「もっと太くて大きいやつはないの?」
大声で喚いているのはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
ここはトリステインの城下町にある武器屋で、集まっているのはいつものメンバーだ。
喚くルイズとからかうキュルケ、冷や汗をかきながら間に挟まれ困惑するリュウセイと、
それを宥めるマンソン、無関心なタバサ。
もはや見慣れた日常の光景である。
大声で喚いているのはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
ここはトリステインの城下町にある武器屋で、集まっているのはいつものメンバーだ。
喚くルイズとからかうキュルケ、冷や汗をかきながら間に挟まれ困惑するリュウセイと、
それを宥めるマンソン、無関心なタバサ。
もはや見慣れた日常の光景である。
第三話 「出会い!ホリデイ・ホース・インテリジェンス」
ことのおこりは昨夜の一件から。
まだ召喚されて一週間も経ってないというのに
ここのところのリュウセイはシエスタとか言うメイドとやたら親しくなり、
挙句昨夜は私の言いつけを忘れていつまでも部屋に戻らず、
何をしているのかと探してみれば食堂で二人、昔の思い出話に花を咲かせていた。
(…このままじゃいけない!)
何とかしてご主人様が一番であることを思い知らせようとルイズが考えた結果、
安易だがプレゼントを贈ることを閃いた。明日は休日なので丁度いい。
しかし何を送ればよいものか、これがなかなか思いつかない。
一人で考えるよりは、といつものようにマンソンに相談したところ、「剣はどうだ?」と思いもよらない提案を受けた。
「なぜ剣を?リュウセイは剣士でもないのに…」
まさか武器を送るなんて考えもしなかった。そんなものなくても彼は十分に強かったから。
マンソンは答える。
「リュウセイは確かに強いが、
あの『カブトボーグ』で戦っている姿を思い出してほしい、
実はあの時、リュウセイ自身は恐ろしく無防備なんだ。
身を守るために、武器が必要だと思うんだよ。」
ルイズは驚愕した。
そういえばそうだ、ボーグを離した後、リュウセイ自身は後ろで叫びながらつっ立っているだけ。
もし今までそれに気がつく相手がいたら…考えるだけで恐ろしいことになっていただろう。
さらにマンソンは続ける。
「それに、武器を与えることで主人を守るという使い魔としての本分を改めて思いださせることにもなる。
一石二鳥じゃないか?」
「素晴らしいわマンソン!さすがね!」
ルイズは満面の笑みを浮かべ、マンソンを褒め称えた。
まだ召喚されて一週間も経ってないというのに
ここのところのリュウセイはシエスタとか言うメイドとやたら親しくなり、
挙句昨夜は私の言いつけを忘れていつまでも部屋に戻らず、
何をしているのかと探してみれば食堂で二人、昔の思い出話に花を咲かせていた。
(…このままじゃいけない!)
何とかしてご主人様が一番であることを思い知らせようとルイズが考えた結果、
安易だがプレゼントを贈ることを閃いた。明日は休日なので丁度いい。
しかし何を送ればよいものか、これがなかなか思いつかない。
一人で考えるよりは、といつものようにマンソンに相談したところ、「剣はどうだ?」と思いもよらない提案を受けた。
「なぜ剣を?リュウセイは剣士でもないのに…」
まさか武器を送るなんて考えもしなかった。そんなものなくても彼は十分に強かったから。
マンソンは答える。
「リュウセイは確かに強いが、
あの『カブトボーグ』で戦っている姿を思い出してほしい、
実はあの時、リュウセイ自身は恐ろしく無防備なんだ。
身を守るために、武器が必要だと思うんだよ。」
ルイズは驚愕した。
そういえばそうだ、ボーグを離した後、リュウセイ自身は後ろで叫びながらつっ立っているだけ。
もし今までそれに気がつく相手がいたら…考えるだけで恐ろしいことになっていただろう。
