ここはラ・ロシェールにある金の酒樽亭。
ガラの悪い傭兵やならず者の集まる居酒屋である。
そこに駆け込んだ男も、この酒場の利用客の例に漏れず一目で堅気ではないとわかる男であった。
その男は酒場の隅で杯を傾けるフードを深くかぶった女の元に足を進める。
女があごをしゃくると、男は女の隣に座り、声を潜めて話を始めた。
「姐さん。奴ら、到着しましたぜ。お高く女神の杵亭に泊まるみたいです」
「へえ。ま、貴族が泊まるのはそこしかないだろうからね」
フードの隙間から見える顔は紛れもなく盗賊、土くれのフーケのものだ。
もっとも、この酒場にそんなことを気にする者はいないのだが。
フーケは白い仮面の男の手引きで脱獄した後、このラ・ロシェールに連れてこられた。
その後、ここで傭兵を集め待機していたのである。
実際この酒場にいるのはフーケが雇っている傭兵である。
ただ……
──姐さん、ねえ
何となく腹が立つような呼び方のような気がしないでもないが、そこは盗賊暮らしの長いフーケ。ぐっと胸の中に納めておく。
「今度は大丈夫なんだろうね?さっきは醜態さらして。あんたらホントに腕利きなんだろうね?」
「そんなこと言ったって、姐さん。次から次に後からメイジが増えるんですぜ。ありゃーあんまりだ」
フーケは本当のところ、あまり怒っているわけではない。
ラ・ロシェールに続く山道に入ったばかりのところでの襲撃は一種の威力偵察だ。
傭兵達には言ってないが、元々あそこで仕留める気はなかった。
「へぇ……メイジが増える前にもガキ相手にだいぶ苦戦していたようにも見えたがねえ」
「あ、ありゃ……」
男が声を詰まらす。
これも本当は、剣を使う少年という予想外の戦力が明らかになったので別に失敗ではないのだが、それを正直に傭兵に教えてやる義理はない。
フーケは自分のためにその情報を隠す。
「あの分の後金は少しさっ引かせてもらうよ。それから、次はしっかりやりな。さもないと、わかってるね」
「へ、へい」
さっ引いた分はどこに行くのか。
傭兵に出す金を出した白仮面に戻すのか。
そんなことはしない。フーケは自信の懐に入れて、とある場所に送る腹づもりだ。
フーケはこぼれそうになる笑いを抑えながら立ち上がり、酒場に満ちる喧噪に負けない声を張り上げる。
「さあ、お前達。飲んだくれるのもここまでだよ。仕事の始まりだ」
「へい!姐さん。任せてください」
酒場の傭兵達が一斉に立ち上がり声を上げる。
その中で傭兵達に敬われるフーケはどう見ても名うての女傭兵隊長だった。
ガラの悪い傭兵やならず者の集まる居酒屋である。
そこに駆け込んだ男も、この酒場の利用客の例に漏れず一目で堅気ではないとわかる男であった。
その男は酒場の隅で杯を傾けるフードを深くかぶった女の元に足を進める。
女があごをしゃくると、男は女の隣に座り、声を潜めて話を始めた。
「姐さん。奴ら、到着しましたぜ。お高く女神の杵亭に泊まるみたいです」
「へえ。ま、貴族が泊まるのはそこしかないだろうからね」
フードの隙間から見える顔は紛れもなく盗賊、土くれのフーケのものだ。
もっとも、この酒場にそんなことを気にする者はいないのだが。
フーケは白い仮面の男の手引きで脱獄した後、このラ・ロシェールに連れてこられた。
その後、ここで傭兵を集め待機していたのである。
実際この酒場にいるのはフーケが雇っている傭兵である。
ただ……
──姐さん、ねえ
何となく腹が立つような呼び方のような気がしないでもないが、そこは盗賊暮らしの長いフーケ。ぐっと胸の中に納めておく。
「今度は大丈夫なんだろうね?さっきは醜態さらして。あんたらホントに腕利きなんだろうね?」
「そんなこと言ったって、姐さん。次から次に後からメイジが増えるんですぜ。ありゃーあんまりだ」
フーケは本当のところ、あまり怒っているわけではない。
ラ・ロシェールに続く山道に入ったばかりのところでの襲撃は一種の威力偵察だ。
傭兵達には言ってないが、元々あそこで仕留める気はなかった。
「へぇ……メイジが増える前にもガキ相手にだいぶ苦戦していたようにも見えたがねえ」
「あ、ありゃ……」
男が声を詰まらす。
これも本当は、剣を使う少年という予想外の戦力が明らかになったので別に失敗ではないのだが、それを正直に傭兵に教えてやる義理はない。
フーケは自分のためにその情報を隠す。
「あの分の後金は少しさっ引かせてもらうよ。それから、次はしっかりやりな。さもないと、わかってるね」
