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ゼロの夢幻竜-10


ヴェストリの広場が異様な騒ぎに包まれていた頃、学院長室ではコルベールが泡を飛ばしながらオスマン氏に事情を説明していた。
召喚の儀、風竜とは違った生き物、その生き物の左手に契約の証として浮き出たルーン、そしてその意味……
ルーンのスケッチを見ていたオスマンは厳粛な声でコルベールの話を纏める。

「調査の結果、始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いたという訳じゃな?」
「その通りです!あの奇妙な大型の鳥とも竜とも言える生き物の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていた物と全く同じであります!」
「で?君の結論は?」
「あの使い魔は『ガンダールヴ』です!これが大事じゃなくて何なんですか?!オールド・オスマン!」

コルベールは興奮した雰囲気で一気にまくし立てる。
しかしオスマンは流石に動じることは無く、極めて落ち着いた口調で話を続ける。

「ふむ。確かにルーンは同じじゃ。あのヴァリエール家の三女が使い魔として呼び出した何とも形容のし難い生き物が『ガンダールヴ』となった、という事になるかの。」
「どうしましょうか?」
「まあ、待つのじゃ。証拠の決め手が今のところこのルーンしかないのであれば何の行動も起こせまい。」
「確かに……仰るとおりですな。」

するとドアの外側からノックが聞こえてくる。

「誰じゃ?」
「私です。オールド・オスマン。ロングビルです。」
「何かあったのかね?」
「はい。ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がおり騒ぎになっています。
何人か教師が止めに入ったのですが生徒達に邪魔されて上手くいっていないようです。」
「まったく……暇をもてあました貴族ほど質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんじゃ?」
「二年生、シゲルクラス在籍のギーシュ・ド・グラモンです。」
「あのグラモンとこの馬鹿息子か。オヤジも色の道では剛の者じゃったが、息子も輪をかけて好きじゃ。大方女の子の取り合いじゃろう。それで相手は?」
「それがメイジではありません。平民のメイド……ではなく!ミス・ヴァリエールの使い魔のようです。」

その言葉にオスマン氏とコルベールは顔を見合わせる。

「平民のメイド?ミス・ヴァリエールの使い魔?という事は一体どういう事じゃ?」

その質問にミス・ロングビルは更に驚くべき事を告げる。

「はい。私も実際に見て驚いたのですが、あの使い魔は人間に姿を変える事が出来ます。また本人の心の内容を直接他人の心に伝達する、精神感応を行う事が出来るという話ですし、人語もきちんと分かっています。
一瞬先住魔法かと思ったほどで……それと、教師陣は決闘を止める為に『眠りの鐘』の使用許可を求めております。如何なされますか?」
「アホか。たかだか子供の起こした喧嘩を止めるのに秘法を使ってどうする。放って置きなさい。」
「分かりました。」

程無くミス・ロングビルがドアの前から立ち去っていく音が聞こえてきた。

「さてと、事態は『ガンダールヴ』の一件抜きでも無視出来ん事となったのう。その事について調べる前に、ミス・ヴァリエールが召喚した生き物が一体何でどういう力を持っているのか……話は先ずそこから始めた方が良さそうじゃな。」

そう言ってオスマン氏は杖を振る。
すると壁にかかった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出された。

もう何も聞こえる物は無い。
取り巻きの生徒達が発する喚声も、ギーシュが喚き散らしている事も。
気にしていたら目の前に振り下ろされる剣や斧の動きが掴めなくなる。
彼女ことラティアスはすんでの所で常に相手の一撃を避けていた。
始め彼女はギーシュがワルキューレを一気に七体も召喚した事に対していささか立腹してしまった。
こちらが圧倒的に不利になるからなのは言うまでも無い。
だが直ぐに自身の優位性に気づいた。
自分は空を飛ぶことが出来る。
地面を移動する事しか出来ず、接近戦用の武器しか持ち合わせていないワルキューレに比べれば攻撃の範囲は格段にこちらの方が上である。
おまけに彼等は動きこそ速いものの、その動線は結構単調な物であるし、集中すれば読み取れなくも無い。
とは言え、いつまでも付き合っていればこちらの体力が干上がってしまう……
自分の持つ技で決めるしかない!
その時、広場に澄んだ声が響き渡る。

「ラティアス!」

ルイズだった。側には心配そうなシエスタ、そして2、3歩離れた所から面白そうに眺めているキュルケがいる。
彼女等の姿を認めたギーシュは震える声でルイズに質問をした。

「お、おい、ルイズ!君の使い魔は一体何なんだい?!人の姿はするし、僕に声も使わず話しかけてきた!おまけに僕に恥をかかせたばかりか愚弄までしてきたんだぞ!」

その内容にルイズはついラティアスを厳しい目線で見てしまう。
ラティアスにとってみればギーシュの方が、自分や自分の主人を馬鹿にしていた事を棚に上げているのだから、その事こそ頭に来ていた。
真っ先に怒鳴ったのはルイズの方だった。

