あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

とある使い魔の一方通行-03


―――決闘から約1週間。
食事の待遇が改善されたり、シエスタに力の事を聞かれたりはしたが、総じて特に問題は起きなかった。
あえて言えば、食堂で彼がかなり歓迎されるようになったことだろうか。
ただ、その雰囲気がどうもなじめず、以前より足は遠のいた。
他には、すれ違いざまに「平民がっ」と舌うちする奴がいたので、その場で3人ほど、風で3メートルくらい上空へとまきあげたくらいか。

ある日、廊下を何をするでもなく歩いていると、キュルケのサラマンダーが現れた。
ジーとこちらを見つめている
(なンだァ?)。
と、サラマンダーの「言葉」のようなものが頭の中に流れ込んできた。
(ついてこい)
「一体何なンだ?」
サラマンダーは、ルイズの部屋のすぐそばの部屋の中へ入って行った。
そこへ入ると同時に
バタンッ、とドアが閉じた。

「オイ、一体俺に何の用だ。突然閉じ込めるたァ、いい度胸してンじゃねぇか」
何者かの声が、返事には答えずに応える。
「貴方は、私をはしたない女だと思うでしょうね・・・」
(この声・・・キュルケか?)
一体何をしているのだろうか。
「思われても仕方がないの。わかる?私の二つ名は「微熱」。あたしはね、松明みたいに燃え上がりやすいの。だから、いきなりこんな風におよびたてしたりしてしまうの。わかってる。いけないことよ」
「・・・」
「でもね、貴方はきっとお許しくださるとおもうわ。恋してるのよ。私。あなたに。恋は全く、突然ね」
「あなたがギーシュを倒したときの姿・・・ゾッとしたわ!今まで味わったことのないような感覚!今までの恋とは違う・・・そう確信したのよ!」
(付き合い切れねェ)
そう思うと、その場から立ち去ろうとする一方通行。
「待って、ダーリン!」
そう言い、一方通行の手を取ろうと・・・
「キャッ!?」
キュルケの手が弾かれた。
「一つだけ言っておく・・・俺ァ年増に興味はねェンだよ!」
そういうと、鍵がかかっていて開かない部屋のドアを蹴り飛ばし、破って廊下へ出た。

―――平民の癖に、何やら不思議な力を使ってギーシュを無傷で圧倒した。
その姿を見たとき、キュルケの全身にゾクゾクっとした感覚が走った。
普通に考えればどう考えても正体不明な力に対する、恐怖による戦慄なのだが、プライドがそれを許さないのかそれが性なのか
(恋よ!これは恋なのよ!)
と思いこんだ。
(ふふ・・・ルイズにはMOTTAINAI使い魔ね・・・あぁ、それにしてもなんて格好良いのかしら!)

数日後、一方通行が一人の時を狙い、サラマンダーを使って一方通行を部屋へ呼び込んだ。
(彼なら呼び込むの手こずると思ったんだけど・・・まぁいいわ!すぐに私の魅力で虜にしてあげる・・・待ってなさい!ダーリン!)
「オイ、一体俺に何の用だ。あァ?」
(ふふ・・・きたきた!)
「貴方は、私をはしたない女だと思うでしょうね・・・」
そう言いながら、どうやって一方通行を悦ばせようかという思考を巡らせる。
「でもね、私は~~中略~~したのよ!」
全く返事がないことに少し困惑するが、
(きっと初めてだから戸惑ってるのね?そういうところもかわいいわ!)
続けようとする。
と、いきなり一方通行が踵を返して出ていこうとする。
驚き、掴もうと反射的に手が伸びた。
「待って、ダーリン!」
―――ミシッ
「キャッ!?」
手首が不吉な音を立て、彼の手首から弾き飛ばされた。
「一つだけ言っておく・・・俺ァ年増に興味はねェンだよ!」
(い、一体何なの・・・それに、年増ですって!?)
ドアが蹴破られた。
ロックによって鍵がかけられている、頑丈な筈のドアがいとも容易く。
「ふ・・・ふふ・・・いいわ・・・燃えてきたぁ!!」
(次こそ・・・次こそ私の魅力の虜にしてあげる・・・アクセラレータ・・・!)

