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ガラの悪い使い魔-03

ガラの悪い男とルイズはテーブルを挟んだ椅子に腰掛け何やら話しこんでいる。

「で、俺がお前の使い魔ってのはさ、分かったんだけどさ、具体的に使い魔っつーのは何すりゃいいのよ?」

ルイズの部屋で目を覚ました後に、ルイズと一通りの問答(もちろんゲロを吐いたことについても何度も謝った)を終え、ガラの悪い男はけだるそうに言った。
「あら?意外と素直なのね。」
ルイズは意外そうな顔をした。このガラが悪く軽い感じのする平民に自分を主人と認めさせるには、もう一悶着か二悶着はあるかと思っていたが、アッサリと男はルイズの使い魔であるということに納得したように見えたからだ。
どこから来た、という質問に対して、『たぶんここじゃない星か世界かなぁ』とか、『俺のいた場所には月は一つしかなかった』等とおかしなことを言っていたため(この平民の頭は大丈夫なのだろうか?)と多少心配になった。
だが『帰れるの?俺』という質問に、『無理』と答えたら、『・・ふぅん、そうなんだ』と言った。
どこか遠い目をしていたがその言葉で少し安心した。
てっきり『俺を帰せ!帰してくれ!』等と喚きながら暴れると思っていたので内心少しだけドキドキしたが、そんな素振りをこの男は全く見せなかったからである。
(見た目に反して意外と素直でいい奴なのかしら?『コントラクト・サーヴァント』の直後にいきなり吐いたり、頭のほうはちょっとアレだけど・・)

「じゃあひねくれてた方がいいの?」
ルイズがそんなことを考えていると、男が真顔でそう言った。
「そんなわけないじゃない!ちょっと意外だったから言ってみただけよ!」> ルイズが両手をビタンとテーブルに叩きつけ、その振動が頬杖をついた男に伝わる。> (ま、コイツがいい奴でも所詮は平民なのよね・・ハァ)
「オイオイ意外とは心外じゃない・・素直でいい奴だよ?俺。それに・・」
「何よ?」
男は今まで見せたことのない微笑みをルイズに向けた。
「お前に・・・感謝してるから・・だからさ、ちょっとだけ付き合ってやるよ」
ルイズは、『ちょっとだけ』という言葉が少し引っ掛かったが、男の初めて見せた今までと違う表情に戸惑いすぐに忘れてしまった。
(そうだわ!わたしと交わした契約のキスのことに違いないわ!平民が貴族の・・それもこんなにかわいい女の子からキスされたのだから、感謝しないわけがないものね)
ルイズはうんうんと頷いている。
実際には、男はキスのことなど特に何とも思っていなかっのだが・・

ルイズはふとこの使い魔の男の名前を未だに聞いていないことに気付いた。
「そういえばまだあんたの名前を聞いていなかったわね。」
「そういやまだ言ってなかったっけ?」
男は椅子を引き立ち上がった。
「俺の名前はウルムナフ・ボルテ・ヒュウガ。ウルって呼んでくれていいよ。まぁ、これからよろしくね」
そう言って男は右手をルイズへと差し延べる。
(握手を求めてるのかしら?)とルイズは思ったが、まるで友人の様に接してくるウルと名乗るこの平民に、主人と使い魔の主従関係を徹底的に叩き込まねばと考えていたため、その手を握らなかった。
「ふーん・・変わった名前ね。ところでこの手は何かしら?」
ウルの右手を指さす。
「え?握手だよ握手」
「駄目」
「え?」
「握手とか駄・目。いい?アンタは平民でわたしは貴族、アンタは使い魔で主人はわたし」
「え?え?」
いきなり高圧的な態度になったルイズを見て、困惑したウルの顔にはクエスチョンマークが張り付いている。
「いいこと?よく聞きなさい!」
ルイズも椅子を引き立ち上がると、ウルに近付き言った。
「わたしが『上』であんたが『下』よッ!あんたもそれらしく振る舞いなさい!理解した!?」
ウルは露骨に嫌そうな表情をしていた。
「理解したのかと聞いているのよ!」
身長の関係で、下からウルを見上げながらそんなことを言うルイズに対して内心では笑っていた。
というか顔に出して笑っていた。
「ははっ、分かった!分かったからさ、ね?そんな怖い顔しないでくんない?」
この男、分かったと口では言っているが何も分かってないのは言うまでもない。
「はおっ!」
突然ルイズに股間を蹴り上げられたウルは声にならない叫びをあげた。
あまりにも突然だったため全く反応できなかったウルは、苦悶の表情を浮かべながらその場にうずくまり股間を押さえて何やら呟いている。
「は・・ハッツ・・ハッツ・・!」
そんなウルを見下し、冷たい口調でルイズは言った。
「口の利き方がなってないわ。いい?あんたが今みたいな口を利く限り、わたしはこの丸太のような足であんたのソレを蹴り続けるわ」
最後の方で妙なことを口走っているが、そんなことを指摘する余裕などウルには無かった。
「わ・・分かった!いや分かりました!」
「分かればいいのよ・・分かれば、ね?」
ジンジンと痛む股間を摩りながらゆっくりと立ちあがったウルは泣きそうな顔で言った。
「うぅっ・・!死ぬかと思ったぜ・・そういや話しがそれちゃったんだけどさ、使い魔ってのは結局なにをはおっ!?」
再び股間を蹴られた。
既にグロッキー状態のウルには防ぐことはできずまたもやクリーンヒットしてしまった。
それにしてもこのルイズ、なかなかバイオレンスである。
「・・・」
ルイズが無言の圧力を放っているのがまた怖い。
「あ・・あ~す・・あ~す」
悶絶するウルはなにやら訳の分からないことを呻いている。

