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サーヴァント・ARMS-05


隼人とギーシュが決闘を行ってから数日後の事。

武士が日課となった隼人達との厨房での食事を終えて、一足先に食事を終えたタバサと合流したその時。
どこからとも無くタバサの元にフクロウが舞い降りた。その足には手紙。
そのフクロウを見た瞬間心なしかタバサの雰囲気が幾許か冷たくなり、授業の為教室へ向かう生徒達の流れに逆らって歩いて行ってしまう。
慌てて武士が追いかけると、生徒用の馬小屋にタバサは居た。
授業に出ないで1人でどこかに行こうとしていると悟って慌てて止める。

「ちょっと、どこ行こうとしてるのさ!?」
「あなたは関わらなくて良い事。1週間はかかる」

何だか嫌な予感がする。もしかしてこの子、1人で危険な事をしに行くつもりじゃ?

「だ、ダメだよ!君みたいな女の子を1人でそんな長い間ほっとく訳には行かないよ!ならせめて僕も一緒に―――」
「ダメ。あなたには関係ない」
「関係あるさ!・・・僕は、君の使い魔になったんだから。主人を守るのが使い魔の役目なんでしょ?なら君の傍に居なきゃダメじゃないのかな?」
「・・・危険性が高い」
「危ないのには慣れてるよ。僕みたいなのじゃ、頼りないかもしれないけど」

武士のお人好しぶりは天下一品である。
敵でも相手が子供で危ない目に遭えばすぐさま助けに行くし、
アリスの内面世界では地上最強の力を選ばずにアリス本人を選んで外の世界<現実>へと連れ出したほどだ。
もっともそのお陰でこれまで何度も窮地を凌いできた事を考えれば、
ある意味武士は、ARMSを持つ人間の中でも究極のジョーカーだと言えるかもしれない。

そんな訳で、武士の瞳に本気の光を読み取ったタバサは根負けしてしまい。

「馬だと数日かかる。あなたは馬に乗れる?」
「え、いや、その、馬には乗った事無いんだけど・・・」

武士はキョロキョロ見回してから、周りには誰も居ないしこの子なら口も堅そうだし大丈夫かなと結論付けると。
おもむろに学生服のズボンを捲り上げて、靴下を両方とも脱いでポケットに突っ込む。

「服はこれだけだしね」
「?」

怪訝そうな少女の目の前で。
それは、唐突に起こった。


木が半ばからへし折れる時に似た音を立て、瞬時に武士の両足――正確には膝から下、下腿部が2倍以上の太さになる。
下に行くほど太くなっていて、踝の辺りはスカートの様に足よりも大きく広がっている
その表面は明らかに生物の皮膚ではなく、柔軟性の高い金属のようなものに変貌していた。

感情の読み取りにくいタバサの瞳が、驚愕に見開かれる。

「それは・・・何?」
「ああ、やっぱり驚いたよね。ARMSっていって、平たく言えば僕達の力みたいなものだよ。空を飛ぶぐらいしか出来ないけどね」
「魔法やマジックアイテムじゃない?」
「そうだね。僕達が居た所には魔法なんて無かったから」

――魔法じみた科学技術は色々とあったけどね――

「とにかく馬よりも多分こっちの方が速いだろうから、僕が目的地まで運んであげるよ」
「・・・わかった。お願い」

抱え上げたタバサは、思っていたよりもすっとすっと軽かった。

「しっかり掴まってて―――それじゃあ行くよ!」

スカートのように広がった部分が、圧縮空気を噴出。

そして白いウサギは少女を連れて、再び青い空へ飛ぶ。







        サーヴァント・ARMS:第5話 『任務』ミッション






北花壇警護騎士団。

ハルケギニアの大国ガリア、その国を支配するガリア王家の汚れ仕事をまとめて引き受けている組織である。
表沙汰に出来ないような国内外のトラブルを処理する為に存在し、その性質ゆえか騎士団の存在自体が表に出る事は無い。
お互い顔も知らず、他の騎士団とも比べれば格段に危険な目にあいながら、地位や名誉とは無縁な闇の騎士達・・・
そしてタバサは、そこに所属する騎士の1人だというのだ。向かう途中でタバサに聞かされた。

