あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ぶっちぎりな来訪者

地球でもない、ハルケギニアでもない世界で―――

「「おおおぉぉ……おおおおッ!」」
2つの影が、暗闇の中わずかな光で浮き上がっていた。

ひとつは、巨大な顔。
顔しかないが、その大きさは2mを超えている。
厳しい表情をかたどったしわの多い老人の顔で、巖(いわお)のようなもので出来ている。

ひとつは、騎士。
その手に輝く光の宝剣を携え、黒い鎧に身を包む男の姿。昆虫のような赤く大きな瞳。
その胸に刻まれた金色の紋章と、太陽のようなきらめきを湛えた腰の宝石が、強く、光で存在を主張する。

2つの影は、ただ延々と闘っていた。
引くことを知らず、全力で、全霊を込めて。

巨大な顔の周りに生えていた、棘ともひげともつかぬ物体が伸び、騎士を叩き伏せる。
「ぐぅうッ!」
横幅10mまで拡大したその赤熱化する触腕を腹に叩き込まれ、騎士が膝をつく。
巨大な顔は、その岩の口を重々しげに開く。すると、霧とともに、赤い光がうち放たれた。
「バイオライダーッ!」
騎士の声が暗闇に響く。
すると、何たる奇跡か騎士の姿は輝く水晶のような水に姿を変え、空に浮きあがった。
そのすぐ下を赤い光は通り抜けていく。騎士は、そのまま体当たりを仕掛けた。
巨岩に打ち寄せる波浪のように、水となった騎士の一撃が巨大な顔を傾かせる。
さらに高い場所に滞空し、閃光を放ったかと思うと、騎士は元の黒い姿に戻っていた。
縦回転と横回転、両方を加え威力を上昇させた蹴撃をそのまま繰り出す。
その両足蹴りは、空気摩擦により発火すらしていた。
巨大な顔がまたも触腕を繰り出すも、その勢いは止まらない。
大きな腕(かいな)に打ちつけられようと、必死に騎士は姿勢を保ち続けた。
まっすぐ飛来する流星のような一撃は、巨大な顔の額を砕いた。
四方にヒビが走り、片目にまで一部は達している。後方宙返りで騎士は着地。
隙を見せる巨大な顔に、とどめの一撃を放たんと、必殺の力を解放する。

「リボルケインッ!」

先ほど握っていた剣をもう一度、腰の宝石から抜き放つ。
そして、それをまっすぐに巨大な岩に突き刺した!
途端、貫かれた場所からは火花が舞い散り、周囲を明るく照らす。
どんどん剣から混合神気〈ハイブリッドエネルギー〉が、巨大な顔が流れ込んでいく。
切るのでも叩くのでもない。突くのもおまけ。光の宝剣の力を敵に流し込み、内部から爆破する。
それが、騎士の必殺業――リボルクラッシュ。
「おおおおお!!」
渾身の力を込め、宝剣を押し込んでいく騎士。剣が食い込むごとに、巨大な岩から漏れ出す火花は増えていった。
先ほど割れた所だけではない。
無傷だったところにも内部で暴れる宝剣の力が皮膚を突き破り、発露していく。
巨大な顔が、口を開く。その声も外見にふさわしい重々しいものだった。
「RX……勝ったと……思うな……人間どもが地球を汚せば、また新たなる怪魔界は生まれる……
 そして地球を襲うであろう……全ては、お前たち人間どもの罪……」
乾いたせせら笑いをうかべ、巨大な顔は崩れていく。
巨岩に秘められていた力と注ぎ込まれた宝剣の力が反応し、光を強く放った。
「そして余は……クライシス皇帝もまたその時復活する………RX、さしものお前もその時は生きておるまい!」
「おれは太陽がある限り蘇る! 何度でも!」
RXと呼ばれた騎士は、高らかに宣言した。
「おれは消えても、正義は――仮面ライダーは必ず蘇って、最後の勝利を得るまで戦うだろう!」
「ハハハ……ならば、それまで地獄で人間どもの正義を眺めてやろう! 人間はしょせん愚かな生き物よ!」
それ以上は問答無用とRXが宝剣を巨大な顔――クライシス皇帝から引き抜く。