ちなみに、このときルイズは熟睡中でした。すやすや。

―――次の日。虚無の曜日。
「買い物に行くわよ、アクセラレータ」
「あァ?ンなの、てめェ一人で行きゃいいじゃねェか」
「だから言葉を・・・いや、もういいわ。」
ルイズが何かを言おうとしたが、諦めたように溜息をついた。
「とにかく、馬に乗って行くから準備しなさい。5分以内で」
「短けェなオイ」
(まァ準備する物も特に無いンだがな)
そして、そのままルイズについて行く。
学院の裏手にある、馬小屋の前までくると、
「とりあえず、町まで馬に乗っていくわよ。馬に乗ったことはあるわよね?」
「あるわけねェだろ、ンな物・・・」
今の時代、馬に乗るより空を飛ぶ回数の方が圧倒的に多いだろう。
人によっては、一生、生の馬を見ることのない人間だっていると思う。
「はぁ・・・あんたがいた世界、馬もいないわけ?」
「いや、馬自体はいるけどよォ。馬なんか不便なもン、殆どの奴は乗ったこともねェだろうよ」
「馬が不便って・・・ま、まぁ、貴方みたいのがいる世界なんだし、どうせ変な生き物にでも乗ってるんでしょ・・・」
少し投げやりな感じで一方通行に返すルイズ。
(まァ、中世レベルの文化水準じゃ車や電車なんて想像すらできねェか)
「それより・・・そんなんじゃ、アンタ馬の乗り方なんてわからないわよね?どうしましょ・・・」
二頭いる馬のうち、ルイズが片方に乗る。
彼はあいている方の馬に近づくが、もちろん乗り方なんて・・・
その時、、彼の右手が馬に触れた。
―――瞬間、ルーンが光だした。
(な、何だこれ・・・)
瞬時に頭の中に、馬の理想的な乗り方、操り方等の知識が頭の中に入ってくる。
体が自然に動いた。
足を一切使うことなく、回転するように馬の上へと飛び乗る。
「しょ、しょうがないわね・・・わ、わ、わた、私のうう、後ろに乗っても、い、良いわよ。
か、勘違いしないでよね!あなたが馬に乗れないからしょうがなくなんだからねっ!」

ルイズが何事か言っていたが、彼はそんなことにかまっている余裕はなかった。
(な、何なンだよこれは!?)
馬の上に乗ると、さらにこの馬の知識が入ってくる。
現在の心拍数、呼吸、思考。
さらには
(この馬は・・・8呼吸に一回!左にブレながら走る癖がある!)
なんてことも分かった。
今まで馬に触ったこともないような人間が、である。
一方通行の頭の中は驚きで埋め尽くされていた。
この世界の馬に触ると、皆そうなるのだろうか。
一方通行はそんな話聞いていないが、常識的な知識であったならわざわざ耳にすることもないかもしれない。
(って、ンな事あるわけねェよなァ。)
そんな馬鹿らしい考えはすぐに否定。
(一体これは・・・ン?)
視界の端に右手の甲が入る。
(ルーン光って・・・?)
―――使い魔になると、何かしら不思議な力を得る。
以前ルイズから聞いた話では、何の変哲の無い動物でも、使い魔になると何かしらの力を得るらしい。
身体能力が向上するだとか、人語を話すようになるとか。
もしかして、これもその力の一部なのだろうか。
「―――ルイズ」
「ひゃわっ!?え、な、何?」
「使い魔ってのになると、確か何かしらの能力を得るンだったな?」
突然何を?というように一瞬いぶかしんだルイズだが、返事はすぐに返した。
「そうよ。前にも言ったと思うけど、大抵の動物は人語を理解して、人語を操ったり不思議な力を使うのもいるわ。感覚の共有とかも、その範囲ね」
「人間の場合はどうなンだ?」
「知らないわ。そもそも、人間の使い魔自体が例のないことなんだから。・・・はぁ」
「そうか」
人の使い魔自体例の無いことだけに、やはりルイズは知らないようだ。
とすると、もしかしたら誰も知らないかもしれない。
(まァどうでもいいか)
どうせわからないことなのなら、今考えても仕方がない。
後で教師から聞きだすなり、図書館なりを調べるなりしてみよう。

