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つかいま1/2 第三話 男なんか大嫌い

一方その頃、地球の日本国東京都練馬区、天道家では。
「え? 乱馬の奴、まだ見つかってないの?」
「うむ。我々に何の断りもなく家出する男ではなかったと、見込んでいたんだが……。
 ああ~乱馬くんっ、きみってやつは~~っ」

学校から帰ってきた天道あかね、早雲、早乙女玄馬が、茶の間で相談していた。
「右京やシャンプーのところや、九能先輩の家にもいなかったのよ。きっと何か、事件に巻き込まれているんだわ!
 おじさま、早乙女のおじさまっ! 乱馬が寝ているときに、何があったの?
 朝起きたら、隣の布団からいなくなってて、荷物や服も全部そのままだったんでしょ!?」
「誰かに誘拐されたのかも知れん……寝るときは女の恰好じゃったし……。
 あの夜も別に普段どおりで、失踪する理由も全然思い浮かばんのじゃが……。
 とりあえず、のどかが連れ去ったわけではないそうだしなぁ」

「ヤバイとこにでも売り飛ばされてんじゃなぁい? もしくはアレよ、北○鮮」
「やめてよっ、なびきおねーちゃんっ。らんまに限って、そんな……」
「あらあら、大変ねぇ」

「乱ちゃん……どこ行ってしもたんや。うちやあかねちゃんを見捨てて、どこへ……」
「ばあちゃん、大変ね! 乱馬が蒸発したよ!! 突然どこにもいなくなったね!!」
「あの乱馬が……蒸発だと? 俺じゃあるまいし、迷子にでもなってんのか?」

「なんじゃとぉ、乱馬が!? おらのシャンプーにつきまとうからじゃっ、ざまあみよ!!」
「乱馬はどーでもよいが、らんまちゃんの女体を堪能できんのは、悲しいのぉ……」
「ぬぁにぃ~~っ、早乙女乱馬がいなくなっただとぉ!? 天道あかねとおさげの女を、我がものにする好機!」
「ああ~~乱馬さまっ、この私が全力をかけて、貴方の行方を探り当ててみせますわっ!」
「OH! バッドスチューデントのサオトメ・ランマが失踪でーすって? それはGood Newsでーす!」

「早乙女くんは、今日もお休みね。いーなー、どっか旅行かなー」
「ふふふふふふふふ、早乙女がいなくなっただって? この僕がず~~っと呪っていたせいだねっ」
「乱馬……きっとどこにいても、男らしくしているはずよね」

乱馬の、バカ。誰にも黙って、どこ行っちゃったのよ。
誰も知らない、どこか遠くへなの? 私を置いて、みんなを置いて。こんなに心配かけて。
さっさと帰って来なさいよ、バカ。


「っちくしょ~~、これ全部俺が片付けろってのかよ」
「あんたは私の使い魔でしょ、ランマ。キリキリ働きなさいよ、あんたのせいでもあるんだから」

ルイズが授業で爆発を起こし、教室はしっちゃかめっちゃかになっていた。
先生は痙攣して気絶していたが、命に別状はないようだ。
俺は爆発で興奮した、誰かの使い魔の猫に抱きつかれ、泣き叫びながら暴れてしまった。
授業は中止。で、これだ。
「でも、猫が怖いなんておっかしいわね~。あんたにも意外な弱点があったんだぁ」
「うううう、気持ち悪かった。あのまんま切れていたら、俺は猫になってもっと暴れていたぜ」

さあて、片付けたし、昼飯にすっか。ご主人様のルイズはもう食堂かよ。
「じゃー、またシエスタさんのお世話になっかな。そろそろ召喚されて丸一日かぁ……。
 みんな、心配してんだろーなー。でもまぁ、早く帰る方法を見つけねぇと」

