あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

SnakeTales Z 蛇の使い魔-09


森の中で爆発音。
それと同時にゴーレムの動きが止まる。
ルイズがフーケをやったようだ。

「今だ!」

RPG-7の弾頭にC4と衝撃感応式の電気信管をくっつける。

「タバサ!離れろ!」

シルフィードが離れるのを確認し、引き金を引き、弾頭が飛んで行く。
RPGがゴーレムの腹部に命中する。

―強烈な爆音と衝撃波―

RPGに仕掛けたC4が爆発したのだ。
C4の爆発により、ゴーレムの上半身が吹き飛んだ。
破片が飛んでくる。さすがにこのダメージはフーケでも回復できないようだ。
残った下半身も崩れ落ち、砂の山と化す。

「終わったわね。」

キュルケとタバサが降りてくる。
シルフィードは疲労困憊で、しばらく動けそうに無い。

「あれ、ルイズは?」
「ああ、ルイズなら―。」
「ここよ。」

背後から答えが聞こえた。
しかし、答えたのはルイズでも、スネークでもなかった。

「動くな。そこのメイジ二人は杖を捨てな。」

声は女性のようだ。
振り向く事が出来ないため、顔は分からない。
だが間違いなく杖を突きつけられている。

「スネーク、といったわね。アンタだけゆっくりとこっちを向きな。」

ゆっくりと振り向く。
ルイズがロングビルに手を回されて拘束されている。

「やはりお前か。ロングビル。」
「あら、ばれていたのね。何処からかしら?。」
「最初からだ。そもそもフーケの調査をしてあの時間に帰ってこれるはずが無い。」
「そう。たいしたものね。
 さて、スネーク。おしゃべりは終わり。こいつの命が惜しい?惜しかったら破壊の杖を渡しなさい。」

杖をルイズに突きつけるフーケ。
どうやら冗談じゃないらしい。

「分かった。」
「おっと、ゆっくりとよ。あせっちゃ、だ・め。」

アレだけ派手に盗んでいった割りに細かい。さすがはプロだ。
地面にRPGを置く。拾い上げるフーケ。

「約束だ。解放してもらおう。」
「ああ、そうだったわねぇ。…いいわ。解放しましょ。
 …コイツの性能を試してからね。」

RPGを構え、こちらに照準を合わせるフーケ。

「約束が違うぞ?」
「そもそも約束した覚えは無いわ。」

笑いながら引き金に手をかける。
フーケがにやりと笑う。

「死ね!」

カチリ…。

乾いた音が響く。
しかし弾頭は飛ばない。
突然の事に動揺するフーケ。

「何!?どうして!?」

ニヤリと笑うスネーク。
計算通り。

「安全装置が外れていないぞ、新米。」
「何!?」

この一瞬の隙をルイズとスネークは見逃さなかった。
ルイズがフーケに頭突きを食らわせ、その隙にスネークが一気に距離を詰め、CQCで武装を解除。
そして投げ飛ばした。
地面に身体を打ち付けるフーケ。息も絶え絶えだ。

「安全…装置?」
「そうだ。この破壊の杖、RPG-7には暴発を防ぐための安全装置が備え付けられている。
 お前ならその存在を知らないだろうと思ってな。」
「どうして…?」
「分かったかか?簡単だ。
 使い方が分かっていればこんな手の込んだ罠を仕掛ける必要なんて無い。」

このときフーケは悟った。
相手が悪かった、と。

「ルイズ。」
「な、何よ?つかまったのは悪かったわよ。」
「いや、いい判断だった。いいセンスだ。」

拳でトンとルイズの胸を叩く。

ペタン

安心しきったのか、ルイズは地面に座り込んでしまった。

「もうこんなぼろぼろになるような役はごめんだわ。」


―デブリーフィング―
学院長室でオスマンは四人の話を聞いていた。
破壊の杖、ゴーレム、フーケ。特にフーケがロングビルだった事には驚いているようだった。

「ふむ。君たち、ご苦労だった。破壊の杖が戻った事も嬉しいが、
 君たちが全員無事で帰ってきてくれたことが一番嬉しい。
 よくぞ、帰ってきた。君たちには感謝しておるよ。」

