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ゼロのボーガー-02

「ふはははははは!!ゼロのルイズの使い魔風情が、このギーシュ・ド・グラモンに喧嘩を売ったこと、後悔するんだな!!」
「くっ…!いけえぇええ!トムキャットレッドビートルゥウウウ!!!」
 広場の真ん中でバラを構えて大笑いする金髪の青年、そしてその前には苦しそうに息を吐きながら叫ぶ少年。
 桃色の髪の少女は不安げな表情を浮かべながら、なぜこうなってしまったのかを思い返していた…

第二話 「決闘!ボトル・フォール・バトル」

 ルイズの部屋、寝床として用意された藁とシーツの上で、
 窓から見える夜空に浮かぶ二つの月の下、 天野河リュウセイは悩んでいた。
 別に月の数を気にしているわけではない、異世界であることにも関心は無い、
 魔法に関しては過去に暗黒魔道の組織と戦ったこともある訳で、大した抵抗も無く受け入れられた。
 召喚されたのだって気にしていないし、使い魔になったことにも不満は無い。
 元々、10歳の割には妙に達観したところがあった。このくらいのことで動じる玉ではないのだ。
 少年の悩みはカブトボーグにあった。
「…この世界には、カブトボーグが無い…」
 この世界に来てすぐに気づいていたことではあるが、やはり簡単に気持ちの整理がつく問題ではない。
 それに、彼は生まれてすぐに産婦人科の医者とボーグバトルを行い叩きのめしたほどの生まれついてのボーガーである。
 親友の心臓が弱り余命幾許も無くなったと聞けばカブトボーグを叩きつけて心臓を治し、
 また別の親友の家が営む中華料理屋の斜向かいに新しい料理屋が開店したと聞けばボーグバトルで叩き潰す、
 これまで何もかもをカブトボーグと共に経験し、カブトボーグで解決してきたのだ、急にそれがなくなったショックはかなり大きかった。
「オレは…これからどうすれば…」
 呟きはむなしく、答えなど見つからない。
 静かな部屋に微かに響くルイズの寝息だけが、
 眠ることもできずに悩み続けるリュウセイの心に僅かな安らぎを与えていた。

―夜が明ける。

「…ひっ!あ…ああああ、あんた、誰よ!」
 爽やかな朝日が降り注ぐふかふかのベッドの上、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは叫んでいた。
 別に寝ぼけて召喚した使い魔のことを忘れたわけじゃない、
 目を覚まして最初に目にしたのは頬が扱け、目は窪み、その下に隈を湛えた幽霊のような顔。
 自分の覚えていた使い魔の顔とはかけ離れたものだった。
「リュ…リュウセイなの…?」
「あぁ…」
 目の前のそれは肯定の意を表した。どうやらほんとにリュウセイらしい。
 本人は「一晩中悩んでて…」と言っていたが、それだけで人はここまでやつれられるものなのだろうか。
 とりあえず何か食べさせよう、そう思い立ち急いで着替え、部屋を飛び出す。
「着替えを手伝いなさい…って空気じゃなかったわね…」
 部屋の前で赤いのが喚いてたけど気にしない。
「ほら!あと少しだからしっかりして!」
 とにかく急いで食堂へ向かった。展開が速くていい。
 貴族達のテーブルで食べさせるにはお祈りまでに時間がかかるため、
 厨房へ走り近くにいたメイドにパンとスープを用意させてみる。
 しかしパンをちぎってもスープを口に運んでも食べる様子はなく、
「オレはここまで良くがんばった…」
「何の話よ…」
 とうとう意味不明なことまで口走り始める始末。
 呼び出したばかりの使い魔がいきなりぼろぼろで泣きそうな気分だ。
 仕方なく食事させるのはあきらめ、授業に連れて行くことに。
 部屋で休ませたかったが使い魔のお披露目があるのでそうもいかず…
―そして昼がやってくる。
 結局授業中も、授業でうっかり爆発を起こした後も、その責任を取らされ教室の掃除をしてる間も、
 昨日の一件のお陰で特に不快に思うことは無かったが、
 リュウセイはふらふらとしたままで…

 再び食堂にやってきたときに事件は起こった。
「どうしてくれる!キミの浅墓な行動のお陰で二人のレディの誇りが傷ついt」
「うるせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!元はといえばテメェが!」
「ゴフゥ!」
「ちょ、リュウセイ!?」
 よろめくリュウセイを支え食堂にやってきたはいいが、
 入り口の近くに人だかりができ中に入りづらい。
 近くにいた生徒に事情を尋ねていたら、
 何故か突然リュウセイが騒ぎの中心にいた生徒に飛び掛ったのだ。

