「もうっ!なんでこんなことに!」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは苛立っていた。
昨日のサモン・サーヴァントの儀式で現れたのが中年もいい所の軍人、
しかし元は大帝国の爵位持ちの高級将校だったというその男が現れた事が発端だった
当然使い魔として扱うわけにもいかず、如何しようかと学院長達と悩んでいた所、
「御付」と言う形でならばルイズに仕えても良いと「彼」が主張した為、そのように扱うことになっていた。
そこまでは良かった。
何しろメイジではないとはいえ、「元」とはいえ騎兵少将の男爵に忠を誓われると言うのは、ルイズとて悪い気分ではない。
下手な動物を使い魔にするより余程名誉な事だろう。
伯爵家の娘と言う事で『姫』と呼ばれる事は少しむず痒い気もするが、悪い気はしないし
さらに身の回りの世話を命じるまでもなく、全ての雑事の手筈を整えるなど能力的にも満足。
これならば思い通りにならない面がある事も許容しよう。と、納得しかけていたところに事件が起きた。
昨日のサモン・サーヴァントの儀式で現れたのが中年もいい所の軍人、
しかし元は大帝国の爵位持ちの高級将校だったというその男が現れた事が発端だった
当然使い魔として扱うわけにもいかず、如何しようかと学院長達と悩んでいた所、
「御付」と言う形でならばルイズに仕えても良いと「彼」が主張した為、そのように扱うことになっていた。
そこまでは良かった。
何しろメイジではないとはいえ、「元」とはいえ騎兵少将の男爵に忠を誓われると言うのは、ルイズとて悪い気分ではない。
下手な動物を使い魔にするより余程名誉な事だろう。
伯爵家の娘と言う事で『姫』と呼ばれる事は少しむず痒い気もするが、悪い気はしないし
さらに身の回りの世話を命じるまでもなく、全ての雑事の手筈を整えるなど能力的にも満足。
これならば思い通りにならない面がある事も許容しよう。と、納得しかけていたところに事件が起きた。
ルイズになんの断りも無く、彼は決闘に応じてしまったのだ。
「ああ、余り怒られては美容によろしくありません。姫」
ヴェストリの広場に向かって歩くルイズの一歩後方を男が進言する。
「軽口を叩いている場合じゃないでしょクラウス!
何があったかは知らないけど、メイジじゃない貴方が一対一の決闘でギーシュに勝てるわけ無いでしょ!
謝罪してきなさい!今すぐに!」
「これは異な事を申される。これから行うのは単なる軍事教練に過ぎませぬ。
聞けばあのギーシュ殿はこの国の由緒ある軍人の家系。後進を教育するのも老兵の役割と言うものです」
何があったかは知らないけど、メイジじゃない貴方が一対一の決闘でギーシュに勝てるわけ無いでしょ!
謝罪してきなさい!今すぐに!」
「これは異な事を申される。これから行うのは単なる軍事教練に過ぎませぬ。
聞けばあのギーシュ殿はこの国の由緒ある軍人の家系。後進を教育するのも老兵の役割と言うものです」
片目を閉じて微笑みながらクラウス・フォン・メレンティンは主人の癇癪に応じた。
彼が仕えた東方辺境姫に対して行われたものと変わらぬ、諧謔をこめた軽口。
未だ諧謔の意味を解さぬルイズには単なる反抗にしか見えなかったが。
彼が仕えた東方辺境姫に対して行われたものと変わらぬ、諧謔をこめた軽口。
未だ諧謔の意味を解さぬルイズには単なる反抗にしか見えなかったが。
「―――ッ!なら勝手にしなさい!!」
「はい。申し訳ありませんが、しばらく私のわがままに御付き合いください」
「はい。申し訳ありませんが、しばらく私のわがままに御付き合いください」
騎兵将校としての勇気ならば十二分に持ち合わせているが、メレンティンとて決闘などを好む体質ではない。
ならばなぜギーシュの決闘に応じたのかと言えば、単に状況のおかげに過ぎない。
ならばなぜギーシュの決闘に応じたのかと言えば、単に状況のおかげに過ぎない。
ギーシュが落とした小瓶を拾いそれが原因でとある事件が発生した。
その責任をギーシュがメレンティンに押し付けようとする。
気の利かなかった事に謝罪し、メレンティンがその場から引き下がる。
その責任をギーシュがメレンティンに押し付けようとする。
気の利かなかった事に謝罪し、メレンティンがその場から引き下がる。
それだけで解決するはずの出来事はしかし、ギーシュの放った一言で発火した。
「―――ああ、あのゼロのルイズの使い魔殿か」
彼の一言をメレンティンはルイズには伝えなかった。伝える必要も感じなかった。
ただ、主人に付いている不名誉な称号だけは返上しておかねばならない。
なによりも、メレンティン自身のために。
故に、「軍事教練」を名目として決闘に応じた。ただそれだけの話である。
ただ、主人に付いている不名誉な称号だけは返上しておかねばならない。
なによりも、メレンティン自身のために。
故に、「軍事教練」を名目として決闘に応じた。ただそれだけの話である。
「クラウス」
「はい。姫」
「……やるからには勝ちなさいよ」
「はい。おまかせください」
「はい。姫」
「……やるからには勝ちなさいよ」
「はい。おまかせください」
命は下された。ならば後は進むだけである。
拗ねた様に顔を逸らしたままの主人に、<帝国>式の敬礼を行いメレンティンは前進を開始した
拗ねた様に顔を逸らしたままの主人に、<帝国>式の敬礼を行いメレンティンは前進を開始した
皇国の守護者より、ユーリア殿下の御養育係にして筆頭御付武官クラウス・フォン・メレンティンを召喚