スネーク以外の三人が誇らしげに礼をする。
特にルイズの顔は今まで見た事が無いくらいに輝いて見えた。
自分の成し遂げた事がそれほどまでに嬉しいのだろう。

「フーケは城の衛士に引き渡した。破壊の杖もその使い魔くんが持っておる。一件落着じゃな。
 君たちの功績を称え、『シュヴァリエ』の爵位申請を城に提出しておいた。追っ手沙汰があるじゃろう。
 …といっても、ミス・タバサは既に『シュヴァリエ』の称号を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた。」

三人の顔が輝く。
ルイズはもはや直視できないほどに輝いている…と思ったら、そうでもない。
それどころか険しい表情だ。

「オールド・オスマン、スネークには何も無いのですか?」
「残念だが、彼は貴族ではない。」
「別に興味は無い。」

この世界の勲章がなんの役に立つだろうか。オスマンが手を打つ。

「さて、今宵は『フリッグの舞踏会』じゃ。破壊の杖も戻ってきたしの、予定通り執り行う。
 君たちは今日の主役じゃ。せいぜい着飾りなさい。」

オスマンの話が終わり、部屋を出ようとする。
オスマンがスネークを呼び止めた。

「君は残りなさい。」


「さて、破壊の杖奪取の件は感謝している。
 君がいなければ彼女達は死んでいただろう。本当にありがとう。」
「そうか。別に構わない。」
「ふむ。それで話と言うのはじゃな、君に破壊の杖について教えてほしい。」
「…分かった。」

破壊の杖の情報をスネークは教える。オスマンの表情は硬い。

「そうか…。恐ろしい兵器か…。」

しばらく考え込む。

「スネーク、これを貰ってくれんかね?」
「俺がか?」
「そうだ。君なら使い方を間違えないじゃろう。」

武装が少ない中でRPG-7が手に入るのは見過ごせない。二つ返事で了承した。

「それと、オールド・オスマン。聞きたい事があるんだが。」
「入手経路かね?」

うなずくスネーク。

「三十年前の話だ。森の中で私はワイバーンに襲われた。
 そこを救ってくれたのが破壊の杖の持ち主じゃよ。既に死んでしまったがのう。」
「そうか…。」

肩を落とすスネーク。
これでまた振り出しだ。やはり、オタコンを待つしかないのか。

「すまんのう、力になれずに。」
「いや…。」
「君が元の世界に帰れるのを私も手伝おう。いつでも相談してくれ。」

左手のルーンをなでる。そもそもこれが始まりだ。
このルーンや召喚術を研究するのが一番の近道だろう。

「このルーンに見覚えは?」
「それは伝説の使い魔、ガンダールヴのルーンじゃよ。
 ガンダールヴはあらゆる武器を使いこなしたと聞いておる。」
「それが俺か?何かの間違いだろう。」
「かもしれん。だが口外するのはよした方がいい。
 王立研究院に連れて行かれれば実験体としてばらばらにされてしまうかもしれん。」

それは遠慮したい。
この世界で死んだらどうなるか見当も付かない。

「わかった。」
「さて、話は終わりじゃ。君も帰りなさい。」


アルヴィーズの食堂の上の階は、大きなホールになっている。
そこで舞踏会が行われていた。
スネークはバルコニーに寄りかかり、空腹を満たしていた。

「相棒、うまいか?」

バルコニーに立てかけた抜き身のデルフリンガーが話しかける。
そういえばコイツの声を久しぶりに聞いた気がする。

「ああ。最高だ。食ってみるか?」
「あいにく消化器官がなくてね。遠慮するぜ。」
「それはそうだな。HAHAHA!」

陽気に笑うスネーク。少し酒が入っているようだ。

「…おめぇは踊らないのかい?」
「なんだって?」
「さっきまでキュルケとかいう娘っ子とか踊りたがる奴はいたじゃねえか。
 どうして踊ろうとしない?」
「あいにく服がないもんでね。」
「それだけか?そんなもんかねぇ人間ってのは…。」

こういう話が出来るのがデルフのいいところだ。
そもそもスネークは剣を使わない。
インテリジェンスソードのような不思議なものでなければ目もくれなかっただろう。
ホールの中では先ほどまで戦いを共にしていた戦友が、それぞれにパーティを満喫していた。