RXがクライシス皇帝に背を向ける。剣を横にかざし、静かに下ろした。
相変わらずの乾いた笑い声をあげたまま、クライシス皇帝が大爆発を起こした。
その衝撃は地を割り、マグマを噴出させ、海を干上がらせた。
地殻変動どころか、地殻そのものを星の裏側に至るまで粉砕し、
星に住むあらゆる生命を殺しつくす熱波が天まで包み、駆け抜けた。
ひとつの世界として成り立っていた星……怪魔界最期の瞬間だった。

大爆発の直下にいたRXもまた、その衝撃波に飲み込まれていく。

「だがRX……お前だけは絶対に許さん……最後の力で……地球でもなければ怪魔界でもない、
 ライドロンでも辿り抜けぬ別次元に吹き飛ばしてくれる………フハハハハハハハ………!」

意識が薄らぐ中、それが、RXが最後に耳にした言葉だった。



―――ある森の中、倒れていた2人の青年を一人の少女が見つけた。

少女はその様子に仰天しながらも急ぎの出来事であることを理解し、
自分の村――といって子どもばかりの孤児院のような村だが――へ走って行った。

倒れている2人の青年の名前は……平賀才人、そして南光太郎と言った。



そして、しばらく経って――――

「う……あ……」
光太郎が目を覚ますと、そこはベッドだった。
体に痛みはほとんどない。頭を軽く振って、意識の覚醒を促す。
体に痛みはなかったが、こめかみが妙に痛むのを感じ、指で押さえる。

あたりを見まわすと、ログハウス風の木でできた建物だった。
木目まではっきり分かるし、最近ありがちなそういった風に見えるプラスチック材ではない。
それどころか、調度品まで部屋に溶け込むような似た雰囲気のもので整えられており、
どこか古く暖かい意匠が施されている。高校生の時に画集で見た中世ヨーロッパの森の小屋のようだった。
誰が助けてくれたか知らないが、ここの人はそういうことに凝っている人なのだろう。
そうでなければ、ここまでわざわざ統一しないだろう。

窓から自分に当たっている光は暖かかったが、窓の外から流れ込んでくる風は冬の肌寒いものだった。
そこで、妙な違和感を覚えた。
はて、今は冬だったか……?
周囲の観察から自分の内側に意識をむけなおす。思い出すのは、自分の気絶する直前の日の出来事だ。
最初から、それをゆっくりゆっくりと思い返していき……

「おのれクライシス!!」

突然叫んだ。
思い出したのは、クライシス皇帝の最期の言葉。

『だがRX……お前だけは絶対に許さん……最後の力で……地球でもなければ怪魔界でもない、
 ライドロンでも辿り抜けぬ別次元に吹き飛ばしてくれる………フハハハハハハハ………!』

あの皇帝の言葉が本当なら、ここは怪魔界でもなければ地球でもない別の異次元世界ということだ。
ベッドから飛び起きると、窓の外を眺める。一見、普通の森だ。
怪魔界のように機械と砂漠が広がる……というわけでない。
日本の風景にも見えないが、外国の田舎なら別にこのくらいの自然も残っているのではないだろうか。
目を細め、外の風景を仔細に見る。だが、やはりパッと区別がつかない。

「そうだ、皇帝の言うことが正しいならライドロンが呼べないはず!」
もしも異次元空間だとしても、ライドロンがあるならすぐに地球に帰還することができる。
「ライドロン!!」
一人の部屋に、相棒を呼ぶ声が響いた。
しかし……

…………………………5分経過
………………………
……………………
…………………
15分経過

……ライドロンは来ない。
どんなに遅くても15分以上かけてライドロンが来なかったことはない。
水上、水中、時空間、異次元、地底、あらゆる空間を走行し、音よりも早く駆けつけるはずのライドロンが……
ここにいたり、ついに光太郎も自分の置かれた状況を理解した。

自分は何と元の世界に戻ることができなくなったのだ!!

