識が遠くなる
彼女が薄れ行く意識の中で見たものは
「…って、女の子!?だいじょ…」
「アイツ」ではない、優しい目をした誰かだった
それに安心して、少女――エルザは意識を手放した
「アイツ」ではない、優しい目をした誰かだった
それに安心して、少女――エルザは意識を手放した
「この子はいったい…?」
火傷だらけの少女を腕に抱え、彼――王ドラは途方にくれるしかなかった
火傷だらけの少女を腕に抱え、彼――王ドラは途方にくれるしかなかった