「さっきまで戦っていたとは思えないな。」
「おうよ。元気なやつらだねぇ。」
「「若いってのはいいねぇ。」」

二人の声が重なった。


ホールの壮麗な扉が開き、ルイズが姿を現す。
さすがのスネークも息を飲んだ。
先ほどまで涙目でぼろぼろになりながら戦っていた女の子と同一人物に見えないほどに輝いていた。
その美貌に今までゼロと言ってはやし立てていた男子生徒が群がっている。
ダンスに誘っていたようだが、ことごとく断られている。哀れだ。
こちらに気がついたルイズが近寄ってきた。

「驚いたな、ルイズ。君がこんなに女らしいとは思わなかった。」
「そうかしら?なら、踊ってあげてもいいわよ?」
「あいにく服が無くてね。遠慮す…」
「ちょっと待った、『我らの蛇』!そう簡単に断っちまって良いもんかねぇ?」

いきなり後ろから大声で割り込まれた。
マルトーだ。

「俺の使わなくなったタキシードがある。お前さんにそれをやるよ。」
「決まりね。さあ着替えてきなさい!」

笑顔で見送るルイズ。さすがに断れん。
マルトーからタキシードを受け取る。
元の世界のものとつくりが変わらなかったため、すぐに着替える事が出来た。
黒い蝶ネクタイを締め、真っ黒なタキシードに身を包み、ルイズの下へ戻る。

「遅いわよ。」

さっきまでの涙を感じさせないルイズの笑顔。
やはりまだまだ子供だな。

「エスコート位しなさいよ。」

すっと手を差し伸べるルイズ。
その手を取り、手の甲にキスをする。

「お嬢様、私と一曲踊っていただけませんか?」
「喜んで。」

清楚に笑うルイズ。
やはりこの子は笑っていた方がいい。

「あら、結構うまいのね。踊った事あるの?」
「いや、見よう見まねだ。」
「そうは思えないわよ。」

ルイズが軽やかにステップを踏む。
それにあわせてスネークも踊る。

「信じてあげる。」
「何がだ?」
「アンタが別の世界から来たってこと。」
「今まで信じていなかったのか。」
「信じられると思う?」
「そうだな。」

曲が終わり、また次の曲が始まる。
だが二人は踊りを止め、部屋に戻っていった。


「乾杯。」

ワイングラスが音を立てる。
二人は窓辺でワインを飲んでいた。月が雲に隠れ、部屋が暗くなる。
遠くで舞踏会の音楽が聞こえるが、それ以外は静かなものだ。

「ねぇスネーク、貴方の名前はなんていうの?本当の名前。」

ワイングラスを傾けながら問いかけるルイズ。
灯りが小さいため、スネークの表情はわからない。

「戦場では名前なんて意味がない。」

戦場では生きるか死ぬか。そこでは個人なんて関係が無い。
自分の名前は何だっただろうか?

「歳は?」
「君より死人を多く見てきている。」

俺の人生は死人と殺しでいっぱいだ。だが、そんな俺の人生を人は英雄と呼ぶ。

「家族は?」
「育ての親ならいくらでもいる。」

自分の実父は自分が殺した。
そんな事は、今この子に言う言葉でない。

「……好きな人は?」
「他人の人生に興味を持った事は無い。
 他人に興味を持てば自分が守れなくなる。」

自分を守れない者に他人など守れるわけが無い。

「何にも答えてくれないのね?」
「いつか話すさ。」
「今じゃ駄目?」
「ああ。」

人にほめられるようなことなどひとつも無い。俺はただの人殺しだ。
それが何のためであろうと正当化される時代は無い。

「そう…。いつか話してね。」
「そのときがきたらな。」
「…ねぇスネーク。元の世界に帰りたい?」

やはり暗くて表情が読めない。
貴方は泣いているの?それとも笑ってるの?

「俺はまだやらなければならない事がある。」
「何?」
「それもまたの機会だ。」

いつしか二人のワインは空になっていた。
月明かりがスネークの顔を照らす。やさしく笑っている。
初めてこの世界に来たときとは大違いだ。

「もう遅い。寝たほうがいい。」
「そうね、おやすみ。」

二人の長い一日が終わった。


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