「ラティアス!ギーシュに今すぐ、この場で、謝りなさい!いう事がきけないの?使い魔でしょ?!!」
「嫌です。」
「ちょっと!何でよ?!」
「私はご主人様の使い魔。言う事はきかなくちゃいけない。言われた事をこなさなきゃいけない。」
「そうよ!私は『決闘に応じろ』なんて一言も言ってないわ!あんた頭良いんでしょ?!それが分かってるなら勝手な真似は止めなさい!!」

決闘中であるにも拘らず惨めな物だな。
そう思ったギーシュはつい虚勢を張った。

「は、はは。っはははっ!主人の言う事も碌にきけない使い魔か!さ、流石は『ゼロ』のルイズが召喚しただけの事はあるな!実力があるように見えて結局ただのハッタリか!これはいいな。」

その言葉にラティアスの頭の中で何かがプツリと音をたてて切れた。
人間より低い体温をなしている血液の流れが、沸騰しそうなほど速くなっているのを彼女は感じ取る。
その時、ラティアスの左手にあるルーンが強く青白色に光りだした。

「私の居場所を作ってくれて、世話をしてくれているご主人様を馬鹿にするのは絶対に許さない!」

そう叫びラティアスは上空5メイルほどの所に揚がる。
そして口をかぱっと開けると、白く霧の様な球体の物が幾つもその周囲に現れた。
更に霧は猛烈に渦巻く風によって包まれ、勢いを急激に増やしていく。
周りがそれに注目したその瞬間、直径20サント程になった球体はワルキューレが集まっている部分に向けて何発も撃ち出された。
ギーシュが退く命令を出す前に、ワルキューレは一気に球体に巻き込まれる。
強烈な風にワルキューレは成す術も無く、空中で衝突を繰り返し、そして地面に叩きつけられていく。
驚く事に球体は地面に着弾すると、その何倍もの大きさにまで膨れ上がり互いに覆いきれていない所を覆っていった。
しっかりと立っていなければ飛ばされてしまうほど強烈な風が広場に吹き荒れる。
次いでじめっとする湿気が忽ち広がっていった。
それらが治まった後、ワルキューレが立っていたであろう場所に目を向けた生徒達はあっと息を飲んだ。
そこにはただあちこちに四散した青銅の破片しかなかったからである。
見かけは強靭そうでも中身ががらんどうだったワルキューレの成れの果てであった。
そして当のギーシュはというと……どうやらあの猛烈な風に飛ばされたらしく、背後にあった塔にいやというほど体を打ちつけた状態でその場にへたりこんでいた。
もし彼の意識がはっきりしていたとしても、ドットクラスの彼はもうワルキューレを呼び出すなんて事は出来なかったし、
出来たとしても肝心の薔薇に見立てた杖はもう一枚の花弁も残していなかったからだ。
ラティアスはそこまで飛んで行って人間形態に変身した後、未だ頭をふらふらとさせている彼の口から茎だけとなった薔薇を奪い、首元を引っ掴み怒鳴りつける。

「まだやる?!」

可愛らしい顔に似合わぬあまりの凄み。
杖である薔薇まで奪われてしまった為にギーシュは上ずった声で答える。

「ま、参った……君の勝ちだ。」
「じゃあ、さっきの約束ちゃんと守りなさい。」
「約束?さ、さあ?大きな音が続いていたもので何のことやら……」
「それ以上すっ呆けたら問答無用で直接さっきと同じやつを喰らわすわよ?」
「わっ、分かった!分かったから!……君の主人を馬鹿にして悪かった。すまない。」

ギーシュは座ったままラティアスに向けて頭を下げる。
その瞬間、見物人達は一斉に歓声をあげた。
凄い使い魔だ!だとかギーシュが負けたぞ!だとか。
ただしその当の使い魔はある疑問に首を捻っていた真っ最中だった。

ラティアスは自分の中では、威力の比較的小さい技を放ったつもりだった。
しかも自分は元いた世界でもそんなに強い技をくり出す方ではなかった。
だからここに来る前は、仲間内でもその事をからかわれたり冷やかされたりしたものだ。
しかし結果は自分の想像していた事以上の事が起こった。
せいぜい敵の動きを撹乱する為に使うつもりだったし、あんな威力は望んではなかった。
では一体何故あんな力が出てきたのだろう?
それと空中に上がった時から気になっていた左手のルーンの発光。
あれが光ると同時に体が今までより軽く感じられるようになった。
ひょっとすると、技が強力になったのもそのせいなんだろうか?
色々と考えていると、ルイズが彼女の方に向かって走り寄って来ていた。
それに合わせて命令を無視したお叱りを受けようと構えるが、突然全身をどっと襲った疲労感がそれを出来なくさせた。
ルイズはどたっと倒れたラティアスに思わず駆け寄り叫ぶ。

「ラティアス!」

その身を抱えようとするものの、想いの他重かった為か支えきれずに上半身だけを膝元に乗せた姿勢となった。
怪我と言う怪我はほぼ無い。
ラティアスはただ安らかそうに寝息をたてているだけだった。
そこへ騒ぎの一員であったギーシュがやって来て、ラティアスをしげしげと眺めつつ言った。