―それから先はあっという間だった。
 激昂したギーシュがリュウセイに決闘を叩きつけて去っていく。
 私が止めるのも聞かずリュウセイは舞台となる広場へ向かい、
 そして―
「どうした?もう終わりか平民!」
 膝を突き、俯くリュウセイ。呼吸も荒く、やはり頬はこけたままだ。
「ぐっ…」
「リュウセイ…」
 苦しそうなリュウセイを見て、ルイズは思う。
(…もうだめだ、止めよう、昨日リュウセイは私を守ってくれた。だから今度は私が…)
「リュウセイさん!」
 ルイズより一足早く、野次馬の中から飛び出す影があった。
「リュウセイさん…私…もう見てられません…もうこれ以上、あなたが傷つくのは…!」
 ギーシュに責められていたメイドだ。いつの間に知り合いになっていたのだろう。
「シエスタ…」
「もういいんです…リュウセイさんはよくやってくれました…
 貴族相手にここまで戦ったんです、誰も文句なんて言いません…!だから…もう…戦わないで……!」
 その言葉とは逆に、リュウセイは拳を握り締める。
 表情に覇気が現れ、先ほどまでの情けない様子はもう微塵も無い。
 リュウセイは思い出していた。
 シエスタとの数々の思い出を…
 洗濯に出かけた早朝の出会いに始まり、
 二人で出かけたピクニック、
 三日三晩行った素振りの訓練。
「一体いつの話よ…あんたがこっちに来たの昨日じゃない。」
 ルイズの声は誰にも届かない。
「シエスタ…ごめん…!オレは戦わなくちゃいけないんだ!」
 意を決した表情で言い放ち、ギーシュに向き直る。
「そんな…リュウセイさーーーーん!」
 崩れ落ち、涙を流しながらシエスタはリュウセイの名を叫ぶのであった…。

 再び向き合うギーシュとリュウセイ。
「待たせたな!ギーシュ!
 二股がばれて女の子二人に振られ、その腹いせにメイドに八つ当たりしやがって!許さん!
 うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!いけぇ!トムキャットレッドビートルゥウウウウウウウ!!!」
 先ほどまでとはうって変わり、トムキャットレッドビートルはすばやくかわし、攻撃する。
「貫け!トムキャットレッドビートル!」
「何っ!?」
 リュウセイの声に呼応するようにトムキャットレッドビートルは力を増し、
 とうとうギーシュの作り出した青銅のゴーレム―ワルキューレ―を粉々にしてしまった。
「…っ!…少しはやるようだが…遊びは終わりだっ!」
 まさか自分のゴーレムが平民に砕かれるなどとは思っても見なかったギーシュはプライドを傷つけられ、
 怒りに震えながら同時に六体ものワルキューレを造り出す。
 それら全てが手に持った武器をトムキャットレッドビートルに向かって構えた。
「終わったな…」
 余裕を取り戻しそう呟くギーシュ、しかし次の瞬間目にしたものは…
「レッドアウトゴールデンマキシマムバーニングウゥゥゥゥ!」
 燃え上がり爆発四散したワルキューレたちの残骸と、こちらへ突っ込んでくる炎のライオン。

―黒焦げになり意識を失う直前、ギーシュは自分に起こった全ての理不尽に対して疑問の声を上げた。
「な…なぜ…」
 爆炎の向こうに悠然と立ち、堂々と少年は叫ぶ。
「決まってるだろ…。
 …お前みたいな二股男が勝つようになっちまったら…世も末だからだよ!!!」

 戦いが終わり、活力も取り戻した。
 そういえばお腹すいたな、などと考えていると、後ろから急に抱きしめられる。
「リュウセイさん…!よかったっ…!」
 そこには瞳を潤ませながらも安堵の表情を浮かべるシエスタが。
「シエスタ…」
 リュウセイが振り向き、笑顔を見せようとしたとき、
「ななな…何二人して抱き合ってんのよ!朝からずぅーっと心配させといて挙句の果てに勝手に決闘!?」
 泣いているような笑っているような、怒っているような叫び声が耳に突き刺さる。
「しかも終わったら今度はメイドといちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃ!
 わ…私だって心配したんだから!ほ…本当にしんぱい…うぅ…」
 泣き出してしまったルイズを見て大慌てのリュウセイ、とりあえずシエスタを離そうとするが…離れない?
「私とミス・ヴァリエール、どっちを選ぶんですか?」
 聞くだけで背筋が凍りつくような声で笑顔のシエスタに問いかけられる。
 いつの間にかルイズも顔を挙げ、潤んだ瞳でこちらを睨みつけている。
 唐突な展開にさすがのリュウセイもお手上げであった。
「た…たすけてくれえぇ~!」
 どこまでも澄み渡るような青い青い空の下、彼の叫びは一体誰に向けられたのか。
 ただ一人、その光景をいつまでも眺めていた生徒は呟く。

「人のフリ見て我がフリ直せ、デースネ☆」

                                    完



次回予告
 なにぃ!?あれっきりギーシュが目を覚まさない?
 そんなことよりもさ、せっかく休みなんだからどっかいこうぜ!
 え?ギーシュ?ついでに何とかしとくよ。
 かくして、オレとルイズの長い長い一日が幕を開ける。
 次回ゼロのボーガー「出会い!ホリデイ・ホース・インテリジェンス」
 熱き闘志にチャージ・イン!

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