さらにマンソンは続ける。
「それに、武器を与えることで主人を守るという使い魔としての本分を改めて思いださせることにもなる。
一石二鳥じゃないか?」
「素晴らしいわマンソン!さすがね!」
ルイズは満面の笑みを浮かべ、マンソンを褒め称えた。
―そして翌日。
朝早くから準備をして、乗馬の体験が無いと言うリュウセイを後ろに乗せ馬を駆り、
長時間の道のりの末意気揚々と辿り着いた城下町の武器屋の中で…
「なんであんたまでここにいるのよ!」
「あーら、ダーリンがどこにいようと私にはお見通しなのよー?」
マンソンに無理やり居場所を聞き出し、タバサの風竜まで駆り出して先回りしていたキュルケに出会ったのだ。
後ろではマンソンが申し訳なさそうに苦笑している。
やがてリュウセイが間に巻き込まれ…
「いい加減にしやがれ!ギャーギャーうるせぇぞテメェら!」
とうとう店の隅に置かれていたそれが怒鳴り声をあげることになった。
「…え?」
間抜けな声を上げるルイズ達、そのまま声の主を探して黙り込み…
「よし、この剣にしようぜ!」
「…え?」
沈黙を最初に破ったのはリュウセイだった。
声の主すら見つけていない他の四人は、突然何を言い出すのかといいたげな表情だ。
それに気づいたリュウセイは言う。
「だーかーらー!そこの喋る剣にしようって言ってんの!」
「…え?」
次に間抜けな声を上げたのはその喋る剣。
「おじさん、あの剣いくら?」
「…え?」
値段を聞くリュウセイだったが当の店主すらぼうっとしている。
誰もいないところから怒鳴られ、売れると思ってなかった剣が売れ、買われると思ってなかった自分が買われ、
全員が全員、しばらくは「…え?」と呟くばかりであった。
何とか我に返り外を眺めるともうそれなりの時間である、学院に帰るころには真っ暗だ。
いまだ呆け続けている剣を慌てて引き抜き、会計を済ませ外へ飛び出す…が。
朝早くから準備をして、乗馬の体験が無いと言うリュウセイを後ろに乗せ馬を駆り、
長時間の道のりの末意気揚々と辿り着いた城下町の武器屋の中で…
「なんであんたまでここにいるのよ!」
「あーら、ダーリンがどこにいようと私にはお見通しなのよー?」
マンソンに無理やり居場所を聞き出し、タバサの風竜まで駆り出して先回りしていたキュルケに出会ったのだ。
後ろではマンソンが申し訳なさそうに苦笑している。
やがてリュウセイが間に巻き込まれ…
「いい加減にしやがれ!ギャーギャーうるせぇぞテメェら!」
とうとう店の隅に置かれていたそれが怒鳴り声をあげることになった。
「…え?」
間抜けな声を上げるルイズ達、そのまま声の主を探して黙り込み…
「よし、この剣にしようぜ!」
「…え?」
沈黙を最初に破ったのはリュウセイだった。
声の主すら見つけていない他の四人は、突然何を言い出すのかといいたげな表情だ。
それに気づいたリュウセイは言う。
「だーかーらー!そこの喋る剣にしようって言ってんの!」
「…え?」
次に間抜けな声を上げたのはその喋る剣。
「おじさん、あの剣いくら?」
「…え?」
値段を聞くリュウセイだったが当の店主すらぼうっとしている。
誰もいないところから怒鳴られ、売れると思ってなかった剣が売れ、買われると思ってなかった自分が買われ、
全員が全員、しばらくは「…え?」と呟くばかりであった。
何とか我に返り外を眺めるともうそれなりの時間である、学院に帰るころには真っ暗だ。
いまだ呆け続けている剣を慌てて引き抜き、会計を済ませ外へ飛び出す…が。
…薄暗い。
街から学院までは結構かかってしまう。
「手遅れだったみたいね…。」
呟くルイズ。
特に苦手というわけでもないが、真っ暗な道を長い時間走り続けるのはやはり不安になる。
表情からそれを感じたのか、マンソンが口を開いた。
「ルイズ、久しぶりに馬に乗りたい気分なんだが代わってくれないか?