「ルイズ。一体何なんだ?この使い魔、いや、生き物は?風竜だ、なんてごまかしはきかないよ。それらのどんな種類よりも小さいし、口を使わずに僕の心へ直接話しかけもしてきた。見ての通り人にも変身する。
おまけにあの強靭な風の一撃。まあ、ああいうのを出せる生き物は、それこそ極稀にいるかもしれないし、まだ詳しい事は分からないけど僕自身あの技はラインかトライアングルクラスのものだと思う。人間だったらそれを杖無し、詠唱無しで繰り出すのは有り得ないがね。」
「私だってこの子が何なのかまだ全然分からないのよ。そんなに一偏に質問されたって分かる訳ないじゃない。」

しかしそれは多分に虚偽を含んでいた。
昨夜訊けるだけの事は訊いたから分からないと言う事はほんの少しばかり減った。
だがそれでもラティアスや、彼女が前にいた世界の事を全て理解した訳ではない。
現に今しがた彼女が見せた物でさえ、ルイズは詳しい説明を受けていなかった。
何か薄ぼんやりと技という物を発する事が出来ると言ってはいたが、ここまでの物とは考えていなかったからだ。
見る人が見ればハルケギニアの人々と対立しているエルフが使う先住魔法とも取られかねない。
首を傾げるギーシュを余所に、ルイズは再度ラティアスを担ごうとするものの、数歩歩んで失敗する。
見かねた生徒の誰かが『レビテーション』の魔法をラティアスにかける。
ルイズは彼女の体を押しつつ思う。
―ラティアス、あなたは一体何なの?―



学院長室で決闘の一部始終を見ていたオスマンとコルベールは、互いに神妙な面持ちで顔を合わせた。
またコルベールの顔には明らかに動揺が走っている。
とても見たことを信じられないといった表情といえばそれに当たるだろう。

「学院長はどうお考えになられますか?ミス・ヴァリエールの使い魔を。」
「ふむ……確かにある程度研鑽を積んだ者なら、伝説の古代竜である韻竜と言ってしまえば納得するじゃろ。しかしそう決め付けるのは間違いじゃ。
知っての通り韻竜は遠い昔に絶滅したと言われておるし、もしまだ存在するとしても、知られている絶滅種の文献を漁っても、あれほど小型の物はおるまい。新種と言われればそれまでじゃがな。」

そう言ってオスマンは豊かに蓄えた長い顎鬚を撫でながら続ける。

「『ガンダールヴ』の一件を君が推したいのも分かる。このスケッチを見せられた時にはもしやとも思った。」
「では、尚の事王宮に報告をしなければ……」
「それには及ばん。『千人の軍隊を壊滅させ、並みのメイジも歯が立たなかった』という伝説を真実だと仮定したならば、王室の盆暗どもは暇潰しの戦争を行う為に格好の玩具を手にした事になるぞい。
もっと言えば生物研究の題材として王立魔法研究所‘アカデミー’の連中も目を付けかねんしの。生徒にそんな不快な思いはさせたくないじゃろ、ミスタ・コルベール?」

その時オスマンの目の奥が鋭く光る。
彼もまた、生徒を上の意向で好き勝手に振り回されたくないと考えていたからだ。

「勿論ですとも。学院長の深謀には恐れ入ります。」
「この事は一切他言無用じゃ。よいな、ミスタ・コルベール?」
「は、はい!かしこまりました!」
「頼んだぞ。」

コルベールはしゃっちょこばって挨拶をする。
遠き伝説の世界にてその名が知られている伝説の使い魔『ガンダールヴ』。
本当にこの世で蘇ったのかと思いつつオスマンは、『遠見の鏡』が映す広場の様子をいつまでも見ていた。





小ネタ:ブリミルの導き
ここは神聖なる始祖ブリミルのお導きを受ける事が出来る教会。
さあ、迷える子羊たちよ悩みを打ち明けなさい。

サイト「あのオレの出番は?」
神父「ここでその質問はKY甚だしいです。無いのがデフォルトと考えてください。」

ギーシュ「教えてください。僕は後何回ボッコボコにされなければならないんでしょうか?」
神父「確たる事は言えませんが、少なくともあと100回以上はそうなる覚悟をしていて下さい。それがあなたが持つ一種の宿命です。」
ギーシュ「<´д`>」

シエスタ「私のおじいちゃんの役職がころころ変わるんです。」
神父「臨機応変に順応して下さい。過去の史実としてそれを受け入れなければ光明は見えませんよ。」

ワルド「死亡フラグは回避できませんか?」
神父「少なくとも原作より扱いはそこそこ良い作品があるので悲観はせず強く生きてください。」

コルベール「額の後退が止まらないんです。」
神父「強く生きてください。」

テファ「あの私の出番は?」
神父「8巻辺りまで書き上げる職人さんがまだあまりいらっしゃらないので今は辛抱強く待っていてください。」

ルイズ「神父様、教えてください。後何回私は変な使い魔を召喚してファーストキスを奪われなければならないんでしょうか?」
神父「ギーシュ君の二倍近くの回数を想定しておいて下さい。当たりをひくもはずれをひくも職人さん次第ですが。」

お後が宜しいようで(笑)。


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