あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

プレデター・ハルケギニア-02


「グフッ……ガハッ……!」
 貫かれた腹部を押さえつつコルベールが血を吐きながら悶える。
 目の前の亜人を見上げると先ほど自分を貫いたであろう鉤爪を振りかぶり
 最後の一撃を加えようとしている。
 そしてその鉤爪が振り下ろされた瞬間、コルベールは死を覚悟してか目を閉じた。

 しかし鉤爪は彼に振り下ろされなかった。代わりに二人にどこからともなく
 巨大な空気の塊が叩きつけられ、宙に舞う。宙に舞ったコルベールを素早く、巨大な
 青き竜が咥え、長い舌を使い器用に背中へと運ぶ。
 そしてその背中には二人の人影が。青髪にショートカット、そしてメガネをかけた小柄な少女。
 もう一人は赤髪の長髪に褐色の肌、そして青髪の少女とは対照的に長身、グラマラスな体。
 タバサとキュルケの二人、そしてタバサの使い魔シルフィールドである。

 新たにコルベールを背中に乗せたシルフィールドは一気に空高く舞い上がる。

「ガハッ!!」
「先生、もうすぐ医務室よ、がんばって!」
 コルベールが血を吐きながら答える。
「すまない、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ……
 ところで……ミス・ヴァリエールは拾ってくれたか……?」
 息も絶え絶えにコルベールが問いかけた。

 もはや空高くへと飛び去った一行を亜人が見つめていた。
 不意に左背部からくの字の支え棒のようなものが伸びた。   
 支え棒の先端には黒い30サントほどの長方形の筒のようなものが付いている。
 数秒ほど亜人は一行を見ていたが、やがて諦めたかのように背を向け歩き出した。
 同時に筒状の物も元のように収められる。

「ヒッ!!」
 歩き去ろうとした亜人の横側から小さな悲鳴が聞こえた。
 ルイズだ。タバサのエアハンマーにより亜人の体はルイズが倒れた場所まで吹き飛ばされていた。
 彼女はもう目を覚まし一部始終を見ていたのだ。
 逃げなければ、頭ではそう思う。しかし体が動かない。腰が抜けてしまっている。
 恐怖のあまり歯がカタカタと鳴り全身が震える。
 亜人がルイズを見つめる。しかしすぐに興味を無くしたかのように再び歩き出す。
 外壁を飛び越え亜人はどこかへと去っていった。


 翌日、ルイズ、キュルケ、タバサの三人は学院長室へと呼び出されていた。
 そして事の一部始終を説明した。
「……困ったことになったのう。まさかそんな怪物が召喚されてしまうとは……」
 話を聞き終えたオールド・オスマンが呟く。
「それで……あの、コルベール先生は?」
 ルイズがオスマンに問いかける。
「ああ、彼なら心配はいらん。一命は取りとめたよ。なに、ああ見えて頑丈なやつじゃて」
 オスマンの言葉にルイズは安堵したかのように小さくため息をついた。
「すまんかったの、わざわざ呼び出して。もう戻ってよろしい」
 ルイズらが部屋を後にしようとする。
「あ、ミス・ヴァリエール、君はもう少し残ってくれ」
 退出しようとしたルイズが振り向き再び学院長の前に立つ。
 学院長室はルイズ、オスマン、そして秘書のミス・ロングビルの三人だけとなった。

「さて……君もわかっていると思うが使い魔召喚は大切な儀式じゃ。
 同時に生徒にとっては一種の試験でもある。召喚した使い魔と契約できなかった場合……
 どうなるんじゃっけ?」
「校則に従えば留年、もしくは退学ということになりますね」
 オスマンの問いにロングビルが淡々とした口調で答える。
「た、退学ッ!?そ、そんな……」
 ルイズが驚嘆の声を上げる。
「まぁ落ち着きなさい。何も今この場で留年や退学にするとは言っておらん。
 それに今回のようなケースははっきり言って前例が無い。 
 召喚された使い魔が学院の教師に重傷を負わせそのまま消え去るなど……」
 ルイズは俯き歯噛みした。自分は何もできなかった。召喚された使い魔を目の前にして
 震えていただけだった。

「学院の外に出てしまった以上、もはやこれはここだけの問題では無い。
 今日の内にトリスタニアへと手紙を出そう。衛士隊も手を貸してくれるじゃろう」
 黙ってオスマンの話を聞いていたルイズが口を開いた。
「あの……私はどうすれば?できればサモン・サーヴァントのやり直しを……」
 ルイズの問いにオスマンが首を横に振る。
「残念じゃが、やり直しはできん。
 新たに使い魔を召喚できるのは召喚した使い魔が死んだその時だけじゃ。
 ……ミス・ヴァリエール、君がこの学院の生徒として、いやメイジとして選べる選択肢は二つ。
 その亜人をなんとか探し出し契約するか殺すか、またはその亜人がどこかで死ぬのを黙って待つか……
 どちらにしろ使い魔がいない以上、このままでは君は学院を去らなくてはならなくなってしまう」