「ランマちゃんも、てーへんだなぁ。身一つで見知らぬ場所にかどわかされて、一生使い魔になれなんてよぉ。
 この料理長のマルトー、貴族どもなんて嫌いだね。給料はそりゃ高いんだが」
「早くおうちに帰りたいです……でも、遠いところなの。お金もないし。
 ご馳走様でしたー。私に手伝えることがあったら、申し付けていいですよ」
「じゃあランマさん、貴族様がたにデザートやお飲み物などを配っていただけますか?」

貴族はいけすかねー奴らばっかりだが、平民は普通の人たちだ。
ちっと魔法が使えるからって、威張りすぎなんだよなメイジって。革命が起きたらどーすんだ。
いやでも、ルイズはほとんど魔法が使えないのか。平民の血でも入ってんのかな。
あいつはあいつで頑張ってんだし、むげに出て行くのもどーなんだろ、悲しむかな。
いやいや、無理矢理人を連れ去って焼印みてーに入れ墨彫って、奴隷扱いしてんだ。日本だったら逮捕されるぜ。

可愛いらんまのメイド姿に、男たちは大喜びだ。
「はいはーい、並んで並んでっ。押さないでー、今お配りしまーす」
「あのっ、サイン下さーい」「かわいーねぇ、住所どこ?」「ばか、この娘はルイズの使い魔だろ」
どこへ行っても、男というものは変わらないらしい。


その頃、医務室のベッドでは、あの男が目覚めていた。

「このギーシュ・ド・グラモン17歳、美しい薔薇は、一人のためだけに咲くものではない……。
 幼馴染であり、長い付き合いの『香水』のモンモランシー。
 可愛い下級生でお菓子作りがうまく、情熱を秘めた『燠火』のケティ。
 最高のツンデレであり、公爵家の令嬢である『ゼロ』のルイズ。
 そして突然現れた、元気溢れる『おさげの女』ランマ。ああ~、誰も捨てがたいっっ」

隣でモンモランシーが、胡乱げな目をしてリンゴをむいていた。
「あんた何股かける気なのよ、ギーシュ。一応私の前よ。
 まぁ、あんたがバカで変態で女好きなのは、今に始まったことじゃーないけど」
「それは違う、誤解だモンモランシー。
 誰もが可愛らしく選べないので、全員と要領よく付き合いたいと願うこの気持ちに、偽りはないっ!!」
ギーシュが身をくねらせ、拳を握りこめかみに青筋を立てて力説する。アホか。
「そーゆーのを、四つ股かけるってゆーのよ」

どすこーい、どすこーい。

「四股(しこ)を踏んでどーするっっ! よつまたよ、四つ股っ!」
「ところでこの会話は、何語なのだ?」

そんな感じで、二人はよろしくやっていた。ギーシュはいい彼女を持っているようだ。


「ふーっ、今日も一日終わったぜ。つっかれた~。
 魔法のせいか、会話は通じるけど文字は読めねぇし、
 そろそろ学院の外に出て、いろいろ情報を集めてーなぁ。それか、教師にでも聞いてみるか……」
らんまは、う~んと伸びをした。ルイズが寝床から答える。

「じゃあ、来週の『虚無の曜日』に都のトリスタニアへでも行こうかしら。
 ここからそうねぇ、馬で3時間ぐらいかかるけど、大きな町よ」
ふーん、このトリステインって国の都か。とは言え異世界の情報っつってもなぁ、どう聞いたもんか。

とりあえず汗もかいたし、ひとっ風呂浴びたい。
「……なあ、ルイズ。風呂ってないのか?」
「貴族は総大理石造りの豪華岩風呂。魔法技術をふんだんに使った快適な施設よ。
 けど、平民はサウナ風呂しかないわ。汗ぐらいは流せるでしょ」
「……あ、そう。じゃあご主人様がお休みしたら、俺は風呂に入ってくるぜ」
「どーぞ。使い魔が汗臭いのは嫌だしね」