「へ、へい」
さっ引いた分はどこに行くのか。
傭兵に出す金を出した白仮面に戻すのか。
そんなことはしない。フーケは自信の懐に入れて、とある場所に送る腹づもりだ。
フーケはこぼれそうになる笑いを抑えながら立ち上がり、酒場に満ちる喧噪に負けない声を張り上げる。
「さあ、お前達。飲んだくれるのもここまでだよ。仕事の始まりだ」
「へい!姐さん。任せてください」
酒場の傭兵達が一斉に立ち上がり声を上げる。
その中で傭兵達に敬われるフーケはどう見ても名うての女傭兵隊長だった。
ラ・ロシェールについてから、ユーノはきょろきょろしっぱなしだった。
岩壁に彫り込まれるように作られた通路や建物は一つでもすごい物だが、それが町一つ分もあれば圧巻の一言だ。
(どうやって作ったんだろう)
(土のメイジが作ったに決まってるじゃない)
(へー)
ユーノは首を伸ばしてあっちを見たり、こっちを見たり。
人間の姿だったら田舎者に見られていることだろう。
(ユーノの居たところはこういう場所はないの?)
(うん。似たようなところはあるけど、ここみたいに大きいのはなかったよ)
(ふーん。ユーノのところの土のメイジはこういうの作らないんだ)
(ミッドチルダ式の魔法は、こういうのにはあんまり使えないんだ)
(そうなんだ)
ミッドチルダ式の魔法にいつも驚かされているルイズはちょっとした優越感みたいな物を感じておく。
(ほら、あそこの廊下が不安定そうだけど全然そんなことないでしょ。固定化使ってるからなのよ)
(へー)
そんなに自慢げに教えることでもないことを言っても、ユーノがいちいち感動しているのが何か嬉しい。
そうやって、ちょっとした事をユーノに教えているとすぐに宿に着いた。
女神の杵亭である。
出発の日は明後日。それまではここに泊まることになる。
ここに来るまでにギーシュは疲れ果てていたし、キュルケも体が埃っぽいと言っている。
それぞれすぐに割り当てられた部屋に行ってしまった。
ギーシュは一人部屋。
キュルケとタバサは相部屋。
そして、ルイズとワルドも相部屋である。
ルイズは
「まだ結婚しているわけじゃない」
と顔を真っ赤にして言ったが、ワルドが
「大事な話がある」
と言うと、大人しくワルドの背中を追って部屋に入った。
ユーノが入ったのは、もちろんルイズとワルドの部屋である。
ルイズとワルドの大事な話とは何かと身構えていたが、二人が話し始めたのは昔の話だった。
池の小舟の話や、姉と比べられていた話はユーノもちょっと興味があったが、ルイズが顔を赤くして恥ずかしがっているのを見ると、念話でもあまり口を挟めなかった。
「僕はね、ルイズ。あの頃から君に誰にもないオーラを感じていたんだ」
「誰にもないオーラ?」
「君には、君だけが持つ特別な力が眠っているんじゃないかって事だ。いや、その力はすでに目覚めているんじゃないかな?」
ルイズは肩に力を入れて硬直し、ユーノも全身の毛を逆立てる。
心当たりがあることおびただしい。
「そ、そ、そ、そんなことありません。今でも普通の魔法は失敗ばかりで……」
「ははは。じゃあ、普通でない魔法は失敗しないのかな?」
また体が硬直する。心臓もびくっとする。
「そ、そう言う意味じゃなくて」
「はは。ごめんごめん。だけど王女殿下も同じようなことを言ってたよ」
「姫さまが……」
口ごもるルイズ。
ワルドはルイズのグラスにワインをつぐ。
ルイズがそれを口に入れたところで、ワルドは本題を切り出した。
「ルイズ、この任務が終わったら結婚しよう」
突然の申し出にルイズも驚いたが、ユーノはもっと驚いた。
生まれて初めて目撃するプロポーズ。
しかも、ミッドチルダで見るようなドラマや映画と言ったお話ではない。
リアルの、本物なのだ。
とりあえず、ルイズの足下は居心地が悪すぎる。
あわてて走り回って
「きゅうっ」
壁にぶつかってしまった。とても頭が痛い。
そんなユーノを知ってか知らずか、ワルドはルイズの答えを静かに待っている。
「でも……」
「でも?」
「私、ワルドが言うようなメイジじゃないし。それに、それに……」
「誰かすでに君の心にもうすんでいるのかな?」
ルイズは息をのむ。そして、息を吐こうとしてもう一度飲む。
そのときルイズの頭を一瞬よぎった顔があったからだ。
それがよりにもよって、人間のユーノだったから。
──な、な、な、な、なんでよりにもよって!しかも、人間じゃなくて使い魔なのよ!