それからどれだけ経ったのだろうか?
何度股間を蹴っても決してその馴れ馴れしい口の利き方を直さず何度でも、何度でも、 な ん ど で も 立ち上がるウルの姿に、遂にルイズが折れた。
「もういいわよ」
「へ?」
「そのままの言葉使いでいいわよ。もう疲れたわ・・」
「あ・・・あぁそう?ありがとね。・・俺のパンツの中が大変なことになっちまったなぁ・・で、使い魔ってのは何すりゃいーの?」
もこりとふくれあがった股間を摩りながら、ずいぶん前にした質問を再び口にした。
ややへっぴり腰になってしまっているウルのその姿はなんとも痛々しい。
「まず使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「・・どゆこと?」
「使い魔が見たものは、主人も見ることができるのよ」
「それは・・ちょっと困るな・・」
その能力で何だかパンツの中まで見られるような気がしてドキッとしたが、次の言葉を聞いて安心した。
「でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、何にも見えないもん!」
「そりゃよかった」
そんな能力を付けられたら迂闊に便所にも行けたものではない。
そう思ってホッ息を漏らしていたらなんだか睨まれたような気がした。
「それから使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
「秘薬?」
そう言うとウルは腰のポーチを、ごそごそと漁り始めた。
「こういうののこと?」
ポーチから取り出し、テーブルの上に置かれた重厚な装飾が施された小さな香炉のように見えるそれは、窓から差し込む月の光を受けると、赤い光を放った。
「綺麗・・って何よこれ?」
一見香炉のように見えるそれが放つ光に心を奪われたルイズであったが、すぐに我に返りウルに聞く。
「だから秘薬だって」
「え?」
秘薬?嘘でしょ?なんでこんな平民がこんなの持ってるの?当然期待などしていなかったルイズにとっては想定外のことであった。
しかし目の前にあるウルが秘薬と呼ぶ赤い光を放つそれは、今まで目にしたこともない・・・言うなればそう、珍品だ。
もしかしたら本当に秘薬なのかもしれない。
微かだが期待に胸が膨らんだルイズはその秘薬の詳細について尋ねた。
「どんな秘薬なの?」
「聖者の秘薬って呼ばれてるもんでさ、何でも聖者『いぐなしお』って人が調合した体力と霊力を同時に回復させるっつーすごい秘薬らしいよ。」
「聖者イグナシオ?聞いたことのない名前ね。・・・ところで霊力って何?」
「お前等で言う魔力みたいなもんじゃない?たぶん。」
微妙に曖昧な答え、そして全く知らぬ聖者の名前を聞かされても正直半信半疑ではあるが、やはりこの『聖者の秘薬』と呼ばれる物の放つ光に心惹かれたルイズは、自分の使い魔の言うことを信じてみることにした。
「まぁ秘薬の話はこんなとこにしといて、他には何かある?」
ポーチに秘薬をしまいながら、ウルが言う。
「そうね・・これが一番重要なんだけど・・・使い魔は、主人を守る存在でもあるのよ!その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目!でも、あんたじゃ無理ね・・・」
「弱くはなさそうだけど・・・所詮人間だもん・・」
(あれも無理、これも無理・・、ね。言いたい放題言ってくれるぜ・・そんなに俺って役立たずそうに見えるか?秘薬に関しては、ちゃんとお望みの物を出してやったじゃねぇか・・)
ルイズの言葉に不満を募らせながら、ウルはつまらなさそうに言った。
「ふぅん。人間・・人間ねぇ・・・そういやさ、ずっと気になってたんだけど人間が使い魔になることって普通はないの?いや、なんかみんな俺のことを珍妙な眼差しで見てたからさ。」
「当たり前でしょ!『サモン・サーヴァント』であんたみたいな人間が召喚されるなんて、前代未聞よ!」
「ふーん」
怒鳴り散らすルイズをよそ目に、ウルは目を細め、顎を摩りながらなにやら考え込んでいる。
「あのさ」
「何よ?」
「俺みたいなの召喚してさ、恥ずかしい?」
「当然よ!このヴァリエール家の三女が・・・。由緒正しい旧い家柄を誇る家柄を誇る貴族のわたしが、あんたみたいな人間・・、それも何の取り柄もなさそうな、ガラの悪い平民を召喚したのよ?これじゃあいい笑い者だわ!」
「・・おまけに契約のキスの直後に・・、その・・・、ゲロを・・、コホン。ぶちまけてくれたしね!」