―――自分よりもうまく馬を扱う一方通行に驚くルイズ。
(見たこともないとか言っておいて、無茶苦茶馬乗れるんじゃない)
ブツブツとつぶやくルイズ。
(せっかく私の後ろに乗せてあげようと思ったのに!)
なんだか少し悲しかった。


―――町まであと半分といった所。
「なァ。街へ行って何買うンだ?」
「あんたの剣よ。」
馬を操りながら、ルイズが返事を返した。
「剣だァ?んなもン何で買うんだよ?俺ァ剣なンざ触った事もねェぞ」
「使い魔が丸腰じゃ、格好がつかないでしょ?とりあえず、剣くらい持ってても損はしないわ。・・・それに、助けてもらったお礼、してないし・・・」
(お礼?あー・・・ギーシュの時のことか?)
一方通行は、寧ろルイズに迷惑をかけたことだと思っていたので、少し意外だった。
だが、その言葉を聞いてどこか嬉しかった。
(こんなことで喜ぶなんて・・・ガラにもねェ)
「そうかよ」
何と返していいのかわからなくなったので、ぶっきらぼうに言葉を返す一方通行だった。


―――眩しい陽の光によって目が覚めた。
「うぅ~ん・・・」
大きく体を伸ばす。揺れる谷間。
「今日も無駄に良い天気ねぇ・・・さてどうやってダーリンを落とそうかしら」
窓を開け、空気を入れ替えながら考える。と
「ん?あれは・・・ダーリン!とルイズね・・・って馬?馬に乗ってるの?ええ!?ちょっと!どこ行くのよ!?」
二人を見つけ、あわてて着替えるキュルケ。
(不味いわね・・・このままだとルイズに先を越されるわ・・・。かといって今から準備したんじゃ馬で追いかけても間に合うかどうか・・・)
考えながらも手は止まらない。
素晴らしいスピードで着替え、身だしなみを整えると、ドバンッとドアを乱暴に開けて出て行った。

親友、タバサの部屋。
鍵がかかっているので、アンロックを唱える(校則違反)。
ズバンッと乱暴にドアを開け
「ダバサーッ!!タバサタバサタバサ助けてタバサ~」
早口に叫ぶが全く動じない、青い髪と瞳、白磁の名品のような白い肌を持つ美幼女タバサ。
「ターバーサー?聞こえてる?」
(・・・さてはサイレントね。)
状態から推測し、この問題を解決する最も手っ取り早い方法をとる。
タバサが持っている本に、手を添える。
つかむ。
ひっぱる。

グルンッ
首を回転させ、目を見開いたタバサがキュルケを見つめた。
サイレントを解いたのを確認してから、
「タバサ!ダーリンとルイズが馬に乗って出かけたの!追いつくには貴方のシルフィードが必要なの!助けて!」
うるさい折角の虚無の曜日の楽しみを邪魔しやがてこのデカメロン。と思ったタバサだが、その必死の剣幕に押されて渋々了承した。
「ありがと~タバサ!やっぱり貴方は心の友ね!」

―――トリステインの城下町を、一方通行とルイズは歩いていた。
「にしても・・・狭い所だなァオイ」
「狭い?これでもトリステイン最大の大通りなんだけど」
「あァ?これでか?」
幅は5メートルくらいしか無く、左右を露店が占めている。
これじゃあ、どう考えても地方商店街の方が大きいだろう。
確かに活気にはあふれているが。
「それよりも、財布は大丈夫でしょうね?ここ、スリが多いんだから。」
「安心しろ。盗られちゃいねェよ」
(ってか盗られるワケねーだろ)
「ってか、剣はドコで買うンだ?」
「ちょっと待って・・・あった、この道を入って・・・」
ルイズに言われるがまま、小道に入っていく。
生ゴミや汚物が撒き散らされている、汚らしい道路。
そこを通り過ぎると、いくつかの小さな店が並んでいた。
(ン?あれか?)
「えっと・・・あったわ!」
それは、剣の形をした看板がかかっている、武器屋であった。