今まで数多の奇跡を巻き起こし、世界を救い、敵に勝ってきたRX。
しかし、ついにどうしようもないことになってしまった。
確かに地球を襲う怪魔界は滅んだし、先輩ライダー達が地球には残っている。
とはいえ、いつ、どんな悪が地球へ魔の手を伸ばすかわからない。

「あの……」

おのれクライシス皇帝と手を握って顔をゆがめていた時、あいた扉の隙間から一人の少女が顔を出した。
一言で表すと、綺麗な少女だった。腰まで伸びる金色の髪。全体的に線が細く、顔も奇麗に整っている。
緑色の瞳が印象的だった。
顔を出したのは、もちろん光太郎は気づくよしもないが突然の光太郎の絶叫(傍からはそう聞こえる)に、
驚いておっかなびっくり様子を見に来たのだ。おびえ気味にもなるのも無理はない。
だが光太郎、そんなことに欠片も気がつかず、笑顔で少女に話しかけた。
そのどれもが余計に少女におびえさせたことは言うまでもない。
「君が助けてくれたのか?」
光太郎の言葉に、慌てて首を縦に動かす少女。その様子を見て、緊張してるのかな、と光太郎は思った。
もちろん、原因が自分にあるとはまるで思ってない。単純に顔見知りする性格なのだろうといった程度だ。
「そうか! 本当に助かったよ、ところでここはどこか教えてくれないか?」
雑談を振ろうかとも思ったが、それよりここがどこか知るほうが大切だ。
かつて怪魔界に連れて行かれた時のように、現地の人々の助けがあれば脱出することも可能かもしれない。
「ここは……ええと……ウエストウッド村で……ロサイスから北東に50リーグ離れた……」
妙に歯切れの悪い調子で少女が答えた。
何か言いたくない事情があるのだろうかと気に掛けながらも、光太郎もそれどころではない。

ここの名前が、『ウエストウッド村』だということはわかった。だが、それ以外は謎だらけだ。
50リーグ離れた……ということはその『リーグ』というのは距離の単位なのか?
『ロサイス』というのは、何かわかりやすい目印になるものか何か?
……やはり、異次元の壁というものはひどく厚かった。

第一に、なぜ言葉が通じているんだとも少し考えなかったこともなかったが、重要でないので放っておいた。
以前も似たようなことがあったし、通じるのならそれにこしたことはない。
怪魔界のときも、次元を超えて急にやってきたのに、現地の人の言葉が理解できた。
勉強などしてるはずもないのに、5万年ぶりに目覚めたゴルゴム怪人たちの言語もだ。
結局きっとキングストーンに言葉の翻訳能力か何かでもあるのだろうと強引に結論付けていた。

「ここは、『日本』じゃないんだね?」
そういうと、首をかしげて、すいませんと謝りながら聞いたこともないと答えてくれた。
やたらと恐縮されていることに苦笑しながら、頭をかいた。

しかし、どうすればいいだろう?
まさかいきなり異世界人ですなんて言い出して、まともに取り合ってくれるとも思えない。
だが、一から世界のことを聞くには、その事情を理解してくれる人が必要だ。

その時、少女の影からもう一人別の人間がひょっこり顔を出した。
全身包帯まみれで、けがが重そうな青年だった。黒くツンツンした髪と、日本人似た顔つきが目に付いた。
その青年は、驚いたように目を見開き、口をあんぐりあけている。
青年からもこんなリアクションを受け、自分の姿はこの世界の人からは奇異に映るのかと心配になった。
妙な沈黙に耐えかねたように、冗談交じりの口調で光太郎が青年に問いかけた。

「君は、『日本』とか『東京』とか、知ってるかい?」

ますます青年の驚愕は大きくなっているのが見て取れた。
ボツリと、青年が『日本』と『東京』という言葉を何度か反芻するようにつぶやいた。
やはり知らないかと思い、変なこと言って御免と謝ろうと思った直後、青年は沈黙を割って叫んだ。

「東京を知ってるんですか!?」

その問いの意味は……彼が東京を知っていることに他ならない。


ぶっちぎるぜ!

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