武士はなんとなく、この少女がどうしてここまで感情を表に出さないのか分かった気がした。
似たような話なら、武士達は実際に山ほど見てきた。
――この子も、アルやギャローズ・ベルにいた子達と同じなのかもしれない――
ガリアの王都リュティス、その東の端に位置するヴェルサルテイル宮殿の豪華な廊下を歩きながら、武士は痛ましげに顔を歪める。

と、武士の先を早足で歩いていたタバサの足がある扉の前で止まり、扉を開けて天井からぶら下がる分厚いカーテンをめくって部屋の中に。


―――瞬間、何かが飛来した。


ARMS無しでも人間離れした反射神経を持つ武士は、その正体を一瞬で看破。
――ええっ、何で卵が!?――
中には泥の詰まった腸詰らしい物も。
真っ先にタバサと武士に飛んでくる軌道だと見抜いて、反射的に武士はタバサを再び抱きかかえる。
そのまま純粋に脚力のみで横っ飛びに回避すると、飛んできた卵はそのまま豪華な絨毯に落ちて中身を散乱させた。
とりあえず、腕の中の少女に当たらずに済んだ。ホッとする。

しかし、それが卵を投げた張本人はお気に召さなかったらしい。

「ちょっと!何勝手に避けてんだい!」

横暴な内容の、傲慢そうな少女の声がした。
思わず言い返そうとした時だ―――何だかとっても聞き慣れた、鈍い音がした。

ガヅンッ!!

「~~~~~~ぁ~~~~!!」
「ちょっと目を放した隙に何大人気無い事やってんの!」

武士が顔を上げてみれば、唖然とした表情の侍女達と、豪華なドレスを着て何故か煙を立ち上らせている頭を抱えた、青い髪の少女と。

そして、ジーパンにトレーナーを着た、よく知った黒髪の少女。

「く、久留間さん!?」
「ハァイ、やっぱりアンタもこっちに飛ばされてたみたいね」





久留間恵がハルケギニアに飛ばされたのは、やはり武士達と同じタイミングだった。
タバサと同じ青い髪の少女―名前はイザベラというそうだ―の使い魔として、気が付いたら召喚されていたらしい。
その辺りも武士達と同じだ。もっとも彼女の場合は単なる戯れのつもりで『サモン・サーヴァント』を行った結果だが。
案の定、恵のARMS――『ハートの女王』も、どういう訳か復活していた。

とにかくその後話を聞いた恵も使い魔になるのを受け入れた。
なんでもイザベラはこの国の王女でありその権力はかなりのものだから、一緒に飛ばされた仲間達を探すのに役立つと涼と同じ結論に達したから・・・なのだが。

「この子ったら本当にワガママでさぁ、しかも北花壇警護騎士団なんてののリーダーやってるくせに軽い人間不信で性格捻くれててでいちいち魔法の才能なんかにこだわってるからさ、使い魔になったついでにその根性叩きなおしてやろうかと思ってんのよ」

自分もリーダーやってただけにこういうのは見過ごせないらしい。

「は、ハハ、久留間さんらしいね」
「くっ、あ、アンタねえ、使い魔の癖に王女のこの私に一体何してくれんだ――」

ゴンッ!

「使い魔だの何だのってどうでもいい小さい事にこだわってんじゃないわよ!リーダーならリーダーらしく、後ろの方でドッカリ構える!
命令下す立場がそんなのじゃ部下の方も周りから軽く見られちゃうんだから、まずそこからどうにかしなさい!」

とってもデジャヴな光景だ。
もっとも隼人の場合は主に仲間の為であり、今の恵の場合はイザベラの部下の為だけでなくイザベラ自身の為でもある。

「人が気に入らないとか才能に嫉妬してえこひいきするとか、リーダーがそんな事しちゃダメなの。むしろ自分の指揮でその才能を存分に利用するぐらいじゃなきゃ。
そうすれば充分成果が得られるし、指揮した自分の功績って事で箔も付くじゃない」
「あ、あの、ところでなんで僕達こんな所に呼ばれたのかな?」