「いらっしゃ・・・き、貴族!?うちは真っ当な商売をしてまさぁ!お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありやせんぜ?」
店に入ったとたん、主人だと思われる男が素っ頓狂な声をあげ、ついで警戒したように言ってきた。
貴族は滅多に来ないのだろうか。ずいぶんと警戒している様子だ。
(っつか、そんな反応じゃ何かしてますって言ってるようなもンじゃねェか)
少し呆れるが、特にルイズは気にしていないようだ。
「客よ」
その言葉に主人は驚いたようだが、愛想笑いを浮かべるとルイズに剣の紹介を始めた。

「こいつぁどうでしょう?あの方が振るには丁度良いもんですぜ!」
「へぇ、中々良さそうね。いくら?」
ルイズがきくと、
「何せこいつはかの高名な、ゲルマニアのシュぺー卿が作り上げた品でして。魔法が掛かっているから、鉄でできた剣すら一刀両断でさ!・・・安くありませんぜ?」
「私は貴族よ!」
無い胸を張って、得意げにいうルイズ。
対して、店主は淡々と値段を告げる。
「エキュー金貨で2千。新金貨なら3千」
「立派な家と、森付きの庭が買えるじゃないの」
呆れてルイズがいう。

(新金貨2千枚で豪邸が買えンのか。大体、日本円に直すと2~3億って所か?)
特にすることもないので、適当な事を考える一方通行。
「新金貨で、100しか持ってないわ」
駆け引きなぞしたことも無いルイズは、簡単に手の内を明かしてしまった。
「まともな大剣なら、どんなに安くとも相場は200でさ」
店主は呆れたように言う。
ルイズの顔が朱に染まった。
「そのなりであの剣を買うだァ!?生意気言うんじゃねぇよ嬢ちゃん。あの体でそんなもん持ったって重しにしかなんねぇよ!」
突然、大声が響いた。
「え、えぇ?何?」
「やい!デル公!お客様に失礼な事いうんじゃねぇ!」
「お客様!?剣をまもとに触れないような小僧と嬢ちゃんがか?ふざけんじゃねぇよ!」
ルイズは、その剣をまじまじと見つめている。
刀身が細く長い薄手の長剣で、剣に錆等は無かった。
あわてて主人が鞘をそれに嵌める。
「それって・・・インテリジェンスソード!?」
「え、えぇ・・・そうでさ。こいつは」
「すごいじゃない!インテリジェンスソードがだなんて、大きな商会にだってないわよ!」
興奮したようにルイズが言う。
「え、えぇ?あ、まぁ・・・」
「う~ん・・・見かけはボロボロだけど、ここって実はすごいところなのかも・・・インテリジェンスソードなんて、宝物庫に保管されてるのくらいしか見たこと無いし・・・金貨2千枚どころか、1万枚とかしちゃうんじゃ・・・」
ルイズが困ったように言っている。
(どうやら、今のアイツじゃキツイみたいだなァ。適当なもン選んでサッサと終わらせるか)
「なァルイズ」
「え、な、何?」
「これ、買えるか?」
指さしたのは、長さ20サント程のナイフ。
切れ味はよさそうだが、他の剣と比べるとどうしても見劣りする。
「そんなんでいいの?折角来たんだし・・・」
「いや、正直俺ァでけェ剣よりこっちのが使いやすい。これで頼めるか?」
「あ、あんたがそれが良いっていうなら、それでも構わないわよ」
ホッとしたようにルイズがいう。
「そいつなら50枚で結構でさ」
一方通行は、ポケットの中から膨らんだ財布を取り出し、50枚を渡す。
「ひふみ ひふみ ひふみ ひひふぅ、ひふみ ひふみ ひふみ ひひふ?・・・確かに。50枚丁度頂きやした」
ナイフを納め、ポケットに突っ込む。
「毎度」
主人の言葉を背に受け、二人は店を後にした。

