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三人06


対峙する村人、そして翼人。
一触即発の空気に耐えられなかったのは、翼人との徹底抗戦を主張した青年。
翼人、騎士、村人。全ての人間の中で最も弱い彼がつがえた矢が、人と翼人との間を裂いて飛び―――
瞬間、そこに割って入った影に矢が吸い込まれた。
「ミス・コノエ!」
わずか数瞬遅れて、マリコルヌの放った風が吹き抜ける。
「大丈夫や……」
このかが扇を振ると、矢傷は何事もなかったかのように元に戻ってゆく。
その様子を見て、マリコルヌは安堵よりも先に悔恨により唇を噛み締めた。
自らの未熟さが、平民を軽く見た愚劣さが、結果的にミス・コノエを傷つけてしまったのだ。

マリコルヌは俯き、タバサは油断なく辺りを警戒し……
そして、このかはしっかと大地を踏みしめて、その場の全てに視線を送り、
柔らかな笑みを浮かべてただ、言った。
「みんな、仲良うせんとあかんよ?」
「!」
ああ。自分が傷つけられても、それでもこの人は。
強くあらねば。マリコルヌは改めて決意し、杖を握り締めた。

「なー」
と、どこからか、何とも間の抜けた声が聞こえてくる。
「なー」
重苦しい、全てがシリアスと化した空気をものともせず、大阪は気の抜けた問いを発す。
「……どうしたの?オーサカ」
仕方なくと言った風に答えるルイズに満足したのか、
大阪は手に持った紙を両手に持ち替え、目線の高さに固定して読み始めた。

「第六話『このちゃん頑張る!人と翼人との間に』の途中ですが、きんきゅう速報です。
てきとうに続ける予定で再開した断続SS『三人』ですが、じゅうさん巻で明らかになった数々の新事実が、
おもにリリカルなのは世界との設定のすり合わせに致命的な影響を与え、
このままただまったりと三人をハルケギニア世界に放置しておく事が非常に困難とあいなりました。
まことに残念ではありますが、おそらく次回あたりをもって最終回とさせていただく事になるでしょう。
そのため色々な不都合が生じ、数々の『ちょう展開』を目にすることになろうかと思いますが、
こんなものかと不都合な箇所を華麗にスルーしていただけたら幸いです。
追伸 十九歳はむしろご褒美じゃね?」

「最終回ってなに~?」
「その手紙、どこで手に入れたの?」
「なんかなー、色々とぎりぎりなまほーしょうじょさんがおってなー」
「その魔法少女さん、どんなやった?」
「どんなやったと言うか、あれからずっとここにいたんだけど……」
「ひゃあ!びっくりしたあ!」
はやての背後に佇んだ、赤茶色の髪をまとめ白い服を着込んだ女性。
「なのはちゃん!?」
「やっと気づいてくれたの?もう、揃いも揃って注意力散漫すぎるよ……」
「ご、ごめんな?誰かおるなあて思ってたんやけどな?この世界魔法使い多いし……」
「知り合いなん~?」
「ああ、私の部隊で隊長さんをやってもらってる……」
「高町、なのはです」
なのはの丁寧なお辞儀に我に返り慌てて礼を返したルイズは、
その意味するところに気づいて問う。
「え、ハヤテ、という事はもしかして」
「お迎えが来た、っちゅうことやね。」
はやては感慨深げに空を仰いで言った。
「なのはちゃん、お迎えて船が来るんかな?それとも、こっちが行った方がええんかな?」
「えーっと、そろそろ来ると思うんだけど……あ、来た!」
なのはが指す空の彼方を見ると、オレンジ色のものがものすごい速さで接近してくるのがわかる。
それは大きな唸り声を上げ、マッハ100で飛ぶ――――
「……何?」
「ぶるあああああああああああああああああああああ!!!」

天を震わす雄叫びと共に現れた謎の飛行物体は、大阪に気づくと速度を落として皆の中心に降り立つ。
「ななななななな」
指をさして腰を抜かすルイズに軽く挨拶を贈り、それはふよふよと大阪に近づいてゆく。
「お父さんや……」
「お父さん?え、オーサカのお父さんなの?あれが?」
「ちゃうねん。私のやなくて、ちよちゃんの」

(ちよちゃんて……誰?)

その場の誰もがそう考え、しかし何から突っ込んでいいやらわからず静寂が場を支配する。
しかし、タバサだけがある『異常事態』に気づいて、大阪の袖を引いた。
「あー……あ、タバサちゃん、何ー?」
のったりと反応する大阪に、タバサはただそれを杖で指して答える。
大阪の右手に描かれたはずのルーンが、いつのまにか『CV.若本』に書き換わっているようだ。

(若本って誰!!!!)

『それ』は丁寧にお辞儀をすると、皆をぐるりと見回したのち大阪を……多分……見つめて言った。
「ちーよの父ですー。あなたには娘がー、そしてあなた以外の皆さんには娘の友がー、大変お世話になりました」
「こ、これはご丁寧に」
「いえいえ。これもー、私の世ー界がー未完成なせいー。私の不徳のいたすところー」
「ええと……貴方はその、ちよちゃんって人のお父さんなんですか?」
「いやー、むしろ皆の父ー、心の父ー、ぶっちゃけて言ってしまえばー」

「始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミルですー。我がーハルケギニアの民がー、ご迷惑をお掛けしましたー」

「……何?今、何て言ったの?」

「始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミルですー」

………………………………………………………………………………………………………………………………
ルイズは―――タバサは―――マリコルヌは―――そして村人達は。
全く同じ思考にたどりついた。

こいつかよ。

「そのね……管理局の一部の人が、『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』さんを妨害してたんだって」
ばつが悪そうに話すなのはの肩に手を置いて、『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』は慰めるように言った。
「高町ーなーのーはーさんのおかげでー、異世界との接触を安定化できたー。感謝の極み」
感謝のしるしなのだろうか、彼の体の上に奇妙な色彩が踊る。
「は、はあ……それでね、『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』さんが乗せて行ってくれるって言うんだけど……」
色彩はますますさかんになり、七色が七パターンで明滅を繰り返す。
「これからはー、異世界旅行もおちゃのこさいさい。6000年の沈黙を破りー、我がーハルケギニアのたぁみがー、
様々な世界で学びー、戦いー、そしてぇー……愛。そのー名誉ある先駆けー、どうか君達に託したいとー思うのだがー」
彼はルイズ、タバサ、そしてマリコルヌを睥睨し、威厳を保ちたいと思ったのか腕を組んで言った。
「それは……この世界からの留学っちゅうことですか?」
「左様。三者三様、様々な理由はぁあるがー、そうしたいとぉ思ったことはぁあるんじゃないかなー?」
三人は『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』を驚愕の目で見つめ、次いでそれぞれが同じ反応を示した事に驚愕し、
真剣な眼差しで頷きを返した。
「そうなんか……」
若干の驚きを含んだはやてのつぶやきに手を振ると、
『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』はみるみるうちに巨大化し、普段のオレンジ色に戻る。
「さあー、乗りたまえー」
一行はその言葉通りに『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』の背に乗って、東方へと旅立った。
村人と翼人が『始祖ー、ブゥゥゥゥゥリミル』祭りを開催し、
村の平和を勝ち取ったのは十日後のことだったとさ。


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