シエスタさんに聞いて、一人でサウナ小屋を使わせてもらう。一緒に入ろうか、とも言われたが、必死に拒んだ。
「……まあいいか。内側からカギはかかるし、お湯はあるな。
 あとで水を浴びて女になる必要があるけど……誰も見て、ねーよな?」
ざばっ、とらんまがお湯を被る。

赤い髪が黒くなり、筋骨が逞しくなり、背丈がぐんと伸びて、豊かな乳房が胸板となる。
日本男児・早乙女乱馬16歳、ここに復活である。
「ふぅ、ずっと女でいると疲れるぜ。人格まで女になりそうで、ちょっと嫌だなぁ……」

汗と垢を洗い流し、さっぱりとする。
「やれやれ、でもま、ルイズも意外と素直だし、しばらくはどーにかなるか……。
 長らく『ゼロ』って呼ばれて劣等感味わってたんだろーし、俺が召喚できて嬉しいのかもな」
劣等感とは無縁に近い性格の乱馬だが、他人の気持ちを推し量れないわけではない。
ただお互い、好意の言葉を面と向かって言うのが、恥ずかしいお年頃なのだ。さらっと言うこともあるのだが。

「ランマー、忘れ物よ。それで明日の予定だけど……」
「嘘っ!? るるるルイズっ、ちょっと待て、そこに置いといて、部屋で待ってろよっ!」
「なによ、女の子同士でしょ……っって、あんた、誰!!? 男の声よ!!
 ランマ、なにやってるの!? 開けるわよ!!」

いかん、嘘、ちょっと待て、いきなりばれてしまうっっ。殺されるっ!!
カギを魔法で爆発させ、ルイズがサウナ小屋の扉を開けた。ちくしょう、逃げ場がねえ!

「……きゃ――――――っ、おっ、男――――――っ!!!」


ルイズが叫び、杖を振り上げる。
乱馬は素早く腰にタオルを巻き、杖を叩き落して片手で口を塞ぎ、黙らせる。
目を白黒させるルイズの目の前で、ざばっと戸口にあった冷水を浴びて女に戻る。
「……ぷはっ! ランマ!? あ、あんたいったい、なんなの? いまの男は!?」

早くもばれちまったか。しかし、男だと告白してもいろいろ面倒くさそーだよな。
男前の俺に惚れられても、なんだし。じゃあ、こうだ。

「すまねぇ、黙ってて。これは俺の秘密、恥なんだ。どーしても言い出せなかった。
 俺は本来『女』なんだが、クソ親父のせいで、ある『呪いの温泉』に落ちてしまい、
 お湯を被ると『男』になってしまう、ふざけた体質になったんだよ。
 水を被れば女に戻れるんだが、性格も段々男らしくなるしよー……あーあ、これじゃ俺、嫁にも行けやしねぇ」

これでよし。ルイズはほっとした表情になった。
「な、なんだ、そうだったの。
 ビックリしたじゃない、いいからそういう事は先に言っておきなさいよ。
 あーよかった、男の裸なんか見ちゃって、心臓に悪いわ。私、男なんか大っ嫌いだからっ」
「え゛」

「ああいやいや、女好きってわけじゃないのよ。
 ほら私、魔法が使えないでしょ? だからずっと『貴族じゃない』って、いじめられていて……。
 友達も恋人も、ほとんど『ゼロ』だったの。胸だって……。
 男は寄ってくるけれど、きっと私が名門公爵家の令嬢だからって、心にもないこと言っているだけよ。
 劣等感ばかりがどんどん大きくなって、どうしようもなかったわ。
 ……でもランマ、貴女は私の友達になってくれる? 私の数少ない、魔法成功の証人だもん」

「あ、ああ、いいぜ。よろしくな、ルイズ」
育ちや胸の大きさは違えど、年恰好や背丈はほぼ同じ。異世界で生まれた二人は、主従兼友達になった。

「……でも、あの男になったランマ、ちょっと恰好よかったな……」

(続く)

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