焦点が定まらなくなるルイズの耳元でワルドがささやいた。
「それでも良いさ。だけど、ルイズ。僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは、国を……このハルケギニアを動かすような男になりたいと思っている」
緊張と鼓動の高まるルイズからワルドは少し離れた。
「そのときは君に僕の側にいて欲しいと思っている。僕には君が必要だ。そのことは覚えていて欲しい」
「ワルド……」
ようやく出るようになった声をつぶやきながら、ルイズはワルドを見上げた。
「疲れてしまったようだね。もう、寝たほうがいい」
ワルドはそう言うと扉を開けた。
寝室への扉ではなく、この客室の扉だ。
「まだ早いようだから、僕は別の部屋を取ろう。おやすみ、ルイズ」
ワルドのいなくなった部屋でルイズはユーノを抱き上げ、こぶのできた頭に手を当てた。
机に体を預けたルイズは、ルイズは何度もため息をついている。
ユーノは机に乗せられてルイズと何度となく視線を合わせていたが、どうにもこうにも何を言ったらいいかわらかなかった。
「ねえ、ユーノ。私……結婚申し込まれちゃった」
わけのわからない気まずさの中、先に話し出したのはルイズだった。
「そ、そうだね」
「どう思う?」
「ど、どうって……どうって」
どう答えればいいかとっさにわからない。
わかるはずがない。わかりようがない。
だって、ユーノはまだ9歳だから。
だけどルイズが聞いているのだから、何か答えなければいけない。
「え、えーと。ワルドさんっていい人だよね」
「うん」
「ルイズにとっても優しいし」
「うん」
「ルイズのこともよく知ってるし……それから貴族で、軍人でルイズのことを守ってくれそうだし」
「うん、うん」
「ルイズのことが好きみたいだし」
「そう、だと思う」
「ルイズもワルドさんの事が好きなんでしょ?」
「そう、なのかな」
「だったら、結婚して良いんじゃないかな」
「ん……」
ルイズは伏せた体を起こし、机に手をついてユーノに顔をぐっと近づけた。
「ユーノはそれで良いの?」
「え?」
「他にないの?」
「え?」
「こー、寂しいとか…」
「うん。ルイズが結婚したら寂しくなるかも知れないね。でも、ルイズのためになるなら……」
そのとたん、ルイズの中で何かが切れた。
何かはわからないがとにかく切れたのだ。
「!!!ユーノっ」
「は、はいっ」
机をひっくり返るほど強く叩いた後は、足音を鳴らして部屋の外へ。
どかどかどか
「ルイズ、どこ行くの?」
「キュルケたちの部屋」
「ぼ、僕も」
「ユーノはここ!良いわね!」
「う、うん」
ルイズが思い切り強く扉を閉めたせいで部屋全体が揺れる。
宿で一番の高級な部屋にはフェレットのユーノだけになってしまった。
岩壁に彫り込まれるように作られた通路や建物は一つでもすごい物だが、それが町一つ分もあれば圧巻の一言だ。
(どうやって作ったんだろう)
(土のメイジが作ったに決まってるじゃない)
(へー)
ユーノは首を伸ばしてあっちを見たり、こっちを見たり。
人間の姿だったら田舎者に見られていることだろう。
(ユーノの居たところはこういう場所はないの?)