肩を小刻みに震わせながらそんなことを言うルイズを見て、適当に下手に出ておくことにした。
また話が逸れてしまっては、たまったものではない。
「おいおいそのことはもう散々謝ったじゃない?ごめんって!ほんとに!ね?」
手を合わせながらへこへこと頭を下げ、チラリとルイズを横目で見たら、不機嫌そうに顔をぷくりと膨らませていた。
フグが膨らんだみたいな顔が可笑しく、ウルは思わず笑みをこぼす。
「何笑ってんのよ?」
「何でもないって。話の続きだけどさ、俺みたいなの召喚しちゃって恥ずかしいっつったよね?発想を逆転させてみたらどうよ?」
ルイズが「はぁ?」、とでも言いたげな顔をしているが、気にせず話を続ける。
「前代未聞とも言ったよね?それって凄いことなんじゃないの?だってこの世界の歴史上で、こんなことやらかしたのは誰もいなかったわけでしょ?あ、やらかしたっていい意味でね。」
「そうよね、歴史上初ね・・」
クルリと後ろを向いてしまったルイズのその言葉には、なんの感情も込もっていないように感じられ嫌な予感がしたが、ウルの口上は止まらない。
「世界初!『さもん・さーう゛ぁんと』で平民を呼び出した少女!ハッハッハ!どうこの『世界初』って響き?かっこよくね?それにさ・・・」
「それに?」
背を向けたルイズの体がカタカタとバイブしているが、ウルはまだまだ止まらない。
「俺、凄いよ?いろいろとね。」
その言葉を聞いた途端に、スイッチが切れたようにルイズのバイブが止まった。
「呆れた・・。あんたみたいな自意識過剰な平民初めて見たわよ!そりゃあ、さっきの『聖者の秘薬』?・・確かにあれは凄いと思うけど・・・、ハァ・・」
大きなため息が出た。
ウルの口上で苛々が頂点に達していたルイズであったが、最後の言葉でいちいち怒るのも馬鹿馬鹿しくなったようである。
「あんたと喋ってたら、疲れちゃったわ。今日はもう寝るわよ。」
ルイズはあくびをした。
「まぁ、結構長いこと話してたからね。俺ってここで寝ればいいの?」
ルイズは、床を指差した。
「床?俺床なの?酷くない?ねぇ?」
「しかたないでしょ。ベッドは一つしかないんだから。」
ルイズは毛布を一枚投げてよこした。
それから、ブラウスのボタンに手をかけ、一個ずつ、ボタンを外していく。
「・・お前、何やってんの?」
ルイズが投げた毛布を枕代わりにして、床に寝転るウルが怪訝そうに言った。
「寝るから、着替えるのよ」
きょとんとした声で、ルイズが言った言葉を聞き、ウルもきょとんとした。
「もしかしてさ、見せたいの?俺に?・・・痴女?」
「だ、だだ誰が痴女よ!」
「だって、普通男に見られてたら、アレじゃない?」
「男? 誰が? 使い魔に見られたって、なんとも思わないわ」
「あ、そ。ふーん・・・・、じゃあやらしい目でじろじろ見てるわ。」
刺すような・・それでいて湿った鋭い視線をルイズは背中で感じ、流石にこのまま着替えるのを少し戸惑ったが、(あれは使い魔、あれは使い魔、あれは使い魔!)と考えることで何とか乗り切った。
ランプの光に照らされたスラリとしたルイズの肢体は美しく、思わずウルも息を呑んだ。が、この男、特にロリ好きでもないために性的な反応はしなかった。
突然ぱさっ、と飛んできたものにより、視界が塞がれた。
何だ一体、と思いそれをつまみ上げてみた。
白いパンティだ。
更に、頭の上にはキャミソールが落ちている。
「何これ?くれるの?全然有り難くないよ?」
「あげるわけないでしょ!そういえば、まだ言ってなかったかしら?」
「何を?」
「あんたの仕事。」
そういえば、実際やるべき仕事をまだ何も聞いていなかったな、と今になって気付く。
「あんたにできそうなことをやらせてあげる。洗濯。掃除。その他雑用」
「えぇ~めんどくせぇなぁ。・・いや、やるけどさ」
ウルは露骨に嫌な顔をしたが、素直に従うことにしておいた。
「とりあえず、それ、明日になったら洗濯しといて。」
ネグリジェに着替えたルイズは、先程投げてよこした下着を指差すと、ベッドに潜りこんでしまった。
寝転んだまま、つまんだパンティを振り回していると、パチンと指を弾いたような音が聞こえると同時に、ランプの明かりが消える。
「へっ、魔法がこうも浸透している世界ね・・。」
振り回していたパンティを、どこかに放り投げる。
「ま、悪くはねぇかな・・」
窓から見える二つの巨大な月に目を移し、ポツリと呟く。
そして、ウルは目を閉じた。



