あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのぽややん 1

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「ま、舞!?」

 言ってしまってから、あまりのバカバカしさに顔が歪む。
 目の前にいるのは、加藤のようにピンク色の髪をした小娘じゃないか。
 黒ですらない。
 何でこんなのを、あの娘と見間違えたりしたんだ?
 視線を頭から下にずらして見る。
「……まあ、薄さはどっこいどっこいだけどね」
 などと彼の想い人が聞いたなら、即処刑されそうな事を口にして、周りを見回した。
 ピンクの小娘が、わけのわからない言葉で、なにやら怒り狂っているようだが気にしない。
 正直、脅威でもなんでもない。
 周りも騒がしいが、どうやら攻撃してくる意思は無いようだ。
 それよりも。
「……どこだ、ここは?」
 自分は室内にいた。
 それは紛れも無い事実だ。
 だからこそ、不可解だった。
 自分が感知できずに取り囲まれたことも不思議だったが、目の前に広がるこの光景はどう説明する。
 青々とした草原,足元に感じる草の感触。少し先には塔? のような建物が見える。
 風の匂いなどからも、これが立体映像の類でない事は見てとれた。
 あまりの事にちょっと呆然とした。
 だからだろう。
 ピンクの小娘に両の手で、顔を挟まれたというのに何もできなかったのは。
 そしてそのまま、
 唇・を・奪・わ・れ・た。


「え、ど、どうしたの?」
 ルイズは、硬直していた男が突然泣き出しそうに見えて焦った。
 よく見ればきれいな顔をしている。
 特にその澄んだ青い瞳が印象的だった。
 なんだろう……絶望も悲しみも遠いどこかに置き忘れ、 ただ現実を認めているが、だが現実を納得していない瞳っていうか……あ、下に動いた。

 ピキッ。

 男の視線が下に向かい、つむぎだされた言葉を耳にした瞬間。
 意味は分らなかったが、ルイズの女の第六感がささやいた。
 そう、頭ではなく心でもなく、魂が理解したのだ。
 すなわち、
 ここここいつ、むむ胸のことで笑いやがったわねっっっ!!!!!
 である。
「ちょっっっっとあんた、なに、なんなの!?! む無む胸?! 笑ったの? ワラっちゃったの? てか、わかるように話なさいよ!!」
 だが、男は明らかにこちらを無視して周囲を見回している。 
 それがルイズの火に更なる油を注いだ。
「そもそも何者!? なんで人間、しかも平民?! 平民よね? 平民決定! がサモンサーヴァントで出てくるのよっっ!!!」
「おいおい、さすがゼロだぜ。人間の召喚に成功するなんて」
「ああ、俺達じゃとてもまねできないよな。しかも平民だぜ平民。どんなプレミアもんだよ」
 周りから嘲笑と共に野次が飛ぶ。
 あいつとあいつとetc。顔は覚えた。

 アトデコロス。

 ルイズが射るような瞳で、心のじゃぷにか暗殺帳にメモしていると、禿頭の教師が声をかけてきた。
「さあミス・ヴァリエール、契約の儀を」
「そんな!?」
 あまりの事に愕然となる。
「待ってください、ミスタ・コルベール! 人間を使い魔にするなんて話、聞いた事ありません!
もう一度召喚させてください!」
「それは許されません」
「どうしてです!?」
「ミス・ヴァリエール。彼はまぎれもなくあなたの召喚によって現れたもの。
 たとえ人間であろうとも、呼び出したものを使い魔とするのが伝統なのです。例外はありません」
「そんな」
「さ早く、あなたが最後なのですから。次の授業もさし迫っているんですよ」 

 コイツモイツカコロス。

 メモしつつ悲壮な決意を胸に、ルイズは男に向き直った。
 いいわ。さっさと契約してやるわよ。
 あしきゆめも裸足で逃げ出すような黒いオーラを放ちながら、ルイズは矢継ぎ早に呪文を唱えた。
 そして呆けた様になっている男の頭を両手でがっちりつかむと、そのまま
 唇・を・奪・っ・た。