(うん。似たようなところはあるけど、ここみたいに大きいのはなかったよ)
(ふーん。ユーノのところの土のメイジはこういうの作らないんだ)
(ミッドチルダ式の魔法は、こういうのにはあんまり使えないんだ)
(そうなんだ)
ミッドチルダ式の魔法にいつも驚かされているルイズはちょっとした優越感みたいな物を感じておく。
(ほら、あそこの廊下が不安定そうだけど全然そんなことないでしょ。固定化使ってるからなのよ)
(へー)
そんなに自慢げに教えることでもないことを言っても、ユーノがいちいち感動しているのが何か嬉しい。
そうやって、ちょっとした事をユーノに教えているとすぐに宿に着いた。
女神の杵亭である。
出発の日は明後日。それまではここに泊まることになる。
ここに来るまでにギーシュは疲れ果てていたし、キュルケも体が埃っぽいと言っている。
それぞれすぐに割り当てられた部屋に行ってしまった。
ギーシュは一人部屋。
キュルケとタバサは相部屋。
そして、ルイズとワルドも相部屋である。
ルイズは
「まだ結婚しているわけじゃない」
と顔を真っ赤にして言ったが、ワルドが
「大事な話がある」
と言うと、大人しくワルドの背中を追って部屋に入った。
ユーノが入ったのは、もちろんルイズとワルドの部屋である。
ルイズとワルドの大事な話とは何かと身構えていたが、二人が話し始めたのは昔の話だった。
池の小舟の話や、姉と比べられていた話はユーノもちょっと興味があったが、ルイズが顔を赤くして恥ずかしがっているのを見ると、念話でもあまり口を挟めなかった。
「僕はね、ルイズ。あの頃から君に誰にもないオーラを感じていたんだ」
「誰にもないオーラ?」
「君には、君だけが持つ特別な力が眠っているんじゃないかって事だ。いや、その力はすでに目覚めているんじゃないかな?」
ルイズは肩に力を入れて硬直し、ユーノも全身の毛を逆立てる。
心当たりがあることおびただしい。
「そ、そ、そ、そんなことありません。今でも普通の魔法は失敗ばかりで……」
「ははは。じゃあ、普通でない魔法は失敗しないのかな?」
また体が硬直する。心臓もびくっとする。
「そ、そう言う意味じゃなくて」
「はは。ごめんごめん。だけど王女殿下も同じようなことを言ってたよ」
「姫さまが……」
口ごもるルイズ。
ワルドはルイズのグラスにワインをつぐ。
ルイズがそれを口に入れたところで、ワルドは本題を切り出した。
「ルイズ、この任務が終わったら結婚しよう」
突然の申し出にルイズも驚いたが、ユーノはもっと驚いた。
生まれて初めて目撃するプロポーズ。
しかも、ミッドチルダで見るようなドラマや映画と言ったお話ではない。
リアルの、本物なのだ。
とりあえず、ルイズの足下は居心地が悪すぎる。
あわてて走り回って
「きゅうっ」
壁にぶつかってしまった。とても頭が痛い。
そんなユーノを知ってか知らずか、ワルドはルイズの答えを静かに待っている。
「でも……」
「でも?」
「私、ワルドが言うようなメイジじゃないし。それに、それに……」
「誰かすでに君の心にもうすんでいるのかな?」
ルイズは息をのむ。そして、息を吐こうとしてもう一度飲む。
そのときルイズの頭を一瞬よぎった顔があったからだ。
それがよりにもよって、人間のユーノだったから。
──な、な、な、な、なんでよりにもよって!しかも、人間じゃなくて使い魔なのよ!