恵主催の第×会『指揮官としての心構え』についての講義が始まりそうになるのを遮って武士が聞く。

「ああそうそう、ごめんなさい。えーっと・・・」

恵がポケットから折りたたんだ書簡を取り出すが、チラッと目を通してから隣のイザベラにすぐ差し出す。

「読んであげて」
「アンタが読めば良いじゃないか!」
「生憎『こっち』の文字はまだ覚えれてないから読めないの。ほら、さっさと命令を下した下した」

右手には書簡。左手は固く握られた鉄拳。
結局、イザベラは渋々書簡を受け取って内容を読んだ。
――さ、さすが『ハートの女王』だね・・・やっぱり性格も女王様っぽいよ――

「なんか今余計な事考えなかった?」
「う、ううううん!気のせいだよ気のせい!」






今回騒動が持ち上がったのは、ガリアとの国境沿いに広がる『黒い森』、その一角にあるエギンハイム村。
その村に現れた翼人を掃討せよというのが今回北花壇騎士7号――タバサに与えられた任務だ。
翼で自在に空を飛び、先住魔法(タバサなどメイジが使う魔法とはまた別物)を操る亜人相手では村の人間だけでは敵わないためお鉢が廻ってきたらしい。
だが、それはともかくとして。


「何でだい・・・何で私まで付いてかなきゃならないんだよ!」

恵に無理矢理連れ出され、長距離移動用のガーゴイルに乗せられたイザベラの声が空しく空に響く。
今の格好は豪華なドレスから侍女の服装に変わっていた。目立つから恵が無理矢理着替えさせたのである。
それだけで王女に見えなくなったのは余計な変装させずに済んで幸いと思うべきか、それともここまで王女らしくなくなるのも珍しいと呆れるべきか。

「あのね、たまにはリーダー自ら現場に出て部下の仕事振りも見るもんなの。アンタみたいにずっと宮殿に引きこもってるなら尚更よ。どんな仕事振りなのか、どれだけの実力なのか見極めとかなきゃ。
大丈夫よ。武士も居るし、いざって時は私も守ってあげるから頼りにしてなさい。チラッとしか話は聞いてないけど、あのタバサって子も結構強いんでしょ?」
「っ・・・フン、どうだかね!あのガーゴイル娘なんか――」

ガッ!

「人の事を変な風に呼ばない!」

――ほんと隼人君に似てきたね、久留間さん――
学院から来た時と同じようにタバサを抱きかかえて、ARMSでガーゴイルと併走して飛びながら、2人のやり取りを眺めて武士はそう思う。
タバサもその様子を眺めていたが、その表情は読み取れない。しかし武士の腕の中が気に入ったのか、じっと動かずにゆったりとしていた。

と、そろそろ目的地に辿り着こうとした、その時だ。
眼下に見える森の遠くの方から、男達の悲鳴と強烈な風が吹く音が聞こえてきた。
恵が身を乗り出して、声の聞こえた方を見てみると、

「拙いわ、私達が来る前に村人達が先に動いて翼人にやられかけてる!翼人の数は4・・5!
武士!あんたは先に行って村の人達を助けて!こっちは他の村人が動かないように村の方に行くから!
そうそう、気をつけなさいよ!魔法ってのは結構何でもありみたいだからね!」
「うん、分かった!久留間さん達も気をつけてね!」
「分かってるわよ!」

2手に分かれる。
落とさないようにタバサをしっかりと抱き直してから急加速すると、数秒で現場に辿り着く。
目下地上の方では、10名ほどの木こりらしい屈強な男達が蔓みたいに伸びた木の枝に絡めとられて身動きができないでいる。
翼人が何かを口ずさみながら腕を振るうと、落ち葉が舞い上がってピンと尖った。
あの大量の葉で木こりたちを切り刻もうというのか。

「いくよ、タバサ!」
「わかった」

腕から抜け出たタバサが『フライ』の魔法を唱えて宙に浮く。
彼女という重石が無くなった武士は、圧縮空気を噴出させて空中でさっき以上に急加速。翼人達の背後まで瞬時に接近する。
近づかれたのを気づかれる間もなく、武士の蹴りが翼人の脇腹へと叩き込まれた。
一応手加減はしたが、それでもARMSで威力を強化された蹴りは容易く他の翼人ごと巻き込ませながら吹っ飛ばす!