その日の夜のトリスタニア、そしてその最大の街ブルドンネ街。
 昼間は大勢の人々で賑わうこの街も夜更けとなれば人通りはめっきり少なくなる。
 そのすっかり人通りも無くなった街の裏路地の一角、今は使われていない廃屋に
 複数の男がたむろしていた。男達の多くは剣や槍などの武器を手にしており
 中には杖を持っている者もいる。
 そして男達の前には縄に縛られた複数の少女が座っていた。

 「一体私たちをどうしようってんだい、あんた達!」
  黒髪を腰のあたりまで伸ばした少女が男達に怒鳴りつけるように尋ねる。
  杖を持った男が口を開く。
 「気の強い女だな全く……お前等ほどの上玉なら金持ちの貴族にゃ高く売れる。
  ガリアかゲルマニアか……まぁ欲しがるやつはいくらでもいるんでね。
  それから、でかい声を出すのは程ほどにしておけ。口を縫い付けるぞ」
  男が杖を手の中で弄りながら答える。どうやらこの男がリーダー格のようだ。
  メイジが犯罪者となるのは珍しいことでは無い。何かしらの理由で貴族の名を失う者も
  少なくないからだ。

 「ふざけんじゃないよ!くたばりな、この下衆ども!」
  黒髪の少女が男へ言い返す。
 「まったく……オイ、品定めついでに口を塞いでやれ」
  男の指示とともに数人の男達が野卑た笑みを浮かべながら少女達に近づいていく。
  黒髪の少女以外はガクガクと震え、泣き出している。

  その時、入り口近くで見張りをしている男が自身の胸元あたりに奇妙なものが浮かんでいるのに気がついた。
  三つの赤い光点が小さな三角形を作り、胸元でゆらゆらと揺らめいている。
 「何だこりゃ?」
  男が手をかざすと今度は手に光点が写る。男が首を傾げた次の瞬間、どこからか槍の穂先のような物が
  飛来し男の胸を貫いた。貫いた穂先の勢いは止まらず男を背後の壁へと縫い付ける。
 「何だ!?」
  少女たちに近づいていた男達もメイジの男も全員、武器と杖を構える。
  しかし間髪入れずに今度は青い光弾が一人に飛来し、周りにいた数人ごと火達磨になりながら吹っ飛んだ。
 「ちくしょう!なんだってんだ一体!?」
  男の一人が叫ぶ。次の瞬間、叫んだ男の腹部を何かが貫いた。そして人外の力で真上へと放り投げられる。
  床に落下した男に止めとばかりに胸を何かが突き刺す。
  そして今度は他の男の首が一瞬で切り落とされ血しぶきが吹き出す。
  次の男が何かに吊り上げられるかのように宙に浮く。そして強力な力で壁に叩きつけられ頭が
  トマトのように潰れされた。

  手下を全て殺されたメイジの男が杖を構える。しかし先ほどの余裕は微塵も無い。
  脅えきった表情で顔からは冷や汗が流れている。

  その時男の前方に青い電流のようなものが流れた。
  それと共に奇怪な姿が現れる。全身に鋼色の鎧を纏った2メイルを超える巨体。
  それは正しくルイズの召喚したあの亜人であった。

 「あ…悪魔……!?」
  黒髪の少女が呟く。その声と顔は男と同様に脅えを含んでいる。
 「うおおおおおおッッッ!!!」
  絶叫とも悲鳴ともとれる声を上げながら男が杖を振る。
  同時に亜人の右手から鉤爪が伸びた。


 同じ頃、ルイズは自室でベッドの上から天井を見つめていた。
 頭の中でオスマンの言葉がよぎる。

 ―契約するか殺すか―

「どうしろって言うのよ私に……魔法なんて何一つまともに使えないのに……
 第一使えたってあんな化け物……」
 腕を顔にかざしながらルイズはため息をついた。
 オスマンの出した手紙はもう届いているはずだ。おそらくは何らかの形で協力はしてくれるだろう。
 しかしはっきり言って期待はあまりできない。向こうにしてみればたかが召喚された使い魔一匹。
 本気の協力が得られるとは考えづらい。
 しかしこの学院の三年で魔法をなんとか覚え、優秀なメイジである両親や姉達を見返したい、認められたい
 その信念があるだけに留年、退学は絶対にできない。
 かと言って一体どうすればいいのか、それもわからない。
 ルイズは再び深いため息をついた。


 魔法学院中央部の巨大な塔、そこは数々の貴重なマジックアイテム等が保管してあり
 強力な結界で守られている。普段は学院の教師でも入ることは許されないその宝物庫に
 オスマンは一人立っていた。沈痛な面持ちで目の前のマジックアイテムを見つめている。
 そのアイテムがしまってあった箱には『持ち出し厳禁 破壊の銃』と書かれた札が張ってある。

「伝説の悪魔か……まさかの……」

 その白い、筒状のマジックアイテムは亜人が装着していた物と驚くほど似ていた。


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