 ……ちなみに彼女のファーストキスである。


「なっ」
 思わず払いのけようとしたが、それよりも先に異変が体を襲った。
 左腕の付け根に埋め込まれた多目的結晶が、まるで炎の塊のようになって内側から焼かれるような感触。
 大抵の痛みにはなれていたが、さすがにこれにはまいった。
「チィィィィ」
 思わず声が漏れる。
 油断した、粘膜接触で毒を盛られたか!?
 それとも何らかの電子ウィルス!?
 あわてて結晶を露出させると、赤いはずの結晶が青白く輝いている。
「もうすぐ終わるだろうから、我慢しなさいよ」
「ほ、本当かい」
 答えてみてから、唐突に言葉が理解できるようになったことに驚く。
「ええ、そうよ・・・・・・って、あんたなんでそんなところに宝石なんて入れてるの?」
 やがて光が収まると共に、痛みからも解放された。
 結晶も元の赤い色に戻ったが、以前とは違ってその中に金色の文字のようなものが浮かび上がっている。
「終わりました、ミスターコルベール」
「ほうほう、これはまた珍しい場所に珍しいルーンが出ましたね」
 コルベールと呼ばれた禿頭の男は、興味深そうに浮き出た文字をメモした。

「さてミス・ヴァリエールも無事契約を済まされたことですし、皆さん教室に戻りましょう」
 次の瞬間、信じられないものを見た。
 周りにいた人々が次々と宙に浮き、建物の方へ飛んで行く。
「あ、アニメ!?」
 昔、滝川に借りたビデオにも似たような物があったのを思い出した。
 ただし、女の子が変身するシーンを見て、舞が即行叩き割ってしまったが。
「はあっ? あにめ? 何言ってんのよ」
 思いっきり変な顔をされた。
 ちなみに、彼女は徒歩だった。
「おい、ルイズ。お前もフライかレビテーション使えよ」
「おいおいゼロになに言ってるんだよ」
 上から声がかかる。
 そうか、この娘はルイズというのか。
「くっ」
 ルイズは悔しそうに下を向くと、足元の石を手に取った。
 投げる気か。
「おー、こわいこわい」
「じゃ~な」
 察した二人はさっさと逃げてゆく。
「待ちなさいよ!」
 彼女が悔し紛れに投げようとするのを止めた。
「なにっ!」
「ま~ま~僕に任せて、ね?」

 ここがどこだかも、敵も味方も分らない。ならば作るしかない、味方を。
 だからあの仮面を被ることにした。
 一番最初に死んでしまった小さなあの子から盗んだ、多くの人間を味方につける魔法の笑顔。
 そして、舞が死んでしまった時に同時に捨てたあの顔を。

「…どうする気よ」 
 正直、昔のようにできるかは自信はなかったが、効果はあったようだ。
「じゃ、その石貸して」
 ルイズから石を受け取ると、遠ざかっていく二人を見た。
 あのスピードであの角度なら…よしあそこだ。
 未来位置予測完了。投石。
「ちょっとなんで上に投げるのよ!意味ないじゃない」
「見ててごらん……3・2・1・Hit!」
 わざとらしくカウントをとりながらルイズの視線を二人に向けさせる。
「嘘!?」
 突然頭頂部を抑えて悶える二人を見て、ルイズはポカンと口を開ける。
「何したの? まさか魔法!?」
 ルイズの目が一瞬険しくなる。
「ははは、ちがうよ。アニメじゃあるまいし、石をぶつけたんだよ」
「だからあにめってなによって、石? だってあんた石ならさっき」
「そう、投げたんだよ。彼らの頭の上に当たるようにね」
「あっ」
 大きな放物線を描くように投げた石だ。彼らにしたら突然石が降ってきたようなものだろう。
 よっぽどの馬鹿か天才でもない限り、こちらが疑われる心配もないだろうし、わざわざ敵を作る事もない。
 問題は結構な高さから石が落ちてくるわけだが……まあ渡された石を手の中で半分に砕いたものだから、大きなこぶを作るぐらいだろう。
 うん、無問題。
「へえ、おもしろい事ができるのね。あんた、名は?」
「僕のことはただ [アオ] と呼んでくれるかな。ルイズさん」 
「あれ? わたし、あんたに名乗ったっけ? ……まあいいわ。
 じゃあ改めて、私の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…ルイズって呼んでいいわよ。
 でもね[さん]付けじゃなくて、[様]付けよ。あんたは平民で、わたしは貴族なんだから」
「はい、わかりましたルイズ様♪」
 正直、平民貴族の意味は分らなかったが、少女の何かしらなプライドの様なものを好ましく思い、自然と声が明るくなる。
「なんか引っかかる言い方ね…・・・でも、アオか。変な名前ね」
 ああ、僕もそう思うよ。

 かつて速水厚志を名乗っていた者は、そう思って苦笑した。


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