焦点が定まらなくなるルイズの耳元でワルドがささやいた。
「それでも良いさ。だけど、ルイズ。僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは、国を……このハルケギニアを動かすような男になりたいと思っている」
緊張と鼓動の高まるルイズからワルドは少し離れた。
「そのときは君に僕の側にいて欲しいと思っている。僕には君が必要だ。そのことは覚えていて欲しい」
「ワルド……」
ようやく出るようになった声をつぶやきながら、ルイズはワルドを見上げた。
「疲れてしまったようだね。もう、寝たほうがいい」
ワルドはそう言うと扉を開けた。
寝室への扉ではなく、この客室の扉だ。
「まだ早いようだから、僕は別の部屋を取ろう。おやすみ、ルイズ」
ワルドのいなくなった部屋でルイズはユーノを抱き上げ、こぶのできた頭に手を当てた。
机に体を預けたルイズは、ルイズは何度もため息をついている。
ユーノは机に乗せられてルイズと何度となく視線を合わせていたが、どうにもこうにも何を言ったらいいかわらかなかった。
「ねえ、ユーノ。私……結婚申し込まれちゃった」
わけのわからない気まずさの中、先に話し出したのはルイズだった。
「そ、そうだね」
「どう思う?」
「ど、どうって……どうって」
どう答えればいいかとっさにわからない。
わかるはずがない。わかりようがない。
だって、ユーノはまだ9歳だから。
だけどルイズが聞いているのだから、何か答えなければいけない。
「え、えーと。ワルドさんっていい人だよね」
「うん」
「ルイズにとっても優しいし」
「うん」
「ルイズのこともよく知ってるし……それから貴族で、軍人でルイズのことを守ってくれそうだし」
「うん、うん」
「ルイズのことが好きみたいだし」
「そう、だと思う」
「ルイズもワルドさんの事が好きなんでしょ?」
「そう、なのかな」
「だったら、結婚して良いんじゃないかな」
「ん……」
ルイズは伏せた体を起こし、机に手をついてユーノに顔をぐっと近づけた。
「ユーノはそれで良いの?」
「え?」
「他にないの?」
「え?」
「こー、寂しいとか…」
「うん。ルイズが結婚したら寂しくなるかも知れないね。でも、ルイズのためになるなら……」
そのとたん、ルイズの中で何かが切れた。
何かはわからないがとにかく切れたのだ。
「!!!ユーノっ」
「は、はいっ」
机をひっくり返るほど強く叩いた後は、足音を鳴らして部屋の外へ。
どかどかどか
「ルイズ、どこ行くの?」
「キュルケたちの部屋」
「ぼ、僕も」
「ユーノはここ!良いわね!」
「う、うん」
ルイズが思い切り強く扉を閉めたせいで部屋全体が揺れる。
宿で一番の高級な部屋にはフェレットのユーノだけになってしまった。
さて、ここはキュルケとタバサの相部屋である。
そろそろ布団に入ろうとしたところで、扉がノックされた。
ノックと言うより、叩きめすと言った方が良いかもしれない荒々しさだ。
鍵を開けると、ルイズが何も言わずに入ってくる。
しかも、これまた何も言わずにキュルケのベッドに一直線。
そのまま潜り込んでしまう。
「ちょっと、ルイズ。ここは私の部屋よ!」
「今日はここで寝る!」
「あなたの部屋はどうしたの?あの、ワルド子爵は?」
「良いの!今日はここで寝るの!」
「私はどうするのよ!」
「私の部屋で寝て!」
「あのね……」
その後、ルイズはもう何も言わない。揺すっても、叩いても動かない。
キュルケはしかたなく肩をすくめて部屋を出て、後のことはタバサに任せることにした。
そろそろ布団に入ろうとしたところで、扉がノックされた。
ノックと言うより、叩きめすと言った方が良いかもしれない荒々しさだ。
鍵を開けると、ルイズが何も言わずに入ってくる。
しかも、これまた何も言わずにキュルケのベッドに一直線。
そのまま潜り込んでしまう。
「ちょっと、ルイズ。ここは私の部屋よ!」
「今日はここで寝る!」
「あなたの部屋はどうしたの?あの、ワルド子爵は?」
「良いの!今日はここで寝るの!」
「私はどうするのよ!」
「私の部屋で寝て!」
「あのね……」
その後、ルイズはもう何も言わない。揺すっても、叩いても動かない。
キュルケはしかたなく肩をすくめて部屋を出て、後のことはタバサに任せることにした。
結局キュルケは元はルイズとワルドの相部屋だった部屋で一人になっていた。
正確には一人ではない。
フェレットのユーノがいる。
キュルケは部屋にまだ余っていたワインの瓶を傾け、ユーノに聞いた。
「ねえ、何があったの?」
ユーノはただ首をかしげるだけだった。
正確には一人ではない。
フェレットのユーノがいる。
キュルケは部屋にまだ余っていたワインの瓶を傾け、ユーノに聞いた。
「ねえ、何があったの?」
ユーノはただ首をかしげるだけだった。