キミ達はタバサの風竜に乗って先に帰っていて欲しい。」
『代わってあげようか』ではなく『代わってくれないか』と言う辺り、ルイズの性格を熟知している。
さすがマンソンというべきか。
なんにせよルイズに断る理由はなく、多少申し訳なくもあったが先に帰ることになった。
マンソンと別れ学院に向かう、風竜に乗ったタバサとキュルケ、リュウセイとルイズ。
しばらく背に揺られ、ようやく辿り着いた学園で見たものは…
「な…!?何よあれ!!?」
宝物庫を攻撃する巨大な土人形。
「…フーケ。」
タバサが呟く。
「あれが…武器屋の言っていた…」
リュウセイは思い出していた、最近暴れまわっている盗賊、土くれのフーケの話を。
武器屋の親父に話を聞いた時は大して気にもしなかったが、実際会ってしまうとそうも言ってられない。
「行くぜ!」
「え?ちょ!ちょっとダーリン!?」
突然風竜の背中から飛び降りたリュウセイに、慌ててレビテーションをかけるキュルケ。
リュウセイは着地と同時に叫ぶ。
「フーケ!オレと勝負しろ!」
慌てて降りてきたルイズも魔法で攻撃するが、宝物庫の壁にひびが入っただけで大した効果はなさそうだ。
鬱陶しそうに土人形が拳を振り下ろしてきた。
街から学院までは結構かかってしまう。
「手遅れだったみたいね…。」
呟くルイズ。
特に苦手というわけでもないが、真っ暗な道を長い時間走り続けるのはやはり不安になる。
表情からそれを感じたのか、マンソンが口を開いた。
「ルイズ、久しぶりに馬に乗りたい気分なんだが代わってくれないか?
キミ達はタバサの風竜に乗って先に帰っていて欲しい。」
『代わってあげようか』ではなく『代わってくれないか』と言う辺り、ルイズの性格を熟知している。
さすがマンソンというべきか。
なんにせよルイズに断る理由はなく、多少申し訳なくもあったが先に帰ることになった。
マンソンと別れ学院に向かう、風竜に乗ったタバサとキュルケ、リュウセイとルイズ。
しばらく背に揺られ、ようやく辿り着いた学園で見たものは…
「な…!?何よあれ!!?」
宝物庫を攻撃する巨大な土人形。
「…フーケ。」
タバサが呟く。
「あれが…武器屋の言っていた…」
リュウセイは思い出していた、最近暴れまわっている盗賊、土くれのフーケの話を。
武器屋の親父に話を聞いた時は大して気にもしなかったが、実際会ってしまうとそうも言ってられない。
「行くぜ!」
「え?ちょ!ちょっとダーリン!?」
突然風竜の背中から飛び降りたリュウセイに、慌ててレビテーションをかけるキュルケ。
リュウセイは着地と同時に叫ぶ。
「フーケ!オレと勝負しろ!」
慌てて降りてきたルイズも魔法で攻撃するが、宝物庫の壁にひびが入っただけで大した効果はなさそうだ。
鬱陶しそうに土人形が拳を振り下ろしてきた。
―迫る巨大な拳。
―効かない魔法。
この窮地にリュウセイはどう立ち向かうのか!
負けるなリュウセイ!戦えリュウセイ!
―効かない魔法。
この窮地にリュウセイはどう立ち向かうのか!
負けるなリュウセイ!戦えリュウセイ!
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
完
次回予告
ゴーレムなんてオレとトムキャットレッドビートルの敵じゃなかったぜ!
しかし一瞬の隙を突かれて学院の宝、「破壊の杖」が盗まれてしまった。
目撃者のルイズ達は学院長室に集められることに。
かくして、怪盗フーケとの壮絶なバトルが幕を開ける!
次回カブトボーグ「盗まれた宝!フーケ・フーガ・フォレスト」
熱き闘志を、チャージ・イン!
ゴーレムなんてオレとトムキャットレッドビートルの敵じゃなかったぜ!
しかし一瞬の隙を突かれて学院の宝、「破壊の杖」が盗まれてしまった。
目撃者のルイズ達は学院長室に集められることに。
かくして、怪盗フーケとの壮絶なバトルが幕を開ける!
次回カブトボーグ「盗まれた宝!フーケ・フーガ・フォレスト」
熱き闘志を、チャージ・イン!