―――ガチャッとドアが開いた。
「いらっしゃ・・・おや!今日はどうかしてる・・・また貴族だ!」
長身で、胸の大きな褐色の貴族と、小さくて可愛いつるぺた幼女貴族が入ってきた。
「また?あぁ、小さいピンクの子ね?」
「え、えぇ・・・お知り合いで?」
「そんなところね。所で、そのピンクは何を買ったのかしら?教えてくださる?」
「へぇ、あそこにあるナイフでさ。エキュー金貨で50枚」
「へぇ~・・・ルイズったら、あんなものを買ったの。お似合いね」
ウフフと褐色の女が笑う。
自分も笑う。
ただし、こちらは腹黒い笑みだ。
(また貴族、しかもさっきのの知り合い・・・剣の良さなんて分かんねぇ奴だろうな)
「この店で一番高い剣はどれかしら?」
やっぱりだ。
剣にある程度精通しているものなら、こんなことを聞きはしない。
(これは・・・チャンスだ!)
愛想笑いを浮かべ、手を揉みながら先ほど持ってきて戻していない、デル公と呼ばれたインテリジェンスソードをカウンターの上に置いた。
「これは、かの伝説の勇者、ガンダールヴが使っていたとされる剣でさ!」
「へぇ・・・ってガンダールヴ?」
(しまった!?さすがに嘘がでかすぎたか・・・)
「い、いえ、あくまでそう言われている剣でして・・・本物かどうかはとにかく、これは特別なものなんでさ!」
見てくだせぇ!とデルフリンガーを一瞬だけ鞘から抜く。
「ぶわっ!何しやがんだこのクソ野郎!ってうわ!」
「・・・喋った。インテリジェンスソード?」
先ほどから全く言葉を離さなかった、無表情の幼女が呟く。
「へ、へぇ。そうでさ。これこそが、伝説の勇者、ガンダールヴの剣といわれる所以でして」
汗をかきながらも必死に言う。
「なるほど。確かに、そんじょそこらのものでは無いことは確かね」
キュルケが感心したように呟く。
いける。
押せばいける。
(このボロ剣を高値で売る最初で最後のチャンスだ・・・ものにしてみせる!)
高すぎてはいけない。
それでは買ってくれないだろう。
安すぎてはいけない。
変にいぶかしまれ、疑われる。

「おいくら?」
「き・・・金貨1万で」
「1万!?高すぎよ!」
ここでひいては駄目だ。
この反応。おそらく、値切ってくるはず。
ぎりぎりまで粘る、演技をしなくてはならない。
「しかし、伝説級の品ですぜ・・・むしろこれでも安すぎるくらいで」
そういうと、褐色の女の顔が、いきなり近付いてきた。
「ご主人・・・ちょっとお値段が張りすぎはしませんこと?」
顎の下を撫でられる。ものすごい色気だ。
だが。
(なんという幸運だ・・・。色仕掛けに負けた振りをすれば、いくら安くしても相手はいぶかしむことはない!)
「は、8千で・・・」
ふぅ~、と耳に息がかかる。
「な、7千で・・・」
「ちょっと、熱いわね・・・」
手が服のボタンに掛かる。
「ちょっと脱いでしまおうかしら・・・よろしくて?ご主人」
「6千で!へえ!」
ボタンを1個外した。
「ご、五千五百で!へえ!」
もうひとつ、ボタンをはずす。
谷間があらわになり、もう少しで胸の先端も見えそうになる。
「ご、五千で!へえ!」
ボタンをはずす手が止められた。
今度は、スカートの裾をまくり始めた。
が、その指が途中で止まる。
(もう一つか・・・おそらく、こいつは4千くらいまで値切る!)
「4千5百で!へえ!」
スカートがするすると上がる。
息をわざと荒くし、太ももを凝視する。
褐色の女の顔が笑みに歪んでいる。
「四千よ!」
指がピタッと止まった。
「あ・・・あぁ・・・」
笑いを必死にこらえ、情けない声を洩らす。
「四千よ」
再び要求を口にする。
「四千で結構でさ!」
瞬間、褐色の女は手をパッ放し、小切手にさらさらと書いてカウンターの上に置いた。
「買ったわ」
くふ、と口から息が漏れた。
まだだ、まだ笑うな。
必死にこらえる。
それに気付かず、手から素早く剣を取るとそのまま店を出て行った。
完全に店からいなくなったことを確認して。
「くふ・・・ぐふ、ぐはっ、がは、があっはっはっは!」
「あの貴族、完全にしてやったと思っただろうが、してやったのは俺の方だぜ!あの剣は厄介払いといってただでもらった物なのによぉ!があっはっはっは!」
笑いが止まらない。
なんてついているんだろう。
「今日はもう閉店だ!酒飲むぞ酒え!」
そういうや否や、店を早々とたたみ、秘蔵のワインを取り出して一人酒盛りを始めた。


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