――どこだっけ・・?ここ。
俺は――暗い・・そう、暗く長い道を一人歩いていた。
俺はここを知っている。
俺の心の中に眠る怪物達の墓場・・『グレイヴヤード』だ。
今まで何匹の怪物や人間達を殺してきただろう?
何百?何千?いや・・何万か?
ハハッ、もう覚えてねぇや。
俺は自嘲気味な笑みを口元に浮かべ歩いた。歩きまくった。
それからどれだけ経ったのだろう?
突然前方に光が見えた。

扉だ。扉の隙間から光が漏れている。
俺は吸い込まれるようにその扉へと歩を進め、その扉を開いた。そして光に飲まれた先には――

「あ・・!」
一本の巨木が根を張る広大な草原には、幼き頃に見た夕日がかかっている。
夕日を見つめるウルの目から、一筋の光が流れた。
「俺の・・記憶?」
ウルの記憶の映像が、周囲に大小の写真のように具現化され浮かび上がる。
その写真の量に翻弄されるも、やがて一枚の写真に目がとまった。
そこにはブロンドがかったピンクの髪の小生意気そうな娘―ルイズが写っている。
「そうだ・・、このクソ生意気な女・・、ルイズのおかげで俺は、心を失わずに済んだんだ・・」
ルイズの写真から、顎の突き出た厳つい男の写真へと視点をずらす。
「加藤との決戦の後、みんなは自分の望む場所へと旅立った。そして・・俺は・・」
そう、俺は忌ま忌ましい呪いによりこの心を破壊されるはずだった。
それでも・・心を破壊されても・・・穏やかに過ごしてゆけるのならば・・・それは、幸せなことなのかもしれない。
確かにそう思った。
そして、俺が帰るべき場所を・・・強く願ったんだ!

再び視線をルイズの写真へ戻す。
「だけど、俺を迎え入れた世界は俺のまったく知らない・・異世界だった。」
最初は戸惑った。自分に何が起こったのか理解できなかった。
だけど最初から、一つだけ分かることがあったんだ。
それは、俺の心を蝕む呪いが消えたこと・・・
俺は頭が悪い。だから呪いが消えた理由についてなんて分かるはずもない。
だけど、目の前の写真に写る俺を『召喚』した女・・・ルイズが関わっているのは間違いない。
こいつにとってはきっと、俺を召喚したのは偶然みたいなもんなんだろう。
俺はこの女に感謝している。

きっと俺がこれから暮らしていくことになろうこの未知の世界に不安がないわけじゃない。
だけど・・この心に宿る記憶・・・これがあるだけで俺は、幸せを感じることができる。
大丈夫、俺ならやれるさ。

ルイズの写真から別の写真へ視点を移す。

「とりあえず暫くは、俺を決して逃れられないはずだった呪いから救ってくれた、この女に付き合ってみることにするよ。・・・前途多難っぽいけどさ・・・いいよな?」
ウルが見つめる先には、陽光に照らされ眠る、銀髪の女性の写真があった。

「アリス・・・」

そして、彼の使い魔としての生活が始まった。

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