あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZONE OF ZERO5


思いがけず気の合ったメイドと、買い物兼散策を続け、陽が暮れる頃に、ようやくメイドと共に帰還したルイズは、
重低音を響かせながら揺れる中庭に立って、前方のゴーレムを見据えた。
ゴーレムは既に、ルイズとメイドを障害とみなしているらしく、土煙を上げながら向かってくる。
「何か召喚の儀式から最近、やたらと厄介事にばかり巻き込まれている気がするわ」
嘆息して、さっそく買ってきたインテリジェンスソードを圧縮空間から呼び出すと、
まるで最初からそう在るべきかのように肘から輝く刃が突き出してきた。
『――ぷはぁっ! ひでぇよ娘っこ! あんまりだ! 一体なんなんだあそこは!?
 あんな訳のわからねぇ場所に放り込まれた記憶はここ6000年――って、聞けよ!?』
いきなりやかましいインテリジェンスソードを無視して、ルイズは怯え震えているシエスタの襟首を鷲掴みにして、駆け出した。
「ひ、ひゃぁああああっ!?」
メイドの悲鳴も無視してルイズは思考する。
敵は動きこそ鈍重だが、もともとの大きさそのものが違い過ぎるため、校舎までは逃げ切れないだろう。
人一人抱えているならば、尚更だ。
有事の際に展開される、数字まみれの独特の視界にもだいぶ慣れてきた。
ゴーレムの構造や動きから、ADAによって随時データが更新され、最適の情報が伝わってくる。
そして武器を携え、ルーンを輝かせたルイズは、その情報を十二分に有効活用させることが出来た。
メイド一人抱えながらで可能な、最適の機動で、ゴーレムの攻撃を回避する。
それと同時、ルイズは失敗魔法を詠唱する。
それすらも戦術の最適化の為に、可能な限り詠唱を短くした。殆ど無意識での行動である。
タイミングを見計らって詠唱を終え、片足を吹き飛ばすと、ゴーレムはバランスを崩して盛大にずっこけた。
その隙を突いてルイズは両手でシエスタを抱きかかえ、一目散に駆け出した。
半ば放り投げるようにシエスタを屋内に退避させたルイズは、すぐさま中庭に引き返したが、
既にゴーレムの足はもとどおりに再生していた。


『敵、周囲の地面から土を吸収。構造体を再生させています』
「どうすればいい?」
『失敗魔法による爆破では、与えるダメージが再生に追いつきません。
 身体強化されてはいますが、ブレードによる斬撃も同様と判断しました。
 現状、貴女に有効打を与える術はありません』
「はっきり言ってくれるわね……」
とにかく歯に衣を着せず、事実のみを端的に話すADAに歯噛みしたくなったが、すぐに気を取り直した。
自分の使い魔がこういう性格であるという事は、既に十分知っている。
「でも逃げる訳には行かないわ。私は貴族なのだから」
『発言の意図不明。――ですが、了解しました。
 敵ゴーレムは、トライアングルクラス以上の錬金魔法によるものと推測』
「ギーシュのものとは格が違うわけか」
『これより、術者の割り出しを行います。そう遠くない場所にいると見て間違いないと思われますが、
 ゴーレムがセミオート制御のため、敵の魔力から位置を特定するのに、多少時間がかかります』
「要するに時間稼ぎをしろって事ね」
『その通りです。敵の動きは鈍重ですが、その分、一撃は驚異的な破壊力を持っています。
 シールドではダメージそのものは防げても、衝撃までは防ぎきれません。十分注意してください』
「わかったわ」
時間稼ぎだけなら、正面切って戦う必要は無い。
回避だけを考えるなら、ギーシュのゴーレムより容易い相手と言えた。
術者が直接操っていれば、また状況は変わっていたのかもしれないが、
半自動制御ゆえに、単調になった敵の攻撃は、ルーンで強化されたルイズには止まって見えた。
時折隙を見つけては、未だにぶつくさ言っているブレードで足元を切りつけてゆく。
しかし、ADAの推測どおり、切った端から再生してしまう。


しばらくそんな鼬ごっこのようなやり取りが続いた。
――恐らくは、まだ見ぬ敵の術者の目的も、何らかの時間稼ぎなのだろう。
ならばこれはルイズとゴーレムとの戦いではなく、ADAと敵の術者との戦いだ。
敵の目的達成が先か、ADAの索敵が先か。
その戦いは、最終的にADAに軍配が上がった。
『術者の位置、特定できました。位置をレーダー上に表示します』
「遅いわよ! ……って、ここ、宝物庫じゃない! 嘘、あそこの固定化が破られているの!?」
『そのようです。手段は不明ですが』
「なるほど、相手はメイジ崩れの盗賊だったってわけね……。
 ……そういえば、武器屋の親父もそんなのがいるって言ってたっけ。よく聞いてなかったんだけど。
 でも盗賊とはいえ、トライアングルクラスが相手じゃ、ちょっと勝ち目は薄いわね……」
『ホーミングレーザーによる奇襲を提案』
「よし採用。撃つタイミングは私が計るから、ADAはロックオン制御と敵位置の拡大をお願い!」
『了解。殺傷しますか?』
「…………殺さないわ。威力の制御もお願い」
『了解』
青銅のゴーレムを粉砕する熱線の威力を、非致死にまで抑えるという困難な作業を追加されたADAだったが、
普段どおりの平坦な声は、どこか嬉しそうな、楽しそうな風に聞こえた……気がした。

結局、位置を特定されているなどとは露ほども予測していなかった土くれのフーケは、
宝物庫から現れた直後に、死角から雨あられと降り注いだ熱線に防御する間もなく吹き飛ばされ、あえなくお縄となった。




ところで宝物庫のカベは、実はギーシュとの決闘時に、ルイズの放った失敗魔法が
直撃したことにより出来たヒビに、フーケがゴーレムの拳でトドメを刺したというのが真相だった。
しかし、強力な固定化の魔法が掛けられている壁面を、一撃で破壊されるなどとは誰も思わなかったのだ。
そして、後にフーケのみが、偶然破損した壁面に気付いたのだった。
しかし彼女にしても、直接決闘を見た訳ではなかったので、結局、当のルイズすら真相は知らず、
今ではADAのみが、記憶領域の奥底に、しまいこんでいた。

彼女が捕らえた相手が、土くれのフーケであったことは(その時点ではルイズは知らなかったが)
少なからず、学園を揺るがせた。
何せ、貴族連中を手玉に取り続けた怪盗を、一介の学生――それも魔法も録に使えない、
ゼロと呼ばれた劣等生が単独(無論実際は違うが)で成し遂げてしまったのだ。

事情聴取に呼ばれたルイズは、そこで学園長室でルーンの事について多少聞かされたが、
どれも既にADAやデルフリンガーから聞いていた事ばかりで、目ぼしい情報は手に入らなかった。
むしろフーケの正体が学園長付きの秘書だった事とその背景事情のほうに盛大にあきれた。

そして次第に、周囲にも情報が伝わると、周囲のルイズを見る目は確実に変化した。
魔法成功率ゼロなのは相変わらずだが、少なくとも表立ってそれを揶揄する者はいなくなった。
そしてシエスタも、ルイズへの尊敬を更に深めた。
やがてフリッグの舞踏会も終わり、しばらくは何事も無い平穏な日々が過ぎていった。
そして、この国トリステインの王女である、アンリエッタによる学園視察の日がやってきた。



――サブウェポン『ゲイザー』のシステムデバイスが修復完了しました。


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