「!!」

途端、浮き上がっていた大量の落ち葉は元の柔らかさに戻って地面へと散乱した。
まとめて吹っ飛ばされた翼人はすぐさま宙で体勢を立て直したが、蹴られた方はわき腹を抑えて悶絶し、仲間に介抱されている。

「枯れし刃は契約に基づき水に代わる“力”を得て刃と化す!」

再び唱えられた呪文により、飛ぶ刃と化した木の葉が宙に浮かぶ武士に襲いかかり―――

武士の姿が視界から、消えた。

次の瞬間、木の葉を掻い潜った武士の膝が、呪文を唱えた翼人の腹部にめり込む。
強烈な衝撃に意識を飛ばした翼人が落下する前に4人目の翼人が受け止めると、最初にやられた翼人を解放していた仲間の元へ戻った。そして距離をとる。

杖も無しに奇妙な足で空を翼人以上に速く動き、その蹴りで一撃で自分達を仕留めてしまう武士に、翼人は動きを止めざる負えない。
何せ死んではいないが、実際に2人、それも瞬時にやられたのだ。
木の枝にからめとられていた木こり達も、密かに近づいてきたタバサに解放されたのにも気付かず唖然と見上げている。

タバサも内心、武士の予想以上のポテンシャルを見せ付けられて驚いた。
たとえどんなメイジでも、あれだけ魔法より速く動かれては当てる事は出来ない。
なにせ実戦で鍛えられてきたタバサ自身も、今の武士の動きは見えなかったのだ。

思わずタバサの額に汗が浮いた、その時だ。

「もうやめて! 森との契約をそんな事に使わないで!あなたも、私の仲間を傷つけるのはもうやめて下さい!」
「アイーシャ様!」

翼人達の頭上に現れたのは、亜麻色の髪の翼人である。
翼人伝統の衣装らしい一枚布の衣の色は白で、緩やかにそれをまとって舞い降りてくるその姿はまるで天使を思いおこさせた。
だがいきなり現れた翼人の女性の登場にうろたえた翼人の隙をタバサは見逃さない。
呪文を唱えようとした瞬間、腕をガシッと掴まれたと同時に、意図せず静止の言葉が被さった。
片方はタバサの腕を掴む緑色の胴衣に身を包んだやせっぽちの少年、もう片方は今2人の翼人を蹴り倒したばかりの使い魔の少年。

「お願いです!お願いです!杖を収めて下さい!」
「タバサ、ちょっと待って!」

予想だにしなかった静止の声に、流石にタバサも戸惑った。
だがその間に、突然舞い降りたアイーシャという翼人の言葉を聞いた翼人達が、意識の無い仲間を抱えて躊躇いがちに梢の上へと飛び去っていく。
その際アイーシャとやせっぽちの少年が悲しげに視線を交わしたのを、タバサも武士も気づいた。

翼人の一行を見送ってから、武士はタバサの隣に降り立ってARMSを解除する。

「どうして止めたの?」

タバサの疑問に、武士は気まずげにしながら答える。

「いや、僕が飛び出した時はその、あそこの人達が危なかったから仕方なかったんだけど、でもあの女の人が出てきて止めた時はちゃんと止まってくれたし、それで・・・止まってくれるんなら別に倒す必要は無いと思って・・・」
「・・・・・・・・・・」

微妙な空気が漂い・・・そこへ、1人の男が近づいてきて話しかけてきた。

「も、もしかしてお城の騎士さまで?」
「ガリア花壇騎士、タバサ」
「ああ、えっと、僕は彼女の使い魔で、巴武士っていいます」

タバサは簡潔に、武士は少し戸惑いながらバカ正直に。

「そ、そうですかい、じゃあ騎士様、ちゃっちゃと連中をやっつけて下さいな」

そう言われて武士は気まずそうな視線をタバサに向けたが・・・
タバサはボーっと立ち尽くしたまま、動かない。

「どうかなさったんで?」
「えっと、タバサ、どうかしたの?」

2人の問いに、ゆっくりとタバサはお腹に手を当てた、その時。






くうう~~~っ






「・・・お腹が空いた」





どうなったのか様子を見に恵とイザベラが駆けつけた時に最初に見たのは、生温かい目でタバサの頭をよしよしと撫でている武士の姿であった。


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